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緊急事態宣言の解除をしたせいで、感染者の数がこのごろ増加している、という意見がある。
まずは、最近になって東京都の感染者数が増えているという事実がある。
東京都は29日、都内で新たに22人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。
都内で感染の確認が1日に20人を超えるのは今月14日以来で、15日ぶりです。また、都内の感染の確認は、緊急事態宣言が解除された今月25日以降、29日までの4日連続で増えています。
( → 東京都 新たに22人感染確認 20人超は15日ぶり 新型コロナ | NHK )
これを見て、「緊急事態宣言を解除したから、感染者が増えているのだ。この分だと、感染爆発が起こりかねないので、解除を撤回して、ふたたび緊急事態宣言を実施するべきだ」と思っている人がいるようだ。
→ はてなブックマーク
では、本当にそうなのか?
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そうではない、と私は判断する。理由は下記の通り。
22人のうち9人は、これまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、集団感染が発生した疑いがある小金井市の武蔵野中央病院の患者が5人含まれているということです。
( → 東京都 新たに22人感染確認 20人超は15日ぶり 新型コロナ | NHK )
これは 29日のデータだが、30日も同様だ。
東京都は30日、都内で新たに14人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。
14人のうち8人は、これまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、集団感染が発生した疑いのある小金井市の武蔵野中央病院の患者7人が含まれているということです。
( → 東京 新たに14人感染 半数は集団感染疑いの病院患者 コロナ | NHK )
ここでは、次の二点に注意しよう。
・ 感染が多く出ている都道府県は、3県に限られる。
・ 感染の形態は、院内感染である。
以下では、順に説明しよう。
(1) 3県に限られる
前項でも述べたように、感染者が急増しているのは、一部の都道府県(や市)に限られる。具体的に言えば、
東京(22)、神奈川(10)、福岡(26)
だけだ。これらを除くと、あとは 3,2,1 の県が一つずつあるだけで、それ以外はすべての県でゼロである。

出典:NHK
つまり、東京、神奈川、福岡という3県を除けば、他の県のすべてでは感染は完全に収束していると言ってもいいぐらいだ。
要するに、「宣言を解除したら感染者が増える」というような事態は、3県以外ではまったく成立していないわけだ。
「でも3県では増加しているだろ」
と思う人もいるだろうが、実は、次のことがある。
(2) 院内感染
3県では、感染者が増えている。だが、普通の市中感染が増えているわけではない。院内感染が増えているのだ。そういう特殊事情がある。
このことが問題なのだ。だから対策は何かと言えば、「院内感染を阻止すること」(前項)であって、「ふたたび緊急事態宣言を実施すること」ではないのだ。……このことを間違えないようにしよう。
※ 間違ったものを狙って撃っても、タマは獲物には当たらない、ということだ。鹿を狙って撃てば、鹿に当たるかもしれないが、鹿のいないところを狙って撃っても、鹿に当たるはずがない。
※ 本件で言えば、目標は3県の病院であるから、3県の病院を狙って対処すればいい。一方、3県以外の市民を対象に、緊急事態宣言を再度実施しても、そんなことは何の効果もない。いくら岩手県民が努力したところで、東京都の病院の院内感染には何の影響もない。やるだけ無駄だ。
※ にもかかわらず、こういう見当違いのことを主張する人が多い。「東京都で院内感染が増えたから、日本全国で市中感染を減らそう。そのために緊急事態宣言を再実施しよう」というふうに。……もう、論理がメチャクチャである。
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さらに、別のことがある。
39県で緊急事態宣言を解除したのは、5月14日だ。
東京都などで緊急事態宣言を解除したのは、5月25日だ。
最近になって緊急事態宣言解除の効果が出たとしたら、それは、2週間前の5月14日に解除した39県の方であるはずだ。
で、その39県では感染者が増えていないのだから、こう結論できる。
「 39県では、緊急事態宣言の解除をしても、感染者は増えなかった」
一方、東京都などの3県では、こう結論できる。
「東京都などの3県では、感染者の増加が起こっているが、それは、緊急事態宣言の解除のせいではなく、5月29日の2週間前(5月15日ごろ)に起こった出来事のせいだ。それは、(5月25日の)緊急事態宣言の解除とは、何の関係もない」
ここでも、「緊急事態宣言の解除のせいで感染者が増えた」ということは成立しないのだ。間違えないようにしよう。
( ※ はてなブックマークでは、間違えている人が多い。)
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では、この状況で、どうすればいいのか? 緊急事態宣言の解除が感染者増をもたらしたのではないとしたら、どうやって感染者数を減らせばいいのか?
