2020年05月26日

◆ 日本の感染者は多いか? (アジア比)

 新型コロナで、日本の感染者は多いか? 「欧米に比べれば少ないが、アジアでは2番目に多い」という見解がある。

 ──

 これは、「欧米に比べれば少ない」ということで日本が称賛されるのが気に食わないので、「アジアのなかでは2番目に多いぞ」と評価軸を変えることで、反論をしたいらしい。
 どうやら、「日本を貶めたい」という悪意よりは、「警鐘を鳴らして、慢心を戒めたい」という善意から来るようだ。
 しかし、善意であろうとなかろうと、非科学的な論説は意味がない。ナンセンスだと言える。
 以上が、要旨だ。以下は、詳細を述べよう。

 ──

 まず、感染症の専門家が、次の論考を書いた。
  → [緊急寄稿]日本の新型コロナ対策は成功したと言えるのか─日本の死亡者数はアジアで2番目に多い(菅谷憲夫)

 日本と世界各国の「死亡者数 / 感染者数」という数値を見て、両者の比率を取ることで、「致死率」と定義する。すると、こうなる。
 アジア諸国の致死率は,インドネシアとフィリピンは6%台と高いが,中国が5.5%,日本は4.4%である。韓国が2.4%,台湾が1.6%と低い。

 致死率では日本は4番目に高くて、韓国や台湾に負けている、というふうになる。

 また、10万人当たりの死亡者数で見ると、こうなる。
 1位はフィリピン,2位が日本であり,日本は最も多くの死亡者が発生した国の一つである。注目されるのは,医療崩壊した武漢など,SARS-CoV-2の発生源とされた中国を上回っている点である。

 以上のことから、こう結論する。
 日本では,欧米と比較してSARS-CoV-2死亡者数は少ないことは事実である。しかし,それは日本の対策が成功したとか,優れていたわけではない。アジア諸国の感染者数,死亡者数は,欧米に比べて,圧倒的に少ないのであり,その中では,最大級の被害を受けているのが日本である。

 以上が、彼の主張だ。

 ──

 これに対して、私の見解を述べよう。こうだ。
 《 全期間を一括して、「成功/失敗」という評価を与えるのは、ナンセンスだ。各国はそれぞれ、成功した時期もあるし、失敗した時期もある。日本もまた同じ。》


 たとえば、中国は、こうだ。
 《 初期には感染爆発が起こって大失敗したが、その後は見事に収束させた。》

 これと同じことは、韓国にも言える。

 だから、中国と韓国については、全期間を通じて、「成功/失敗」という評価を与えるのは、ナンセンスだ。むしろ期間を区別して、「前期は失敗したが、後期は成功した」というふうに、別々の評価を与えるべきだ。それこそが科学的立場というものだ。

 比喩で言えば、「空は明るいか?」という質問には、「昼間は明るいが、夜は暗い」と答えるのが科学的だ。一方で、一日の全体の日照量を見て、「明るい/暗い」と評価しても、まともな評価とは言えない。(科学的とは言えない。変動する数値を、固定的な数値と見なす時点で、認識の前提が狂っている。)

 ──

 では、日本ではどうか? 


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出典:朝日新聞


       → 拡大画像


 時系列を見ながら評価すれば、こうなる。
  • 2月19日、クルーズ船( DP号)の乗客の国内上陸を認めたが、その直後には、感染者が増えており、失敗だった。きちんと隔離するべきだった。
  • 2月25日日、首相が「休校」「イベント自粛」を決めたのは、その後に感染者数が減るどころか増えたことを見ても、まったく無効だったので、失敗だった。
  • 3月20日、首相が「休校解除」を決めたのは、その後に感染増が起こらなかったので、まともな政策だった。(というより、無効な休校をやめただけだが。)
  • この時期(3月20日ごろ)、すでに海外で感染者が急増していたのにもかかわらず、入国制限をしなかったのは、とんでもない 大失敗 だった。のちの感染急増の原因は、すべてここにある。
  • 3月25日、東京都が外出自粛要請を決めたが、何の意味もなかった。感染が増加しつつあったが、外出のせいで増えたのではなく、海外からの流入のせいで増えたからだ。
  • 以後、4月11日まで、感染者の急増があった。これはとんでもない大失敗(入国規制をしなかったこと)の結果である。
  • 4月1日、アベノマスクの配布が表明された。これは、「大失敗」と見えるが、結果的には大成功だったと言える。なぜなら、この馬鹿げたマスクを見て、「他山の石」として、人々はマスクを積極的にするようになったからだ。首相がマスクをすると、それにならえで、公務員も専門家会議も、みんなマスクをするようになった。それを見て、マスコミの人々もマスクをするようになった。首相がアベノマスクでピエロを演じたことで、日本全体のマスク着用率は大幅に上昇した。(着用率 80%程度から95%程度へ。つまり、非着用者は 20%から5%に激減した。)これは、外出8割減とほぼ同等の効果があった。
  • 4月12日以後は、感染者が減少しつつあった。これは、入国規制の効果が現れたからだ。当たり前のことであって、成功でも失敗でもない。
  • アビガンは、4月上旬ごろから中等症でも使われるようになり、4月の下旬ごろからは軽症者にも使われるようになった。この結果、(期間の)致死率は 25%から3%ぐらいに激減した。これは大成功 と言える。アビガンを推進した安倍首相の功績も大きい。(アビガンに否定的な医療関係者[忽那賢志など]の声を無視したのは実に立派だった。)

