──
前項では、こう結論した。
「アビガンは早期投与すればいい。それならば死亡率を大幅に引き下げることができる」
その意味は、こうだ。
「アビガンを早期投与した場合の死亡率は 5.1%だ。これは、アビガンを使わない場合の死亡率の約 20%よりも大幅に低い」
──
さて。ここまでは、前項の話だ。
このあと、論理を働かそう。すると、上のことから、次のように結論できる。
「今後は標準治療として、新型コロナの患者には、アビガンを早期投与するべきだ。そうすれば、無駄に死者を出さずに済む」
ところが、現状はこうなっている。
「現時点では、アビガンは承認されていない。そのせいで、アビガンを早期投与したくても、一般病院では早期投与ができない。いったん大病院に搬送したあとで、アビガンを投与することになる。しかし、その過程で、患者が重症化することがある」
このことは、昨日に示した公式報告のデータからわかる。一部抜粋しよう。
軽症に該当する患者が976 名(45.2%)、中等症に該当する患者が 947 名(43.9%)、重症に該当する患者が 235 名(10.9%)であった。
( → 公式の報告書 )
軽症:中等症:重症= 45.2:43.9:10.9
である。
これは、次のことを意味する。
「現状では、アビガンの早期投与を受けられる患者は、全体の半分以下しかいない。過半数は、アビガンの早期投与を受けられない」
つまり、治療の遅延(手遅れになりがちなこと)が起こっている。そのせいで、実際に患者は被害を被っている。なぜなら、次のことがあるからだ。
転帰入力時点での死亡率は軽症例で 5.1%、中等症例で 12.7%、重症例で 31.7%だった。
早期投与を受けていれば、死亡率は 5.1% で済んだのだ。なのに、早期投与がなされなかったせいで、中等症例で 12.7%、重症例で 31.7% という死亡率になった。超過死亡率は、
中等症 …… 12.7 − 5.1 = 7.6 (%)
重症 …… 31.7 − 5.1 = 21.6 (%)
これだけ多くの患者が、無駄に死んだことになる。(%)
これらは、早期投与を受けていれば、死なずに済んだはずだ。
──
要するに、現状では「アビガンの承認をしない」ということで、「早期投与ができない病院がある」ということになり、結果的に、「過半数の患者は、早期投与を受けることができない」ということになっている。
つまり、「アビガンの承認をしない」という現状の方針は、国が「国民をあえて死なせている」という殺人行為をしているのも同然である。
──
ではなぜ、国はあえて国民を殺そうとするのか? 国に悪意があるからか? 違う。愚かな善意があるからだ。それは、次のことだ。
「アビガンを早期投与すると、効果があるかどうかも不明なまま、副作用の危険がある。メリットが不明なまま、デメリットを受ける危険がある。だから、当面は、状況を正確に調べるために、承認をしないでおく。観察研究だけに留める」(*)
なるほど、この方針は、一応成立する。
しかしそれも、次の二点が成立する場合のことだ。……(**)
・ メリットが不明である。
・ 副作用の危険がある。
しかしながら、5月26日に前項の報告書が出た。すると、上記の二点は否定されて、こう判明した。
・ メリットが明確である。( → 前項、本項前半)
・ 副作用の危険はないも同然だ。( → 公式報告)
後者の点(副作用)については、公式報告に記してある。最も多いものは、下記の三つだ。
因果関係が疑われる有害事象が報告された人数 532 (24.65%)
因果関係が疑われる有害事象の入力数 626
(内訳)
高尿酸血症・尿酸値上昇 335 (15.52%)
肝機能障害・肝機能酵素上昇 159 ( 7.37%)
皮疹・中毒疹 31 ( 1.44%)
これ以外の副作用は、1%以下の発生頻度なので、無視していい。特に重篤な症状も見られないようだ。
要するに、副作用については「心配しなくていい」と判明したわけだ。
かくて、上の二点のことが成立しなくなったので、
「この方針は、一応成立する。しかしそれも、次の二点が成立する場合のことだ」……(**)
という話の前提が崩れる。
そのことゆえに、(*)のことは成立しなくなる。つまり、
「アビガンを早期投与すると、効果があるかどうかも不明なまま、副作用の危険がある。メリットが不明なまま、デメリットを受ける危険がある。だから、当面は、状況を正確に調べるために、承認をしないでおく。観察研究だけに留める」
ということは成立しなくなる。
つまり、「安全策をとるために、アビガンを承認しない」という方針は、もはや成立しなくなる。
その方針は、もはや「愚かな善意」ではなく、ただの「愚かな無知」であるにすぎない。そして、その「愚かな無知」のせいで、承認がなされないこととなり、結果的に、国民の命が多大に奪われることになるのだ。つまり、国による殺人だ。
──
では、どうすればいいか? もちろん、アビガンの承認をすればいい。そうすれば、あちこちでアビガンの早期投与が可能となる。(副作用の心配もなしに。)
現状では、観察研究を続けている。これは、アビガンの有効性が判明していない時期でなら、その意義があった。しかしながら、アビガンの有効性は、もはや判明したのだ。( → 前項 )
