2020年06月17日

◆ 新型コロナウイルスの話題 23

 新型コロナウイルスの話題を三つ。(デキサメタゾン、高血圧、院内感染)

 ──

 デキサメタゾン


 デキサメタゾンという薬が重症者の死亡率低下に有効だ、という報道がある。
 オックスフォード大学は16日、抗炎症薬のデキサメタゾンが新型コロナウイルスの重症患者の死亡率を下げる研究結果が出たと発表した。
 3月から約6400人を対象に、投与した患者としていない患者を比べた。デキサメタゾンの投与により人工呼吸器が必要な患者の死亡は3分の1、酸素吸入をする患者の死亡は5分の1、それぞれ少なくなったことが分かった。
( → 新型コロナ:低価格の抗炎症薬、新型コロナの死亡率低下 英大調査 :日本経済新聞

 素晴らしい新薬が見つかったかのような報道もある。
  → 新型コロナウイルス治療に「画期的発見」 ステロイド剤が重症患者に効果 - BBCニュース

 だが、そうではない。これはただのステロイド剤だ。ステロイド剤なら、日本でもオルベスコが知られている。
 また、ステロイドには、サイトカインストームの抑制に効果があるということは、既知の話だし、本サイトでも前に論じた。
  → 新型コロナの薬(免疫系): Open ブログ

 だから、医学的な意味では、ことさら目新しいことはないのだが、まったく無意味な報道かというと、そうではない。というのは、WHO はこれまで「新型コロナにステロイド剤を使うな」と言ってきたからだ。
  → 新型コロナ、ステロイド投与で効果も WHO推奨せず - WSJ
  → 新型コロナへのステロイドは支持されない|医療ニュース

 こういう方針を出していた WHO の態度を急変させたので、今回の治験には十分に意義があったと言える。(報道は過大評価気味だが。)

 ──

 ただし、注意すべきこともある。
 (i)ステロイド剤は、重症者の死亡率を下げる効果はあるが、軽症者の治療には効果がない。ウイルスの増殖を止めるわけではないからだ。
 (ii)軽症者にとっては、ステロイドが免疫力を抑制するので、かえって症状を悪化させる危険がある。
 (iii)死亡率を3割程度下げるといっても、大幅な改善というほどではない。アビガンの早期投与なら、はるかに大幅な死亡率低下が見込める。実際、日本では、アビガンの投与後では、全体の死亡率が 20% 程度から5%程度にまで激減した。ステロイドには、それほど大きな効果は見込めない。
 (iv)価格も、特に安いというほどではない。記事によれば、1人あたり 4,700円とのことだ。アビガンの早期投与ならば、インフルエンザの3倍量でなく1倍量の投与で、8,000円ぐらいで済む。中等症になって3倍量の投与だとしても、24,000円ぐらいだ。アビガンの方がいくぶん高価だが、死亡率を劇的に下げる効果が見込めるので、コスパで考えるなら、アビガンの方が圧倒的に上だろう。

 いろいろ考えると、最善の処方はこうだ。
  ・ 軽症のうちに、アビガンの早期投与
  ・ それが間に合わなかった重症者には、アビガンとステロイドの併用


 なお、ステロイド単体の使用は、死亡率があまり低くならないので、お勧めできない。それが今回の事例に該当する。
 なお、軽症者へのステロイド投与は、病状を悪化させる可能性があるので、禁忌である。

 高血圧


 高血圧の薬には免疫抑制の効果があるので、高血圧の人は新型コロナに感染したときには注意が必要だ……という話がある。
  → 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)してはいけない 5つのポイント
  → 本当は恐ろしい降圧剤がもたらす副作用 医師が血圧の薬を飲ませる「背景」

 具体的に該当するのは、次の二つだ。
  ・ アンジオテンシンII受容体阻害剤(ARB)(オルメテックなど)
  ・ カルシウム拮抗剤(アムロジピン:ノルバスクなど)

 これらの高潔薬薬を処方されている人も多いだろう。とすると、「これらが危険だ」となると、他人事ではない人が多いだろう。

 ただし、である。上記の2剤が免疫抑制効果を持つということは、どうも、あやふやである。少なくとも Wikipedia にはそんな記述はない。
  → 高血圧治療薬 - Wikipedia

