2020年08月14日

◆ 日本でコロナ死者急増?

 日本でコロナの死者が急増している、という朝日新聞の報道があった。これは私の見解とは違うが。……

 ──

 日本でコロナの死者が急増している、という朝日新聞の報道があった。

c-aug-death.gif
 国内で新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の数が8月に入って増えている。公表された死者は13日午後9時までで64人に上り、すでに7月の39人を大きく上回る。重症化しにくい若年層が感染者の大半を占めてきたが、最近は中高年に広がっている。感染者の急増で、入院先や療養先を十分確保できない地域もあり、自宅待機中に重症化する恐れもでてきた。
 朝日新聞の集計によると、13日までの1週間の死者は41人。4月初旬のころに匹敵し、前週から約 1.4倍に増えた。
 (これまで)死者は……少なかった。しかし、状況は変わりつつある。……厚生労働省によると、全国の重症者も 13日時点で 203人と1カ月前の6倍となった。
( → 8月死者、7月を上回る 自宅待機で重症化、懸念 新型コロナ:朝日新聞

 これまで死者は少なかったのに、最近になって死者が急増している……という趣旨で述べている。「これは大変だ」と思う人も多いようだ。

 一方で、本サイトでは先に「死者の増加はたいしたことはない」という趣旨で述べた。
 東京都の死者数は……増加のペースが急激に低下している。
 東京都の重症者数も同様だ。7月23日までは増加したが、以後は頭打ちであり、ほとんど増えていない。

 東京でなく全国データでも、似た状況にある。
 いくらかは増えているのだが、新規感染者数の増加に比べると、その増加倍率はかなり小さい。
( → コロナは弱毒化しているか?: Open ブログ

 これらの記述は、朝日新聞の記述とは逆だ。両者の間に、3日間のズレはあるが、たったの3日間で状況が急変したのか? それとも、私の先の判断が間違っていたのか? 
 改めて調べ直してみた。

 ──

 まず、本サイトの上記項目の話は、特に間違っていない。その後、3日間を経たことで、東京都の死者数が 334人から 338人に増えたのが、「死者の急増」と言えなくもないが、これも際立った変化というほどではない。
 たしかに、時間を経たことで、死者の増加はある程度は起こっているのだが、特別な変化があったわけではない。(累計でもたったの4人の増加だけだ。)

 では、私の記事と朝日新聞とでは、どこが違うのか? 調べたら、わかった。グラフの目盛りが違うのだ。
 朝日新聞の方は、グラフの目盛りが、縦にとても長い。そのことは、上のグラフを見てもわかる。
 そこで、このグラフを縦 30% へと縮小する。すると、次のようになる。
c-aug-death2.gif
 これなら、普通のグラフだ。時間軸で横に長くて、縦方向は短い。worldometer, NHK , 朝日新聞、東京都など、いずれもそういう横長のグラフだ。それと同様にしたのが、右のグラフだ。

 これを見ればわかるように、次のように言える。
 「感染者の増加は非常に急激だが、死者の増加はたいしたことはない」

 このことは、先の項目で示したグラフを見れば、いっそうはっきりとする。再掲しよう。(全国データで感染者数と死者数を見る。)


新規感染者数
c-kansen0811.png


死者数
c-death0811.png
出典:Japan - Worldometer


 このグラフの日から三日間を経た今日でも、グラフの傾向は特に変わっていない。三日間分、延長しただけだ。
 「感染者の増加は非常に急激だが、死者の増加はたいしたことはない」
 ということは、今もなお成立する。

 ──

 結論。

 朝日新聞のグラフでは、「最近になって死者が急増している」というふうに見えるが、たいしたことはない。グラフで縦の目盛りが長く延びているので、やたらと急増しているように見せかけているだけだ。
 実際には、新規感染者の伸びに比べて、死者の伸びはずっと小さい。
 絶対数で言っても、7日間平均の数値が、「1日1人」「から「1日6人」に増えたという程度だ。倍率で見れば「6倍」の急増と言えなくもないが、「1日6人」という数字は今もなお低い数字である。
 この数字は、(最近は収束しつつある)欧州諸国と同程度であり、米国の数値(1日 1000人ぐらい)よりもずっと少ない。
 死者の増加については、朝日新聞が騒ぎ立てるほどには、憂慮するべき事態とはなっていない。



 [ 付記1 ]
 では、楽観していいかというと、そうでもない。現在の死者数は、2〜3週間前の感染者数を反映したものであるから、その後の感染者数の増加を考えると、現在の2〜3倍ぐらいの死者数が出たとしても、不思議ではない。
 この数値は、憂慮すべきほどではないが、楽観していいわけではない。