となると、このまま観察研究を続けることは、「人の命を犠牲にするとわかっていながら、治験を続ける」ということを意味する。
そして、「人の命を犠牲にしながら治験をする」というのは、人体実験も同然である。やっていることは、マッドサイエンティストと同じだ。
だからこそ、私は本項で訴えるのだ。
「アビガンで人体実験をするのを中止せよ」
と。つまり、
「人の命を犠牲にしてまで、真実を追究しようとするのを、中止せよ」
と。
政府が今すぐなすべきことは、アビガンを承認することだ。そうすれば、「観察研究だけでアビガン投与」という限定がなくなるので、無駄に失われる人命がなくなる。
※ ただし、「観察研究をすぐさま中止せよ」というのは、目的とならない。それは、話が逆だ。「アビガンの投与やめよ」と言っているのではなく、「アビガンの投与の制限をやめよ」と言っているからだ。
※ 「人体実験を中止せよ」という言葉を聞いて、「だったら観察研究を中止すればいいんだな」と思う人も出てきそうだが、それは話を逆に捉えていることになる。間違えないようにしよう。
[ 補足 ]
公式報告によると、実験の概要には、次のように記されている。
医療機関より厚生労働省にファビピラビルの適応外使用の依頼があり要件を満たしている場合、ファビピラビルが製造販売元の富士フィルム富山化学より本観察研究の対象となる入院患者への投与のため医療機関に提供されている 5)。本研究では、参加医療機関に対し当該患者へのファビピラビル投与開始時および入院から約 1 か月を経過するまでに、患者背景、合併疾患、ファビピラビル投与開始時の重症度、薬剤の投与量と投与期間、併用薬、有害事象、入院から約1 か月までの転帰の入力を依頼した。。
2020 年 5 月 15 日 18 時時点で、407 の医療施設からファビピラビル投与患者 2,158 例が登録された。
より詳しい話を知りたければ、公式報告を見るといい。
→ 公式の報告書
【 関連項目 】
本項に似た話を、前にしたことがある。
→ アビガンで人体実験するな: Open ブログ
ここでは「人体実験をするな」と書いている。まだやっていないということを前提として、将来の行為を否定しているわけだ。
しかしその後、「人体実験をすでにやっているのも同然だ」と判明した。だから本項では、「するな」とかくのではなく、「(すでにしているのを)中止せよ」というふうに書いている。
【 追記 】
本項では「アビガンを承認するべきだ」という結論となっている。
ただしこの「承認」は「無制限の承認」でなく、「限定承認」であるべきだ。この件は、前に述べた。
アビガンの承認に慎重であるならば、せめて「限定承認」という形で承認するべきだ。そのことで、早期の承認が可能となる。
限定承認というのは、使用条件を付けた上での承認だ。
( → アビガンを限定承認せよ: Open ブログ )
「詳しくは、以下の通り」と記してあるので、そこを読むといいだろう。
中等症 …… 12.7 − 5.1 = 7.6 (%)
重症 …… 31.7 − 5.1 = 21.6 (%)
軽症者の5%と中等症者の12.7%、重症者の31.7%、母集団の数が3つで違うので、異なる集団の割合を引いても何の意味もないです。
ダメージをいかに少なくするかは残りの人生に大きく関わるし
医療費の大幅削減にもなる
恐ろしい新型コロナの後遺症
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200511-00177907/
死亡率が推定値として尤もらしいというのが前提で消化?
死亡率を計算したデータの軽症、中等症、重症、それぞれの年齢分布を教えてください。目安になるかはそれ次第です。
人の命がかかってるのに細かい数値にこだわっていたら、世間から復路だたきになりそうだけど。
土日にきちんと休みを取っているストーカーなんて聞いたことない。
人の命がかかっているのに、まったく無関係なデータのパーセンテージを引き算なんてやっちゃだめでしょう。
【薬害オンブズ会議】観察研究の登録中止を‐アビガン高致死率に懸念
https://www.yakuji.co.jp/entry80118.html
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_favip_0526.pdf
軽症者死亡率 5.1%
全死亡率 11.6%
この値を全国死亡率 1.6% や、中国の死亡率 2.3% と比較して、「アビガンの投与者の死亡率は平均よりも高い。だから危険だ」と結論する。
しかし、藤田医大のような大病院に送られたのは、比較的、程度の重い人が多い、ということを失念している。
世間では軽症者が8割だが、今回の観察研究では軽症者が 45%、中等症が 44%、重症者が 11%。
上記(薬害オンブズ会議)の理屈によると、「大学病院には、重症の患者がたくさん送られてきているせいで、死亡率が高い。だから大学病院における高度治療をやめればいい」というふうになる。
「(重症者を扱わない)町医者における死亡率は低いので、町医者の方が大学病院よりも優秀である」というふうにもなる。
統計のことを理解できない阿呆(素人)の意見だね。
統計分析については、前項と本項で詳しく述べてあるので、そちらを参照。