2020年06月10日

◆ マイナンバーと口座の ひもづけ

 給付金の振り込みなどのため、マイナンバーと口座をひもづける、という方針が出た。しかしその方法がわからないらしい。

 ──

 現状と問題提起


 1人1口座のひもづけ、という案が出た。朝日の記事から。
 マイナンバーと個人の預貯金口座のひもづけについて、高市早苗総務相は9日の閣議後会見で、国や自治体からお金を受け取るための口座の登録を「1人1口座(のひもづけを)できれば義務化させてほしい」と語った。同省内で法整備を検討するよう指示したことも明らかにした。
 一方で、これまで検討していた全口座のひもづけ義務化は見送る考えを示した。高市氏は、任意の口座ひもづけで登録が進まない場合は「給付金事務の簡素化は限定的になる」と指摘。すべての人に口座を登録してもらう仕組みの検討を事務方に指示した。
( → マイナンバーに1人1口座の登録義務化方針 高市総務相:朝日新聞

 9日の記者会見で、高市氏は義務化の具体的な方法までは言及しなかった。
 仕組みづくりを担う内閣官房番号制度推進室にきくと、担当者らは「検討はこれから」「ノーコメント」「まだわからない」などと口を閉ざした。「ものすごい難問」と漏らす担当者もおり、新たな方針をどう実現するかはまだ見通せないのが実情だ。
 高市氏としては、小さな子どもにも口座を持たせて登録させたい考えだが、法整備には子どもの口座開設の仕組みまで含めて調べる必要がある。

 すでに「案」として浮上しているのは、個人が専用サイトに登録するだけでなく、年金や児童手当などの受給で利用されている預貯金口座を、登録口座として国がマイナンバーといっしょに管理できるようにすることだ。行政側がすでに把握している口座なら、抵抗感が少なく登録を促進できるとの見方もある。
( → 首相「給付用ならいい」 口座登録義務化浮上の舞台裏:朝日新聞

 やるべきことはわかっているが、その方法がわからない、ということのようだ。困ったね。
 そこで、困ったときの Openブログ。具体的な方法を示す案を示そう。

 目標


 最初に、目標を示そう。何をめざすべきかという目標を理解することが大切だ。
 現状では、「任意の登録」が基本線となっている。この方法は、すでに 2018年に実施済みで、しかも、登録はほとんど進んでいない。
 金融機関の預貯金口座と任意で結びつける制度は、18年に始まったがほとんど進まない。
( → 首相「給付用ならいい」 口座登録義務化浮上の舞台裏:朝日新聞

 つまり、「任意の登録」では実効性が上がらない。だから「任意の登録」では駄目だ。かといって、「強制的に義務づける」というのも筋違いだ。
 特に問題なのは、登録の手間が困難な高齢者だ。「ネットや郵便で登録しろ」と言っても、できないまま、取りこぼしになってしまうかもしれない。それではまずい。
 では、どうするべきか? 私の案はこうだ。
 「全国民に対して口座を自動登録する」

 つまり、自動登録だ。国民の一人一人が何もしなくても、自動的に口座が登録される。そして、何もしないうちに、自動的にお金が振り込まれる。これならば問題がない。
 そこで、「自動登録」を目標とする。

 となると、あとは、この目標のために、何をすればいいか、という具体策が問題となる。
 この具体策としては、次の二つの方法を掲げよう。
  ・ 既存の口座
  ・ ID口座

 この二つだ。以下では、順に説明しよう。

  ※ この二つは、二者択一ではない。双方を二重に用意する。いわば、二重の網をかぶせるようなものだ。それによって、取りこぼしをなくす。
 

 既存の口座


 上の記事には、こうあった。
 すでに「案」として浮上しているのは、個人が専用サイトに登録するだけでなく、年金や児童手当などの受給で利用されている預貯金口座を、登録口座として国がマイナンバーといっしょに管理できるようにすることだ。

 年金や児童手当など、既存の口座を利用する、というわけだ。これを基本線にするといいだろう。細かく言うと、次の3通りだ。

 (1) 給付の口座

 年金や児童手当の口座をすでに利用している人については、この口座をそのまま使えばいい。これを基本線とする。
 高齢者には、この方法が最も適している。年金をもらう手続きをするのは、60〜65歳のときにすでに済ませている。すでに 90歳近い高齢者だと、知力も衰えているだろうが、すでに使っている年金の口座をそのまま使うだけだし、手続きなしに自動的に給付金が振り込まれるのだから、手間いらずだ。
 児童手当の口座も、同様にしていい。
( ※ 子供への給付は、子供本人ではなく、親への給付とする。なぜか? この給付は、お小遣いではなく、生活費だからだ。つまり、子供の食費や教育費に使うべきものだ。子供が勝手にテレビゲームなどに使うのは論外だ。)

