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九州の水害で鉄道が寸断された。特に、次の箇所が問題であるらしい。
九州を襲った集中豪雨は、各地で鉄道網を寸断した。
九州北部では大分県内に被害が集中しており、九重町によると、筑後川水系の野上川にかかるJR久大線の鉄橋「第二野上川橋梁」が流されていることが7日に確認された。
( → 名物鉄橋が流失、全車浸水も 募る「災害で廃線」の不安 [九州豪雨]:朝日新聞 )
これを読んだときの第一感は、こうだ。
「田舎の鉄道はもともと採算性がないのだから、すべて路線を廃止して、かわりにバスに転換すればいい」
こう思ったのだが、記事には、次の話がある。
久大線は、博多と湯布院などの温泉地を結ぶ観光特急「ゆふいんの森」が走るほか、九州北部を横断する地域の足でもある。鉄橋があった地区の区長、帆足光洋さん(58)は「大分方面に行くための唯一の交通手段。遠くの病院に通うお年寄りは困るだろう」と話す。
( → 鉄道、くり返される寸断 復旧また豪雨、廃線の懸念も 列島、大雨予想続く:朝日新聞 )
これは大変だ。自動車も通れずに、鉄道しかないような地域であれば、上の代一環は成立しない。何が何でも、鉄道を復旧させなくてなるまい。
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そう思って、さっそく調べてみた。
現場はたぶんここだ。
ここが寸断されたせいで、この西側の地区と東側の地区が、分断されてしまう。
西側は、豊後中村駅(ぶんごなかむらえき)。東側は、大分。……この両者を結ぶ自動車路線はないらしい。(記事によれば。)
そこでさっそく、Google マップで調べてみる。
おやおや。自動車路線は、ちゃんとありますよ。それも、立派な舗装路だ。(国道 210号線)
※ 「高速道路・不使用」というオプションで表示できる。
おまけに、並行して、大分自動車道という高速道路もある。
このような道路をたどれば、鉄道よりも3割減の時間で大分まで到達する。また、鉄道と違って、自動車ならば待ち時間はゼロだ。(一方、鉄道は、2時間に1本しか通らない。もちろん単線である。)
→ JR九州/駅別時刻表
こんなに貧弱な鉄道ならば、残す価値はほとんどない。どうせ莫大な金をかけて鉄道を復旧するくらいなら、バスに転換して、その本数を増やす方が、よほど利便性は高まるだろう。
( ※ 高速道路を使う高速バスを併用してもいい。路線バスから高速バスへの乗り継ぎ。)
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結論。
「鉄道の路線が寸断されて、地元民は大変だ。交通の足を奪われる」
というセンセーショナルな記事が出たが、ただの誤報であった。実際には、自動車の路線は寸断されていない。今はバスが通っていないので、寸断されているように見えるが、代替バスを走らせれば、すぐに解決する。かえって鉄道よりも便利になるかも。
九州で観光をするなら、乗用車か観光バスか、どちらかでしょう。鉄道でまともに行けるのは、県庁所在地みたいな繁華街だけでしょう。
https://www.jalan.net/kankou/pro_010/g2_61/
強いて言うなら、観光専用の特別臨時列車(七つ星など)を走らせるために単線軌道を維持する、ということぐらいかな。
これは JR のためにはなるけど、地元民にとってはほとんど意味がないですね。1人40万円の切符を買えるわけじゃないし。客がいっぱい来るわけでもないし。