新型コロナはホメオパシーで治る、と言っている医師がいる。NATROM 医師だ。
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NATROM 医師と言えば、ホメオパシー批判の急先鋒として名高い。しかしその彼が、新型コロナについては、「ホメオパシーで治る」というふうに、ホメオパシーを賛美している。呆れた話だが。
もうちょっと正確に言おう。彼は「ホメオパシーで治る」と直接的に言っているのではない。「プラセボで治る」と言っているのだ。しかし、ホメオパシーというのは、「プラセボで治る」という主張なのだから、結局、「プラセボで治る」という彼の主張は、「ホメオパシーで治る」という主張と同じである。
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彼の主張は、次の三段階で成立する。
・ 新型コロナは、風邪と同様に、自然治癒で治る。
(それほどにも軽い病気である。)
・ アビガンの効果は、プラセボ並みでしかない。
・ 新型コロナの患者が、アビガンで治るのは、プラセボ効果だ。
こうして「プラセボ効果で新型コロナの患者が治る」という主張に至る。つまり、「新型コロナはプラセボで治る」ということであり、「新型コロナはホメオパシーで治る」ということだ。
かくて彼は、新型コロナに関する限り、ホメオパシー信者と同じになった。
彼の主張に従うなら、新型コロナの患者には、最適な医薬であるアビガンを投与するかわりに、プラセボ(レメディ)を与えておけばいい、ということになる。
これぞまさしく、ホメオパシー信者の発想だ。
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なお、以上の事例では、「新型コロナは急に自然治癒するような病気ではない」という点に注意。
もともと軽症の人ならば、自然治癒することもあるだろう。しかし、いったん高熱になった人は、そこで「急に軽快する」ということはありえない。その点では、他の重病の場合と同様だ。こんな重病に対して、「自然治癒で治るぞ」というのは、もはや未開社会の祈祷師と同じレベルの主張だ。
ところが、こういう重病の患者が、アビガンの投与によって、一転して急に軽快する。こういう例が何度もあるのを見たら、それを「ただの偶然だ」「プラセボ効果だ」と判断するのは、非科学的だ。(まさしくアビガンの効果だと判断するべきだ。)
ここでは、「新型コロナは急に自然治癒するような病気ではない」ということが重要だ。
逆に、「アビガンにはプラセボ効果しかない」というふうに主張するのは、「新型コロナは急に自然治癒するような病気」だと評価することになるので、新型コロナの危険性を著しく過小評価していることになる。(ブラジルの大統領並みだ。)
[ 付記1 ]
次の反論が考えられる。
「新型コロナの患者の多くは、無症状や軽症だ。実際に自然治癒する人は多い」
なるほど。それは事実だ。
しかしながら、日本では、「無症状の人にアビガンを投与する」ということは認められていない。「軽症の人にアビガンを投与する」ということも、ほとんど認められていない。
アビガンの投与が認められるのは、症状がいくらか重くなってからだ。具体的には、最低でも 37.5度、通常なら 38.0 度以上に症状が悪化してからのことだ。このように症状が悪化したあとでのみ、アビガンが投与される。
そして、そういう場合には、もはや「急に自然治癒する」ということは、まずありえない。通常ならば、自分の免疫力で、何日間か高熱で戦う必要がある。その間に、重症化していくこともある。
要するに、無症状や超軽症ならば、「自然治癒」ということも考えられるが、かなりの高熱になったあとでは、「急に自然治癒する」ということはほとんどないのだ。
なのに、ここで「アビガンを飲んだら急に回復した」という人に対して、「それはプラセボのおかげですよ」と主張するのは、もはや科学ではあるまい。ただのホメオパシー信者の発想であるにすぎない。
「アビガンの効果はプラセボ並みだ」という発言は、そういうことを意味するのである。
[ 付記2 ]
「病気がホメオパシーで治る」という発想は、必ずしも間違いではないし、必ずしも有害とは言えない。たとえば、ただの風邪や、ただの下痢なら、ホメオパシーで治る(プラセボで治る)と見なしてもいい。実際には、「自然治癒で治る」だけなのだが、それを「プラセボのおかげで治った」と誤認したとしても、特に有害ではない。プラセボを高額販売するのは詐欺という経済犯罪になりそうだが、プラセボを無償で渡すのであれば詐欺にもならない。
