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前項・前々項でも述べたように、日本でひどい感染爆発が起こらなかった理由は、次の二つだ。
・ 急増したあとで急減したのは、入国規制の有無による。
(原因は海外からの流入だった。)
・ 全期間を通じて感染率が低いのは、マスクのおかげだ。
前者については、前々項で詳しく説明した。
後者については、これまで何度も説明してきた。
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一方、岩田健太郎はどうか? やたらと「ロックダウン」「外出規制」にこだわる。つまり、上記の二点を徹底的に無視・軽視する。では、なぜ? なぜ彼は、科学者の立場を取りながら、そういう非科学的なことをして、真実に目をふさぐのか? まるで「王様は裸でない」というように、嘘ばかりをついて、真実に目をふさぐのは、どうしてか?
それはおそらく彼がマスク嫌いだからだろう。そう考えると、説明が付く。
彼はずっと感染学の学者として、WHO や CDC の唱える「マスク無効論」を信じてきた。その後、WHO や CDC は自らの過ちを認めて、「マスク有効論」に転じた。しかし彼は、そういうふうに立場を変えることを拒んで、従来の立場を墨守し続けるのである。
それは、(前項でも述べたように)彼が「自分は誤った」と認めること(謝ること)を、徹底的に拒む体質があるからだ。「謝ったら死ぬ病」にかかっているのである。
このことゆえに、彼は自分の誤りを認めない。だからこそ、「マスク嫌い」という方針を墨守し続けるのである。
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岩田健太郎が「マスク嫌い」であることは、次の引用文からもわかる。
岩田健太郎氏の著書『新型コロナウイルスの真実』(ベストセラーズ・刊)。
岩田氏や私がよく知る小児科医をはじめ、ちょっとした外出ではマスクはしていないという医師も少なくない。
マスクはどうしても隙間ができてしまうので、完全なる予防策ではないと岩田氏。自分に症状がなければ、する必要はないとのことだ。となれば、マスクよりも大切なのは、ソーシャルディスタンスをしっかり確保すること、という結論に至る。
( → 岩田健太郎氏に学ぶ、新型コロナウイルスを「正しく怖がる」ために必要なこと――『新型コロナウイルスの真実』 | GetNavi web ゲットナビ )
N95マスクにしても普通のサージカルマスクにしても、防御のために使う意味はありません。 「防御のためにマスクを使うべきではない」とさえ言っていいでしょう。
繰り返しますが、少なくとも防御の手段としてマスクを着けるのは無意味だということはちゃんと理解してください。
逆に、マスクを着けていない人が待ちの中にいても、「おまえ、マスク着けていないのおかしいじゃないか」というのも間違いです。症状がないならマスクをする必要はないからです。
普段、街を歩くときにマスクを付けないのは全然正しい。私も街でマスクは着けていません。
感染防御に資することのないマスクの使い方をしない。不要な場合は着けない。たとえみんなが着用しても。
これが、感染経路を理解するということです。
( → Google ブックス 「新型コロナウイルスの真実」 )
マスクの予防効果は非常に限定的、もしくはほぼないに等しいと思います。専門家の意見も一致しています。ですので、自分が感染しないためにマスクをつけることには、ほとんど意味がない。
しかし、今、多くの国やWHOでは、街を歩く時にマスクをしてもいいと方向転換しています。なぜかというと、流行が広がりすぎて、もうみんなが感染してる可能性が高い。確定的ではないんですけど、無症状の人でも唾などが飛んで他の人に感染させるかもしれない。ですので、自分が感染している前提でマスクをつけることで、くしゃみや唾の飛沫を防ごうとする発想のもとで、そうした推奨がなされるようになっています。
ただし科学的なエビデンスは十分ではないので、あくまでも仮説です。感染が広がって広がってしょうがないので、仕方なく作った推奨と言ってもいい。あとは一部の政治家の人たちが強くそういうものを求めるので、科学者たちが折れたという見方もできます。
ここで非常に大事なのは、マスクの予防効果にしても周りに感染させない効果にしても、ほとんどないか非常に弱いということ。
もっとも大事なのは距離ですね。距離を徹底的に伸ばすのが、いわゆる「ステイホーム」、家にいることです。家にいることが一番距離をとることになるわけで、どうしても外に出なきゃいけない人は2Mは距離をあける。マスクはその距離の代替にはなりません。距離はほぼ確実な感染の防御方法ですけど、マスクはそれに比べるとはるかにはるかに脆弱です。
私も神戸の街を通勤で歩いていますが、マスクはみんなしているけれど、人と人との距離を離すことについては非常に無頓着な方が多い。逆だと思っています。マスクをしないのはわかるけれど、距離を取ることはしっかりやってほしい。
周りの目がすごく厳しいという、昨今の事情も察しています。神戸大学病院は今、3日に1枚しかマスクが支給されないので、私も外に出る時はできればマスクをしたくないのですが、周りの目が厳しいので社会的にマスクをすることもあります。
