2020年06月19日

◆ 制限解除後の方針(コロナ)

 緊急事態宣言の解除(ステップ1)のあとで、制限解除(ステップ2)がなされた。その意味を考える。

 ──

 政府は制限解除を決めた。
 18日、安倍総理は総理大臣官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部を開催し、先般改定した基本的対処方針にのっとり、19日から社会経済活動のレベルを一段引き上げることを決定した。
 これによって、都道府県をまたぐ移動については、一部の首都圏や北海道との間も含めて制限がなくなるほか、コンサート等のイベントを開催する際の目安となる人数や収容率も緩和され、また接待を伴う飲食業等、一定の業種についても、ガイドラインを守ることを前提に、休業要請が撤廃される。
( → 都道府県境またぐ移動の自粛要請を解除、イベントの人数基準も緩和 | 展示会とMICE

 緊急事態宣言の解除(ステップ1)は、5月25日。
 制限解除(ステップ2)は、6月19日。
 それぞれ、次のようになる。


meyasu1.png

meyasu2.jpg
出典:eventbiz.net(元は厚労省)


 その意味を考えよう。(批判する。)


 (1) 東京が危険

 全国的な感染者数は減っているが、東京だけは例外だ。「夜の街」と院内感染で 20人、市中感染で 20人、合計 40人というレベルが、ここのところずっと続いている。減る気配がない。
 本来ならば「夜の街」の規制を推進するべきなのだが、現状では「マスクなしの会話」が横行しているので、減るはずもない。
 だったら、東京だけは、旅行などの対象外とするべきだ。
  ・ 東京都民が都外に出る旅行
  ・ 他の県民が都内に入る旅行

 この双方を実施するべきだ。さもなくば、東京から全国へと、感染が拡大する。

 ※ そもそも「夜の街」で「マスク義務化」をすれば済む問題なのに、そうしないから、上記のことをする必要が出る。小池都知事と政府がアホすぎる。


 (2) GoToキャンペーン

 GoToキャンペーンが8月上旬から実施される。
  → GoToキャンペーン最新情報はこちら|8月上旬開始予定、旅行や飲食代金を補助
 しかし、8月上旬にこんな推進策をするのは、おかしい。「6月19日〜7月末」という期間には旅行を制限して、8月上旬に一挙に推進策に転じるというのでは、整合性がとれない。別に8月になると急激に安全になるわけでもないのだが。
 どうせなら、6月〜7月前半という閑散期に、ある程度の客を招くべきだ。それなら「密」にもならないし、危険度も低い。
 なのに、6月〜7月前半にはガラガラにしておいて、そのあと8月からは一挙にキャンペーンで大量の客を招いて「密」にするのでは、かえって危険性が増す。
 これでは、「莫大な金を投入して、密を作り出す」というのも同然だ。阿呆の極み。


 (3) 夏休みとの重複

 そもそも7月下旬〜8月下旬は、夏休みなので、客がいっぱい押し寄せる。あえて「客を招く」という必要はないのだ。
 例年だって、たいていは、「宿は常時満員」というありさまで、供給量を大幅に上回る需要がある。その需要が3割ぐらい減ったとしても、まだ満員状態になるだろう。なのに、ここで需要を喚起するような政策は、必要ない。無意味だ。(何もしなくても満員になるのだから。)
 しかも、今年は、3月〜6月まで、旅行が禁じられていた。そのうっぷん晴らしをしたい人がたくさんいる。旅行のための金も貯まっている。単に解禁するだけで、夏休みには大量の旅行客が押し寄せるはずだ。
 GoTo キャンペーンをする必要性はまったくない。やってもやらなくても、どっちみち夏休みは宿が満員になる。

 ※ むしろ、6月19日〜7月中旬にこそ、客を招く策を取るべきだ。そのためには、特に資金を投入するよりも、単なる規制限和の方がいいだろう。現状では、「旅行を自粛しましょう」と言っているが、東京都民以外の旅行ならば、問題ないはずだ。特に、マスクをしていれば。
 ※ 9月以後に推奨するのでもいい。


