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先に、次の項目を書いた。
→ 第一波と第二波の致死率: Open ブログ
コロナの第一波と第二波では、致死率が異なる。第一波では 5.6%だが、第二波では 0.86% と激減する。
この最後の方では、原因の推定をした。第二波で致死率が激減した主因を「アビガンのせいだろう」と見なした。
一方で、副因としては、「年齢構成が『若者が多い』というふうになった効果もある」と述べた。
では、それはどの程度の寄与度か? それはただの副因と見なせるか? ひょっとして、こちらが主因ではないか? この問題について考えよう。
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第二波で「年齢構成が『若者が多い』というふうになった」という効果は、もちろんある。以前の第一波では、発症者だけが陽性者とされたが、最近の第二波では、やたらと検査を増やして無症状感染者がカウントされるようになった。……このことで、感染者に対する死亡者の比率が下がるようになった。
これについて知るには、ドイツと比較するといい。ドイツでは、日本よりももっと検査を増やしている。ほぼ全国民が対象と言えるぐらい、やたらと検査をしている。その場合には、日本よりももっと、死亡率が低下しているか?
調べてみると、こうだ。7月前半のころは、新規感染者数が 400人程度で、新規死亡者が6人ぐらいだ。(1日あたり)。……つまり、致死率は 1.5%程度だ。その後、7月後半に入ると、感染者数はさらに増える一方で、死亡者は減ってきており、致死率は1%弱にまで下がっている。(いずれも7日間平均のグラフを見る。)
→ Germany Coronavirus - Worldometer
一方、日本はどうかというと、新規感染者数は安定しておらず、最近では指数関数的に急増している。

7月上旬では 200人程度だったが、その後は日ごとにどんどん増えて、ここ数日では 1000人を越えて 1500人程度にまでなっている。その一方で、死者数は1人程度であるにすぎない。最近ではいくらか増えたとはいえ、3人程度であるにすぎない。(いずれも7日間平均のグラフを見る。)
→ Japan Coronavirus - Worldometer
致死率がどのくらいであるかは、ちょっと計算しづらい。感染から死亡まで、2〜3週間の時間がかかるので、タイムラグがあるからだ。7月上旬の感染者数である 200〜300人を分母に取ると、致死率は1%程度となる。7月中旬の感染者数である 500人を分母に取ると、致死率は 0.5%程度となる。(いずれも7日間平均のグラフを見る。)
ただし以上は、「やたらと検査をしている」というわけではない田舎の県が大部分である。
一方、「やたらと検査をしている」という東京都に限ると、こうだ。新規感染者は7月上旬では 100人程度だったが、その後はどんどん増えて、200人を経て、ここ数日では 300〜400人程度にまでなっている。その一方で、重症者数は7月上旬には 10人以下だったのが、7月後半以後は 20人程度で安定している。
死者数については、なぜか統計グラフがない。現在の死者数は 333人だと記されているだけだ。
→ 都内の最新感染動向 | 東京都
そこで過去記事を漁ると、6月20日の時点で 320人だとわかる。
→ 東京都で新たに39人の感染確認 :朝日新聞
8月4日までの 45日間で、13人増えたので、1日あたりの死者数は 0.3人だ。新規感染者数は(上記のように) 200人を中心とした 100〜400人ぐらいだ。致死率は 0.1〜0.2% ぐらいと見なせる。
以上をまとめると、こう言える。
やたらと検査をしている東京都では、致死率は 0.1〜0.2% ぐらい。
ろくに検査をしていない田舎を含む全国では、致死率は 0.5%程度。
一方、大量に検査をしているドイツでは、致死率は 1.5%程度だったが、最近では1%弱まで下がっている。
以上から、こう推論できる。
検査を増やして無症状者まで大量に検出することで、致死率を1%程度まで下げることができる。(ドイツ)
その上でさらにアビガンを併用している東京都では、致死率は 0.1〜0.2% ぐらいにまで下がっている。
その両者の差が、アビガンの効果だ。
※ 東京都は、ドイツほど大量に検査をしているわけではないので、検査によるだけでは、致死率を 1.5%程度まで引き下げることはできない。せいぜい 2%にまで下げる程度だろう。とすれば、2%と 0.1〜0.2% との差が、アビガンの効果だと言える。(致死率を5分の1以下に引き下げる効果がある。)
※ なお、ドイツほど大量に検査をしているわけではない他国では、致死率は2〜4%程度である。
※ 日本の場合は、高齢者が多いので、何もしない場合には、致死率が5%ぐらいになるだろう。実際、第一波の急増期には、その数値になっていた。
※ 日本でも、大量の検査をしていない田舎では、致死率は高めとなる。全国の分から東京都の分を差し引いた数字で計算すると、致死率はおおよそ1%弱ぐらいになりそうだ。(東京都は 0.1〜0.2%で、全国では 0.5%ぐらいだから、東京都と大阪府の分を除くと、他の地方ではおおよそ1%弱ぐらいになりそうだ。)
※ ただ、現在では感染者数が急増している状況だから、数字は安定していない。この先、数字が変動する可能性もある。
致死率が激減するほどアビガンは処方されているのでしょうか。
・ 無症状者や超軽症者には、投与なし。
・ 症状が少し重くなると、医者がとりあえず呈示。
・ 患者は、自分の意思で、アビガンを選択可能。
・ 患者は、当初は「不要」と言う人も多いが、中等症になりかけると、苦しさに耐えきれず、アビガンを選択する人が多い。
・ アビガンを服用すると、数時間後に症状が緩和されるので、そのまま服用し続ける人が多い。
という感じのようです。もちろん、例外はあります。
現場の感染症医は、「自分ならば必ずアビガンを飲む」という態度の人がほとんどなので、「患者が死んでも俺の知ったことじゃない」と思う医者以外は、アビガンを(軽く)お勧めすることが多いようです。
ただし、強くお勧めすることはないでしょう。(責任問題になると、まずいので。)
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高熱を出して非常に苦しくなると、「アビガンで症状が緩和されそうです」と言われたら、たいていの人はアビガンを服用するでしょう。(よほどの被虐気質の人でなければ。)
「どうしてもアビガンはイヤだ」というのは、妊娠中の人だけでしょうが、妊娠中の若者がコロナに感染するということは、ほとんどありません。無視していい。
ゆえに、症状が重くなりかけた人は、ほとんどがアビガンを服用していると考えられます。
だから藤田医大でも、対比試験では、アビガンの「あり/なし」では比較せず、「全員にアビガンあり」という前提で(初期だけを)比較しました。アビガンなし(プラセボ)を与えられた患者が死ぬのは非人道的だから、という理由です。
一方、例外的ですが、「プラセボを与えて対比試験をせよ」と言っている医者もいます。つまり、「アビガンなし(プラセボ)を与えられた患者が死ぬのも差し支えない。治験の正確さを得るためには、患者がモルモットになって死ぬのはやむを得ない」という立場です。学術研究のためには患者の命など知ったことではない、というわけ。忽那賢志医師が代表です。
→ http://openblog.seesaa.net/article/474778460.html
NATROM 医師も、同様の意見のようです。
※ アビガンがもともとない外国の場合には、この件は当てはまりません。