2020年08月03日

◆ コロナで死ぬのは寿命か?

 コロナで死ぬのは超高齢者なので、天命たる寿命で死ぬのも同然だ、という見解がある。それは妥当か?

 ──

 はてなブックマークで話題になっていた記事だが、それは直感的に「おかしいぞ」と感じられるはずだ。

 念のためにタイトルを見ると、こうだ。
  → コロナで死ぬ人の平均年齢は88歳→「ほぼ寿命で死ぬレベル」 メディアや野党への批判意見が続出 - Togetter

 88歳という数字がいかにも高すぎる。念のために記事本文を見ると、こうある。
 東京都が6月までの死亡者データを公表 死亡者の平均年齢は男性が 77.1歳、女性が 82.9歳〜ネットの反応「ほぼ寿命と同じでワロタ」

 77.1歳、82.9歳という数字だ。88歳なんていう数字はどこにもない。勝手に数字を捏造しているレベルだ。ひどいものだ。

 ──

 それでも、数字の差はともかく、「超高齢者では死亡率が高い」という指摘もある。そのこと自体は、嘘ではない。


 しかし、これをもって、「死ぬのは 80歳以上の高齢者ばかりだ」という主張は、妥当ではない。

 なるほど、最近に限ってなら、アビガンが使われているので、死ぬのは 80歳以上の高齢者がほとんどだ。しかし、以前は違う。
 4月半ばのデータでは、こうある。


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  出典:読売新聞


 グラフからわかるように、 70歳代以下の層が過半数を占めている。つまり、80歳以上は半分以下だ。だから、「死者は 80歳以上の超高齢者ばかりだ」というような説は、成立しないのである。

 ──

 なお、このことは、日本に限ったことではない。
 諸外国でも、ほぼ同様のデータとなっている。
  → Google 検索 一覧

 たとえば、イタリアがそうだ。
  → Increasing cases of Covid-19 forces Italy into lockdown
 
 もちろん、他国も同様である。初期の中国の武漢のころから、年齢別の致死率の割合はどの国でもほぼ同様である。
( ※ これはそれぞれの国の年齢構成比に依存しない数値だ。超高齢者が多かろうと少なかろうと、その年齢での致死率は同程度だ。)

 というわけで、「コロナで死ぬのは超高齢者ばかりだ」というような冒頭の説は、まったく成立しない。
 確かに、高齢者ほど致死率は高くなるのだが、80歳以上の人口に比べて、80歳未満の人口の方が、ずっと多いので、死者の数で見る限りは、80歳未満の死者の方が多くなっているのだ。

 当然ながら、「死ぬのは寿命に近い超高齢者ばかり」というようなことは成立しない。

( ※ 最初の問題への回答は、これで終わり。以後は、別の話題。)




 ついでだが、冒頭のツイートで紹介されていた記事の内容はどうなのか? 「男性が 77.1歳、女性が 82.9歳」という記事の内容はどうなのか? 
 東京都は、6月末までの新型コロナウイルスの感染者計 6225人のデータを分析した結果、死亡率は5.2%だったと発表した。高齢者ほどリスクが高い傾向がみられ、70代では17.0%、80代で30.2%、90代では33.9%だった。
 平均年齢は女性が 82.9歳、男性が 77.1歳。
 年代別の死亡率は40代まではいずれも1%未満。50代が1.8%、60代で5.5%だった。
 ただ、都内では7月に感染者が急増し、1カ月間で総数が約2倍の1万2691人に上った一方で死者は7人にとどまり、7月のデータを加味すると全体の死亡率は半分程度下がるとみられる。
( → 東京、コロナ死亡率は 5.2% 80代で3割 - 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)

 この話の意味について考えよう。

 ここでは、高齢者の死亡率が圧倒的に高いように見える。だが実は、その死者の多くは、第一波の死者だ。
 第二波については、「1カ月間で総数が約2倍の1万2691人に上った一方で死者は7人にとどまり」とある。つまり、ほとんど誰も死んでいないのである! (寿命が来たせいで死ぬ人ぐらいだ。)

