2020年07月17日

◆ アビガンはただのプラセボ?

 「アビガンの効果はプラセボ程度だ」という見解がある。それに従うと、おかしな結論が生じる。

 ──

 「アビガンの効果はプラセボ程度だ」という見解がある。それに従うと、「コロナはプラセボでも自然治癒する程度の病気だ」ということになる。つまり、風邪や下痢のように、放っておいても治る程度の病気だ、ということになる。(だからプラセボでも済む。)
 しかし、このような評価は、コロナの危険性を著しく過小評価しているので、ほとんど事実誤認のデマと言える。(トンデモと言ってもいい。)


 (1) NATROM 医師の見解

 NATROM 医師は「コロナの効果は小さい」と主張している。


 「アビガンに効果があるとしてもその効果は大きくなく」と言って、効果が小さいことを主張している。
 また、「これらのアビガンの効果を謳う声は誤認に基づくものである可能性が高い」と述べて、効果の存在そのものを否定している。

 さらに、次のようにも述べる。


 ここでは、プラセボで効果が出たと思い込むホメオパシーを例に挙げて、「自然治癒する風邪のようなものだ」という評価を与えている。(明示してはいないが、もちろん、新型コロナのことだ。胃腸病や頭痛の話をしているわけではない。)

 全体的に言えば、NATROM 医師は、「アビガンの効果は小さくて、おおむねプラセボ並みである」という評価をしている。ま、それは彼の見解であるから、ここでは特に咎めないでおこう。

 ──

 だが、彼の意見に従うなら、「アビガンの効果は小さい」ということと同時に、「アビガンを投与したことで回復した患者は、プラセボで回復した」(自然治癒で回復した)ということになる。だったら、「プラセボや自然治癒で回復する新型コロナは、風邪並みの軽い病気だ」ということになる。

 実際、最近では、新型コロナの死亡率は、5%程度で落ち着いている。


siboritu2.png
出典:Worldometer


 5%という数値は、インフルエンザの死亡率よりははるかに高いのだが、欧米における死亡率(2割弱程度)よりはずっと低い。残りの 95%は助かっている。
 日本ではこのようにコロナの死亡率が低い。それはなぜか? 「アビガンのおかげだ」というのが、私の見解だ。
 一方、NATROM 医師のように、「アビガンの効果はない」ということになると、「 95%は治る」というのは「 95%は(アビガンに関係なく)自然治癒する」ということなのだから、「新型コロナはたいして怖い病気ではない。超高齢者以外はほとんど死なずに済む軽い病気だ」ということになる。

 だが、これはとんでもない楽観主義だ。
 仮に、それを信じて、アビガンを拒否していれば、外国と同様に、2割弱程度の患者が死ぬことになるだろう。

 「コロナは風邪と同程度だ」と軽視するブラジル大統領も、「アビガンなしでもコロナは自然治癒するのだ」とアビガンを軽視する医者も、どちらも事実誤認ゆえに国民の生命を危機にさらしているわけだ。


 (2) 感染症専門医の見解

 NATROM 医師は、アビガンの効果を「プラセボ並み」と評価している。そこでは、ありもしない効果を「ある」と誤認しただけだ、ということになる。再掲しよう。
 これらのアビガンの効果を謳う声は誤認に基づくものである可能性が高いです。

 だが、患者が誤認したというのはまだしも、感染症の専門医が誤認したと見なすのは、いかにも無理がある。それは、「感染症専門医が馬鹿だらけだ」と主張しているのも同然だ。
 NATROM 医師は、感染症専門医ではない。日常的にコロナ患者を治療しているわけでもない。にもかかわらず、そういう未経験の立場でありながら、日々にコロナの患者を治療している感染症専門医のことを「馬鹿だ」と見なしているわけだ。
 「コロナが治っても、本当はプラセボの効果で自然治癒しているだけだ。なのに、それをアビガンの効果があると誤認しているのだから、感染症専門医は馬鹿だらけだ」
 というふうに。
 ここでは、非専門家が専門家を批判しているわけだ。

