※ 最後に 【 追記 】 を加筆しました。かなり長い。
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米国は州によっては厳しいロックダウンを実施している。たとえば、カリフォルニアがそうだ。現地報告をする記事がある。
《 米国・ロックダウンの街で暮らす日本人の「リアル」すぎる生活と意見(町田 雪) 》
カリフォルニア州は、3月19日に期限なしの外出禁止令(ステイ・アット・ホーム・オーダー)が発せられて以来、ロックダウン状態にある。
行きつけの近所のスーパーは、開店後1時間は、60歳以上のシニアと体の不自由な方々向けの特別時間。普段は多くの買い物客で賑わう店内も、入店者数を20人に制限しており、入店待ちの人々は、約1.8メートルの距離を置きながら並んでいる。
周りには、外出を伴う買い物は一切せず、すべて配達の利用のみという人もいる。
( → 講談社 )
こうして2カ月間のロックダウンが続いたあとで、「もう耐えきれない」となって、5月9日に部分解除された。
《 「これ以上耐えられない」経済再開に動いたLA 経済再開ステップ2のカリフォルニアの今 》
カリフォルニア州は経済再開に向けた4つのステップを発表し、その2段階目となるステップ2が5月9日より解禁された。これまで自粛対象だった書店、花屋、スポーツ用品店、衣料品販売店、自動車ディーラーなどが新たに営業再開を認められ、ハイキングコース、散歩用のトレイル、公園、ゴルフ場もオープンした。
( → WEDGE Infinity(ウェッジ) )
ロックダウンが解除されたということは、感染者が激減したからか?
また、ロックダウンが解除されたあとでは、感染者が急増したか? (ロックダウンをしないと感染者が急増するから、ロックダウンをする、というのが名分だったから。)
実は、そのいずれにも「否」という回答が出ている。つまり、こうだ。
・ ロックダウン中に、感染者の減少はなかった。
・ ロックダウン解除後に、感染者の急増はなかった。
これをひとことで言えば、こうだ。
「ロックダウンは、やっても、やらなくても、結果は同じだった。結果的には何の効果もなかった」
このことは、カリフォルニアの統計を見ればわかる。
感染者数
死亡者数
※ 上の二つはいずれも、累計ではなく、日ごとの数字。
累計では、ほぼ直線状の増加が見られる。
出典は下記。 → Worldometer
もう少し正確に言うと、こうだ。
・ 感染者数は、ロックダウンの期間中にも少し増えていたが、ロックダウンの解除後には大幅に増加した。
・ 死亡者数は、ロックダウンの期間中も解除後も、同じペースで増えている。
これをひとことで言えば、こうだ。
「ロックダウンには、少しだけ、効果がある。感染の増加を止める効果はないが、感染の増加を鈍化させるぐらいの小さな効果ならばある」
以上が、カリフォルニアの状況だ。米国の他都市も、おおむね、似た状況にある。
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例外はニューヨーク市だ。ニューヨーク市では、例外的に、感染者が激減している。その理由は、ロックダウンだけでなく、マスク義務化をしていることだ。
実際、マスクをしない母親が警察に制圧されるほどだ。前出 の動画を再掲しよう。
ニューヨーク以外では、逆に、マスクの着用率は低いようだ。のみならず、マスクの効果そのものを認めない人も多いようだ。
→ 「神様に与えられた呼吸を奪うのか」、マスク義務化に断固反対のアメリカ市民 - BBC
トランプ大統領も、マスク否定論の急先鋒だ。
→ 「絶対にマスクしない」米大統領が起こす大波紋
そのためとあれば、医療面で大迷惑をかけることも厭わない。
→ トランプ大統領が視察した医療用綿棒を廃棄、マスクなしで工場見学
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こういう状況だから、マスクなしの米国では、「感染者をどんどん増加させている」という状況にある。
米国の新規感染者数(日ごと)
出典:Worldometer
ロックダウンだけをして、マスク義務化をしないことの結果が、これだ。
さすがにこの事実に気づいたらしくて、カリフォルニアではマスク義務づけされるようになった。6月18日から。
カリフォルニアでマスク着用義務付け
しかし、その効果はまだ出ていない。それも当然で、命令が出たからといって、一夜にして人々が全員、マスクを付けるようになるわけではないからだ。そもそも、マスクをもっていない人も多いだろう。
マスク普及までの道は険し、というところか。アンチマスクはの人も多いようだし、実効性が見られるまでには、時間がかかりそうだ。
[ 付記1 ]
米国でマスク義務化に反対する人が多いことについて、はてなブックマークでは共感する人が多い。「義務化なんかイヤだ。縛られるのはイヤだ」というふうに。
→ はてなブックマーク
それでいて、ロックダウンや外出制限については、「推進せよ」という人が多い。
しかし、すでにほとんどの人がやっている「マスク義務化」には反対するくせに、ものすごい行動制限である「ロックダウン・外出」については歓迎する……というのは、頭がおかしいとしか思えない。「マスクをするくらいなら、死んだ方がマシ」というのに似ている。
[ 付記2 ]
東京都では最近、感染者数が増えているが、これは主として、「夜の街」や「多人数の会食」が理由だ。そのいずれも、マスクなしで飛沫を飛ばしていること核心だ。
こういう状態を放置しているのが、東京都(知事)だ。別項の本文とコメント欄で言及したとおり。
→ 東京都の感染増加(47人): Open ブログ(6月14日)
→ 東京の感染増加(6月下旬): Open ブログ