新型コロナも同様である。新型コロナにかかっても無症状で終わる人がいる。こういう人に対して、「新型コロナはホメオパシーで治る」と告げても、特に有害になるとは言えない。
一方、新型コロナで高熱になった高齢者には、アビガンを与えることが大切だ。そのとき、「アビガンでなくてただのプラセボでも大丈夫」と告げることは、正しい医療を受けさせなくすることで、あえて危険をもたらすことになるので、間違ったことだ。
NATROM 医師がやろうとしていることは、そういうことだ。彼の言葉は、無症状で済む人には有害ではないが、高熱を出した高齢者には有害となる。「アビガンなんて効果はないんだ」と言って、正しい治療を受ける機会を奪うからだ。
その意味で、NATROM 医師のやろうとすることは、(標準医療の機会を奪う)ホメオパシー信者と同じなのである。
[ 参考 ]
数十人を対象として比較試験で有意差が出ないのですから、アビガンに効果があるとしてもその効果は大きくなく、これらのアビガンの効果を謳う声は誤認に基づくものである可能性が高いです。
— 名取宏(なとろむ) (@NATROM) July 11, 2020
上では、「アビガンに効果はない」と言っている。つまり、「アビガンの効果はプラセボ並みだ」と言っている。
自然治癒する疾患に対する治療の効果は過大評価しやすい、という心理的メカニズムを臨床医は自覚するべきです。そうでないと、風邪に対して抗菌薬をバンバン投与する医師になります。風邪に対して抗菌薬を使って治ったという事例はいくらでも経験できますから。
— 名取宏(なとろむ) (@NATROM) July 11, 2020
上では、「アビガンでコロナが治るのは、自然治癒で治ったからだ」と言っている。つまり、「コロナは自然治癒であっさり治るような(軽い)病気だ」と言っている。
ここから「コロナの患者がアビガンで治ったのは、アビガンの効果で治ったのか、自然治癒で治ったのか、区別できない」という主張になる。つまり、「アビガンの効果はプラセボ並みだ」ということであり、「プラセボでコロナは治る」ということだ。
【 関連項目 】
上のすべてに対して、次の反論があるかもしれない。
「コロナはアビガンでもプラセボでも治らないんだ。どっちも無効なんだ」
なるほど、それならば理屈は通る。ただしそれは、事実に反する。事実は下記の通り。(アビガンを投与する日本では、致死率がきわめて低い。)
日本では新型コロナの死亡数がきわめて少ない。最近では毎日、0〜2人程度だ。感染者数は多いのに、死亡者数は少ない。このように死亡率が低いのは、世界でも日本だけだ。
この件は、前項のコメント欄( 2020年07月17日 23:26 )でも述べた。
→ アビガンはただのプラセボ?: Open ブログ(コメント欄)
この件は [ 付記1 ] で説明済み。ちゃんと読みましょう。
https://egg.5ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1594156851/
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57名無しのひみつ2020/07/10(金) 06:40:19.83ID:wTG+Zlgy>>59>>64
身内で某大学病院のコロナ現場で働いてる医者がいるけど、
前線の医療従事者がコロナになったら即アビガン投与だし、100%の医者がアビガンを希望するらしい。
コロナ知っててアビガン使わない医療従事者はいないだろうと話してたわ。
身内が嘘ついてるとは思えないし、ここに書いてあるように厚生省が本当に止めてるんだろうな。
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65名無しのひみつ2020/07/18(土) 23:41:19.94ID:ZQ1CfWq/>>66
俺の知り合いにも総合病院の医者がいるけど、副作用の危険性に関する同意書に同意すれば簡単に服用できるから、現場はアビガン処方が基本になっているらしいね。
臨床の結果云々ではなく、効いている実例を何例も見てるし、逆に副作用で悪くなった患者はいないらしい。
反対している医者はコロナの治療現場を全く知らない医者だろう話していた。
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※ NATROM さんが悪口を言われているようなものだね。「コロナの治療現場を全く知らない医者だろう」と。