すでに述べたことからわかるのは、次のことだ。
「院内感染が急増したのだから、院内感染に特化して、念入りな対策をせよ」
これは、前項で述べた方策でもある。
→ 院内感染とゾーニング: Open ブログ
一方、新聞報道を見ると、次の点も問題となっているようだ。
・ 院内感染した看護婦から、その家族への感染。(出典)
・ 接待をともなう酒場での感染。
・ ライブハウスのような集団の場での感染。
・ 多人数の会食における感染。
これらは、もともと本サイトでは予想されていたことなので、当然対処するべきだ。ただし、東京都や政府の方針では、これらは特に特定的に注意喚起がなされていない。(接待をともなう酒場での感染だけは、注意喚起がなされているが。)
そこで本サイトとしては、改めて次の点を指摘しておこう。
・ 院内感染の対策をせよ
・ 多人数の場では、会食や発声を禁じよ
・ マスクを義務化せよ
「緊急事態宣言は無駄だ」とは言ったが、「何もしなくていい」とは言っていない。緊急事態宣言にかわるような、別のことをなすべきなのだ。そして、それが、上の三点で示されている。
> 39県で緊急事態宣言を解除したのは、5月14日
このことで、東京などで、気が緩んだ人が増加したことが原因ではないだろうか。
そもそも気が緩んだのは、39県の方だ。39県で緊急事態宣言を解除すると、39県で気が緩んだというのなら、まだわかるが。39県で緊急事態宣言を解除すると、東京都で気が緩んだというのは、因果関係が成立しない。
その理屈だと、東京で緊急事態宣言を解除すると、東京では感染増加が消えて、39県で感染が増加することになるが。
新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が、47都道府県のうち、39県で解除となった後初めての週末は、人出が前週と比べて増加したという。とくに日曜の日本列島は全国的に晴天に恵まれ、行楽地ではマイカーの渋滞情報も流れて「ステイホーム」を続けるというのは酷な話なのかもしれなかったようだ。
きょうの各紙にも「人で戻った? 『解除』後初の日曜」とのタイトルで、毎日が1面に「好天に恵まれた湘南海岸公園付近を訪れた人たちのカラー写真などを掲載。「宣言が続く神奈川県。大型連休が始まったころ閑散としていた藤沢市の県立湘南海岸公園では、この日サーフィンを楽しんだり、海岸を散歩したりする人の姿が目立った」と伝えている。
産経も「閑散一変、都心でも」。宣言が解除された地域だけでなく今も継続している地域も外出する人の姿が目立つ傾向がみられ、東京・渋谷のスクランブル交差点では青空の下でマスク姿の人々が行き交ったと取り上げている。東京も同様に「解除まだ渋谷に人出」。
NTTドコモの調査によると、土曜の5月16日は解除された39県の9割近くの地点で前週9日の人出を上回り、宣言が続く8の特定警戒都道府県でも北海道や近畿を中心に増加。17日は首都圏も伸び、全国94地点の9割を超す87地点で同10日の水準を上回ったという。
https://response.jp/article/2020/05/18/334665.html
つまり、もともと潜在的な感染者が多かっただろうと思う。
そんな東京が、39県と同時に気が緩んで動き出せば、
39県のほうは感染者が少ないから大丈夫でも、東京はそうではないから、部分的に感染が拡がる。
それは事実だけど、それで感染が増えるのなら、気のゆるみは直接関係ない。
昨日の数値は東京も5人まで下がりました。気のゆるみのせいだというのなら、もっと大幅に増えているはずだが。
そもそも、気が緩んでいるというのなら、大阪の方がずっと気が緩んでいる。
大阪では繁華街にも人出がどっと増えた。だが、大阪の感染者はゼロです。
大阪の方がずっと気が緩んできたが、感染者が出ないのは、緊急事態宣言の効果が大きかったのだろうか。おそらく、感染者がいなくなったのだ。東京ももう少し我慢をして解除しなければ0になったかもしれない。残念だ。
なかなか先は読めないものだ。
緊急事態宣言の解除の効果が出るのは、今から1週間後の感染者数です。
東京や大阪の今の感染者は、解除の効果が出る前のことです。
解除の期間がもうちょっと先まで延びていようがいまいが、どちらにしても、同じことです。現在の数値は、解除前の状態を意味していますから。
パンデミックなりかけなら別だってわかりますけど。
すべての経済活動が元に戻るということでもある。
大都市の大阪でも最近は0になっている。東京でも短期間で0にできるのではないか。
他国はともかく、日本の感染者数と死者数は交通事故死と同等でしょう(日本の交通事故による死者数はここ数年は年間数千人、コロナによる死者数は6月1日現在で894人)。
どちらも「外出する人が多くなるほど死者が増える」という意味でも同じです。
dfさんがおっしゃるのは「交通事故による死者が0になるまで外出自粛を続ける」と言っているのと同じに思えます。
海外では何万人も死んでいる。
0にしなければ安心して元のように生活できないでしょう。
気が緩んだ結果が、東京アラートだ。またまた、元の生活が遠のいてしまった。
皆さんの元の生活に早く戻りたいという気持ちは理解できるが、現実には、0にしなければ、オリンピックも不可能だし、スポーツ大会も相撲もミュージックステーションも復活できない。
このまま収束しないでだらだら中途半端でいったらワクチンができるまで1年以上今のような状態でしょう。それでもかまわないという人もいますが。
0を目指さないのは、現実的に "不可能" だから。(専門家の一致した見解です)
不可能と判っている事に労力を割くのは無駄。
出来もしない事のためにダラダラ社会を停滞させるわけにはいかない。
幸い 高リスクな行動を抑えて "ある程度の工夫" をした生活をすれば、医療崩壊は防げることが判った。
だから「現実的な対応を考えましょう」っとなってるのです。
ウイルスの根絶が不可能である以上、好むと好まざるとに関わらず我々は "日常のリスク"として受け入れるしかないのです。
勿論、来年のオリンピックは不可能ですし、人が集まるイベントの類いは画期的な治療薬や治療法が確立するまでは出来ないでしょう。
0で安心、生活はほとんど元どおり。
6/12羽鳥慎一モーニングショーより。