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状況が朝日新聞で報道された。「ひどい」という趣旨では書いてないのだが、その実情を知ると、ひどさに呆れる。
記事は下記。
→ 千寿園、救えなかった14人の命 訓練できていたのに… [九州豪雨]:朝日新聞
これを見ると、次のことが推察される。(はっきりとそうと書いてはいないのだが、そうだと窺われる。)
(1) 1階に居住
水害の危険があるのだから、原則として、居住は2階にするべきであり、1階は共同用途や事務室などにするべきなのだが、1階で居住・就寝していた人が多かったようだ。大半が1階で眠っていたらしい。そのせいで、多くの人が犠牲になった。
(2) エレベーターがない
階段があるだけで、エレベーターがないようだ。だから、1階の老人を2階に持ち上げるのに、長い時間がかかった。グズグズしているうちに、水が押し寄せて、大量の死者が出た。
宿直の職員5人と、小川さんが避難支援を呼びかけた住民ら10人弱で、入所者ら70人を1階から2階の会議室に運び上げ始めた。車いすの入所者1人を上げるのに、4人がかりで1〜2分はかかる。40人ほど上げたところで水が入ってきた。
( → 千寿園、救えなかった14人の命 訓練できていたのに… [九州豪雨]:朝日新聞 )
エレベーターが2台あれば、こんなに時間がかかることもなかっただろうに。
エレベーターが1台でも、(車椅子から外して)1回に3人を上げれば、20往復で 60人を上げることができたのだが。別途、階段も併用すれば、時間はさらに短縮する。
水害の危険地で、エレベーターの設置を節約するというのだから、悪魔のような守銭奴であったことになるね。
(3) 止水板がない
いざとなったら水が押し寄せるのに、入口に止水板がない。だから、水が押し寄せたら、入口のガラス扉が水圧で破壊されて、大量の水が室内に流れ込んだ。
たかが止水板ぐらい、低コストで設置できるのだが、その低コストを惜しんでいたわけだ。ものすごい守銭奴だね。呆れるばかり。
結局、金儲けのことしか考えていなくて、防災の意識などはゼロなのだろう。起こるべくして起こった悲劇と言えるが、こんな悪徳施設を許容する自治体の責任が何よりも重い。
【 関連項目 】
→ 水害の死者は金儲けのため: Open ブログ
「防災の意識」なんて、たぶんどこでもその程度なのではないかと思うのですが。
それが「悪徳」であるとするなら、確かに悪徳なんですが。
建築基準法や消防法で義務付けられていない限り、たいていの建築主は防災を意識してカネをかけて念のための設備を用意したりしないものでは。
たぶん、全国にものすごくあります。同様な施設が。
川の隣の低地に住んでいる人は、特別に防災意識が高い必要がある、という話です。
たいていの人は、そういう危険地には住んでいないので、話の対象外です。いい加減な意識でも構いません。
また、他人を寝泊まりさせている施設が話の対象です。たいていの住宅は、自分の家族が住んでいるだけなので、話の対象外です。たとえ水没して全員が死ぬとしても、自分が死ぬだけなら、それは「悪徳」ではなく「愚行」であるにすぎません。
あと、批判対象は、こういう施設を合法にしている自治体や政府なのであって、施設自体ではありません。
「こんな悪徳施設を許容する自治体の責任が何よりも重い。」
と書いてある通り。