東京都の感染者増加を見て、「緊急事態宣言や外出制限を解除しなければよかった」という人がいる。
→ はてなブックマーク
しかし、ロックダウンや外出制限は、ほとんど効果がないのである。そのことは、本項の本文で示した通り。(グラフによる検証)
[ 付記3 ]
結局、マスク嫌いの国は米国であり、感染者の増加が止まらない国も米国である。この点では、米国とブラジルはよく似ているね。マスク義務化をいくらかやっている欧州各国とは全然違う。
マスク義務化が徹底されている日本・台湾・中国・韓国とは正反対だ。
※ ただし韓国は、最近になってマスク義務化が緩んでおり、感染者の増加が見られる。
※ 日本では、政治的にはマスク義務化がなされていないが、国民が自発的にマスク義務化を(ほぼ)実施中である。政府は馬鹿だが国民は利口だ、というわけ。(岩田健太郎みたいな例外もいるが。)
【 追記 】
朝日新聞の記事(2020-06-28)から。
米国では、感染者数が急増している。ロックダウンを解除したせいらしい。
《 米、1日で新規感染4万人 過去最多 》
米国の1日当たりの新規感染者数が26日、過去最多となる約4万人を記録した。
全米50州のうち、テキサス、フロリダなど南部や西部の16州で感染者数や検査による陽性率が増加。
( → 朝日新聞 )
《 米国で感染が再拡大 》
米国で新型コロナウイルスの感染が急速に再拡大している。ニューヨーク・タイムズの集計によると、26日は約4万5千人の感染者が確認され、3日連続で過去最多を記録。
( → 朝日新聞 )
そこで、ロックダウン解除をやめて、ふたたび制限をしようとしているところもある。
《 米国、経済再規制の動き 感染急増、知事にも危機感 》
米国で新型コロナウイルスの感染拡大が再加速していることを受けて、経済活動を再び制限する動きが出始めた。これまで多くの州では感染防止よりも経済を優先させてきたが、急激な感染の増加を受けて、見直しを迫られている。
南部テキサス州のアボット知事(共和党)は26日、バーの営業を停止し、レストランの収容人数を50%に減らすように知事令を出した。同州は米国の中でも積極的に経済活動の再開を進め、バーなども5月から営業が認められていた。しかし、この数日は1日あたりの新たな感染者数が5千人前後と過去最多の水準を記録。
南部フロリダ州も……26日に8942人の新たな感染者を確認。24日に1日5508人と過去最多を記録したばかりだったが、これを大幅に上回った。
米政府は4月、経済再開に向けたガイドラインを公表。新型コロナの症状を訴える人や感染者数が14日間にわたって減少することを確認しながら、段階的に進めることを求めた。しかし、実際には多くの州がこのガイドラインを踏まえずに規制を緩和しており、感染症や公衆衛生の専門家による分析では、33州の対策が「不十分」とされている。
( → 新型コロナ:朝日新聞 )
一方で、マスクはどうかというと、まったく推奨されていない。
フロリダ州のデサンティス知事は……マスク着用の義務づけについては「逆効果になる可能性がある」と否定的だった。
( → 米国、経済再規制の動き 感染急増、知事にも危機感 :朝日新聞 )
トランプ氏は大統領選に向けた集会も再開しているが、マスク着用は「自分はしたくない」として否定的だ。共和党支持者の間でも「マスクをつけるのは弱さの証拠」という考え方があり、選挙集会でも大半の人がつけていない。
( → 朝日新聞 )
どうしてもマスクをしたくないらしい。「死んでもマスクをしたくない」という感じ。「マスクをするくらいなら死んだ方がマシだ」ということか。
いかにも馬鹿げているが、これは、アメリカ人だけの特徴ではない。日本政府や東京都も同様だ。
・ マスクの義務化はやらない。
・ そのせいで旅館やイベント業者が倒産してもいい。
つまり、「マスクをするくらいなら、経済的に死んだ方がマシだ」というわけ。これが、日本政府や東京都の方針だ。
そのせいで、「経済的な死」である倒産が続出しているそうだ。今後も増える見込み。
→ 新型コロナ:「あきらめ時だ…」 休廃業・解散、今年5万件ペース :日本経済新聞
→ 持続できない、老舗廃業 「新しい生活様式」と言われても:朝日新聞
→ 届かぬ支援「事業継続もう無理」 途絶えた訪日客、従業員守ろうにも:朝日新聞
たしかに、観光客が激減している現状では、廃業するのが最善だろう。無駄に赤字を垂れ流し続けてから倒産するのは最悪だ。さっさと店じまいする方が賢明だ。
ただし、である。これというのも、政府が「外出制限」「旅行制限」「イベント自粛」なんかを続けているせいだ。
そのかわりに、「マスク義務化を条件に、これらの制限を解除すればいい」とすれば、廃業を免れる。つまり、経済的な死を免れる。なのに、そうしない。「マスク義務化をするくらいなら、「経済的な死を招く方がいい」というわけだ。日本政府や東京都もまた、「マスクをするくらいなら、「死んだ方がいい」と思っているわけだ。アメリカ人並みの愚かさだね。アメリカ人を笑えたものじゃない。
※ ついでだが、はてなブックマークも同様だ。マスク義務化に反対する人が多い。この件は、先に述べたとおり。 → [ 付記1 ]
先生がコロナにかかる確率は低い
(ロックダウン+マスク)> (マスク)>(ロックダウン)>なし
ということか。
もっとも、米国人はトランプ大統領をはじめとして、マスクぎらい、経済優先主張者が多いので収束しないようだ。
世界の感染者は1000万1527人、死者は49.5万人で約5%。
世界人口は77億なので、単純計算で3億8500万の死亡者がでるということか。
77億人の40分の1は2億人。最大限でそのくらいが死にそうです。
現実には、アビガンやワクチンが登場するので、もっとずっと少ない数になるでしょう。