2020年07月16日

◆ アビガン未承認で大量死 

 札幌の介護施設でコロナ患者の大量死があった。アビガンが未承認であったことが理由だろう。

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 札幌の介護施設でコロナ患者の大量死があった。
  → WEB特集 “崩壊”は介護現場で起きていた〜コロナで12人死亡 実態は〜 | NHKニュース

 新型コロナの“第2波”が起きた北海道で、12人の高齢者が入院することなく、介護老人保健施設で次々と命を落としました。
 介護老人保健施設、茨戸アカシアハイツでは、入所者71人が感染し、このうち12人が施設の中で死亡しました。
 最初の感染者が確認されたのは4月26日でした。札幌市が検査を行うと、翌日はさらに14人の感染が判明。その後、他の部屋からも相次いで感染が報告され、4月30日には感染者は40人にまで拡大しました。
 職員にも感染が広がります。濃厚接触が疑われ、8割近くが現場を離脱しました。このため職員は、入院を調整していた札幌市に繰り返し「感染した入所者を入院させてほしい」と訴えました。国が当時出していた文書でも、介護老人保健施設で出た感染者は重症化のリスクが高いとして原則入院だとしていたからです。しかし、市からは「入院はできない」という回答があったといいます。
 送られてきたのは、日中に医師1人で、看護師は確保できたときのみ。

 これを「医療崩壊」と見なす人が多い。
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 だが、これは「医療崩壊」というより、「医療拒否」だろう。
 なるほど、文中には、次の記述がある。
 医療の提供体制も破綻していました。看護師の佐藤さんは一時的に、感染者50人を含む89人の入所者を1人でみていました。

 だが、これは、「医療不足」というよりは「介護不足」だ。医療の有無は、介護する人数とは関係ない。
 では、医療の有無とは何か? アビガンを処方することだけだ。こんなことはごく簡単なのだから、医師を一人派遣して、アビガンを出せば、それで済んだ。それだけで、大部分の人は助かったはずだ。

 ではなぜ、医師はアビガンを出さなかったのか? それは、時期を見るとわかる。時期は、こうだ。
 最初の感染者が確認されたのは4月26日でした。札幌市が検査を行うと、翌日はさらに14人の感染が判明。その後、他の部屋からも相次いで感染が報告され、4月30日には感染者は40人にまで拡大しました。

 この時期には、アビガンの投与は、著しく規制されていた。
 アビガンを使用する条件として、厚生労働省では医療機関が研究班による観察研究に参加し、患者本人の同意があり、医師の判断によって使用が必要となった場合に限り使用を可能とするとしています。
 つまり、この研究班に入っていない病院ではアビガンを使用することはできません。
( → アビガンを処方可能な病院とは?クリニックフォアグループ医師が解説します。 | CLINIC FOR

 当然ながら、普通の町医者は処方できない。介護施設に派遣されただけの臨時派遣医師が勝手に処方できるはずもない。アビガンが処方されるためには、末端の町医者でも処方できる制度、つまり、「アビガンの承認」が必要だったのだ。
 つまり、この介護施設で大量の死者が出た理由は、「アビガンが未承認であったこと」なのである。仮に、アビガンが承認されていたら、町医者でもアビガンを処方できたので、これらの多数の死者の大部分は助かったはずだ。

 なお、その後、アビガンの早期利用は、部分的に可能となった。5月11日以後の福岡がそうだ。
 福岡県医師会は11日、新型コロナウイルスの治療薬として期待される抗インフルエンザ薬「アビガン」について、県内の約50医療機関で軽症を含む患者への早期投与が可能になったと発表した。
( → アビガンを早期投与せよ(少量で): Open ブログ

 とはいえ、この方針は、他県には拡大しなかった。
 また、この方針でも、病院外の投与は可能ではないので、介護施設で投与することはできない。(投与するには入院が前提だから、入院できない患者はアビガンを投与してもらえない。)

 特に、厚労省の事務連絡では、5月4日には「観察研究への登録は事後でもよい」とされたが、対象となる医療機関は限定されている。
  → 新型コロナ感染症へのアビガン投与、観察研究登録前でも可能─厚労省が見解
 各医療機関において医療安全の観点から求められている医薬品の適用外使用に係る手続きが済んでいれば、投与自体は開始し、観察研究への登録は事後でもよい。
( → 厚労省の事務連絡

 つまり、特別な大病院への入院患者だけが治療の対象であって、病院外に収容されている患者には、アビガンを投与できないのだ。

 かくて、「アビガンが未承認である」ことが理由で、末端では大量の死者が発生したわけだ。



 [ 付記1 ]
 「それは医療不足の北海道の話だろ。おれには関係ないね」
 と思っている人も多いだろうが、さにあらず。東京都はすでに病院が満杯状態に近くなっている。軽症者者向け施設も満杯状態に近い。
 都内の感染者は連日100人を超えています。こうしたなか、軽症や無症状の人を受け入れるホテルの部屋がほぼ埋まっていることが分かりました。都内に2つある受け入れ先のホテルのうち一つとの契約がまもなく切れることから、残る1つのホテルだけで感染者を受け入れているためだということです。都の担当者は新しいホテルが決まるまで無症状の人は自宅療養をしてもらうとしています。
( → 東京の感染者143人 受け入れホテルほぼ埋まる

 つまり、北海道の事情は、他人事ではない。東京都でも、患者が増えれば、感染者は病院には治まりきらなくなる。たとえば、軽症者施設に収容となる。そこでアビガンの投与を受けられれば、患者は助かる。しかし現状では、アビガンは承認されていないので、病院外では処方できない。かくて、否応なしに重症化して死んでしまう人が多発するわけだ。
 あなたも、アビガンなしのせいで死ぬかも。病院が満杯なら。

 [ 付記2 ]
 アビガンが有効だとわかっているのに処方には慎重な人が多いのは、アビガンの催奇性という副作用を心配しているからだ。
 しかし、処方が必要な人の大部分は、60歳以上の高齢者だ。これらの高齢者に「妊娠して催奇性」ということを心配するせいで、アビガンの投与をためらい、死なせてしまう。
 頭がおかしいとしか思えない。なまじ中途半端に医療知識があるせいで、「高齢者は妊娠しない・させない」ということを理解できないまま、医療拒否をして、患者を死なせるわけだ。

posted by 管理人 at 22:29| Comment(1) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まつたくその通りですね。
■また、当初の感染症学会のガイドラインでアビガンの投与は重症という間違ったことが書いてありましたからね。
■4月中の観察研究の投与例が増えるに従い、早期投与に移行していきますが、ガイドラインの改定が遅れていますし、反対派の声も大きくなっていきましたからね。
■福岡県方式を提唱し、早期承認を政府に迫っていた当時の医師会長も、5月のアビガン反対派のクーデターで、会長勇退を止めて、6月に緊急で会長選に立候補しましたが僅差で敗れた。
■ほんとにアビガンについては、
開発コードT705、富山化学時代からのおかしな当局の指導、
インフル薬としての販売できない承認、
謎の何かを、今も引きずっていると思わざる得ません。
Posted by 塚本水樹 at 2020年07月23日 14:54
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