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(1) プロ野球とサッカー
プロ野球が無観客試合で開幕した。サッカーのJリーグも近いうちに同様にする予定。観客を入れたあとも、どちらも定員は限定される。プロ野球もJリーグも、 5000人以下または定員の 50%以下。現実には、定員が 1万人を越えるスタジアムばかりなので、5000人という制限で引っかかるせいで、定員の1〜 1.5割ぐらいになるようだ。
なお、この数字は、前項で示した「政府の基準」に従うせいだ。
・ 6月19日からは無観客でのみ認める。
・ 7月10日からは 5000人か定員の 50%以下。(少ない方)
この数字のせいで、強制的に観客数が制限される。
しかし、これはあまりにも馬鹿げている。そのことは、次の話からわかる。
(2) 飲食店の応援
スタジアムの入場はきつく制限される一方で、飲食店への入場は大幅に緩和された。

出典:朝日新聞(拡大画像あり)
画像を見ればわかるように、プロ野球のファンが飲食店で大騒ぎしている。
・ 密閉された部屋(換気は悪そう)
・ 距離は近い
・ マスクなし
・ 大声で騒ぐ
・ 飲食する (飛沫が付いたものを食べる)
・ 加熱したものだけでなく冷たい飲料や食品も取る。
まるで感染の巣窟だ。(感染者がいれば)これで感染しない方がおかしいぐらいの「感染しやすい状況」だ。
スタジアムを無観客にすることで、こういう「感染しやすい状況」をどんどんのさばらせようというのだから、狂気の沙汰と言うしかない。
政府は、「感染の阻止」よりも、「感染の拡大」を狙っているとしか思えない。政府の方針を推進すれば推進するほど、スタジアムにいるべき人々が、飲食店で(マスクなしで)騒ぐので、感染が増える。
(3) 正解は?
では、どうすればいいか? それは、私が前から何度も言っているとおりで、「マスク義務化」をすればいい。(飲食店ではマスクの義務化は無理だとしても)スタジアムでは、マスク義務化を条件に、多数の観客を入れていいのだ。(その分、飲食店で騒ぐ人がいくらか減る。)
現状では、観客数は 5000人(1〜1.5割)が上限になっている。だが、当面は定員の5割を上限とすればいいだろう。さらに、なるべく近い将来に、人数の制限を撤廃するべきだ。
ただし「マスク義務化」が条件だ。マスクさえしていれば、かなりの密集があっても構わないのだ。特に、屋外で換気が十分である状況ならば。
※ 屋外ならば、呼気が 10分間以上もずっと滞留することはない。すぐに遠くに拡散される。
(4) 3密は無意味
政府が(やたらと過度に)人数制限をしたがるのは、なぜか? 「3密を防ぐ」ことが目的だろう。特に、「ソーシャルディスタンスを保つこと」「密集を避けること」が目的だろう。
ただし、注意。政府がこの方針を取っていたのは、専門家会議が「マスクをするべし」という前のことだ。専門家会議は最初からずっと「3密を避けよ」と言っていたが、「マスクをせよ」と言ったのは、5月4日以後のことだ。
→ マスクの話題 7: Open ブログ
要するに、政府が「3密を避けよ」という方針を大々的に取っていたのは、「マスクを着けよ」と推奨した5月4日よりも前の方針だったのである。ここでは、「マスクを着けない」ということが前提となった上で、「3密を避けよ」という方針を取っていた。
なるほど、「マスクを着けない」という条件でなら、「ソーシャルディスタンスを保つ」という方針は妥当だろう。そのことは、WHO も岩田健太郎も言っていた。
「マスクなんか無効だから、しなくていい。かわりにソーシャルディスタンスを保て」
と。
なるほど。それはそれで、一つの方針である。(間違っていると判明したので、のちに WHO は撤回したが、ともあれ、一つの方針である。)
一方、「マスクを着用する」ということになれば、もはや「マスクをしない」という条件は成立しない。したがって、「マスクをしない」という条件の下で成立していた「ソーシャルディスタンスを保つ」という方針は、もはや妥当でなくなるのだ。
かわりに、「マスクをしていれば、(ことさら)ソーシャルディスタンスを保たなくてもいい」という結論が出る。これが正解だ。
(5) 結論
結局、「マスクをする」という条件では、屋外のスタジアムで、定員の 100%ぐらいの密集は、十分に許容されるのである。
それは、居酒屋でマスクなしで飲食をするのに比べれば、圧倒的に危険度が低い。
また、密閉された観光バスで長時間もいっしょに過ごすのよりは、ずっと危険度が低い。
居酒屋や観光バスの危険性を放置しておいて、スタジアムには定員 50% も認めないなんて、物事の軽重を間違えているというしかない。
換気のいい屋外のイベントばかりがやたらと敵視されるのはおかしい。安倍首相のイベント中止もそうだが、イベントばかりにめくじらをたてるのはナンセンスだ。
思えば、屋形船のときも同様だった。やたらと「密集」ばかりが着目される一方、「屋形船では会食をしたので、飛沫だらけの食事を食べた」ということが無視されていた。「密集」ばかりにこだわることで、真実を見る目を曇らされた。
( ※ だから小池都知事のように、「夜の街」でのマスク義務化をいつまでも実行しないままだ。「密集」ばかりにこだわって、「飲食からの感染」を無視するからだ。馬鹿丸出しというべきか。頭隠して尻隠さずというべきか。)
※ 観光バスについては、下記に記事がある。
→ やっと、わくわく 移動自粛解除、初の週末:朝日新聞
→ 京都市内観光バス 一部運行再開|NHK 関西