2020年06月30日

◆ 新型コロナウイルスの話題 24

 新型コロナウイルスの話題を 11件。

 ──

 (1) 治療の年齢制限
 NHKの クローズアップ現代は6月30日の放送で、治療の年齢制限が話題になった。医療逼迫時に、高齢者の治療がなされなかったことだ。
 新型コロナの重症化で命を救う最後の砦とも言われる人工心肺エクモ。実は第1波の際、エクモが足りず、装着できないケースが発生していたことが分かった。やりきれない思いを抱える家族。「何とか命を救いたい」と苦悩する医師。第2波に備える重要な時期に、「危機感を共有してほしい」と訴える。一方、海外では人工呼吸器やエクモの不足がさらに深刻だったため、高齢者は救急搬送が行われないという事態まで起きていた。
( → 第1波 知られざる生と死の現場 〜そのとき家族は 医師は〜 - NHK クローズアップ現代+

 高齢者は見殺しというありさまだった。特にエクモは、機械が余っていても、75歳以上の高齢者には使われなかったという。理由は二つ。
  ・ 機械があっても操作できる人員が限られている。
  ・ 75歳以上だと、後遺症が多大に出る危険性が高い。

 番組では後者が強調されていたので、「後遺症を恐れて見殺しにするのはひどい」という感想が出そうだ。(実際、番組の事例では、エクモを使わせてもらえないまま、患者は死んでしまった。)

 年齢制限は、日本だけでなく、海外でもなされていて、イタリアでは、高齢者への治療を拒否する方針が、政府・自治体から出たせいで、患者が治療を受けられなくなった例もあったそうだ。
 「困ったことだ」「大変だ」というふうな感じで番組は終わっている。
 
 しかし、困ったときの Openブログ。この件については、すでに考慮済みだ。下記を参照。
  → 重症者の治療選別(コロナ): Open ブログ
 ここでは代案を三つ示している。
  ・ アビガンの早期投与によって、重症者の総数を激減させる。
  ・ 治療日数に 20日の制限を加えることで、治療対象の患者数を増やす。
  ・ アビガンの治療歴のない患者は優先される。

 これらの対策を取ることができる。(他に、もう一つある。後述の (3) だ。)


 (2) エクモの人員不足と養成
 NHK の番組では、「機械はあるのに利用頻度が低かった」と示されている。全国で 1400台もあるのに、実際に使われたのは 120台だけだそうだ。理由は人員不足。
 では、どうしてこういう人員不足が起こったか? その理由は、番組では直接的には示されていなかったが、それをはナンする情報は示されていた。次のことだ。
 「エクモの通常の使用歴は、心臓用がほとんどで、肺用の使用はほとんどない。10年間にたったの3例ぐらい」
 番組ではそう示されていた。
 そして、そうだとすれば、エクモを肺用に使える人がほとんどいないのは当然だろう。それまでの経験がないからだ。
 つまり、ここでは、「エクモを使える人員が不足していた」のではなく、「エクモを肺用に使える人員が不足していた」のが根本原因だと思える。(そのまた理由は経験不足。)

 では、どうすればいいか? エクモを肺用に使える人々を養成すればいい。
 番組によれば、現在、その取り組みがなされているそうだ。つまり、熟練者があちこちに出張して、きちんと使えるように指導しているという。こういう試みが推進されることを期待したい。

 《 注 》

 (1) は、「超過した需要を制限する」という方針。
 (2) は、「不足した供給を拡大する」という方針。
 その両方をやることが好ましい。


 (3) エクモ 対 レムデシビル
 エクモを使えない患者(エクモのある病院に受け入れてもらえないまま入院中の患者)に対して、エクモとは別の処置が取られたことがあるそうだ。
 それは、レムデシビルの処方だ。重症化した患者にレムデシビルを処方したところ、見事に回復したそうだ。
 そういう例が、NHK の番組(上記)で報道されていた。


 (4) レムデシビルの価格
 では、レムデシビルを使えば万歳か? そうも言えない。それは、価格の問題があるからだ。
 レムデシビルは、現在までは無償で提供されてきたが、7月からは有償で販売されるらしい。それも、高価格で。
 《 レムデシビル、1人25万円 コロナ薬の価格設定 》
 米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズは29日、新型コロナウイルスの治療薬として日本などで使われている抗ウイルス薬「レムデシビル」について、先進国政府向けの価格を患者1人につき2340ドル(約25万円)に設定したと発表した。
 ギリアドはレムデシビルを世界で無償提供してきたが、7月に有償化する。
( → 時事ドットコム

 1人 25万円というのは、かなりの高額だ。感染者が続出したら、負担が大変だ。


 (5) レムデシビル 対 アビガン
 一方、アビガンならば、はるかに低価格だ。インフルエンザ用の分量なら1人 8000円。新型コロナで重症者向けなら、3倍量なので 24000円。軽症者向けならば、そんなに多くは必要なので、8000〜16000円ぐらいで済みそうだ。いずれにせよ、レムデシビルの 25万円よりは大幅に安い。