 また、ネット上で検索しても、上記の2ページ以外には、ほとんど記述を見出せない。

 また、上の二つのページで警鐘を鳴らしている人は、「トンデモ系医師」「大騒ぎ系医師」というふうに、色眼鏡で見られることの多い医師である。信頼性が著しく低い。
 だから、「高血圧の薬は、免疫抑制効果を持つ」という説の信頼度は、かなり低い。

 ただし、である。それとは関係なく、「高血圧の人は、基礎疾患っぽいところがあって、新型コロナでは死亡率が高くなる」という事実はあるようだ。(ほぼ確実)
 また、新型コロナに限らず、「高血圧の人は、死亡率が高くなる」という傾向がある。
 だから、薬を使うかどうかということ以前に、「高血圧を治しておくといい」(薬を使わないで済むようにした方がいい)ということは言える。

 では、そのためには、どうすればいいか? 通常は、次の三つが推奨される。
  ・ 塩分を控えめに。
  ・ 運動をする。
  ・ 睡眠時間を増やす。


 ただし、この三つをやっても、一定限度までしか効果がないことが多いようだ。
 私が個人的に最もお勧めするのは、次のことだ。
  ・ 酒をやめる。特に寝酒をやめる。
  ・ そのために、昼間にコーヒーを飲まない。


 この二つをやると、血圧の数値が著しく改善した。
 酒については、ごく小量(通常の4分の1の分量)にまで減らせば、それで十分だと思える。この程度なら、特に悪影響がない一方で、お酒に酔う効果はちゃんと得られる。

 ※ 通常の限度量は、アルコール 25cc だ。これは、日本酒だと 180cc だが、5%のビールだと 500cc、7%のビールだと、350cc だ。……その4分の1ぐらいにしておこう。

 院内感染


 院内感染がなかなか止まらないが、どうしてか? ……という特集記事があった。
  → 3密の休憩室、体調不良でも勤務 相次ぐ院内感染の死角:朝日新聞

 院内感染の原因を分析している。はっきりと解明できたわけではないのだが、記事では、次のような例が示されている。
  ・ 患者は領域に隔離されるが、職員は共用部分で交わる。
  ・ 偽陰性の感染者が、一般病棟に移って、感染させる。

 こういう例がある。これらは、「ゾーニングの失敗」というふうに見なせるだろう。まともにゾーニングができていないから、必然的に感染が起こってしまうのだ。あまりにも低レベルの状況があった、と見なせる。

 ※ ゾーニングの失敗については、ダイヤモンド・プリンセス号で、ひどい状況だった……ということが、岩田健太郎医師の体験記で報告されたことがある。

 ──

 ゾーニングが院内感染の大きな要因だろう……ということは、本サイトでも前に述べたことがある。そちらも参照。
  → 院内感染とゾーニング: Open ブログ

 
posted by 管理人 at 23:15| Comment(1) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 高血圧について

> 高血圧の薬には免疫抑制の効果があるので、高血圧の人は新型コロナに感染したときには注意が必要だ……という話がある。

⇒ 免疫抑制云々はたぶん怪しいですが、本ブログの3月10日付「新型コロナウイルスの話題11」で、高血圧の人が重症化しやすいのは「ACE2」が関わっているとの指摘がコメント欄でありましたよね。このACE2膜タンパクは、新型コロナウイルスの受容体(感染の入り口)ということで、その後すっかり有名になりましたが。

 Posted by とおりがかり at 2020年03月11日 23:43
 http://openblog.seesaa.net/article/473976311.html

 筆者が本稿で挙げている参考記事のうち、下のリンクのものは、「アンジオテンシンII受容体阻害剤(ARB)やACE阻害剤は、このACE2をさらに増やす」というところがポイントですよね。
 いっぽう、カルシウム拮抗剤について、COVID-19に関わるデメリットを指摘した文献は見当たりませんので、高血圧で薬を服用している人は、この系統の薬への変更を主治医に相談してみてもいいかもしれません。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)してはいけない 5つのポイント(その2)
 ※ 4-3.の 4)の項の記述です。
 https://npojip.org/sokuho/200323.html
Posted by かわっこだっこ at 2020年06月18日 19:38
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