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各国のグラフを見ると、状況は多様であるとわかる。収束していない国もあれば、収束しつつある国もある。
そこから何か法則性は見つかるか?
見つかる。次のことだ。
「ロックダウンの効果はいくらかあるが、大幅な減少には至らない。マスクの普及があると、大幅な減少に至る」
つまり、「ロックダウンの効果は小、マスク普及の効果は大」ということだ。そのことが、グラフからわかる。
こうして最初に結論を述べた。
以下では個別に見ておこう。
※ 数値はいずれも感染者数
出典は Worldometer の国別リンク
ロックダウンなし
ロックダウンなしの国は、スウェーデンだ。ここでは、減少はない。

一定状態であり、減少は見られない。(増加もないが。)
「集団免疫に成功している」という報道もあるが、誤報だろう。集団免疫を獲得するには、抗体保有率が6割ぐらいになる必要があるが、スペインの数値はその割合にはとうてい達していない。今後、爆発的な感染の可能性も、なくはない。
ロックダウンあり / マスク普及なし
ロックダウンはあるが、マスク普及はないのは、米国と英国だ。いずれも弱い減少傾向にある。
§ 米国

米国はわずかな減少の傾向がずっと続いている。減少の幅が少ないので、収束の見通しはまったく立たない。
§ 英国

英国は5月中旬ごろまでは一定数だったが、5月中旬ごろから減少傾向がある。とはいえ、収束まではまだかなり長い時間がかかりそうだ。
ロックダウンあり / マスク普及は中程度
ロックダウンがあり、マスク普及が中程度にあるのは、イタリアとスペインだ。どちらも明白な減少傾向にある。
§ イタリア

イタリアは明白な減少傾向がずっと続いており、最近ではほぼ収束に近づいている。
§ スペイン

スペインも明白な減少傾向がずっと続いているが、グラフにはいくらかの乱れが見られる。
・ ときどき突発的に増える日がいくらかある。
・ 最近では収束しかかっているが、下げ止まっている。
(一定数で底打ちふうだ。)
ロックダウンあり / マスク義務化あり
ロックダウンがあり、マスクは「義務化」までしているのが、フランスとドイツだ。すでにほとんど収束している。
§ フランス

フランスは4月半ばから減少傾向にあり、5月初めにはほぼ収束状態になっている。ただしその後、散発的に急増する日がある。
§ ドイツ

ドイツは4月半ばから減少傾向にあり、5月中にはほぼ収束状態になっているようだ。
以上を見て、評価すると、次のことがわかる。
(1) ロックダウンは小さな効果がある。ロックダウンなしでも、スウェーデンのように、一定状態を保てる。ロックダウンをすると、他国の4月中のように、微減の傾向が生じる。その意味で、小さな効果は生じる。だが、急減はしない。
(2) 4月中旬ごろからマスクの普及や義務化のあった国がある。これらの国では、マスクの普及の度合いに応じて、減少傾向に差が付く。
・ マスク普及なし(米国・英国) …… 微減のみ
・ マスク普及あり(イタリア・スペイン)…… 減少
・ マスク義務化あり(フランス・ドイツ)…… 大幅減少
このように、マスクの普及の程度と感染減少の効果は、ほぼ比例関係にあるとわかる。(マスクの普及の度合いが高いほど、感染の減少が大きい。)
【 追記 】
コメント欄(次項)で教わったが、次の記事もある。米国各州の比較。
《 新型コロナ:マスク着用率とコロナ感染者数、全米各州で逆相関も 》
ニューヨーク州などマスク着用率の高い州ほど新規感染者が減少している一方、着用率の低い州では感染者が増える傾向がある。
着用していると答えた人の比率が最も高かったのはハワイ州の58%。ニュージャージー(56%)、ニューヨーク(53%)の各州が続いた。ニューヨーク・タイムズ紙の調査によると、これらの州では3月から5月12日にかけてコロナの新規感染者数が減っている。
一方、同時期に新規感染者数が増えているサウスダコタ州はマスク着用率が32%、ミネソタ州は33%と全米で最低水準だった。アラバマ州(38%)やアーカンソー州(39%)も同様に感染者の増加が目立つ。
( → :日本経済新聞 )
ハワイは、日系人が多い。
ニュージャージー州は、所得が高い(全米2位)ので、都会的な知識人が多い。
ニューヨーク州は、ニューヨーク市は都会的でマスク着用率が高いが、郊外は田舎なのでマスク着用率が低い。
※ 次項に続きます。
→ 欧米の感染状況(5月まで) 2: Open ブログ
ドイツのグラフは、間違えて、死者数のグラフを掲載してしまったので、感染者数のグラフに差し替えました。
ただし、状況を説明する文章は、ほとんど変わっていません。
なお、グラフの縦軸のスケールが小さいという話は、削除しました。(それは死者数のグラフの話だったので。)