 ただし注意。アビガンを使うのならば、軽症または中等症の段階で使う必要がある。重症化してからでは、効果があまりないのだ。
 実際、上記の (1) の患者では、重症化したあとでアビガンを投与したのだが、うまく回復しなかったそうだ。重症者には、アビガンよりもレムデシビルの方がいいようだ。また、重症者には安価なステロイド剤がレムデシビルと同程度に効くらしい、という報告もある。
  → 新型コロナウイルス治療に「画期的発見」 ステロイド剤が重症患者に効果

 ※ この件は、下記項目で解説済みだ。
  → 新型コロナウイルスの話題 23: Open ブログ
(アビガンは重症化したあとではあまり効かない、という報告はすでに出ている。効くのは軽症と中等症だ。)

 で、結局、どうすればいいか? おおざっぱには、こう言える。
 (i) さっさとアビガンを承認すれば、低価格で多大な効果が出る。患者は軽症のうちに治る。
 (ii) アビガンの承認が遅れれば、軽症のうちに治す方法はなくなる。その場合には、次のいずれかだ。
  ・ レムデシビルを使えば、かなりの効果が見込めるが、1人 25万円の高コスト。
  ・ ステロイドを使えば、かなりの効果を見込めそうだし、コストも安価だ。ただし、報告例は少ない。


 (i) を取ればうまく行くのに、グズグズしているので、 (ii) を取ることになりそうだ。政府と医療関係者の失敗のせいで、多大な損失が出そうだ。(生命でも、金銭でも。)


 (6) アビガン治験の遅れ
 アビガンの治験がなかなか進まないらしい。100人足らずの治験対象者を集めるのに難儀している。かくて承認は大幅に遅れそうだ。
 《 アビガン治験、7月以降も継続 承認さらに遅れも 》
 治療への有効性と安全性を示すため、96人の参加を目標に3月末に治験を始めた。
 しかし関係者によると、現在の治験の参加者は目標の約7割だという。投薬後に28日間の観察期間が必要なため、目標人数を集められたとしても治験が完了するのは7月以降になる。
 治験に参加する大病院のベッドが4月は重症患者で埋まり、治験の対象となる軽症・中等症の患者が少なかったことや、足元では感染者数自体も減ったことなどで参加者を集められなかった。
( → 日本経済新聞

 これは6月6日の記事だ。7月1日現在でも、同様だろう。


 (7) 院内感染の経路
 院内感染はどういう経路で起こったか、というのを調べた記事がある。
  → 院内感染、どう封じ込めた? 国内初の発生、済生会有田病院:朝日新聞
  → 浮かぶ患者トイレ説 国内初の院内感染、封じ込めた病院:朝日新聞
 新型コロナウイルスの国内初の院内感染が起きた和歌山県湯浅町の済生会有田病院。医師2人、患者3人の感染発覚後、どのようにしてクラスター(感染者集団)の連鎖を止め、封じ込めに成功したのか。関係者が振り返る。

in-nai.gif

 ドアノブなどの物品に触れたことで、
   感染者 → 物品 → 二次感染者

 というふうに感染が拡大したようだ。これは典型的な「接触感染だ」と言える。
 このように感染が起こることの大部分の経路は「接触感染」である。そのことは、NHK がすでに番組で検証した。前に紹介したとおり。
  → 接触感染とマスク: Open ブログ

 このような接触感染を防ぐには、どうすればいいか? 次の3点だ。
  ・ 手洗い。(人の手指。爪の部分も丹念に。)
  ・ 人の触る場所を消毒する。(ドアや机)
  ・ マスクをして、飛沫の拡散を防ぐ。

 これらについては、下記で言及した。
  → NHK のコロナ番組(可視化): Open ブログ


 (8) 岩田健太郎は接触感染を軽視
 以上のように接触感染は重要なのだが、岩田健太郎は「接触感染なんて脇役である」というふうに軽視している。引用しよう。
 世界保健機関(WHO)も指摘しているように、COVID-19は飛沫感染がメイン、接触感染はサブ、そしてエアロゾルなどその他の感染経路は「稀」な感染パターンなのです。この「程度の問題」を正しく理解するのは極めて大事です。
( → マスクについて - 楽園はこちら側

 これを理由として、岩田健太郎はこう考える。
 「飛沫を直接的に浴びないことだけが大事なのであって、机やドアノブなどに着いた飛沫に触っても問題ない。だからマスクをしないで飛沫をまきちらしても構わない。接触感染なんて気にしないでいいのさ」
 というふうに。そして、こういう発想のせいで、院内感染が多発するわけだ。

 ※ 岩田健太郎は「世界保健機関(WHO)も指摘しているように、COVID-19は飛沫感染がメイン、接触感染はサブ」と言っているが、WHO が本当にそんなことを言ったのかは疑わしい。彼は出典を示していないが、彼が勝手に誤読した可能性は十分にある。ちなみに、ググっても英文情報が出てこない。
  → Google 検索

 ※ 院内感染の経路については、本サイトでも前に論じたことがある。
  → 院内感染とゾーニング: Open ブログ
 この項目の話は、上記の朝日の記事で裏付けられた、と言っていいだろう。