 要するに、第一波では(超高齢者以外でも)多数の死者が出たのだが、第二波では(超高齢者も・中高年も・若者も)ほとんど誰も死んでいないのだ。

 では、その意味は? 「コロナなんか怖くない。インフルエンザと同様で、恐るるに足らず」ということか? 違う。「6月以前と以後では、状況がまったく異なる」ということだ。
 そして、そのことは、日本だけで成立する。日本以外では、コロナの致死率は相も変わらず高いのだ。この件は、前述したとおり。
 感染者数をうまく減らした国では、死者も減っているが、致死率はあまり下がっていない。2%程度を維持している。(※)
 日本だけは例外で、感染者が増えた割には、重症者も死者も極端に少ない。その理由はアビガンだろう。

 (※) たとえば世界で最優秀レベルの医療があるドイツでも、1日の新規感染者が 700人ぐらいで、1日の死者が7人ぐらいだから、致死率は1%程度だ。(これは日本よりもずっと多い。ドイツの方が高齢化の程度は低いのに。)
( → コロナの致死率の低下 2: Open ブログ

 たとえば、米国を見よう。米国では、ここのところ感染が急拡大して、新規感染者は1日あたり 2.5万人から 7万人ぐらいまで増えた。その一方、死者数は 1千人から 1.5千人へと増加中である。(およそ2〜3週間遅れで、新規感染者数の増加をなぞっている。)
 2.5万人に対して1千人が死ぬのであれば、致死率は
  1千人/2.5万人 = 4%

 となる。これは、高めの数字ではあるが、(※)で述べた「2%」という数字と大きく隔たっていない。
( 2% の前後で、高めの米国や、低めのドイツなどがある。おおむね 1%〜4% の範囲に収まる。)

 一方、東京都は、最近では「感染者は1万2691人で、死者は7人」であるから、
   7人/1万2691人= 0.00055 ( 0.055% )

 となって、4%という数値に対して、2桁も少ない。圧倒的に少ない数値である。
 つまり、海外と比べて、圧倒的な差があるのだ。そして、これは、「日本だけの特別な状況」なのではない! 「日本の第二波だけの特別な状況」なのだ。(つまり、第一波では、日本も海外と同様だったのだ。)

 このような違いをもたらしたものは、アビガン以外には考えられないだろう。
( ※ 他の要因もいくらかは影響しているだろうが、圧倒的な差をもたらした主因は、アビガンだろう。)

 結局、第一波については、「死ぬのは超高齢者が多い」とは言えるが、第二波については、「誰も死なない」ので、「死ぬのは超高齢者が多い」とは言えないわけだ。



 [ 付記1 ]
 「日本以外の国でも、第二波では致死率が大幅に低下している」
 という異論がある。これについては、別項のコメント欄で質問が来た。
 日本に限らず、ヨーロッパでも、スペイン、スイス、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグなどでも第2波に襲われていますが、死亡者は増えていません。
( →  第一波と第二波の致死率: Open ブログ

 この件については、各国の統計データ( Worldometerの各国版)を見た上で、次のように答えよう。

 (1)
 統計データを見ればわかるが、それらの国(スペイン、スイス、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグなど)で第二波が起こったのは、7月後半からだ。つまり、ごく最近になってかるだ。
 とすると、現在(8月2日)の時点では、死者が出る時期(2〜3週間)には、まだ達していない。
 今のところは、重症者が増えている時期であって、死者が増える時期にはなっていない。だから、死者はまだ増えていない。それだけのことだ。
 今後、もう少し時間がたつと、重症から重篤や死亡になる人が増えるだろう。そう見込まれる。
 なお、ルクセンブルグでは、7月初めから増えかけていたので、今は死亡者がいくらか増えかけている。

 (2)
 「それらの国では、第二波では死亡者は増えていない」というのが質問者の見解だ。だが、それは誤解だ。以前ほどの急増ではないが、いずれの国でも死亡者はかなり増えている。
 ただし、それらの国では、(第一波の大感染のせいで)日本に比べて死亡率が大幅に高い。もともと死亡者が多すぎる。だから、グラフの目盛りが 100人、1000人というような、大きな目盛りになっている。そういう目盛りで見ると、現在の死者数はゼロ寸前であるように見える。だが、死者の実数を数字で見ると、それらの国の死者数は、日本の死者数を大幅に上回っている。(人口比で。)
 たとえば、スペインを見ると、実数では2カ月間で 310人が死んでいる。グラフで見ると、死者数の増加はゼロ同然に少ないと見えるが、実数ではそれほど多いのだ。
 一方、日本はどうかというと、グラフの目盛りが細かいので、大幅に死者が増えているように見えるが、実数では2カ月間で 110人が死んでいるだけだ。人口でも高齢化でも、日本の方が圧倒的に不利なのに、スペインの3分の1しか死んでいないのだ。(グラフでは急増に見えるが。)