そのマスクはどんなマスクでも構いません。ハンカチに糸をくっつけたものでも構わないし、うちの娘なんかはガーゼに刺繍をして自分で手作りをしていました。これはもう感染症学とか、微生物学とかは何の関係もないマスクですので、自分が気に入ったマスクを作ってくださればいいと思います。自作であれば洗濯して使いまわせばいいわけで、衛生的にも問題ないわけですね。これはもういわゆる「ポーズ」ですね。
( → 【全文字起こし&音声配信】「マスクの意味、アルコールの代用品、BCGの効果…神戸大教授で医師の岩田健太郎さんに聞く新型コロナウイルス感染症対策」2020年4月14日(火)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」22時〜) )
岩田教授の「マスクに感染防止効果はない」という言葉の真意は、マスクに意味がないと言いたいのではなく、新型コロナウイルスの感染経路が「飛沫」と「接触」であることをふまえれば、予防効果は
「外に出ない>>>距離2メートル>>>マスク」
なのだ、と言いたいことがわかります。
つまり、「マスクに感染防止効果はない」を正確に表現するならば、「マスクに外に出ないほどの感染防止効果はなく、2メートルの距離をとるほどの感染防止効果もない。どうしてもやむを得ず、接近せざるを得ない場合の感染抑制効果しかない」ということになります。
( → 「マスクは感染防止効果があるか」議論にみる、危機マネジメントの本質 | コロナ危機を救うクライシスマネジメントの本質 | ダイヤモンド・オンライン )
よくもまあ、と思えるほど、マスク嫌いの言葉が次々と出ている。
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彼の言葉について、個別で反論しよう。
> 自分に症状がなければ、する必要はない
「自分のためには」という言葉が抜けている。自分のためでなく社会のためであれば、するべきだ。それが主題なのだが、話を勝手にずらしている。論点逸らし。
> 「防御のためにマスクを使うべきではない」とさえ言っていいでしょう。
繰り返しますが、少なくとも防御の手段としてマスクを着けるのは無意味だということはちゃんと理解してください。
自分のためであっても、「無意味」というほどではない。あまり大きな効果は見込めないというだけであって、いくらかの効果はある。
仮に効果が皆無だとしたら、N95マスクだって効果は皆無だということになる。だったらコロナの医療従事者は N95マスクを外すべきだ。岩田健太郎だって、クルーズ船に乗船したときには、N95マスクをしなければよかった。なのに、実際には自分は N95マスクをした。
N95マスクにはちゃんと効果があるのだ。とすれば、普通のサージカルマスクだって、ある程度の効果があるのだ。
そのことは実験的にも確認されている。
18日付の香港紙、明報などによると、香港大の研究者らがこのほど、ハムスターを使った実験で、マスク着用により新型コロナウイルス感染者からの感染リスクを半減させることができるとの結果が出たと発表した。
報道によると、実験ではウイルスに感染していない健康なハムスターを入れたケージの隣に、感染したハムスターを入れたケージを設置。機械を使って風を送った結果、7日以内に66・7%が感染した。一方で、健康なハムスターのケージにサージカルマスクを取り付けたところ、感染率は33・3%と半減した。
香港大の実験では、感染したハムスターのケージにマスクを取り付けたところ、健康なハムスターの感染率は16・7%まで低減した。さらに研究者らは「もし感染しても、マスクをしていれば、ウイルス量は少なく、重症化しにくくなり、死亡率も下げることができる」と指摘している。(共同)
( → 香港大がマウス実験で結果、マスクで感染リスク半減 - 社会 : 日刊スポーツ )
こういうふうに、少なくともいくらかの効果は判明しているのだ。「効果は皆無だ」という岩田健太郎の説は、科学的事実によって否定される。
> マスクを着けていない人が待ちの中にいても、「おまえ、マスク着けていないのおかしいじゃないか」というのも間違いです。症状がないならマスクをする必要はないからです。
これは話がおかしい。他人がマスクをしていないのを咎めるのは、その他人のためではなく、周囲の人のためだ。相手に向かって、「自分のためにマスクをしろ」と言っているのではなく、「社会のためにマスクをしろ」と言っているのだ。
岩田健太郎は、そのことを理解できていない。
> 不要な場合は着けない。たとえみんなが着用しても。
本人にとっては不要でも、その不要なマスクを着けることで、社会全体で感染率低下の効果があるんだよ。マスクを着けるかどうかの基準は、「本人にとって必要か不要か」ではなく、「社会全体の感染率を下げること」だ。
岩田健太郎は、そのことを理解できていない。
> マスクの予防効果は非常に限定的、もしくはほぼないに等しいと思います。専門家の意見も一致しています。ですので、自分が感染しないためにマスクをつけることには、ほとんど意味がない。
ここでは「自分のために」という限定が付いている。ちゃんとわかっているようだ。ならば、その趣旨で主張すればいいのに、一挙に話を拡張するのが、論理の飛躍だ。(社会のためにには有効だ、という話を否定・無視する。)
