2020年07月26日

◆ 池田信夫と忽那賢志の認識ミス

 コロナについて、池田信夫と忽那賢志が論じているが、それぞれ誤認がある。二人分、まとめて論じよう。

 ──

 池田信夫


 池田信夫は、「新型コロナは風邪(インフルエンザ)並みの軽い病気だ」と主張する。つまり、コロナを軽んじているわけだ。
 《 新型コロナ「第2波」を恐れる必要はない 》
 大部分は症状が出ない。
 この程度を基準にすると、これからもたくさん陽性が出てくるだろう。そのほとんどは風邪を引いてなおるだけなので、行政が介入する必要はない。問題はコロナで死亡する人がどれだけ増えるかだ。
 これは世界各国の死者を比較したものだが、EUもアメリカもピーク時には毎日2000人以上が死亡していたのに対して、日本は最大でも20人台と1/100である。人口比でも欧米に比べて2桁少ない。
( →  「陽性者数」に一喜一憂するのはやめよう

 この手の見解について、忽那賢志が批判している。
  → 新型コロナが弱毒化しているという根拠はない(忽那賢志)

 そこで述べていることは、おおむね妥当だが、それとは別の観点から、私なりに批判しておこう。
 池田信夫の見解はいくつかの点で間違っている。
  ・ 軽症者が多い、という点だけは正しい。
  ・ 致死的な重篤者が多いのは、風邪とはまったく違う。
   (コロナは軽症と重症がともに生じる病気だ。)
  ・ 世界的に、致死率はとても高い。死者数も多数。
  ・ 日本でも、致死率はインフルエンザよりも高い。
  ・ 夏でこれだから、冬にはさらに大幅な死者が出る。
  ・ 死ななくても、重い後遺症が残ることが多い。


 致死率の高い危険な病気だということは、前に示した。
   → 各国の致死率(コロナ): Open ブログ

 重い後遺症についても示した。
  → コロナの後遺症(リンク): Open ブログ
 
 さらに、次のことがある。
 日本で死亡者が少ないのは、5月からアビガンが使えるからだ。アビガンを使えなかった4月中には、死亡率も高かった。アビガンの使用がいくらか制限されたままでは、患者が増えると死者が多数になりかねない。(アビガン未使用で。)

 日本でコロナが比較的弱い被害をもたらすだけなのは、コロナが弱い感染症だからではない。日本にはアビガンがあるからだ。そのことを理解しないと、世界中でコロナが猛威を振るっているという事実を理解できなくなる。
 東京都の重症患者18人に対して、確保された重症者用ベッドは100床。入院患者は916人だが、確保された病床は2800床と、いずれも余裕がある。陽性者数が急増すると過渡的には医療スタッフの手当が大変だが、医療崩壊の心配はない。

 これも認識が甘い。今は大丈夫だからと入って、冬の流行期にも大丈夫だという保証はまったくない。それでいて、対策を軽んじている。
 インフルエンザと同じように一般の病院でも対応できる病気にすればいい。
 過剰な自粛もやめるべきだ。いま問題になっているGo Toキャンペーンより、移動制限を解除することが最大の経済対策である。

 池田信夫は、コロナというものをまったく見くびっている。こんなに敵を見くびると、あとで大損害をこうむりかねない。池田信夫に最もよく似ているのは、第二次大戦前の日本軍だ。米国を見くびったあげく、日本を壊滅させる結果になった。まったく、そっくりだね。

 忽那賢志は、自分の記事でこう皮肉っている。
 ビジネスの専門家が小学生の自由研究のような「ぼくのかんがえた、さいきょうのコロナりろん」を思いつきで述べることは誰にも止められません。
 しかし、こういう根拠薄弱な理論を視聴率目当てにメディアが取り上げてもてはやすのは害でしかありません。


