2020年07月24日

◆ アビガンの有効性が証明 3(評価)

 前項の記事は専門的すぎたので、その意味を解説する。

 ──

 前項では、「アビガンが有効だ」と証明するインドの治験について、専門的な記事を紹介した。しかしこれは専門的すぎて、意味がわかりにくいので、本項ではわかりやすく説明する。


 (1) 治験法

 治験の方法は、「非盲検無作為化多施設共同臨床試験」である。「非盲検」なので、二重盲検ではない。しかし「無作為化」がなされているので、特に問題ではないはずだ。
 これはどういうことかというと、コロナの発症の有無にはプラセボ効果は生じないので、プラセボ効果については考慮しなくていい、ということだ。
 体の調子のようなことなら、「病は気から」ということが成立するので、「よく効く薬だ」と思って飲むだけで、砂糖玉でも効果がある……ということもある。しかしながら、ウイルスによってコロナが発症するか否かについては、プラセボ効果などはない。だから、プラセボ効果を排除する二重盲検は必要ないわけだ。

 ※ 仮にプラセボ効果があるとしたら、国民には砂糖玉を飲ませておけば、コロナが治るはずだ。だが、そんなバカなことはありえない。(そんなことを信じるのは、「コロナはホメオパシーで治る」と信じている某N医師ぐらいだろう。)


 (2) ウイルス除去

 ウイルスの除去(クリアランス)にかかる期間は、28.6%の改善が認められた。
 ただしこれは、「統計的に有意」とまでは言えないらしい。
 非投与群に比べて体調が有意に早く正常化しましたが(中央値3日 vs 5日)、肝心な主要転帰であるウイルス除去までの期間は有意差がつきませんでした。
( → 軽〜中等度COVID-19へのアビガンの無作為化試験で主要転帰は有意改善せず

 28.6%の改善が認められたので、効果はありそうなのだが、たぶん標本数(患者数)が少ないので、「統計的に有意」とまでは言えないということらしい。

 では、標本数(患者数)を増やせばいいか? たぶん、そうだろう。そうすれば、「統計的に有意」にはなるだろう。
 だが、それにしても、28.6%という改善の幅は、あまり大きくない。これには「がっかり」という声も出そうだ。

 だが、それは勘違いである。
 アビガンはもともと「ウイルスを除去する」能力をもつ薬ではない。「ウイルスの増殖を止める」能力をもつ薬である。(しかもその能力は、特にインフルエンザに対しては、タミフルやリレンザに比べ、半分以下の能力しかないらしい。)
 では、「ウイルスを除去する」のは、何がやるかといえば、もちろん、「患者自身の免疫力」である。
 つまり、「アビガンがウイルスの力(増殖力)を弱めている間に、体の免疫力がウイルスを殺す」というわけだ。アビガンそのものはウイルスを殺さず、体がウイルスを殺すのを助太刀するわけだ。
 こういうわけであるから、ウイルスを除去する期間が短くならないのは、仕方ないと言える。ウイルスを除去するのは、アビガンではなく、体の免疫力だからだ。
 それでも、体の免疫力が活躍できるように助太刀するという効果は、きちんとあるわけだ。
 ウイルス除去の期間で 28.6%の改善が認められたというのは、物足りないようには見えても、十分に有益性があると見なしていいわけだ。


 (3) 回復効果

 回復効果は、はっきりと認められた。
 治癒までの期間中央値が統計学的に有意に短縮された。
 また、「臨床的治癒」の達成率が40%向上した。4日目までに 69.8%の患者が臨床的治癒を達成したので、対照群の 44.9%と比較して統計学的に有意であったわけだ。これは十分に効果があると見なせる数値だ。(ことさら劇的というほどではないが、人によっては劇的に感じられるほどの効果もあっただろう。)


 (4) 悪化の阻止

 悪化する場合にも、悪化の程度が弱まるという効果が見られた。初めて酸素吸入を行うまでの期間の中央値が5日だったので、対照群の2日よりも長くなっている。放っておけば2日後に中等症になってしまうはずなのに、悪化の度合いが遅いので、5日目まで悪化しないというふうになる。


 (5) 重篤化・死亡

 重篤化や死亡はどうか? 対照群では、重篤化して死亡した例が1件あったそうだが、アビガンを投与した群では、重篤化も死亡もなかったそうだ。
 ただし、1件と0件なので、統計的に有意というほどではない。


 (6) 重症化

 一番大事なのは、重症化を止める比率だ。軽症者が軽症のままならばいいが、軽症者が重症になってしまうことがある。これがコロナでは最大の問題だ。そして、アビガンは、「ウイルスの増殖を防ぐ」ということで、重症化を防ぐ効果があるはずだ。つまり、アビガンの最大の効能は、「軽症者の重症化を防ぐ」ということであるはずだ。
 では、実際にはどうだったか? 軽症者が重症化した比率は、どのくらいだったか? アビガン投与群と非投与群で、その数値の差はどれだけだったか?

