2020年06月09日

◆ 感染防止の常識の誤り

 感染防止の行動として、岩田健太郎などの掲げる方針(常識的な方針)が示されていたが、誤りだ。

 ──

 これは朝日の記事で示された行動指針だ。
 「第2波」はいずれ来るだろう。油断せず、手洗いを心がけ、周りの人と距離をとる。一人ひとりの地道な心がけが、ウイルスとの闘いを有利に進める力になる。
( → (取材考記)新型コロナ、ぎりぎりだったベッド確保 医療崩壊防ぐ、地道な心がけを  三上元:朝日新聞

 「手洗いを心がけ、周りの人と距離をとる」
 という指針が示されている。これは、
 「一人一人の地道な努力が、社会全体の感染防止をもたらす」
 という発想だ。だが、この指針も発想も誤りだ。

 なぜか? 感染防止は、「人々が努力すれば実現できる」というようなものではないからだ。
 このことは、犯罪に似ている。多くの人々が真面目に行動しても、少数の犯罪者がいれば、社会から犯罪はなくならない。犯罪者以外の人がいくら努力しても、少数の犯罪者がいれば、犯罪は続々と起こるのだ。
 では、犯罪をなくすには? 犯罪者以外の人が努力すればいいのではなく、犯罪者そのものを規制するべきだ。それが「刑罰」という社会制度である。この制度では、犯罪者そのものを狙い撃ちにすることで、社会全体の犯罪発生を抑止できる。

 コロナの感染防止も同様だ。感染防止は、「人々が努力すれば実現できる」というようなものではない。「まったく努力しない暴走者を規制する」という形で実現する。つまり、次の行動の規制だ。
  ・ マスクをしない
  ・ 会話や会食をする

 この二つを同時に実行する人々がいる。それが、「夜の街」と呼ばれる酒場に出向く人々だ。そこで、マスクなしでホストやホステスと会話する人がいるので、感染源となって、感染者を続出させる。
 このことが、東京都で感染者が続出する理由だ。特に歌舞伎町で多い。

 この件は、前日分の項目でも示した。
  → マスクの話題 9: Open ブログ の (2)
 また、その項目のコメント欄でも記した。一部抜粋しよう。
 歌舞伎町では、ホストやホステスの感染がどんどん拡大しているそうだ。
 こういうことになるのは、店のオーナーが出勤を強要することと、マスクなしの勤務を常態とすることだ。
  https://www.asahi.com/articles/ASN686JZ1N68UTIL04L.html
  https://www.asahi.com/articles/ASN686F73N68UTIL00N.html

 せめて客にはマスクをさせればいいのだが、そうもしない。
 何よりも駄目なのは、政府と東京都が、距離のことばかりを言っていて、マスクを重視しない(義務化させない)からだ。

 ここでも示したように、「マスク義務化」こそが正しい方針だ。
 夜の酒場では、ホスト・ホステスのマスクは困難だろうが、少なくとも客の側にはマスクを義務化するべきだった。現実にはそうしないので、
   不特定多数の客 → ホスト・ホステス → 別の客

 という形で感染が拡大した。せめて客だけでもマスクをしておけばよかったのだが。
( → マスクの話題 9: Open ブログ )

 せめて客にはマスク義務化を実施するべきだ。そうすれば、現在のようなひどい感染増加は防げるだろう。
 なのに、そうしないで、「一人一人の努力」なんかに任せようとするのが、専門家会議や政府の発想だ。彼らは、自分たちのやるべきことを間違えている。
 感染防止のためには、国民の一人一人が努力すればいいのではない。専門家会議や政府が「マスク義務化」という方針を出すべきなのだ。そのことは、国民がいくら望んでも、国民には実現できない。国民には政治権力がないからだ。
 「マスク義務化」という方針を出せるのは、専門家会議や政府だけだ。その彼らが、自分の努力を放棄して、何もしないで、国民の努力に委ねている。無為無策も極まれり。

 そして、その馬鹿げた状況を批判するどころか、安易に支持しているのが、朝日新聞だ。この新聞にも、「マスク義務化をせよ」という記事は出てこない。
 外国の紹介という形でなら、「外国ではマスク義務化をしている」という話は何度も掲載された。中国、ドイツ、フランスなどで「マスク義務化がなされた」という報道は、何度か掲載された。
 なのに、「日本において、マスク義務化をするべきだ」という話は、まったく掲載されない。

 なるほど、マスク着用は、たいていの人がすでに実施している。しかし、たいていの人がマスクをしても、それでは感染防止にならないのだ。マスクをしていない少数の人が、スーパースプレッダーとなって、感染を拡大させるからだ。

 犯罪防止をするには、普通の人がいくら努力しても仕方ない。犯罪者そのものを抑止するしかない。そのことを理解するべきだ。そして、そう理解すれば、「全員マスク」が必要だとわかるし、そのためには、「マスク義務化」こそが大事だ、とわかるはずだ。

 ※ マスク義務化には、屋外でのマスクは含まれない。店内や電車内でのマスクが義務化されるだけだ。
 ※ 若干の緩和措置もある。飲食店では、「二人だけの食事」「家族同士の食事」ならば、例外としていいだろう。ただし「三人以上の会食」や「集団カラオケ」は、規制するべき。

posted by 管理人 at 23:59| Comment(2) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 質問です。
 政府がマスクの義務化を定めない、また専門家会議や諮問委員会が政府におもねってマスクの重要性を明言しないのは、@ 初動でのマスクの十分な流通が出来なかったこと、A アベノマスク政策も陳腐で評判が悪かったこと、がトラウマになっているからだと思います。今さら「マスクが一番重要なんだ」と言うと、「じゃあ、その一番重要なことが何故できなかったんだ」と、即批判を受けるからでしょう。
 本当のところは、政府も全員マスクは有効だと考えているはずですが、これについてはいかがでしょう?
Posted by かわっこだっこ at 2020年06月12日 14:35
 「全員マスク」や「マスク義務化」という概念すら知らない人がほとんどでしょう。日本では、私以外に、主張している人を見たことがない。
 偉い人が主張すれば、多くの賛同者が得られるかもしれないが、専門家会議の面々や、岩田、忽那賢志、といった人々は、こぞってマスク否定論者だ。

 そもそも(インフルエンザ対策で)マスク推進論者が、日本では私以外にはほとんどいなかった。私は2009年から言っていたが、以後、賛同する人を、見たことがない。
 民衆の間では、漠然とマスクをする人が増えていったが、専門家はみんなそれを冷笑していた。
 だから、今ごろになって転向することができないんでしょう。
Posted by 管理人 at 2020年06月12日 15:17
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