 忽那賢志


 忽那賢志は、池田信夫ふうの楽観論を戒めながら、自分の見解を示している。これは、池田信夫ほど「まったくの見当違い」ということはないのだが、難点がある。
 第1波のときとの大きな違いがあります。それは現在は新型コロナの治療法がある程度確立してきているからです。
 例えば、第1波のピークが過ぎた5月7日に国内ではレムデシビルという抗ウイルス薬が使用可能となりました。
 これはランダム化比較試験というエビデンスレベルの高い臨床研究で効果が証明された治療薬です。
 また、これに加えて、デキサメサゾンというステロイド薬も生存率を改善させることが分かりました。
 新型コロナで起こる凝固異常についての理解も進み、抗凝固薬も使用されるようになってきました。
 こうした治療の進歩によって重症化する患者が減っている可能性は十分にあるでしょう。
 実際に診療をしていて、これまでは人工呼吸管理になっていたようなハイリスク患者が、早期に治療を開始することで人工呼吸管理を回避できるようになってきたという実感があります。
( → 新型コロナが弱毒化しているという根拠はない(忽那賢志)

    【 注 】「デキサメサゾン」は、「デキサメタゾン」のこと。


 ここには、見逃せない誤認がいくつかある。
 素人ならば小さな誤認があっても見逃されるが、感染症の専門家となるとそうも行かない。難点をきちんと指摘しておく必要がある。
 全体として、「治療の成果が出ている」という趣旨は正しい。だが、そうなることの理由を誤認しているのだ。

 レムデシビル、デキサメタゾン、抗凝固薬(フサン)という名称を出している。だが、これらはいずれも、軽症者には使われず、重症者に使われるだけだ。つまり、重症化したに使われるだけだ。なのに、これらによって「重症化する患者が減っている」と見なす。つまり、重症化のに使っていると見なす。これはひどい誤認だ。
 重症化した後か前か、という点で、逆に理解しているわけだ。
 これでは、(薬剤の)専門知識がゼロだと言われても仕方ないね。この人は新型コロナの治療をしていないのだ、と推定される。少なくとも自分でアビガンやレムデシビルを処方したことはないのだ、と推定される。(薬の使い方も知らないのだから、呆れるほかない。こんなヤブ医者から治療を受けたら、コロナの患者は大変だ。)
  ※ 普通の医者は、次のように考える。
     → レムデシビル、使用決めかねる医師が過半数

 特に重要なのは、(忽那医師が)アビガンの効能を理解していない、ということだ。上記の「治療の成果が出ている」ということは、その理由がアビガンであるのだが、そのことを理解できていない。アビガンのアの字も出ていない。アビガンの早期投与こそが(統計的に)大きな役割を果たしただが、それをまったく理解できていない。ひどいものだ。(忽那医師から治療を受けたコロナの患者は、アビガンを投与してもらえずに、死んでしまう可能性がある。)
 彼がこういう誤認をしていることは、別のことからも窺われる。アビガンについては、ランダム化比較試験が海外でなされているのだが、そのことも理解できていないようだ。(上の記述からわかる。)

 ──

 なお、忽那賢志の記事で、別のことについても言及しておこう。
 上記の記事では、「感染者数の増加が死者数の増加に、すぐに結びつくわけではない」と述べて、フロリダの例を示している。
 なるほど、フロリダの例では、確かに1カ月ぐらいのタイムラグがある。その意味では、忽那賢志の見解は正しい。

 しかしそれを日本に当てはめると、たちまちボロが出る。日本では、感染者の増加は5月下旬から起こっているのだが、死者数の増加は、2カ月たっても起こっていないのだ。最近でも1日1〜2人ぐらいのレベルである。下記グラフでわかる。(日々の死者数)
  → Japan Coronavirus: - Worldometer

 つまり、1カ月のタイムラグがあるのではなく、感染者数の増加が、死者数の増加には結びついていない。感染者数は増加しても、なぜか死者数は増加していないのだ。(そもそも重症者の増加が、日本では非常に小規模であり、海外とは雲泥の差だ。)

 なお、こうなったのは、アビガンの早期投与のおかげだと考えるべきだろう。なのに忽那賢志は、アビガンの効果については言及していない。

 ※ 致死率については、統計的にも示せる。以下の通り。
     致死率 =(993-968)/(18110-16623)=0.0168
   つまり、1.68% である。

