2020年08月05日

◆ 夏の感染で集団免疫?

 最近、新規感染者数が急増しているが、これはかえって好都合かもしれない。夏のうちに集団免疫を獲得することで、冬の感染者を減らすからだ。

 ──

 最近、コロナの新規感染者数が急増している。(全国値)


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 東京都は、やや頭打ちふうの傾向もあるが、他府県ではそういうこともなく、ほとんど指数関数的に急増している。

 これを見て、「大変だあ!」と騒ぎたくなる気持ちも生じるだろう。しかしここで、別の見解も成立することを示そう。以下の通り。

 ── 

 別の見解とは、こうだ。
 「夏に感染者数が多くなれば、その分、免疫を獲得する人が増える。そのせいで、冬の感染者が減るので、1年を通してみれば、かえって被害は軽減されるだろう」

 このことの原理は、次のことだ。
 「同じく感染するにしても、冬に感染すると(気温の低さゆえに呼吸器の免疫力が低いので)、症状が重度になり、死亡率が高まる」
 「夏に感染すると、その逆で、(気温の高さゆえに呼吸器の免疫力が高いので)、症状が軽度になり、死亡率が低まる」

 つまり、「どうせコロナに感染するのなら、冬に感染するより、夏に感染する方がいい」ということだ。理由は、症状の程度も、死亡の危険も、夏の感染の方が低いからだ。

 以上の理由で、「夏の感染をあえて防ぐ必要はない。むしろ、GoTo キャンペーンや感染会を開いて、街中の感染者をどんどん増やした方がいい」とも言える。

 ──

 上記は、一つの見解だ。(私がこれを主張するとは言っていない。あくまで呈示しただけだ。)

 では、この見解の妥当性はどうか? いくつかの点で見当してみよう。

 (1) 日本の死者数

 日本の死亡率はどうか? 「夏に感染する方がいい」とは言っても、夏の死者が多大に上るのでは、そうお気楽なことも言っていられないことになる。
 そこで調べると、こう判明した。
 「現在の死者数(全国)は、(7日間平均で)1日2〜3人程度であるにすぎない」
 これは非常に少ない数だ。インフルエンザの年間の死者数が 1000〜3000人 ぐらいである( 出典 )ことに比べると、インフルエンザ並みと理解してもよさそうだ。また、死ぬのもほとんどは超高齢者だ。
 その意味で、ことさら恐怖を感じるほどのことはない。現在の死者数を見る限り、「夏の感染を増やすと被害が大変だ」というほどではない。


 (2) 外国の死者数

 外国の死者数は、どうか? もちろん、日本とは比較にならないほど、桁違いに多くの死者が出ている。とはいえ、多くの死者を出した国のグラフを見ると、次のことがわかる。
 「春ごろに多くの死者を出したあとで、その後はどんどん死者数が低下している。死者数を見る限り、最近ではほとんど集団免疫に近づいている感じだ」
 
 たとえば、下記の3国がそうだ。(死者数のグラフを見る)
  → Sweden : Worldometer
  → Spain : Worldometer
  → France : Worldometer

 これらの国は、イタリアやドイツのように、「新規感染者数が激減している」というわけではない。新規感染者数の数はそこそこ多いし、最近になって第二波に襲われている国もある。なのに、死者数については、一貫してどんどん減少していて、最近ではかなり低い数値になっているのだ。
 これが、イタリアやドイツならば、「新規感染者数が激減しているので、死者数も激減している」というふうに説明が付く。しかるに、上記の3国は、「新規感染者数はあまり減っていないわりには、死者数は大幅に減っている」というふうだ。このことは、「これらの3国では、感染者があまりにも多くなったので、集団免疫を獲得しつつある」というふうにも解釈できる。

 ※ 「死ぬべき人がすでに死んでしまったから」という解釈も成立しそうだが、それだけだと、急激な減少を説明しきれない。

 ※ 他に、英国もその傾向があるが、ちょっとはっきりしない。死者数は減っているが、感染者数も同時に減っているからだ。
  → United Kingdom : Worldometer