 [ 付記2 ]
 死者数が現在の2〜3倍になると、それは憂慮するべき状態だろうか? そうは言えない。
 まず、人口で言えば、日本は欧州の大国の2倍ぐらいの人口があるので、人口比で言えば、死者数が多いのは当然だ。また、日本は超高齢社会であることからして、死者数が大幅に多くなっても当然だ。日本が欧州の大国と同レベルの状態だと言えるのは、1日 20人〜 30人の死者が出た場合だろう。現状の1日6人という数字は、それよりもはるかに低い。
 
 [ 付記3 ]
 日本の年間死者数は 138万人。
  → 【図解・社会】合計特殊出生率、出生・死亡数の推移:時事

 年間 138万人なら、1日あたり 3780人だ。このなかに1日 10人〜 20人のコロナ死者がいたとしても、ほとんど埋没してしまうレベルだ。
 死者のうち大部分は 80歳以上の超高齢者だ。これらの超高齢者は、コロナに感染しなくても、次々と死んでいく。1日 3000人以上も。……それが自然の摂理なのである。
 朝日新聞みたいに、「1日6人も死ぬんだ! 急増だ! 大変だあ!」と騒ぐべきではあるまい。

 [ 付記4 ]
 実は、現状において軽症や無症状の感染者が増えることは、免疫を付けた人が増えるということであるから、集団免疫の観点から言えば、好ましいことだ。「どうせ感染するなら、冬になって感染するより、夏のうちに感染した方がいい」と言える。
 そして、その代償として、1日 10人〜 20人ぐらいの死者が出たとしても、特に憂慮するべきだとは言えない。なぜなら、それだけの死者が出ることで、冬季の死者を「1日 30人ぐらい低下させる」という効果があるはずだからだ。(私見だが。)
 仮に、現状で夏の感染者数を強引に抑制すると、未感染者(免疫のない人)が多くなるので、集団免疫が得られなくなって、冬季の死者を「1日 30人〜 50人ぐらい増やす」という効果が生じそうだ。(現状比。)
 それはまずい。だから、そうなることを回避するために、「1日 10人〜 20人ぐらいの死者が出る」という状況を受け入れた方がいい。特に、「1日6人」という現状なら、受け入れるのがずっとたやすい。

 現状程度の死者数(が出るような感染拡大)は、「大変だあ」と大騒ぎするよりは、むしろ「好ましい状態」として受け入れる方がいいだろう。冬の大感染のことを考慮すれば。
 大切なのは、目先の死者を減らすことではなく、1年間のトータルの死者を減らすことだ。朝三暮四の猿ではないのだから、「今さえ良ければ、それで良し」というわけには行かないのだ。
 


 【 追記1 】
 アサヒのグラフが、いびつであることには、別の理由もある。
 「(期間が)週ごとの集計なので、日ごとの集計に比べて、増加のペースが7倍になる」
 つまり、横軸が7倍に圧縮されているので、増加のペースが7倍になって見える。日ごとのグラフでは「緩やかな増加」でも、週ごとのグラフでは(7倍も)「急激な増加」に見える。
 こういうふうにして見た目の印象を左右しているのである。

 【 追記2 】
 実は、増加が急激であること自体は、事実であるとも言える。だが、それは単に、「元の水準があまりにも低かったからだ」、と言える。
 もともとが「1日3人」ぐらいだったならば、「1日6人」になったとしても、2倍になったにすぎない。しかるに、もともとが「1日 0,3人」だったなら、「一挙に 20倍に増えた」というふうに見える。
 元の状況が良ければ良いほど、新たな現状が悪く見えるわけだ。だから、伸び率だけでは、正しく評価できないわけだ。

 【 追記3 】
 では、正しく評価するには? やはり、東京都のデータが参考になる。
  5月01日 126人
  5月13日 203人
  5月25日 288人
  6月10日 311人
  6月20日 320人
  7月20日 327人
  7月29日 329人
  8月06日 333人
  8月11日 334人
  8月14日 338人

 ここから得られる結論はこうだ。
 「 8月11日以前は死者数は減る一方だった。8月11日以後は1日1人以上のペースとなって、急激に数値が上昇した。とはいえ、いまだに十分に低い数値である」
 8月11日以前は「まったく問題ない」と言えるほどで、コロナが流行しているとはわからないほどにも死者数が少なかったのだが、8月11日以後はいくらか死者が出ている、という程度のことだ。
 医療が十分であれば死者を抑制できていると言えるだろう。
 最近では、いくらかは死者が出ているが、年間の死者数が莫大であることを考えれば、この程度は無視できるレベルだと言える。

 ──

 できれば死者数をゼロにすることが好ましいのだが、「夏の感染者数は増えた方がいい」という観点からすれば、今のところは若干の死者数を甘受した方が、長期的には死者数を抑制できるだろう。(集団免疫の観点で。)
 
posted by 管理人 at 20:23| Comment(1) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に  【 追記1 】〜【 追記3 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2020年08月15日 07:03
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