2020年06月19日

◆ 選挙の買収は合法だ

 国会議員の河井夫妻が、選挙の買収の容疑で、逮捕された。しかしながら、買収は合法だと見なせる。

 ──

 河井夫妻が逮捕されたことで、マスコミは大騒ぎだ。ここでは違法行為が前提とされている。
 これについて本サイトのコメントを求める人もいるだろうが、本サイトの読者ならば、当り前の見解などは求めないだろう。一ひねりした独自の見解を求めるはずだ。そこで、こう述べよう。
 「河井夫妻は買収をしたが、買収は合法である」

 そんな馬鹿な! と思う人が多いだろうが、同時に、その理屈を知りたがる人が多いだろう。そこで、説明しよう。

 ──

 今回の買収は、一般人を対象とした買収ではなく、政治家を対象とした買収だ。そして、政治家を対象として金を与えることは、「政治献金だ」と言い逃れをする余地があるのだ。
 個人が政治家個人に献金する場合は政治家が指定する資金管理団体や後援会などの政治団体に献金することになります。企業から政治家個人への献金はできません。
( → 政治献金ってなに?

 このような形で、「政治家個人 A から政治家個人 B へ」という献金が合法化されている。とすれば、今回の買収も、「献金だ」と言い張れば、合法になるのだ。

 ただ、そこが論点となるので、検察は今回の事例で、「選挙のときに限っているから、献金ではなく買収だ」と論証したいようだ。
 なるほど、たしかに実質的には買収だし、状況証拠からも買収であることは疑いない。しかしながら法的に見る限りは、形式的に「献金だ」と言い逃れをする余地があるのだ。

 仮に私が裁判官だったら、
 「実質的には買収であることは間違いないが、形式的には政治献金だと見なす余地があるので、嫌疑不十分として、無罪」
 という判決を下すと思う。「疑わしきは被告人の利益に」という立場だ。

 ──

 ではそれでいいのかというと、もちろん、良くない。そもそも、「政治家個人から政治家個人への献金を容認する」という現行制度が、実質的に「買収を容認する」というのと同義なのである。
 そして、「買収を容認する」という法律があるからには、買収は容認されるのが当然なのだ。

 とすれば、責められるべきは、「政治家個人から政治家個人への献金を容認する」という現行制度そのものだ。
 だいたい、他人から献金を受ける政治家が、他の政治家に献金するなんて、自己矛盾も甚だしい。
 では、どうするべきか? 次のいずれかにするべきだ。
  ・ 他人から献金を受けた政治家は、他人に献金してはいけない。
  ・ 他人から献金を受けない政治家は、他人に献金してもいい。


 これは要するに、「他人に献金したい政治家は、自分では献金を受けてはいけない」ということだ。「もらうか与えるか、どちらか一方にするべきだ」ということだ。「もらって与えるという双方をしてはいけない」ということだ。
 これならば、理屈が立つ。

 現行の法制度は、そうなっていない。「もらって与える」ことが許されている。だから、河井夫妻はそうした。そして、それは、現行の法制度では認められているのだから、原理的には無罪になっていいはずなのだ。

 要するに、買収の大好きな自民党が、「買収してもいい」という法制度を作ったのが、諸悪の根源である。ここでは、河井夫妻を責めるよりは、こんな馬鹿げた法律を制定している自民党を批判するべきなのだ。



 [ 付記 ]
 企業が政治家個人に献金することは、現行制度でも禁じられている。個人への献金がよろしくないということは、とっくに判明している。
 なのに、自民党が法律に穴を作って、「政治家個人から政治家個人への献金は合法」というふうにしてしまった。ここが問題なのだから、ここを解決するべきだ。つまり、この穴をふさぐべきだ。
(最初から穴を作っておく方が悪い。犯罪者が自分に有利な法律を作っているのも同然だ。)
 
posted by 管理人 at 23:00| Comment(7) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に [ 付記 ] を追加しました。
Posted by 管理人 at 2020年06月20日 11:38
合法になる理屈が分かりませんが
政治家間の個人から個人への買収行為は違法ですよね。
資金管理団体を迂回して個人に行くのはありですが。
Posted by あさひ at 2020年06月23日 09:40
> 資金管理団体を迂回して個人に行くのはありですが。

 そういう意味です。
Posted by 管理人 at 2020年06月23日 12:34
 以下、記事の引用。

 ──

 金子恵美氏がラジオで爆弾発言だ。
 テレビ番組で「(河井夫妻のようなことは)みんなやっている」などと発言し、「憶測で言うな」と批判が出ていることに対する真意を問われ、こう発言したのだ。
「憶測ではなく、実際、私自身もですね、正直、選挙の時に『お金を配らなければ、地方議員の皆さんとか。みんな、協力してくれないから。みんな、やってるんだから、配りなさい』というふうに私自身言われました(教えられた)」
「各県それぞれ、やり方があるみたいですね。完全にアウトにならないグレーなやり方とか。名目を変えるとか。実際、お金が飛び交っているという事実は、過去の話のように思われるかもしれないが今現在も残っている」

 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/275038

 ──

 朝日の記事によると、金を出した趣旨は、「私を応援してくれ」ということではなく、「対立候補の応援をやめてくれ」(それだけでいい)とのことだったらしい。
 というのは、県議はみんな対立候補の応援をしていたから。

 「何もしないこと」に対して金を払うのは、買収とは認めがたいだろう。仮にそれが有罪なら、莫大な数の人が逮捕されてしまう。「何もしないことが罪」なのだから。
 
Posted by 管理人 at 2020年06月23日 21:27
企業の社長が個人として献金は認められててそれは合法だったと思うけどなぁ
Posted by かーくん at 2020年06月24日 08:58
>>「何もしないこと」に対して金を払うのは、買収とは認めがたいだろう。

案里氏が当選する、案里氏を当選させる、案里氏の対立候補を当選させない、等が目的で金を払えば買収です。
選挙運動をやめたことに対する報酬として金を払っても買収です。

「何もしないこと」に対して金を払うのは買収とされる可能性が結構高いとおもいます。
Posted by nb at 2020年06月25日 10:05
> 等が目的で

 何が目的であるかは、本人の心の問題であるから、本人が「それは目的ではない。ただの政治献金だ」という言い逃れが成立する。

 同時期に政治献金をした人は多数いるが、彼らも「買収」で逮捕されるのか? 

> 金を払うのは買収

 自民党の票を増やすことを狙って、国民に一律に 10万円を給付したら、首相と公務員はみんな逮捕されるのか? 国民もみんな「買収された」と逮捕されるのか? 
Posted by 管理人 at 2020年06月25日 11:35
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