 ──

 なお、感染症専門医の見解がどうであるかは、以下で述べるとおりだ。要するに、「自分の臨床経験からは、アビガンの効果はあると見なせる」というのが、感染症専門医の見解だ。以下で具体的に示そう。(
 《 アビガンの効果は 投与の医師語る 2 》
 「主治医がこれから悪くなると思う段階で使うと、おおよそ3分の2の方に効果が出て、熱が徐々に下がって、せきが減って回復するという手ごたえです」(アビガンを投与している医師)
 アビガンの効果について語るのは北陸地域の病院で患者およそ20人にアビガンを投与した医師です。

 取材に応じた医師は、アビガンが新型コロナの治療薬として承認されより広く使われるようになれば、患者の命を守り医療崩壊を防ぐことにもつながると訴えます。
 「COVID−19の場合、重症化した方に関する診療にものすごく手間がかかる。二倍くらい医療従事者が手間をかけることになります。もっといろんな人に重症化する前に投与することで、結果としては医療崩壊を防ぐことができるのではないかと」(アビガンを投与している医師)
( → 富山(チューリップテレビ)

 アビガンが承認されれば、重症化を防げるので、医療崩壊を防げる……と述べている。これは、私の見解と同じだ。
 現場の感染症専門医は、私と同様の見解を述べているのである。

 次の例もある。
 坂部医師は、新型コロナウイルスに感染し発熱の症状が続いていた男性患者に「アビガン」を投与しました。男性は当初、軽症とみられていましたが、呼吸症状が悪化するなど肺炎症状が出たため、本人の同意のもと治験として「アビガン」の投与が行われたといいます。
 「(アビガンを)投与した日を境に明らかによくなった。客観的に見てもよくなったし、患者さんもよくなったと言っていました」
( → 新型コロナ 治療薬候補「アビガン」投与の医師が語る効果や注意点 : 中京テレビNEWS

 より公式の報告もある。
 日本感染症学会は4月6日、「アビガン」投与により、速やかな症状改善とPCR陰転化を認めた症例を報告した。
  初診時SpO2は96%だったが、入院時に90%と急速な低下を認め、呼吸状態が悪化。3月21日にコンパッショネート使用として「アビガン」を、本人同意のもと開始した(21日夕、22日朝に1,800mg内服、22日夕より800mg×2回/日内服)。
 「アビガン」の初回投与後2日で解熱し倦怠感も消失、その後も発熱は認めなかった。
 この症例では「アビガン」投与翌日には速やかな解熱と低酸素血症の改善を認め、投与3日目にはPCRが陰性化した。中国での「アビガン」の成績でもウイルス陰性化までの期間は対照群より有意に短縮しており、ウイルスの早期陰性化に「アビガン」が寄与した可能性は高いとしている。
( → 【新型コロナウイルス】COVID-19治療効果を見込める「アビガン」 国内第3相試験は6月末にも終了

 このように、「アビガン投与後に、症状が一転して、大幅に改善した」という例は、あちこちで報告されている。本サイトでも前に掲載したことがある。
  → 新型コロナの体験記: Open ブログ の (7)

 「アビガン投与後に、症状が一転して、大幅に改善した」という例が多いのを確認して、感染症専門医は「アビガンには効果あり」と判定している。
 なのに、そういう専門家の判定を否定して、「アビガンには効果はない」と見なすのは、「門外漢による専門家の否定」である。
 こういうふうに、非専門家が専門家を(ろくに根拠もなしに)否定するのは、一般に「トンデモ」と言われるものだ。留意しておくといい。
 


 [ 付記 ]
 「主治医がこれから悪くなると思う段階で使うと、おおよそ3分の2の方に効果が出て」( → 
 という部分に着目するといい。
 アビガンの効果が出るのは、初期ではなく、高熱が出そうになったとき(6日目ごろ)だ。
 その意味で、「アビガンを初期に投与した場合の効果だけを調べる」という藤田医大の治験は、もともと見当違いであったことになる。
 この件は、先に示したとおり。
  → アビガンの治験が終了 2: Open ブログ
 そこで述べたことが正しい、ということが、上の話からもわかる。
posted by 管理人 at 22:27| Comment(11) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そういう個々の症例報告は有効性の検討には使われないのが現代の医学なんです。それこそ抗生剤のんで風邪治ったていう例のがいくらでもでますから。