 (9) 大阪府の雨合羽
 大阪府が、医療用の防護服のかわりになるように、雨合羽を大量に集めたが、使われずに、大量に保管されているのだが、それが萌えやすいので問題になっているそうだ。
 → 大阪市役所の雨がっぱ保管、条例違反の恐れ 消防が指導 :朝日新聞

 使われないまま大量に余っているのなら、廃棄したりしないで、他県に送ればいいのにね。


 (10) 東京と神奈川の感染増
 6月30日には、東京だけでなく神奈川県でも感染者数が急増した。ただし、市中感染ではなく、夜の街で。発症した人が見つかったのではなく、無症状者に強制的な集団検査をしたところ、無症状感染者が多数、見つかったようだ。ほとんどは若者だ。
  → 神奈川県 横浜市で28人など新たに31人感染確認 新型コロナ | NHK

 夜の街の感染が、東京から周辺へ拡大しつつあるようだ。
 さっさと「マスク義務化」を実施すればいいのに、どうしても実施する気がないようだ。ひどいものだ。また、それを指摘しないマスコミも同罪だ。

 ※ マスク義務化を制定した場合、それに対する違反をした店は、営業停止処分になる。そこが大事だ。店に対する罰則があるわけだ。一方、客への罰則はない。
 ※ 「マスク義務化」という言葉を聞くと、「一般市民が条例違反で逮捕される」というふうに思う人もいるようだが、そういうことはない。店に対する罰則があるだけだ。


 (11) 福岡の感染増
 福岡の中洲で感染者が急増しているそうだ。しかも、感染者は「どこの店で感染したか」を問われても、頑として答えないそうだ。
  → 「店名は言えません」口閉ざす中洲の感染者 福岡市のコロナ追跡難航

 これはどうしてでしょうね? 思い浮かぶのは二つ。
  ・ そのキャバクラの奥で、非合法の博打をやっていた。
  ・ キャバクラでなく風俗店に入ったので、恥ずかしい。

 ちなみに中洲には、性風俗店も多いそうだ。( → https://j.mp/3eYyHlb
 コロナの最中でも営業しているようだ。もちろんマスクはしないだろう。
  
posted by 管理人 at 23:59| Comment(5) |  インフルエンザ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
CDC は広告まで出してマスク促してますね。

広告画像がこれで、
https://static.adsafeprotected.com/COVID_PSA_MASKMOJIS_300x250_72_DPI.jpg

ここに飛びました。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/diy-cloth-face-coverings.html
Posted by 佐賀 at 2020年07月01日 10:08
岩田医師は合理的かつ論理的に物事を考える事の出来ないアンポンタンなんでしょうか?
口や鼻からウイルスを授受して感染するのにマスクがあまり役に立たないとか、挙げ句の果てに接触感染がサブだとか。
素人でもわかる理屈を述べる事が出来ないなんて相当な重症ですよ、、、。いやはや、、、。
Posted by やまさん at 2020年07月01日 15:45
気になる点が2つあります

1 東京都の新規感染者のうち感染経路不明者の中にいる、夜の街関係者を除いた、
  純正感染経路不明者が
  毎日20人、週ベースで140人を超えそうになってきていること
2 入国制限を行ったのが4月第1週、
  7都道府県の緊急事態宣言を行ったのが4月第2週(ここが新規感染者のピーク)
  全国へ緊急事態宣言を行ったのが4月第3週。
  その後、新規感染者は減り続け、5月第4週に緊急事態宣言は解除されました。
  ただ2〜3週間後に当たる6月3週から、新規感謝数が増えつつあります。

近況を見ると、
 「4月の緊急事態宣言はかなりの効果があった」
  よって
 「緊急事態宣言が解除された2週間後にまた新規感謝数が増えた」=7月は新規感謝数は増える
  との見方もあると思います。
  

  今後の新規感謝数推移や社会に与える影響(再び緊急事態宣言する必要があるかなど)をお聞かせください
  
Posted by 通りすがり at 2020年07月02日 02:55
追記

管理人様が4月第一週の入国制限と
マスクの普及率の上昇により
新規感染者が減ったということは承知しております
Posted by 通りすがり at 2020年07月02日 02:57
 私の主張は
  ・ 店舗と電車のマスク義務化をせよ
  ・ 飲食店では2人までに会食の人数を制限せよ
 です。
 それをやらなければ、どんどん増えても不思議ではない。
 ただし西浦教授の言うような「8割削減をしないと、再生産数 2.5 になって、急増する。感染爆発だ」というようなことはないでしょう。東京とその影響下の地域で緩やかな増加がある程度。

 緊急事態制限の再発は必要かとい言えば、もともとやっても無意味なので必要ない。ただし、冒頭の二つの方策を取らなければ、「他に方策がない」と思って、緊急事態制限を再発することは考えられる。
 気違いに刃物。馬鹿に鉄砲。そのせいで国民経済は大きく傷つく結果に。

 
Posted by 管理人 at 2020年07月02日 08:26
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