> 今、多くの国やWHOでは、街を歩く時にマスクをしてもいいと方向転換しています。
自分が感染している前提でマスクをつけることで、くしゃみや唾の飛沫を防ごうとする発想のもとで、そうした推奨がなされるようになっています。
ただし科学的なエビデンスは十分ではないので、あくまでも仮説です。感染が広がって広がってしょうがないので、仕方なく作った推奨と言ってもいい。
ここで非常に大事なのは、マスクの予防効果にしても周りに感染させない効果にしても、ほとんどないか非常に弱いということ。
何を勝手なことを言っているんだ。「マスクをつけることで、くしゃみや唾の飛沫を防ごう」というのは、科学的に当然のことだろう。科学的なエビデンスだってある。(下記)
なのに、こういう科学的な認識をあえて否定して、「科学的なエビデンスは十分ではない」とか、「仕方なく作った推奨」とか軽んじている。そういうあなたが、科学的でないんだよ。
なお、科学的エビデンスとしては、下記のことがある。
《 2メートルの「ソーシャル・ディスタンス」が十分ではないこれだけの理由 》
くしゃみや咳、息を吐き出すことにより放たれる大小様々なサイズの飛沫が含まれる「ガス状の雲」は、室内では、秒速10メートル〜100メートルで、7〜8メートル(23〜27フィート)先まで飛ぶ
( → ランニングは横並びで!(飯塚真紀子) - 個人 - Yahoo!ニュース )
2メートルぐらいの距離(ソーシャルディスタンス)を保っても、マスクをしていないと、無効になるのだ。
逆に、マスクをしていれば、70センチぐらい離れれば十分だ。「3密は禁止」なんて言う主張もあるが、マスクさえしていれば、飛沫は遠くまで飛ばないので、そこそこ程度の密集・同席をしても、特に問題ないのだ。
そのことが上の実験・研究からわかる。
> 2Mは距離をあける。マスクはその距離の代替にはなりません。距離はほぼ確実な感染の防御方法ですけど、マスクはそれに比べるとはるかにはるかに脆弱です。
いやいや。マスクをしていれば、70cm で十分だ。一方、マスクをしていなければ、8メートル離れていても、飛沫が届く。そのことはすでに実験的に確認済みだ。(上記)
マスクによって飛沫の届く距離が大きく減じるということは、次の動画でもわかる。
岩田健太郎は、まずはこういう科学的エビデンスを認識するべきだ。
> 周りの目が厳しいので社会的にマスクをすることもあります。
そのマスクはどんなマスクでも構いません。
これはもういわゆる「ポーズ」ですね。
ただのポーズではない。実質的に効果があるのだ。「飛沫を飛ばさない」「周囲に感染させない」という効果が。そして、そのことは、岩田健太郎自身も認めている。(効果の程度を軽んじてはいるが。)
岩田健太郎は、「嫌い、嫌い」と言う前に、事実を正しく認識するべきだ。
「外に出ない>>>距離2メートル>>>マスク」
「マスクに外に出ないほどの感染防止効果はなく、2メートルの距離をとるほどの感染防止効果もない。どうしてもやむを得ず、接近せざるを得ない場合の感染抑制効果しかない」
いやいや。正しくは
「マスク>>>外に出ない>>>距離2メートル」
だ。
・ マスクと距離の比較は、上に述べたとおり。
・ マスクと外出規制の比較は、前々項で述べた通り。
(緊急事態宣言で外出規制の効果がなかったこと。)
こうしてきちんと効果を実証済みだ。岩田健太郎は、ヤマカンで言うべきでなく、科学的エビデンスを出して示すべきだ。エビデンスがないのは、あなた自身だよ。(私はエビデンスを示している。)
(注記)
「外に出ない >>> 距離2メートル」
というのは、エビデンスによるのではなく、論理による。
「距離2メートル」というのは、「外に出る」の一部であるから、次のことが成立する。
外に出ない >>> 外に出る(距離不問)
距離2メートル以上 >>> 距離2メートル以下
後者は、「外に出る」の一部であるから、2通りのいずれも、「外に出ない」よりは劣る。(距離不問)
※ 次項に続きます。
→ 岩田健太郎はマスク嫌い 2: Open ブログ
> 「感染拡大地域ではマスクを」WHOが指針を大幅修正
> WHO=世界保健機関は、健康な人が着けても感染を予防できる根拠はないとしていた新型コロナウイルスに関わるマスクの使用についての指針を大幅に修正し、感染が広がっている地域で人との距離をとることが難しい場合はマスクを着けるよう、各国の政府が勧めるべきだという方針を示しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200606/k10012460641000.html
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今ごろになってこんなことを言っているのだから、呆れる。欧州の各国政府は、4月下旬には「マスク義務化」をしているんだが。1カ月半も遅れている。
さらに、「人との距離をとることが難しい場合」に限定しているのが、まだ駄目だね。再修正が必要となるだろう。
p.s.
岩田健太郎はどうするのかな? WHO を批判するのかな?
テドロスは、今さら何を言ってんだ?
でも、これからの季節、マスクは苦痛なので、通り一辺倒ではない新基準を、早く策定してもらいたいです!