 グラフでなくすうちで考えると、「死にやすさ」の危険度では、スペインは日本の 15倍ぐらい高い。(理由は下記 ※ )

 ※ 単純な死亡者数でも、スペインは日本の3倍弱だ。人口は 2.5倍の差があるので、人口比で 2.5倍となる。双方あわせて7倍の差が付く。
 ※ さらに高齢化の分で2倍ぐらいがある。スペインと日本の人口ピラミッドを比べると、日本の方が超高齢者が2倍ぐらいいて、日本の方が不利だからだ。
   → スペインの人口ピラミッド
   → 日本の人口ピラミッド
 ※ 7倍と2倍を掛け算して、14倍。つまり、15倍ほどになる。スペインは 日本よりも 15倍ぐらい危険だ(死にやすい)と言えるわけだ。

 ──

 ともあれ、スペインと日本では、15倍の差がある。こんなにも大きな差が付く理由は、アビガン以外には考えられるないだろう。
 仮に、スペインと同じ状況を日本に持ち込めば、日本では死者数は現在の 15倍ぐらいになっていただろう。つまり、1日 45人ぐらいになるわけだ。アビガンなしなら、これくらいの死者が出ても当然だろう。
 
 [ 付記2 ]
 「グラフの目盛りによって認識を間違う」
 ということは、次の例からもわかる。
  → イギリス人の友人とコロナの話題になり「ニュースで見てるけど、日本終わってるね」と言われた - Togetter

 グラフを見たら、日本はとんでもない指数的増加だが、イギリスはどんどん減少しつつある。「イギリスは安定したが、日本はもう終わっているね」という感想が出たそうだ。

 しかしこれは、グラフの目盛りの違いがあるからにすぎない。グラフを見よう。
  → https://www.worldometers.info/coronavirus/country/japan/
  → https://www.worldometers.info/coronavirus/country/UK/

 これを比較して、次のようにわかる。
  ・ 日本は急増したとはいえ、感染者数は1日最大 1500人程度。
  ・ イギリスは減少したとはいえ、感染者数は1日 800人程度。


 人口は日本が倍だから、両者の数値は(人口比では)ほぼ同じである。ただし、グラフの目盛りが違うので、日本は急増して大きな数字になったように見える一方、イギリスは急減して小さな数字になったように見える。グラフの目盛りの違いで、感じ方に差が出るだけだ。

 死者数も同様である。
  ・ 日本は急増したとはいえ、死者数は1日最大 3人程度。
  ・ イギリスは減少したとはいえ、死者数は1日 60人程度。


 人口は日本が倍であるのに、死者数は 20分の1だ。人口比では 40倍もの差がある。ただし、グラフの目盛りが違うので、イギリスは急減して小さな数字になったように見える。グラフの目盛りの違いで、感じ方に差が出るだけだ。

 結局、グラフの増減ばかりを見て、グラフの目盛りを見ないと、上記のイギリス人のように、大きな勘違いをしてしまうわけだ。
 
posted by 管理人 at 21:04| Comment(11) |  インフルエンザ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アビガンにこだわる理由がわかりませんが、最近死ななくなったのは認可されてどこでも何時でも使えるようになったレムデシビルのおかげもしれませんよ。
日本人に特異的に効いてるとかで。もしくはこれまた認可されたステロイドの薬とか。

Posted by しかし at 2020年08月03日 23:40
 副作用のないアビガンと、副作用のいっぱいあるレムデシビルを比べて、後者を選ぶ人はあまりいないでしょう。
 
 というか、そもそもレムデシビルは軽症者用には承認されていません。未認可の薬剤を使うことは不可能です。

 ステロイド剤を軽症者に使うと、かえって症状が悪化する危険があります。まともな医者が使うはずがない。

 レムデシビルもステロイド剤も、重症者専用です。
 重症化してから治療するより、重症化しないように治療するのが、本筋です。

> 日本人に特異的に効いてる

 そんな薬、あるわけないでしょ。自分の言っていることがわかっているんだろうか? 細波さんのバカっぷりを真似しなくてもいいですよ。
Posted by 管理人 at 2020年08月04日 00:05
5月4日の首相会見では、アビガン投与患者数が約3000人と語った。
会見以後、アビガン投与患者数の報道が無くなりました。厚労省のHPにも見つけられませんでした。どこかにアビガン投与患者数の数字ありますか?