 (4) 対案

 政府の案は馬鹿げているので、対案を出そう。それは、
 「観光客でなく、宿泊施設に金を出す」
 という基本方針だ。

 現状では、「5割引(ポイント還元を含む)」という形で、観光客に金を渡そうとする。得をするのは観光客であって、宿泊施設ではない。これでは、助ける相手が違う。
 
 そこで、まずは次の二つに分ける。
  ・ 金を与える
  ・ 観光客を増やす


 現状では、これがゴッチャになっている。そのすえに、
 「観光客に金を与える」
 という方針が取られている。しかしこれでは、観光客が得をするばかりだ。
 
 かわりに、上記のようにする。つまり、
 「観光客でなく、宿泊施設に金を出す」
 ということだ。
 そのための具体策は、「税金の還元」だ。
  ・ 過去に払った税金を還付する
  ・ 将来に払う税金を免除する。


 たとえば、固定資産税、消費税、法人税などを、過去に納税していたはずだ。また、将来にも納税するはずだ。これらの納税の額を、還付または免除すればいい。たとえば、
  ・ 過去3年分の還元
  ・ 将来3年分の免除

 などだ。

 どの程度の範囲にするかは、与える金額の規模で決まる。小規模ならば、過去の固定資産税の分だけ。大規模ならば、上記の全部。(過去・将来・各種税)

 また、「全額の免除・還付」でなく、「半額の免除・還付」でもいい。

 この方式のいいところは、次のことだ。
  ・ 事業規模に比例して、公平に金を与える。
  ・ まともに納税していた会社ほど、優遇される。


 一方、現行の政府案だと、その逆だ。
  ・ 事業規模に関係なく、定額を与えるので、不公平だ。
  ・ まともに納税していない悪徳会社も、優遇される。


 「きちんと納税していた誠実な会社ほど優遇される」というのが、本来のあり方だろう。

 なお、「貧しい会社にも存続する権利はある」というような理屈は成立しない。なぜなら会社には生命はないからだ。人の生命は何よりも重要だが、会社の生命などは犬1匹の価値もない。赤字を垂れ流すだけで納税しない会社は、社会的には有害なのだから、さっさと市場から退場する方が、世の中のためだ。人を殺すことは悪であるが、赤字会社を殺すことは善なのだ。

 ※ 日本は国全体の生産性が低い。それは中小企業が優遇されすぎるのが原因だ。生産性の低い中小企業が優遇されるので、優勝劣敗が進まなくて、劣悪な企業が温存される。一方、スウェーデンなら、国民の大半が大企業に勤務するので、生産性が高い。
 ※ 劣悪な中小企業をどんどんつぶせば、人々はみんな失業するようになるのではなく、人々はみんな大企業に勤務するようになるのだ。スウェーデンのように。

 なお、金を渡すのを「税の免除」という形にすると、その事務手続きはすべて納税手続きといっしょにできるようになる。年末の国税庁の手間が少し増えるだけであって、特に大きな手間はかからない。従って、電通に何千億円もの手薄料を払うような無駄は必要ない。


 (5) イベント

 野球観戦や観劇などのイベントについては、「定員の 50%」というような制限が続く。だが、これは必要ない。
 密集で感染が起こりがちなのは、マスクをしていない会食中の場合がほとんどだ。
 野球観戦や観劇ではマスクをしているのだから、特に「密」の対策をする必要はない。どちらかと言えば、換気の方が重要だ。
  ・ 屋外のスタンドならば、換気はもともと十分だ。
  ・ 映画館や劇場は、換気はもともと十分だ。(建築規制で)


 というわけで、「定員の 50%」というような制限は必要ない。こんな制限は撤廃した方がマシだ。かわりに「全員マスク」を徹底するべきだ。
  ・ 入場時には、マスクなしなら入受拒否。
  ・ 入場後は、マスクを外した人は退場させる。
  ・ 飲食したいのならば、席を外して、飲食コーナーへ。
   (そこでは換気が非常に強力。)


 ただ、原則としては、飲食を禁止した方がいいだろう。
 「飲食は禁止するが、定員の制限はしない」
 というのがベストだ。逆に、
 「定員は 50%に制限するが、飲食は禁止しない」
 というのでは、感染が多発する危険がある。特に観戦中の飲食は、非常に危険だ。自分が飛沫を飛ばすだけでなく、他人の飛沫をもらって、経口感染する危険が高い。……これを考慮していない政府の方針は、てんで駄目だ。