 それが一番知りたいことなのだが、どうも、今回の報告では、それが記してないようだ。データは取ってあるはずなのだが、調査項目に入っていないらしいので、報告されていない。残念ですね。
 数週間後には、詳細な報告書が出るらしいから、それに期待したいところだ。

 なお、あらかじめ予想を言っておこう。
 そもそも一般の場合には、「軽症者が8割、中等症が 1.5割、重症・重篤が5%」であるらしい。
 新型コロナは、圧倒的に軽症者が多い。でも、2割ほどは酸素療法が必要になり、5%ほどは集中治療室(ICU)に入る。
( → (新型コロナ)現場から ダイヤモンド・プリンセスの教訓:5 両極端の側面もつ想定外の感染症:朝日新聞

 ( 1.5割と5%の合計が2割)

 とすれば、次のことが予想される。
  ・ 対照群 …… 軽症 8割、中等症 15%、重症・重篤 5%
  ・ 投与群 …… 軽症 9割、中等症 8%、重症・重篤 2%


 このくらいの数字になれば、十分に「有効だ」と言えるだろう。
 ただし、「特効薬だ」と言えるほどの劇的な効果ではない。その意味では、つまらない。

 そこで、もっと期待を込めて、私としては次の数値を期待したい。
  ・ 対照群 …… 軽症 8割、中等症 15%、重症・重篤 5%
  ・ 投与群 …… 軽症 95%、中等症 4%、重症・重篤 1%


 このくらいの効果が出れば、かなり「劇的」と言ってもよさそうな感じになる。
 では、それは、夢物語か? アビガンだけでは、夢物語になるかもしれない。しかし、フサンと組み合わせれば、十分に実現性のある数字だ。いや、上の期待値を上回る効果も見込める。
 実際、東大の実験では、「アビガンとフサンの併用療法」で、重篤者の死者数を劇的に減らしているからだ。
 だから、重症・重篤を5%から1%に引き下げるというのは、決して夢物語ではないのだ。

 ※ ステロイドも併用すれば、もっといい数字になるかもしれない。



 [ 補足1 ]
 コロナでは、軽症の患者と重症の患者とで、別々の症状になる。これが一見、不思議にも思える。たいていのインフルエンザや、コロナ類は、軽症か重症化のどちらかであるからだ。一つの病気で別々の症状になるというのは、ちょっと珍しい感じだ。
  → (新型コロナ)現場から ダイヤモンド・プリンセスの教訓:5 両極端の側面もつ想定外の感染症:朝日新聞

 この件については、前に次のように述べたことがある。
 「新型コロナで重症化するときには、免疫の暴走が起こっている。サイトカインストーム。免疫機構が自分自身を攻撃する」
  → アビガンを早期投与せよ(少量で): Open ブログ の(6)(7)

 この裏付けとなる記事は、下記。
  → コロナ患者、本当にこわい「免疫システムの暴走」
  → 免疫の暴走がおきることも 新型コロナ、重症化の理由|ナショジオ|

 [ 補足2 ]
 免疫の暴走でコロナの患者が重症化するのであれば、重症化を防ぐための薬は、コロナのウイルスに作用するよりは、免疫機構に作用して、免疫機構を正常化すればいい。
 つまり、コロナ患者の重症化を防ぐ薬と、コロナウイルスに作用する薬とは、別の薬であることが必要となる。(それぞれ別々の原理をもつわけだ。)
 だからこそ、ウイルスそのものに作用するアビガンとは別の薬が、重症化を防ぐ薬として併用されるべきなのだ。
 それは、フサンであるとは限らず、ステロイド剤であってもいい。あるいは、フサンとステロイド剤に併用(三薬併用)であってもいい。(場合によっては、イベルメクチンであってもいいかもしれない。現時点では不明だが。)

 ともあれ、フサンなどと併用することで、アビガンの効能が高まるのであれば、それに越したことはないだろう。

( ※ 「アビガンなんて効果はない」と書き散らして、世間を欺くよりは、正しい情報を提供して人の命を救うことの方が、ずっと有益だ。)
 


 【 関連項目 】

 日本の治験で「アビガンが有効だ」という結論が得られなかったのは、日本の治験が「対比試験」をしていなかったからだ。この件は、下記で説明した。
  → アビガンの治験が終了 2: Open ブログ

  ※ アビガン「あり」と「なし」で比較したのではなく、別のこと同士を比較していた。
 
posted by 管理人 at 22:23| Comment(4) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
何処かの製薬会社がサイトカインストームを抑える薬の治験をしているそうです
軽症のうちにアビガンを投与して免疫暴走を控える方が
税金の無駄使いにならないと思うのだけど
Posted by 老人 at 2020年07月25日 09:20
> サイトカインストームを抑える薬

 昔からずっと研究しているけど、高価な割には有効性の低いバイオ製剤の薬がほとんど。期待薄。今になって急に開発されるとは思えない。
 人間の免疫を操作する薬は、なかなか開発できない。ステロイドぐらいしか実用化されていない。
Posted by 管理人 at 2020年07月25日 10:33
>人間の免疫を操作する薬は、なかなか開発できない。ステロイドぐらいしか実用化されていない。
この手の薬は、ターゲットを絞った形で次々と開発されていて、その市場規模は数兆円をはるかにしのぐ規模になっています。

Posted by yomoyama at 2020年07月25日 18:57
> 市場規模は数兆円

 バイオ製剤だから、超高額の薬となり、金額的には市場規模は拡大しています。
 だけど、国民の負担が超高額になるのを喜ぶ人はいないでしょう。高いのは、製薬会社が得をするだけで、国民には困る。
 ろくに効果もないくせに、金ばかりむしり取られる。というか、ろくに効果がないからこそ、完治しないまま、延々と長期的にずっと巨額の金を使いつづける。
 こんな薬が流行ったら、健保や国民財政は破綻する。
Posted by 管理人 at 2020年07月25日 19:27
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