   その根拠となる参考データ:
    5月26日 感染者数 16623 死者数 
    6月25日 感染者数 18110 死者数 968
    7月25日 感染者数       死者数 993
     → Japan Coronavirus: - Worldometer

 ※ 1カ月遅れるという前提でデータを取ったが、実際には、感染から死亡までは10日〜20日の遅れとなることが多い。
    → コロナ死亡の記事の難点: Open ブログ
    → コロナ治療法「申し訳ないぐらい少ない」 急な重篤化も:朝日新聞
   このことからすると、数字を取る時期が接近するので、実際の数値は、1.68% よりもかなり低い数値( 1.2 〜 1.4%ぐらい)になりそうだ。



 [ 付記 ]
 二人をまとめて言うと、こうだ。
 池田信夫は、コロナという病気そのものを「軽い病気だ」と誤認している。(見くびっている。)
 忽那賢志は、「日本ではコロナの被害が軽く済んでいる」という現実を理解できずにいる。
 その二人とも、「コロナの被害を軽くしているのはアビガンのおかげだ」ということを認識できずにいる。(池田信夫は、日本ではウイルスが弱いからだと誤認する。忽那賢志は、軽症者には使われていないレムデシビルとデキサメタゾンが、軽症者に有効だったと勘違いしている。)
 


  【 関連サイト 】
 レムデシビルは、(アビガンと違って)副作用がある。だから、副作用との兼ね合いを考えて、命の危機にある重症者だけが使用対象となる。重症者以外への使用は承認されていない(使用禁止)。
 一方で、次の記事がある。

  → ギリアドのレムデシビル、人工呼吸器まで必要としない患者に主に効果

 レムデシビルは、重症者よりも軽症者に有効だ、ということが、この記事でわかる。どうせ処方するなら、重症化する前に処方するべきなのだ。
 しかし、重症化する前なら、副作用のないアビガンの方がいい。(レムデシビルはコストもべらぼうに高い。)
 というわけで、レムデシビルの出番は、あまりない。出番があるとしたら、アビガンを入手できない国だけだろう。



 【 追記 】
 用語の表記を間違えていたので、訂正しました。
  × デキサメサゾン   ◯ デキサメタゾン


 表記を間違えたのは、原文からコピペしたせい。つまり、原文を書いた忽那賢志のせい。忽那賢志は、処方するべき薬剤の名前をちゃんと書くことができないのだ。

 ※ ただし原語では Dexamethasone なので、和訳の際の表記の揺れと見なすこともできなくもない。
 
posted by 管理人 at 22:14| Comment(7) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2020年07月27日 08:18
Posted by Dex at 2020年07月27日 08:28
東京都では陽性がでても行きどころのない人たちが1000人近くいるらしい
隔離できていないのだ
Posted by 老人 at 2020年07月27日 09:12
> 1000人

 その話は下記で言及済み。

  http://openblog.seesaa.net/article/476507119.html
Posted by 管理人 at 2020年07月27日 10:03
池田信夫は相変わらずですね。
動画を見ると数年前から不自然な咳をしているので、
肺、気管支が弱っている(初期の肺気腫?)いると思います。
その場合、年齢的にもコロナに罹患したら致命傷になりかねないのに。
Posted by じん at 2020年07月27日 10:15
文春に記載されていた大隅教授のBCG説、ワルファリン感受性についてはどのようにお考えですか?
https://news.yahoo.co.jp/articles/26eb3f7720baa84ba08e3786859ed9f79de35c80?page=1

Posted by 中澤 at 2020年07月28日 12:24
 「東アジアでは感染者が少ない」
 という前提そのものが誤り。初期に中国や韓国で大感染が起こった。
 それが止まったのは、ロックダウンとマスク普及の両方をやったから。
 韓国では双方をやめたら、また感染がいくらか増えた。
 日本はもっとひどくで、大拡大の最中だ。日本は今では欧米と同程度で、しかも、感染の拡大の度合いはもっと上だ。(指数的増加)
 日本は感染が少ないという事実は、今ではもう成立しない。重症者と死者は少ないけどね。
Posted by 管理人 at 2020年07月28日 12:39
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