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新型コロナでは、症状が急変して、急に重症化することがある。あちこちで指摘されているとおり。
→ 発症10日前後に突然重篤化「2週目クラッシュ」の謎 | なぜ症状が急激に悪化するのか
これへの対策としては、「 CT や、パルスオキシメーターで、肺炎の悪化状態を監視する」という手法がとられてきた。
→ コロナ「突然重症化した人」の驚くべき共通点 | The New York Times
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では、それで済むかというと、話はそれほど簡単ではないということが判明してきた。急激に悪化する患者は、肺が悪化するだけでなく、体中の臓器が傷ついている。多臓器不全という状況だ。その理由は、サイトカインの急増であるらしい。下記に詳しい話がある。(必読)
→ 新型コロナ 突然の重症化の脅威 〜命を救うために何が必要か〜
こうなる理由は、これが「血管の病気であること」であるらしい。
肺炎が改善する中、なぜ他の臓器が悪化していたのか。
ウイルスが侵入した肺。ウイルスを攻撃するため、免疫細胞の活動が活発になります。この免疫細胞が正常な細胞まで攻撃してしまうのが免疫の暴走、“サイトカインストーム”です。
免疫の暴走が腎臓や肝臓などでも起き、多臓器不全に陥って、死に至ったのではないかと讃井医師は考えています。
肺以外の臓器で、なぜ さまざまな症状が出るのか。
全身に張り巡らされた「血管」が関わっているという見方も広がっています。
石川医師は、「ウイルスの侵入期」のあと重症化していき、「全身性炎症期」に至ると考えています。その移行期に重要な役割を果たすのが「血管」だというのです。
ウイルスが侵入した細胞の周辺に血小板などが固まり、血栓ができます。これが血液の流れを阻害します。
同様のことが他の臓器でも発生し、多臓器不全に陥ると考えています。
「全身の臓器があっという間に傷害されてしまうことを考えると、やはり血管内皮細胞であったり、血管というところで何らかのことが起こっていると考えています。全身性の炎症期に移行するのを防ぐという考え方が、現時点では非常に大事かなと思います。」
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急速の悪化の原因は、これが血管の病気であることであるとしたら、肺の状態だけを監視しても仕方ない。CT や パルスオキシメーターで監視するだけでは足りない。
では、どうすればいいか?
血管の状態が問題なら、血管の状態を監視すればいい。
では、どうやって? いちいち採血すると、血管が注射の針の穴でボロボロになりかねない。また、採血による検査は、時間がかかるので、タイムラグが生じる。
もっとうまい方法はないか? 体に穴をあけたりしないで済む方法は?
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そう思って調べたら、うまい検査法が見つかった。それは、D-ダイマーだ。
これは、静脈の診断装置で、超音波を使うものだ。
→ D-ダイマー D-dimer|www.acute-care.jp
→ 血液・呼吸器内科のお役立ち情報:Dダイマーと血栓症
これは、精度がとても高いのが長所だが、検査の判明にはちょっと時間がかかる。通常は2〜3時間もかかるそうだ。
→ 検査情報システム Dダイマー
精度が高いので、初期のうちから十分に検知できそうだが、それでも検査時間が即時判明でないのは、ちょっと物足りないかもしれない。
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それでも、これが最も有力であるということから、新型コロナの患者への適用もなされているようだ。
→ COVID-19転帰予測、入院時のDダイマー測定が有用|医師向け医療ニュースはケアネット
→ 新型コロナウイルス感染症とD−ダイマーの話 | ハートブログ | 葉山ハートセンター
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結論。
新型コロナの患者は、急激な重症化が起こることがある。
それを防ぐには、CT とパルスオキシメーターで肺炎の悪化を監視すればいい、と見なされてきた。
しかし多臓器不全などで急激な悪化が起こることもある。
このタイプの急激な悪化は、血管の問題が関与しているので、D-ダイマーで監視するといいだろう。
ただし、検査結果の判明に2〜3時間がかかるので、その点では留意する必要がある。
[ 付記 ]
もう一つ、もっと簡便な監視方法がある。それは、「体温」を見ることだ。
症状の急激な悪化が起こるときには、体温の急上昇も起こることが多い。
そこで、体温について監視するといい。
通常、1〜7日目ぐらいは、37度台の体温が続く。その後、8日目ごろに、急激に体温が上昇して、39度前後になることが多い。
この異変を監視すればいいのだ。体温計で。
(1) 変化率
体温については、温度の現在値だけでなく、温度の変化率を見るといい。(微分量みたいなものだ。)
こまめに検温して、変化率を見て、急激な上昇があったら、まさしく「急激な上昇」と認定すればいい。
(2) 38度
38度を超えたら、急激な体温上昇があった、と見なすことができそうだ。これは、こまめな検温は必要なく、普段は1日3回ぐらいの検温で済みそうだ。
( ※ 体温上昇の傾向が認められたら、こまめな検温に移行する。)
上の (1)(2) のいずれであっても、検温によって、体温の急上昇を検知できるだろう。その時点で、異変を検知できたことになる。
そして、そうなったら、呼吸困難や血行障害のような症状が起こらなくても、(また、パルスオキシメーターや D-ダイマーの数値悪化が見られなくても)、重症化が進みつつある兆候だと見なして、治療を開始すればいい。
治療とは? もちろん、アビガンの早期投与だ。
つまり、体温の急上昇という症状を見ただけで、その時点で、「アビガンの早期投与」という治療を開始すればいいのだ。
この点は、高齢者や基礎疾患患者に限らず、普通の若者にも同じ治療をしていい。
一方、体温の急上昇という症状がない患者(たいていは若者)については、自分の免疫力だけで済むことになる。ならば、アビガンを投与しないまま、体温の低下を待って、退院とすればいい。(この場合は「アビガンなしで回復」となる。)
※ この方法でアビガンを早期投与すると、症状がひどく悪化しないうちに治療が完了するので、アビガンの総投与量は少なめで済むだろう。5日間の投与だけで済みそうだ。また、最後のころは、投与量を減らしてもよさそうだ。(副作用の危険を軽減するために。)
急激な上昇とは具体的にどのぐらいの体温上昇を指しますか?
それに急激な変化が観測されるのは体温が上がった後なので、その時点では別に急激に上がったかはどうでもよくて、その時点での症状に対する対応をとるだけでしょ。変化率をみるメリットとは?
血液生化学検査で得られるデータのひとつです。
平たくいえばd-ダイマーが異常値を示している場合、血液凝固系になんらかの異常が生じていることを示唆します。
普通、敗血症のとき、d-ダイマーが異常値を示します。
そうでした。これは確認したんだけど、記述を間違えてしまいました。
ご指摘ありがとうございます。本文は修正しました。
(体温が1度上がると5〜6倍になることもあるらしいです)
免疫が活性化しないとアビガンの効果が薄いから
体温の上昇がアビガン投与の機会
高熱が4日も続いてからでは遅いと思う
初期の6日間ぐらいは、高熱ではないことが多いようです。平熱からの上昇は1度に満たないことが多い。
下記の例では、
> 6日目 入院。熱36.5
とのことです。
→ http://openblog.seesaa.net/article/475196237.html
つまり、6日目では平熱。
本項の趣旨は「高熱になったらすぐに投与」です。