2020年05月27日

◆ 大量の人工呼吸器は必要か?

 人工呼吸器を米国から大量輸入することが決まったようだが、それは必要なことか?

 ──

 人工呼吸器の輸入


 アメリカが人工呼吸器を作りすぎてしまって、余ってしまった。そこで日本に「買ってくれ」と頼んだら、安倍首相が「はい、買います」とい請け合ったそうだ。
 安倍晋三首相が8日にあったトランプ米大統領との電話協議で、米国製人工呼吸器の購入を約束していたことがわかった。
 トランプ氏は3月、ゼネラル・モーターズ(GM)などに大量生産を指示していたが、米政府から「つくりすぎて困っている」と購入の打診があった。
( → 作りすぎた人工呼吸器、米側の打診受け首相が購入を約束:朝日新聞

 実は、こうなることは、私が前もって予想していた。「自国で生産するのもいいが、余った米国製を買えばいい」という趣旨。
  → 人工呼吸器の不足と供給: Open ブログ (18)

 私が予想した方向に事態は進んでいる、と言えるだろう。

 人工呼吸器は不要に


 では、米国から人工呼吸器を購入すればいいのか? 
 上の項目を書いたとき(4月21日)には、そう思っていた。しかしその後、情勢に変化が生じた。次のことだ。
 「アビガンを軽症者にも投与することで、重症者の発生が大幅に低下した」

 このことを知るには、軽症者と重症者の比率のデータを得ればいいのだが、それを示す直接的なデータは内容だ。
 そこで代わりに、次のデータを得る。


cg-ecmo.png
出典:朝日新聞


 左のグラフから、次のことがわかる。
  ・ 4月1日ごろは、軽快は3割ぐらいで、7割ぐらいが人工呼吸実施中。そのままどちらも急増中。
  ・ 4月20日ごろに劇的な変化が生じた。警戒は急増しているのだが、「死亡」と「人工呼吸実施中」の和が(一転して)急増から減少へと転じた。


 このように極端な変化は、何らかの事情があったと見なせる。常識的には「人工呼吸の技術が一変したからだ」と思えそうだが、そんなことはなかった。
 となると、理由はただ一つ。「中等症や重症の患者に、アビガンが(特定病院だけでなく広範に)使われるようになったからだ」と思える。

 そして、このあとでは、軽症者にもアビガンが使われるようになったので、人工呼吸を使う前に回復する人が増えたようだ。
 そのことは、次のことからわかる。
  ・ 4月25日から5月25日までは、人工呼吸の利用者がほとんど増えていない。つまり、人工呼吸の新規利用者がほとんど現れなくなった。


 このグラフでは4月25日ごろに頭打ちになっている。とすれば、4月25日の時点ですでに、「最近では人工呼吸の新規利用者が急減している」ということが判明しているのだ。
 その理由は、「アビガン早期投与である」と考えるのが合理的だが、仮にそうでないとしても、このグラフですでに、「最近では人工呼吸の新規利用者が急減している」ということが判明している。
 このことからして、「人工呼吸器を新たにたくさん購入する必要は、もはやなくなった」と言っていいだろう。

 そして、そのことは、「ただの偶然ないし不可思議な現象」ではなくて、「アビガン早期投与が理由だ」というふうに説明が可能なのだ。合理的に説明が付くのだから、この事実を新たな事実として受け入れていいのだ。

 それでも、「人工呼吸器は、ないよりは、あった方がマシだ」と思うかもしれない。だが、人工呼吸器を増やすことを考えるよりは、アビガンをさっさと承認する方がずっと利口だ。なぜなら、重症化してから治療するよりも、重症化する前に軽症のうちで回復する方が、ずっといいからだ。
( ※ 重症化すれば、死ぬ可能性がいくらかあるが、軽症のうちに治れば、重症化して死ぬ可能性は皆無だ。)



 [ 補記 ]
 「このグラフでは4月25日ごろに頭打ちになっている」と上で述べた。これについては、次の反論があるかもしれない。
 「このころは感染者数そのものが減ってきたので、人工呼吸器を使うような重症者も減ってきたのだ」
 と。
 しかし、これは成立しない。なぜなら、感染者数が減ってきたというのは、なだらかな変化であって、「急に頭打ちになる」というような極端な変化をもつものではないからだ。
 そのことは、感染者数の累積値のグラフを見るとわかる。


cg-asahi425.png
出典:朝日新聞


 見ればわかるように、4月25日の前後でも、なだらかな上昇が続いている。ここで急に頭打ちになったというようなことはない。感染者数についてはそう言える。
 なのに、人工呼吸器を使うような重症者は、4月25日のころで頭打ちになっている。つまり、このあとでは重症者の発生は激減していると言える。

 ──

 ただし、よく考えると、別のことの効果もある。
 まず、グラフを再掲しよう。


cg-ecmo.png
出典:朝日新聞


 これを見ると、次のことがわかる。
 「人工呼吸実施中(グラフでは赤色)の数が、4月20日ごろをピークに、急減している」

 このことは、次の二つを意味する。
  ・ 人工呼吸を実施する新規の重症者が急減している。
  ・ 従来の重症者が続々と退院している。

 この二つが同時に起こったと考えていい。
 そのことは、次の二つを意味する。
  ・ 軽症者が重症化することが急減した。
  ・ 重症者が次々と回復して退院していった。 

 後者については、次のグラフが役立つ。


cg-recver2.png
出典:Worldometer


 回復者数は4月30日ごろから急増していて、5月10日ごろにはピークがある。これは、「 20日ほど前に急増した新規感染者がこのころになって(回復して)次々と退院していったからだ」という効果もある(感染者数の増加の効果もある)とも考えられるが、同時に、「5月10日ごろからはアビガンのおかげで重症者が回復していった」という効果があったとも考えられる。

 以上をまとめると、次の三つの点があったと推定される。
  ・ アビガンは軽症者を重症化させない。
  ・ アビガンは重症者を回復させる。
  ・ 急増した感染者がこのころに次々と退院していった。

 この三つが合わさって、先のグラフという結果になったと推定される。
 逆に言えば、「急増した感染者が退院していった」という効果を抜いた分が、アビガンの効果だ。

 ※ 三つの点の時期は、いずれも4月下旬ごろからだが、効果が大きく発揮される時期にはズレも生じるだろうから、すべてが同時期に同程度で起こったとは言えない。詳細を知るには、詳細な分析が必要だろう。



 [ 付記 ]
 ついでだが、人工呼吸器を大量に導入しても、それを使える技術者が少ないので、「宝の持ち腐れ」になりやすい。安倍首相が大量の危機を米国から導入しても、国内の病院では機械が眠るだけ、となりかねない。どうしても導入するなら、技術者や専門医を大量に養成する必要がある。
(しかもそれらは、アビガンが承認されたあとでは、ただの無用の長物となる。機械が「宝の持ち腐れ」となるだけでなく、技術者や医師までが「宝の持ち腐れ」となる。ひどい無駄。)

 
posted by 管理人 at 23:59| Comment(2) |  インフルエンザ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
重症化したら肺や他の臓器にダメージが残るって
マスコミはあまり報道してないけど、制限かけてる人でもいるのでしょうか
まともにスポーツできなくなるとかわかれば
若い人たちももっと注意をすると思うけど
Posted by 老人 at 2020年05月28日 08:36
 後半に [ 補記 ] を加筆しました。かなり長い。
Posted by 管理人 at 2020年05月28日 09:00
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