2020年08月22日

◆ アビガンの話題 3

  アビガンの話題を二つ。( 催奇性の意味 / 有効性の推定 )

 ──

 (1) アビガンの催奇性

 「アビガンには催奇性がある」ということが、過剰に受け取られているので、誤解を是正した方がいいだろう。

 第1に、催奇性ははっきりと確認されたわけではない。催奇性の出た新生児が誕生したわけではない。では何かというと、動物実験で催奇性が(いくらか)出たというだけだ。そこで念のために、「催奇性の疑いがある」と認定されて、「ゆえに妊婦には投与しないこと」と決められただけだ。
 
 第2に、催奇性は恒久的なものではない。服用をやめてから2週間程度は妊娠しないように注意するべきだ、というぐらいのことだ。1カ月もたてば、もう催奇性の心配はしなくていい。というか、コロナから回復して1カ月ぐらいでは、まだまだ体力的に妊娠は無理だろう。このころではずっと避妊をする必要がある。避妊をやめるのは、コロナから回復して半年後ぐらいからだろう。そのころには、催奇性をもたらすような薬の影響などは、皆無であろう。

 第3に、催奇性が起こるのは、受精卵だけである。換言すれば、精子や卵子には影響しない。「アビガンを投与されると、自分の精子や卵子が奇形になる」というような心配はない。影響が出るのはあくまで、受精卵だけである。受精卵でなければ、影響はないのだ。(それが催奇性というものだ。)

 以上のように、「催奇性」というものは、普通は「恐れるに足らず」と見なしていい。妊娠中の妊婦だけが気にすればいい。過剰に恐れる人が多いので、医者は正しい情報を与えるべきだ。(迷信を信じる患者が、医療拒否をするのは、前近代的すぎる。そこを是正するべきだ。)

 (2) アビガンの効果

 アビガンの効果は、どのくらいだろうか? 
 それはもちろん、現在、世界のあちこちで二重盲検私見がなされているので、その結果を見ればわかるだろう。(フィリピン、アメリカ、クウェートなど。)……だが、それらの結果がわかるのは、将来だ。
 現時点ですでに判明しているのは、バングラデシュとインドだ。ある程度の効果があることは判明しているが、「有効性がある」と判明するぐらいでって、重症者や死者をどのくらいは引き下げるかまでは、はっきりとはわかっていない。それというのも、「重症者や死者を出す」ような対比試験は、実施しがたいからだ。
 ※ 有効性を調べるだけの治験ならば可能だが、死者を出すような致死性の治験は実施しがたい。(薬の致死性でなく、病気の致死性であっても、だ。)

 致死性について調べるには、治験ではなく、現実の統計を見て推測するしかないだろう。
 これについては以前、日本の第一波のときの致死率の低下を見て、(アビガンを使うことで)「致死率 20%弱を、致死率 5.1%までに引き下げるだけの効果がある」と推定した。
  → アビガンの効果が判明: Open ブログ

 ところがその後、第二波が起こると、(アビガンを使いながら)致死率は 0.86% まで激減してしまった。
  → 第一波と第二波の致死率 1: Open ブログ

 こうなると、もはやアビガンの効果がはっきりしなくなる。また、先に第一波のときのデータの信頼性も弱くなってしまう。

 ──

 そこで現時点で、改めてデータを調べて考察しよう。
 今回は、日本と外国の致死率を比較する。日本ではアビガンを使っており、外国ではアビガンを使っていない。そこで、日本の致死率の低さを外国と比べることで、「アビガンあり」の国における致死率の低さから、アビガンの効果の程度が推定できる……というわけだ。

 日本と外国の致死率については、コメント欄で計算結果が示されていた。(八月半ばの死者数についてのデータ。第二波のころのデータ。)
 筆者が示した式(8/11→18の死亡者の増加人数を、7/21→28の感染者の増加人数で割る)を用いて計算してみると、