Posted by 塚本水樹 at 2020年08月04日 06:42
致死率下がった理由なんで、重症者に効けばそれでいいんでないですかね。

あと、日本人によく効く、というかアジア人によく効く薬で有名なのがイレッサです。人種によって効き方、副作用が違うなんてなんぼでもある話なんで、国別に承認制度があるんですが。少しは勉強してみたらいかがですか。
Posted by しかし at 2020年08月04日 12:20
 イレッサは分子標的治療薬というもので、特定の遺伝子型を持つ人にだけ有効です。その遺伝子型は、日本人やアジア人には多い(30%)、というだけであって、他の人種でも皆無というわけではありません。遺伝子型の分布がそうなっているというだけの話。

 これは、「日本人に特異的に効いてる」というのとは、まったく別のことです。

 そもそもアビガンは(人間の組織を作用対象とする)分子標的治療薬ではなくて、ウイルス組織の一部を阻害するものです。そんなものに人種差が特異的に出てくるはずがない、という話。
   
 調べるときは、ちゃんと調べましょう。知ったかぶりはダメです。

 ※ 副作用の話はまた別のことです。たぶん混同しているのだろうと思ったら、やっぱりそうだ。

Posted by 管理人 at 2020年08月04日 12:46
今大阪の吉村知事がうがい薬「ポビドンヨード」が
効果期待の薬だと会見しておりました。どう思われますか?
Posted by 吉岡 at 2020年08月04日 14:43
> ポビドンヨード

 これはトリック。
 「感染者がうがいをしたら、陽性率が低下した」
 とのことだが、うがいだけで、全身のウイルスが消えるわけがない。

 真相はこうだろう。
 「うがいをしたら、ウイルスを採取する場所(検体の場所)が消毒されたので、検体だけはウイルスが消失した」
 
 全身のウイルスはいっぱい残っているのだが、喉と鼻腔の組織だけはウイルスが大幅に消失した、というわけ。
 だから鼻腔を調べる PCR 検査では陽性率が激減する。一方、唾液で調べれば、元の陽性率に戻る。
Posted by 管理人 at 2020年08月04日 16:30
自分の田舎の葬儀屋さんの話しで、
三月頃に肺炎で運ばれる遺体が多いけど、
新型か不安だという話が挙がってました。
おりしもオリンピック忖度で検査制限の頃

統計屋の人が実際の日本の新型起因の死亡者を
まあまあな数で試算してますので、
外国との左は数倍程度かと診てます。

あと今の感染は、通勤の密絡みとも診てます。

どうすべきでしょうか。
マスクしてればいい。はマヤカシですよ。
そもそも感染研の人がマスク論展開して、
無駄な布マスク配って郵便局へ貢いだり、
そろそろ、
政権へ弾劾通告するのがマスコミの仕事だろう
と思いますが。忖度ですかねぇ。
Posted by メルカッツ at 2020年08月04日 21:16
 通勤で感染が起こるなら、第一波は収束しなかったはずです。

 逆に言えば、第一波が収束したことから、通勤は感染源ではなかったとわかります。

 飛沫を飛ばし合いながら食事をする(& 手指で触れる)のが原因。これを止めるのが対策。つまり、マスク義務化と会食制限。……私が何度も言っているとおり。
Posted by 管理人 at 2020年08月04日 22:36
 通勤ラッシュ時の乗車率の減少幅は、すでに判明している。

> 4月13日から4月16日にかけては、6時30分〜7時30分が40%程度減

 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2004/25/news008.html

 つまり、満員時の 6割は乗車していた。たぶん吊り革がちょうどふさがっているぐらい。定員の 100% ぐらい。
 
Posted by 管理人 at 2020年08月04日 23:35
> すし詰め状態だったのが解消される

 それだって、吊り革がすべて埋まるなら、すごい「密」ですよ。映画館の満席に比べれば、4倍ぐらいの「密」だ。それほどの「密」であっても、第一波を収束させた。
 つまり、満員電車の「密」なんて、ちっとも問題ない。

> 首都圏主要駅の利用者は8割程度減っています。

 それは駅前繁華街の人混みの話。そんなものがいくら減ったとしても、満員電車内の感染とは関係ない。
Posted by 管理人 at 2020年08月05日 14:49
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