 (2) 納税の口座

 年金をもらっていない 65歳未満の人ならば、納税のための口座を使うといい。固定資産税などの自動振込のための口座を登録している人も多いはずだ。そこに給付金を納入するといい。
 たとえば、毎年 15万円の固定資産税を納入している人の口座に、国が 10万円を振り込む。すると、振り込んだ 10万円で、納税の 15万円が埋められる形になる。
 口座の持主としては、「手元に 10万円が入る」という形でなく、「納税額が 10万円減る」という形になるが、どっちにしても同じことだ。足し算と引き算をすれば、帳尻は合う。

 (3) 自主登録

 任意で申告した人の口座を、ひもづける。これは、(2) の場合と同様だが、納税のために使わなくてもいい。(不動産を所有しないで賃貸住宅に住む人などが対象だ。)
 今回の政府案はこれを基本としている。つまり、最重要の扱いだ。
 一方、私の案では、これは第三のものという扱いだ。オマケふうだって、あってもなくてもいい。つまり、自主登録は、してもしなくてもいいい。
 では、自主登録しない人は、給付金をもらえなくなるか? いや、そうではない。自主登録しない人のためには、次の「ID口座」が用意される。 

 ID口座


 ID口座は、本項のキモだ。これが最重要なので、理解してほしい。
 ID口座は、納税と給付のための専用の口座だ。それ以外のためには用いられない。ここから金を引き出すことができるのは政府だけであって、民間人は金を引き出せない。本人ですら金を引き出せない。
 この件は、前にも提案したことがある。詳しくはそちらを参照。
  → ID番号と ID口座: Open ブログ
  → マイナンバーとキャッシュレス推進 2: Open ブログ
  → ニュースと感想  (2月28日b)( 2002年)

 ID口座とは、次のようなものだ。
 (1) 基本的には、納税のための口座である。この口座から金を引き出せるのは、政府と自治体に限られる。
 (2) 先に給付金が入金されていれば、その給付金による残高から、納税が実行される。たとえば、10万円の給付金をもらってから、10万円の範囲内で、固定資産税を8万円、納税する。
 (3) 利用する本人は、(銀行で)納税のために口座振り込みの手続きをする必要はない。単に ID口座に入金するだけでいい。
 (4) ID口座は、銀行口座と同様の扱いで、誰もが入金できる。もちろん、本人も入金できる。本人以外の第三者も、そこに入金できる。
( ※ 実際には本人しか入金しないだろうが、本人が入金するにしても、本人確認の手間が要らないという便利さがある。)
 (5) ID口座から納税するには、ネット上(など)で申し込む必要があるが、それには簡単な手続きで済むようにする。
 (6) ID口座は、原理的に、第三者による悪用が不可能である。金を引き出せるのは、政府と自治体に限られるからだ。たとえば、仮に第三者が本人になりすまして、勝手に悪用したとしても、ID口座の金を受け取るのは、政府や自治体だけであるから、被害は生じない。たとえば、支払い先が固定資産税の納入でなく、所得税の納入に転用されることはあるかもしれない。しかし、そういうことがあったとしても、本人には金銭的な損害は1円も発生しない。

 ──

 このうち、最後の (6) が重要だ。このことがあるので、ID口座は悪用できない。
 たとえば、山田太郎さんの ID口座は、山田太郎さんの納税にしか使えない。他人が山田太郎さんの ID口座情報を知っても、他人の納税には使えないのだ。納税専用口座みたいな扱いだからだ。

 このように、ID口座は悪用できない。それゆえ、ID口座のための手続きは、安全性がゆるゆるであってもいいのだ。特に、「全国民に勝手に ID口座を開設する」という自動処理をしても構わないのだ。

 ID口座は、本人は知っている必要もない。本人が自分の ID口座を知らないとしても、いつのまにか給付金が給付されて、その分、納税額が減る。何も意識しないうちに、自動的に給付と納税の清算がなされている。

 ──

 ID口座には、難点はないか? 実は、ある。それは、「納税をしない人には利用価値がない」ということだ。たとえば、専業主婦、働かないニート、非課税所得となるような低所得者など。……これらの人は、ID口座に 10万円が入金されても、その 10万円で納税することがないから、10万円が死蔵されてしまうことになる。これでは困る。
 その場合には、次の対策を取ればいい。
 「上述の (3) 自主登録 によって、給付金をもらう銀行口座を本人が指定する」

 こうして本人が申請した銀行口座に、給付金を振り込めばいい。
 なお、申請時期が遅れていれば、その時点までに、ID口座には過去の給付金が残高として貯まっているだろうから、その貯まっている額をまとめて、(新たに申告した)銀行口座に振り込めばいい。
( ※ つまり、ID口座があれば、過去の給付金をもらい損ねるということもなくなる。)

 「本人が申請する」というのは、冒頭の政府案では、全国民が行う基本原則となるのだが、本項の提案では、社会的な無収入者が行う必要があるだけだ。対象者は、全国民のうち、1割ぐらいだけだろう。

 ※ 年金の受給者は、年金の口座に( ID口座よりも優先的に)給付金が入る。だから年金の受給者は、ID口座は別に使わなくてもいい。この場合は、入金も出金もないまま、休眠口座と化するだろう。