 ※ 旅行もそうだ。観光バスや観光列車のなかでの飲食は禁止した方がいい。また、宿泊施設でのバイキングも禁止した方がいい。(飲食を通じた感染の危険がある。)
 ※ 一方、宿泊施設における「部屋食」(個別の部屋での飲食)は、まったく禁止する必要がない。これを含めて旅行を制限している現状の方針は、まったく見当違いだ。


 (6) 分割登校

 同様の理屈で、学校の「分割登校」もやめた方がいい。
 現状は「出席率 50%」になるように、教室の定員を半分にしている。午前と午後で分割登校をしている。
 これだと、出席率が半分なので、受けられる授業の数も半分となる。(教師の数が同じなので。)
 実際には、半分よりは少し上になりそうだが、たいして違いはない。子供の教育が半分になっているという、ひどいありさまだ。
 こういう状況(教育の貧弱化)は、やめるべきだろう。マスクをしている限りは、「密」を恐れる必要はないのだ。(むしろ給食の方に注意。)




 【 関連項目 】

 本項と似た話は、前にも書いたことがある。
  → 宣言解除後の行動方針: Open ブログ の (5)

 本項の話と共通するところも多いが、本項の方がはるかに詳しい。本項を読むだけでも足りる。

posted by 管理人 at 23:18| Comment(9) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
仰る通り会社が存続すべき理由は基本的にありません。重要な社会インフラならいざ知らず完全競争に近い市場のプレイヤーほど、言い方は悪いが情は不要です。特定産業の支援を厚くしてゾンビ企業を延命させることはこの国の将来をより暗いものにするでしょう。倒産したら最悪生活保護があります。潰れた会社はプライベートエクイティが買って行くかもしれません。この新陳代謝が経済の骨格を強くします。
Posted by MySweetFeminist at 2020年06月20日 00:09
最後に  (6) 分割登校  を追加しました。
Posted by 管理人 at 2020年06月20日 08:00
生産性が上がると、失業者は増えるんだが…需要が同じなら、失業者の数は生産性に比例する
Posted by アンチ at 2020年06月20日 10:34
 高度成長期には、生産性が上がって、給料が上がって、失業者が減って、いいことずくめ。
 現代では、生産性が上がって、労働者が解雇されて、失業者が増える。

 その違いは? 労働者がストをするかどうか。
 今は、ストをするかわりに、スマホを見る。昔の労働者は社会党を支持してストをしたが、今の労働者は自民党を支持してスマホを見る。
 現代の若者が貧しくなるのは、自業自得。スマホのせい。
Posted by 管理人 at 2020年06月20日 11:08
生産性が上がると失業率が増えるという議論から生産性向上の努力を怠れば資本の海外流出を加速させ一億総貧困を招くだろう。そして労働集約的産業中心の発展途上の社会主義国に転落するだろう。
Posted by MySweetFeminist at 2020年06月20日 14:23
需要が同じならと書いている。
高度経済成長期と今とでは、スト以外の要素も違いすぎる。ストなんてほんの一部の要素でしかない。
Posted by アンチ at 2020年06月21日 00:09
> 需要が同じなら

 その仮定自体が無意味。
 「所得が増えれば需要も増える」
 というのがマクロ経済学の原則だ。
 原則を無視した仮定に基づく説は、すべて砂上の楼閣。虚構。

> ストなんて

 そうやって自主的に武装解除するから、経営者側の攻撃に無防備になって、圧倒的に賃下げされるんですよ。労働分配率は、ここ 20年ぐらい、大幅に下がっている。いくら下がっても、文句を言わずに、唯々諾々として従うのだから、当然だろう。
 家畜に与えられるエサは、ご主人様の決めた分量だけでしかない、ということ。いくら削られても、文句は言えない。
 ま、精神的に去勢されたようなものだ。一切抗わず、与えられたものだけで満足しなさい。

Posted by 管理人 at 2020年06月21日 00:34
>だったら、東京だけは、旅行などの対象>外とするべきだ。
  >・ 東京都民が都外に出る旅行
  >・ 他の県民が都内に入る旅行

神奈川、埼玉、千葉は東京と同じ扱いになるのですか?
Posted by 77 at 2020年06月21日 05:10
 東京と同じ扱いになりません。 各県の感染者数は少ないので。

 というか、都知事がまともに対応していれば、東京都は今ごろは激減していたはずなのに。
Posted by 管理人 at 2020年06月21日 05:27
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