 (1) フランスは1.5%なので、日本全体の0.90%よりも高め(約1.7倍)です。

 (2) ドイツは0.91%なので、日本全体の0.90%と同等です。

  Posted by かわっこだっこ at 2020年08月19日
( → 東京都と全国の死者数: Open ブログ


 ここで、次のように評価する。

 (1) フランスでは致死率が日本の 1.7倍だが、仮に日本と同程度の超高齢化になっていたら、日本の 2.0倍ぐらいになっていたと推定される。そこで、日本はフランスの 2.0分の1に致死率が下がっていると推定される。これがアビガンの効果だ。

 (2) ドイツでは致死率が日本とほぼ同程度だが、仮に日本と同程度の超高齢化になっていたら、日本の 1.2倍ぐらいになっていたと推定される。つまり、現実には日本の 1.2分の1 ぐらいに致死いつが下がっている。
 さらに、ドイツでは PCR 検査が事実上、全員に可能になっているので、その分、感染者数が多く発見されている。このことから、二つの効果が生じる。
  ・ 感染者数が増えるという形で、分母が大きくなる。
  ・ 感染対策が進むという形で、分子(死者数)が小さくなる。

 この二つの効果で、致死率がおおざっぱに半分近く(0.6倍)まで減っていると思える。
 この 0.6倍と、先の 1.2分の1の効果で、合わせて 0.5倍ぐらいにまで数字が下がっていることになる。
 仮に、ドイツがそのようなことをしていなければ、致死率は2倍ぐらいに増えていただろう。換言すれば、それが「アビガンなし」の場合の致死率だ。つまり、日本の2倍である。(もともとが1倍だから。)

 ──

 結局、フランスと比較しても、ドイツと比較しても、「アビガンによって致死率を下げる率」は 「半減」であると推定される。
 つまり、アビガンを使うことで、日本はフランスやドイツに比べて、死者を半分に減らす効果が出ているのだ。それが、8月前半の死者数から統計的に推定される効果だ。

 ──

 結局、次のようにまとめることができる。
  ・ 第一波の日本の死者数からの推定 → 死者を4分の1に。
  ・ 第二波の日本と外国の死者数からの推定 → 死者を2分の1に。


 このくらいの効果があると推定されるわけだ。

 ──

 ただし、私としては、(アビガンには)もうちょっと大きな効果があると推定している。それは、次のことがあるからだ。
 「フランスやドイツでは、第一波のときに多数の死者を出しており、死にやすい人がすでに死んでしまった。一方、日本では、まだ多数の死者を出していないので、死にやすい人が多大に残っている」

 こういう圧倒的な不利な状況において、死者数の急増を防いでいる。とすれば、「死者を2分の1に」というのよりも、もっと大きな効果があると推定してよさそうだ。
 私としては、「死者数を 3分の1〜4分の1にする効果がある」と推定したい。

 現在、クウェートで 1000人規模の大規模な二重盲検試験が実施中だということだ。
  → クウェートでアビガン治験 1000人規模で―富士フイルム

 このような大規模な治験がなされたなら、死亡率についても、ある程度のはっきりしたデータが出てくるかもしれない。
 それまでは、当面、上記のように、既存のデータから推測することぐらいしかできない。ただ、おおまかには、「当たらずと言えども遠からず」というふうになりそうだ。

 ※ 上の推定値は、バングラデシュやインドのデータとも、特に矛盾するようなことはないだろう。(劇的なほどの効果があるわけではないが、かなりの程度の効果がある、ということ。)
 


 【 関連項目 】

 → アビガンの話題: Open ブログ
 → アビガンの話題 2: Open ブログ
posted by 管理人 at 16:31| Comment(3) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
サリドマイドの呪縛があるのでしょう。サリドマイドのようなことが起こらないための1,2,3の明示,マニュアルが必要。アビガン使用の年齢制限(原則)で対応可能。
Posted by 32年前は現役 at 2020年08月24日 01:21
 イレッサの呪縛
  → http://openblog.seesaa.net/article/475073996.html
  の (3)
Posted by 管理人 at 2020年08月24日 08:00
アクテムラが重症化(サイトカインストーム)
抑制に効果があるとの研究

https://news.yahoo.co.jp/articles/beca805033d5a06add3f098692fdfc5aba2448c8

管理人さんも以前から指摘されていました。
Posted by 菊池 at 2020年08月25日 13:27
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