あと死亡率はにほんいがいでももれなく下がってますよ。現在絶賛感染拡大中のアメリカでも下がってます。多分、対象療法の知見が揃ってきたからでないですかね。
Posted by なし at 2020年07月17日 22:42
> 個々の症例報告は有効性の検討には使われない

 公式にはそうです。
 だけど、私が言っているのは、公式の判断ではなく、公式の判断が出る前の推論の場合です。そこでは「小さなコホート研究」というものが得られるから、その「小さなコホート研究」を取り合えずは判断のよすがとするという話。そこでは少なくとも事実ベースの判断ができる。

 私はそういう「事実ベースの判断をするべきだ」と言っているのに、あなたはそれを否定することで、「事実によらない思いつきベースで判断する」ということを肯定している。(私の主張を否定することで。)

 私「思いつきの印象論でなく、事実ベースで判断しろ」

 あなた「事実ベースでも公式な大規模研究ではないから、事実ベースで認識するべきだというのは正しくない。(印象ベースで認識するべきだ)」

 それはもはや科学ではありません。

> 抗生剤のんで風邪治った

 それをコロナに適用するのだから、あなたはコロナを風邪と同様の軽い病気だと見なしていることになる。
 本項で示した通り。
Posted by 管理人 at 2020年07月17日 23:25
> 死亡率はにほんいがいでももれなく下がってますよ。

 そういう事実は見出されませんでした。

 たとえばフランスでは、死亡率は 25%超を維持しています。
 https://www.worldometers.info/coronavirus/country/france/

 イギリスでは、死亡率のグラフは見出されなかったが、感染者数と死亡者数が同じように減っているので、死亡率が急低下しているとは思えない。
https://www.worldometers.info/coronavirus/country/uk/

 イタリアは、一時の医療崩壊から脱したので、死亡率は低下気味だが、いまだに 15% 以上を維持している。
 https://www.worldometers.info/coronavirus/country/italy/

> 現在絶賛感染拡大中のアメリカでも下がってます。
 
 アメリカだけは死亡率が急低下しているが、これは、死者が減ったからではなくて、感染者が急増しているという、先進国では唯一の最悪の状態であるからだ。分母が急激に増えているから、分数の値が低下しているだけだ。
 時間がたてば、死亡者が急増するはずなので、とても楽観できる状況ではない。むしろ感染爆発が止まらないことを悲観するべきだ。
 https://www.worldometers.info/coronavirus/country/us/ 
 

 ちなみに、日本の死者数は、ここのところ毎日 0〜2人だ。
 https://www.worldometers.info/coronavirus/country/japan/

 こんなに少ない国は、世界広しといえども、どこにもない。(感染者が多く出ている国では。……つまり、感染者がほとんど出ていない国を除く。)
Posted by 管理人 at 2020年07月17日 23:26
なぜアビガンを承認しないのか?米国への配慮?
いずれにせよ、経済を動かすならアビガンは承認すべきですよね。
他方不要な移動を促進するgtcは経済効果比でリスクが甚大で、多分今後患者急増→医療崩壊もしくは再度緊急事態宣言→国家破綻でしょう。第二次大戦からこの国の本質は何も変わっていない。
Posted by MySweetFeminist at 2020年07月17日 23:27
> なぜアビガンを承認しないのか?