 [ 付記1 ]
 政府と自治体のほかに、「国立大学」も出金の対象として含めてもいいかもしれない。

 [ 付記2 ]
 電気・ガス・水道代も、出金の対象として含めてもいいかもしれない。(本人名義に限る。)
 ただし、こういうのをどんどん認めると、他人が盗むことも可能となりかねないし、安全性が薄らぐから、やたらと範囲を広げるのは困りものだ。

 [ 付記3 ]
 一般の労働者には、企業が所得税と社会保険料を天引きする。そこに転用することも可能にするか?
 いや、それはやめた方がいいだろう。そんなことをすると、企業が労働者の ID口座の金を操作することになるので、安全性が低まる。
 だから、(労働者の)所得税と社会保険料を天引きについては、現状通りでいい。
 ただ、それでは税の徴収漏れがあった場合には、ID口座から税の徴収をするといいだろう。

 [ 付記4 ]
 未成年者については、次のようにする。
  ・ 18歳までは、親の口座に振り込む。
  ・ 18歳以後は、本人の口座に振り込む。(本人の口座の指定がなされていなければ、本人の ID口座に振り込む。)


 18歳の誕生日の時点で、自動的に切替がなされるわけだ。そういうことができるのも、ID口座を用意してあるからだ。
 普通は、何もしないので、自動的に ID口座に振り込まれる。その金は、すぐには使えないが、将来、納税のために使える。(場合によっては国立大学の授業料のためにも使える。)
 今すぐその金を引き出したいということであれば、18歳以後、いつでも口座を登録できるので、問題ない。

 ※ 18歳未満の子供への給付金を親が管理するのは、親が子供の生活費を払うからだ。この話は前述した。
 


 【 追記 】
 ID口座の出金は、税金の納付だけでなく、社会保険料の納付にも使えることとする。天引きされるサラリーマンはともかく、自営業者などには便利だろう。

 ※ 社会保険料の納付にも使えることは、前出項目には書いておいたのだが、本項では書き落としてしまっていた。というわけで、ここに加筆しておきます。

posted by 管理人 at 23:54| Comment(2) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ID口座は必要で大変良いアイデアだと思います。
特に出金が政府と地方公共団体のみに制限されていること、振り込みが本人名義の登録口座にしかできないことが大事だと思います。この制限があれば詐欺や錯誤による事故はかなり減らせると思います。(金融詐欺の被害を完全に防ぐのは、人の欲望がある限り不可能ですが、手間を増やすことで減らすことは可能だと思います)
ただ、国民年金や国民健康保険の保険料もID口座から引き落とせるようにしたらよいと考えます。
特に手続きしなくても、成人時に割り当てられるID口座に入金することが、納税や社会保険料の納付になるとずいぶんと納付の手間がはぶけます。個別に振込先を調べるとか自動引落しの手続きをするとか大変すぎます。あと振込入金時の手数料は無料にして使用する心理的ハードルを下げてもらいたいです。
Posted by 楡杞 at 2020年06月11日 09:54
> ID口座
>[ 付記2 ]
 電気・ガス・水道代も、出金の対象として含めてもいいかもしれない。(本人名義に限る。)
>[ 付記4 ]
 未成年者については、次のようにする。

⇒ 補足提案です。水道料金や住民税は、現状でも自治体が口座引き落としに対応しており、今回の定額給付金の場合でも、10万円をその口座に振り込んでもらうことが指定できたので、そうした人は口座の証明を添付する手間が省けました(オンライン、紙申請ともに)。そこで、

 <提案1>
 この水道料金・住民税引き落とし制度を、ID口座普及の糸口にします。具体的には、@ 同じ金融機関で、今までの「総合口座」の他に、ID口座用の「決済用普通預金口座」が簡単に開設できるようにする。A これらを振り込みにしている人には、引き落としへの変更を推奨する(インセンティブとして料金割引にするなど)。

 <提案2>
 そうはいっても、水道料金・住民税は世帯主など一部の人が払っているので、筆者提案の「全国民に対して口座を自動登録する」の実効性を担保するのには不十分かもしれません。そこで、従来から自治体負担の、成人の任意の予防接種及び健診、妊婦健診、乳幼児の定期予防接種及び健診の料金も、登録口座に支給・引き落としにするというのはどうでしょう。
 現状はクーポン券配布の方式だったり、「受けに来たら無料or割引」のかたちが多いと思いますが、この費用を全部、自治体から「先払い」にしてしまう。そして、受けたら自動引き落とし、年度が変わったら強制引き落とし(回収)。副次的に、健診率と予防接種率を上げる効果もあるかもしれません。なお、一部は使い込みが起こるでしょうが、回収不能は僅かだと思います。
 そして、乳幼児については、できれば本人のID口座を登録してもらい、手続きが煩雑になるようですが、料金と支給(補助)金を出し入れします。つまり、筆者主張の「給付と納税のため」に加えて、一部の「社会福祉・公衆衛生のため」の費用のやり取りをここで行うことによって、国民全体への普及を促進します。
Posted by かわっこだっこ at 2020年06月12日 13:12
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