 ──

 以上の (1)(2) から、「夏にわざと感染者数を増やすことで、集団免疫を獲得する」という戦略は、かなり妥当性があるとわかる。
 ※ 完全な「集団免疫」ではなくとも、少なくとも免疫獲得者が多数になることで、冬の感染拡大を抑止できそうだ。

 ただし、この発想は、十分に合理性があるとしても、「危険な博打」である恐れもある。だから、慎重な態度を取る限りは、上の発想をあっさり支持することは難しいだろう。

 とはいえ、学者が慎重な態度を取るせいで、「学者本人は間違いを犯さずに済んだが、代償として、国民の生命はたくさん奪われた」というふうになりかねない。これは学者の論文を、国民の生命よりも、重視する立場だ。学者にとっては、それでいいだろうが、国民にとっては、踏んだり蹴ったりだろう。「おまえの学術的な慎重さのせいで、俺の命は奪われるんだ」と恨みながら死んでいく人もありそうだ。
 そして、それは、あなたかもしれない。「夏のうちに感染しないで済んだ。ラッキー」と思っていたら、集団免疫がないせいで、冬には大感染が発生して、その結果、あなたも感染して死んでいく……というふうになりかねない。「どうせなら夏のうちに感染しておけば、冬には死なずに済んだのに」と悔しがりながら。

 ──

 この問題は、(功罪の)両面的な価値があるので、簡単に判断することはできない。とりあえずは、重要な論点があることを、本項で指摘しておこう。
 


 [ 付記 ]
 別途、「ワクチンで助かる」という手もある。
 とはいえ、そのためには、冬の前に「国民全員にワクチン接種」ということが実現している必要がある。それはちょっと物理的に難しそうだ。
 現時点では、仮にワクチン開発がうまく行ったとしても、数千万人分ぐらいができるだけで、高齢者が優先接種されることになりそうだ。中年以下の健康な人にまでは、なかなか回ってこないだろう。
 
posted by 管理人 at 21:17| Comment(5) |  インフルエンザ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
夏の間に感染ておいたほうがいいという戦略は、そのままでは危険な博打だと思いますが、高齢者や基礎疾患がある人を保護するという政策を組み合わせることで、うまくいき行く可能性があるのじゃないでしょうか。
スウェーデンやイタリアでの死者は、主に高齢者施設で発生しています。そういう方面でのケアを徹底することで、死亡者数を減らしてきたという側面があります。
日本でも、高齢者施設やその従業員に対するサポート、高齢者が同居している世帯への注意喚起、高齢者や基礎疾患のある人の一般人からの分離などをもっと徹底することであまり経済活動を制限せずとも死者数は抑えることができるでしょう
Posted by 田好 at 2020年08月06日 11:10
 数か月以内に失われると報告されているのは、免疫ではなくて、抗体です。抗体の量はどんどん減っていく。

 免疫の存続については、両論があります。ただしインフルエンザの場合は、こうです。
 「いったん感染した得た免疫は、その冬の間は持続するが、翌年までは続かないので、翌年にはまた感染するのが普通だ。
 しかしながら、初回に感染したあとでは、翌年以後では症状が軽くなる。感染したときの症状を軽くする(& 感染しにくくする)という程度の、弱い免疫ならばある」

 つまり、「二度と感染しない」というような強い免疫は得られないのですが、「感染しにくい」という程度の弱い免疫ならばある。たいていのインフルエンザがそうだし、スペイン風邪もそうだった。

 コロナの場合も、それと同様であることが見込まれます。
Posted by 管理人 at 2020年08月06日 12:06
 免疫は器質的な能力のことで、抗体は生理物質のことです。両者は全然別のことです。
Posted by 管理人 at 2020年08月06日 12:55
夏の感染は熱中症と重なるから大変なんですよ
熱のでた救急患者に防護服で対応しないといけないから
Posted by 老人 at 2020年08月07日 04:11
集団免疫が・・・という話をするだけで、愚かな行動をとろうとする人が出てくる。

【注意喚起】#クラスターフェス 8月9日20時渋谷駅ノーマスクで山手線ジャック約100人 #山手線

https://matome.naver.jp/odai/2159695049234374301
Posted by 反財務省 at 2020年08月09日 17:10
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