2020年06月02日

◆ 欧米の感染状況(5月まで) 2

 ( 前項の続き)

 ──

 前項を補うため、各国のマスクの普及状況がどのようなものであるかを示しておこう。


 (1) 米国

 米国では、マスクはあまり普及していない。
 米国で、マスクの着用をめぐって対立が起きている。新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、米疾病対策センター(CDC)は着用を推奨しているが、「弱さを見せる」と反発する人もいる。トランプ大統領がカメラの前では着用をしないこともあって、政治的な問題にも発展している。
( → 米国マスク論争、着用は弱さ見せる? 政治的対立に激化:朝日新聞

 「マスクをするべきだ」という知見があって、公布されていても、普及には至らない。賛成論者もいれば、反対論者もいるので、せいぜい半々ぐらいにしかならない。
 特に黒人に至っては、「マスクをしていると、犯罪者と見なされ、逮捕されがちだ」ということから、マスクをすることが憚られるようだ。(下手をすると警官に殺される。最近、話題になっているとおり。)
 こういう状況なので、米国では(マスク普及率の低さゆえに)感染者はなかなか減らない。

 ただし、例外もある。ニューヨーク市だ。ニューヨーク市では、米国では例外的に、マスク義務化がなされた。そしてまた、感染者数を大幅減にして、ほぼ収束させることにも成功した。この件は、前に述べたとおり。
  → マスクの話題 7: Open ブログ (解説あり)
  → 緊急事態宣言を解除: Open ブログ (新しいデータあり)


 (2) 英国

 欧州各国については、次の記事がある。
 マスクの着用義務を巡っては、欧州各国で対応が割れている。ドイツの大部分やオーストリア、スロバキア、チェコでは、店舗や公共交通機関で着用する必要がある。イタリアはこれに加え、安全な対人距離が保てない公共の場でも着用すべきとしている。一方、英国やスイス、ベルギーは推奨にとどめている。
( → NNA EUROPE・スペイン・政治

 特に英国については、
 「英国やスイス、ベルギーは推奨にとどめている」
 とある。実際には、政府が乗り気でないだけでなく、人々も乗り気でないので、普及率は低いようだ。
 4月頃からスーパーマーケットの店員がマスクをつけて接客するようになり、街中にも徐々にマスク着用者が増え始めた。「増えた」とは言っても、東京に比べれば圧倒的に少ないのだが、イギリスでは大きな変化かもしれない。
( → 【ロンドン通信】イギリスでマスクは定着するか? 変わる欧州のマスク事情 | 財経新聞


 (3) イタリア

 イタリアは欧州で最初に感染爆発があったので、マスクの普及も早かった。3月末ごろには、すでに「マスク普及」の方針を取っている。
  → マスクと世界: Open ブログ

 このこともあいまって、3月中からすでに感染減少の効果が出ているようだ。


 (4) スペイン

 スペインでは、5月21日からマスク義務化が実施された。
 《 スペイン、公共の場でのマスク着用を義務化 》
 スペインで21日、公共の場でのマスク着用が義務化される。屋内外を問わず、2メートル以上の対人距離を確保できない場合に着用する必要がある。政府は先に、公共交通機関でのマスク着用を義務付けており、これを拡大した格好。
( → NNA EUROPE・スペイン・政治

 しかし、これでは日付が遅すぎるので、効果が目に見える段階ではあるまい。
 ただし、義務化ではない形での普及は、すでに進んでいた。だからその分、ある程度の感染防止効果は出ていた。


 (5) フランス

 フランスは当初はマスクに否定的だったが、4月28日に、「マスク義務化」に転じた。

 当初「マスク着用は意味がない」としていた方針を転換し、着用を公共交通機関などで義務づけた。
 マスクについては、中学校では教員も生徒も着用を義務づける上、商店の客にも着けるよう勧めている。感染拡大前には「病人がつけるもの」という偏見が強かったが、犠牲者が増えるにつれて着用を当然視する市民が急増した。
( → フランス、「マスクは無意味」から着用義務化に方針転換:朝日新聞

 この効果が出たので、5月中にはほぼ収束状態になったようだ。
 なお、フランスでは政府は長らく「マスク不要論」にこだわっていたが、自治体や民間のレベルではマスク「有用論」がひろがっていたので、国民レベルではマスクは徐々に普及していったようだ。
  → フランスの一部自治体で“マスク義務付け”|日テレ(2020/04/10)

 ※ フランスの感染者の多くはイタリア経由だったので、イタリアでマスク普及が進むのを見て、フランスでもマスクが普及していったようだ。(国民レベルでは)


 (6) ドイツ

 ドイツでは 4月27日からマスク義務化が実施された。

 ドイツで27日、公共交通機関と大半の店舗でのマスク着用義務が始まった。
 今週からドイツの16州すべてで公共の場でのマスク着用が義務付けられたが、地域差が大きい。
 バイエルン州の規則では、違反者には150ユーロ(約1万7000円)の罰金、店員にマスクを着用させない場合、経営者に5000ユーロ(約60万円)の罰金が科される。
( → ドイツ、全州でマスク着用義務開始 自販機でのマスク販売も:時事

 マスク普及はイタリアに比べれば遅れていたが、それでも4月末にはマスク義務化を実施したこともあって、5月中にはほぼ収束状態と言えるほどになった。



 [ 付記 ]
 オマケで番外ふうに、ブラジルの状況も示しておく。
 ブラジルは、ロックダウンをしない「無為無策」の国だ。これでは感染の縮小ができないと思えたが、現実はもっとひどくて、拡大の一途だ。


cc_Brazil.png


 たいていの国は、急増期が1カ月ぐらい続いたあとで、ロックダウンによって頭打ちになっているのだが、ブラジルでは、1カ月半以上も急増が続いており、頭打ちの傾向を見せない。
 これを見ると、ロックダウンには、それなりの効果があることがわかる。ロックダウンは、「感染の減少」をはっきりともたらすほどの大きな力はないとしても、「感染の急拡大」を止めるぐらいの効果はあるのだ。
 
posted by 管理人 at 23:42| Comment(1) |  インフルエンザ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
米国では州によってマスクの着用率が違うようです
着用率が高い州は減少傾向が高い
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59072100U0A510C2I00000/
それでも認めたくない人はいる
Posted by 老人 at 2020年06月03日 03:29
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