 副作用で人が死ぬと医者のせいになるので、イヤだ。
 薬を与えないで人が死ぬのは医者のせいではない(病気のせいだ)から、構わない。

 ……と思う医者が多すぎるから。医者の責任回避のせいで、大量の患者が見殺しにされるわけ。患者の命よりは、医者の保身が大事。

 政治家が悪いわけじゃない。政治家は人気取りのためにアビガン承認に乗り気だ。安倍首相も推進している。
 だけど、厚労省の役人と、世間の医者たちが、(副作用があったときの批判が怖いので)承認を渋っている。我が身かわいさが大事。国民がどれほど死のうが、知ったことではない。
Posted by 管理人 at 2020年07月17日 23:38
>こんなに少ない国は、世界広しといえども、どこにもない。
罹患率や致死率につきまして、
管理人はその割合が高いヨーロッパと比較されていますが、
東アジア地域と比較しますと、日本は決して少ない値ではありません。
その要因に作用するファクターxの存在を認めざるを得ないと思われます。
東大の児玉名誉教授は、それをコロナウイルス一般に対する交差免疫の存在に注目されています。
別の観点からでしょうが、米国では致死率が低下し続けています。
Posted by yomoyama at 2020年07月18日 12:07
 原文を見てください。

> こんなに少ない国は、世界広しといえども、どこにもない。(感染者が多く出ている国では。……つまり、感染者がほとんど出ていない国を除く。)

 とある通り。
 東アジアの国は、現在、「感染者がほとんど出ていない国」なので、話の対象外です。(感染者が出ていないのだから、死者も出ていない。)
 ただし韓国は、感染者は少ない割には、死者は日本並みに出ている。韓国の致死率は高めだ。アビガンを使っていないので。
 
 ──

 また、感染者数と死者数を間違えないでください。日本は感染者数は多いが、死者数は少ない。その理由はアビガンだ、と言っています。
 感染者数の話は、また別の話。

> 米国では致死率が低下し続けています。

 すぐ上のコメントで説明済み。

> 東大の児玉名誉教授

 http://openblog.seesaa.net/article/476355871.html
 のコメント欄で紹介されていますね。
 「交叉免疫」は、理屈としては考えられますが、日本では SAAS が流行したことはないので、意味がありません。

 そもそも、上記の文書は、「パワポにまとめただけ」という感じの初歩的な話ばかりだ。初心者向けの解説みたい。踏み込んだ話が一切ない。たとえば、「4月の感染増加は海外から」と言っているくせに、「減ったのは海外からの分がなくなったからだ」(緊急事態宣言の効果ではない)と明言できていない。
 表面の数字を見ているだけで、まともに論じた話がない。子供新聞の解説記事みたいだ。ところどころに自己流の勝手な見解が入っているが、その根拠もなし。

 学者ならばネットで長い文章を書くべし。こんな簡単なパワポ文書で済ませているなんて、あまりにも不誠実だ。
 
Posted by 管理人 at 2020年07月18日 13:22
たった一人の研究者が勘できめたパラメータで計算したsir に勘できめた致死率掛けて出した42万人死亡が外れたのは、競馬の予想が外れるのと同じで、別にパラメータxを探す必要はないと思うよ
Posted by 佐賀 at 2020年07月18日 14:45
>ただし韓国は、感染者は少ない割には、死者は日本並みに出ている。韓国の致死率は高めだ。
https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries
によりますと、
日本の感染者数:23473 死者数:985
韓国の感染者数:13771 死者数:294
韓国の人口は日本の半分以下です。
アビガンはファクターxの一つかもしれませんが、これにあまり多くの期待を望むには無理があるかと思われます。
Posted by yomoyama at 2020年07月18日 15:07
 韓国と日本の比較は、トータルではなく、最近の数値だけを見てください。もともとの話が、

>  ちなみに、日本の死者数は、ここのところ毎日 0〜2人だ。

 ということです。これに比較するべきは、同時期の韓国です。
 
 本項は、アビガンの効能の話をしているのですから、日本がアビガンを使うようになった時期(5月以後)に限った話をする必要があります。
 
Posted by 管理人 at 2020年07月18日 16:10
当該資料は参議院予算委員会で使われた資料ですから、初心者向けの解説で間違いないのだと思います。現にど素人の私にはとても説得力のある資料でした。この方は学者にしては現場で苦労されている方のようにお見受けしますので、不誠実というのは当たらないような気がします。
Posted by murata at 2020年07月18日 16:17
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