 以上のように、「成功」もあれば「失敗」もある。功罪相半ばする、というところだ。(比率については半々とは言えないが。)
 この全体を見て、「成功」と「失敗」のどちらか一方に決めつけるのはナンセンスだ。
 比喩で言うと、シマウマには白と黒のどちらもある。「シマウマは白か黒か」と問うこと自体がナンセンスだ。

 ──

 以上で、科学的な認識というものがどういうものであるかを示した。
 全期間を通じて「高いか低いか」を論じること自体がナンセンスだ、とわかるだろう。それはもはや科学ではないのだ。

 ただし、あえて全期間を通じて言えることがあるとしたら、こうだ。
 「日本では自発的にマスク着用率が高かった。3月中旬では5割ぐらいだったが、3月下旬には8割ぐらいにまで高まった。その後、志村けん死亡とアベノマスクという二つの出来事が続いて起こると、マスク着用率は 95%ぐらいにまで上がった。このことは著しい効果をもたらした。……これは、民間努力による成功と言える」
 「一方で、入国制限をしなかったことで、4月上旬の感染急増をもたらした。その悪影響は5月下旬まで数週間も続いた。これは、政府のミスによる大失敗と言える。ただし、その大失敗のミスを、国民が(マスクによって)大幅に尻拭いした。そのおかげで、かろうじて現状程度の死者総数に留めることができた」




 [ 付記1 ]
 「致死率」という言葉に注意。
 冒頭の論考では
   死者数 / 感染者数

 という数値を取る。しかしこれでは、「入院中」(治療中・結果不明)という分が含まれるので、数値が不正確になる。むしろ、結果の判明した人だけを数えて、
   死者数 / (死者数 + 回復者数)

 という数値を見るべきだ。本サイトでは、こちらの数値を取っている。
  → アビガンの早期投与の既存データ: Open ブログ

 [ 付記2 ]
 致死率(どちらの意味でも)を、アジア諸国と比較するのは、妥当ではない。なぜなら日本は超高齢社会だからだ。
 日本で死んだ感染者は、80歳以上が多かった。
  → 新型コロナ:80〜90代死亡率、平均の6倍超 新型コロナで厚労省:日本経済新聞

 その 80歳以上の高齢者が、日本ではアジア諸国に比べて、突出して高い。だから、同じ環境で比較すれば、人口の年齢構成の分だけで、日本はアジア諸国の何倍もの死者が出ていて当然なのだ。
 冒頭の論考では、そのことへの言及がないので、ほとんどナンセンスである。まして、人口の年齢構成を無視して、国としての対策のレベルを評価するのは、ナンセンスである。むしろ、「これほど不利な年齢構成であるのに、この程度の致死率や死亡率で済んでいるのであれば、対策は優れている」と評価していいだろう。
( ※ その対策をしたのが、国民であるか、政府であるかは、問わないでおく。)

posted by 管理人 at 20:55| Comment(5) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
対策の効果は遅れて感染者数に表れるから、休校判断後に感染者増えたのは逆にナイスタイミングだったのでは?
Posted by けけ at 2020年05月26日 21:21
 休校で感染減少が起こるのならばそうだけど、実際には休校で感染減少は起こらない。(次項で述べている。)
 タイミングはよいのかもしれないが、やること自体が無意味だった。

 また、あとで感染急増が起こるので、休校をやってもやらなくても、結果的には大規模な感染急増に呑み込まれてしまって、無意味になった。
 
 休校は、効果の点では無意味だった一方で、それにともなうデメリット(教育機会の喪失)が大きかった。
 休校のせいで感染者が増えた、というわけではない。感染者の増減には影響しなかった。
Posted by 管理人 at 2020年05月26日 21:55
管理人様 
>2月19日、クルーズ船( DP号)の乗客の国内上陸を認めたが、その直後には、感染者が増えており、失敗だった。きちんと隔離するべきだった。

この件、確か920人横浜停泊期間のどこかでのPCR陰性を条件に下船されて、その後陽性になられたのは7人か9人だったと思います。1%以下なのですが、やはり失敗ですかね。
Posted by φρξ at 2020年05月26日 23:30
 失敗かどうかというと、(小さな)失敗に分類されるでしょう。成功ではないことは確かだ。
 ただ、被害の規模が小さかったので、規模的には無視できるぐらいの規模だったとは言える。
 やったことは失敗だったが、結果はラッキーだったかも。
 DP 号では、船内で相当メチャクチャなことをやっていたことがのちに判明したが、その割には、日本に持ち込まれた被害は小さかった。かなりラッキーだったと言えそうだ。
Posted by 管理人 at 2020年05月27日 00:20
そもそも各国は死因不明の死亡者のコロナウィルス検査をしてるのか
私的にはアジアでは日本と台湾だけだと思ってる
だからアジアでランクを付けるなんて科学的にはできない
Posted by 老人 at 2020年05月27日 08:44
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