2020年05月25日

◆ 岩田健太郎の解除論

 緊急事態宣言の解除について、岩田健太郎が論じているが、てんで見当はずれだ。

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 緊急事態宣言について、岩田健太郎が論じている。
  → 「PCR検査論争」が不毛な理由 同調圧力が支配する日本の感染症対策を考える
 緊急事態宣言が徐々に解除され、本格的な流行の第1波が収束しようとしている日本。感染症対策の専門家はこれまでの日本の対策をどう見るか。神戸大学感染症内科教授で、積極的に発信も続ける岩田健太郎さんにインタビューしました。

 インタビュー記事ではあるが、岩田健太郎が自説を述べているので、批判的に評価しておこう。ひとことで言えば、「見当はずればかりだ」となる。

 以下、文章を抜粋して、批判する。

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――先生のいる兵庫県など関西でも緊急事態宣言が解除されそうですね(同日、大阪府、京都府、兵庫県で解除)。緊急事態宣言は新型コロナ対策として必要でしたか?

僕は必要だったと思います。出る前から、実質上のロックダウン(都市機能の封鎖)が必要だったと主張しており、なかったらかなり大変なことになっていたと思います。

 いやいや。ロックダウンも、緊急事態宣言も、まったく必要なかったはずだ。
 仮に、これらが有効だったとしたら、解除後は感染者が急増するはずだが、そんなことはないだろう。
 この件は、前項でも述べたので、そちらを参照。

 ※ 以下の話を読む前に、あらかじめ 前項 を読んでおくこと。


 ────

第一波の収束は何が効いたか?

 宣言を出してから2週間ほど経つとガクッと感染者が減るはずでした。
 それでも、ガクッとは減らなかった。
 これをどう評価するのかは微妙です。つまり、狙ったほどは減らなかったけれど、ドーンと増える最悪の事態も起きなかった。それはよかったと思います。

 何をボケたことを言っているんだ。
 「それはよかった」じゃない。国民にとってよかったかどうかを論じているんじゃない。あなたの予想が大ハズレしたことについて質問しているんだ。まともに答えなさい。
 で、「ガクッとは減らなかった」ということだが、「少しは減った」ということではない。「まったく減らなかった」のだ。(通常分の減少に対する上乗せの減少がなかった。まったくなかった。)
 この意味で、「予想は完全に はずれた」と言っていい。そのことについての反省ないし自己評価をするべきだ。

 一般に、科学的な実証主義というのは、「仮説と検証」という仮定を取る。岩田氏が自説を述べたのならば、その自説にまったく反する結果が出たことで、「自説は誤っていた」と素直に認めるべきだ。
 なのに、自説の誤りを認めないのでは、科学的な実証主義に反する。もはや岩田氏は科学者でもないし学者でもない。ただの無責任な素人であるにすぎない。自分の言ったことにまったく責任を持てないのだから。無責任すぎる。最低限、自分の言ったことに責任をもつべし。そして、それが実証的に否定されたら、否定されたことを素直に認めるべし。

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 宣言を出す前から、一人が周りに感染させる平均人数である「実効再生産数」が減っていたのではないかという声もあります。

 でも、実行再生産数は、ある施策の有効性を現在進行形で吟味するものではなく、後ろ向きに、そういう状況が起きていたということを振り返る指標に過ぎません。
 その時点での実効再生産数はリアルタイムでは出てこない。特に、報告の遅れを加味したような西浦先生のモデルは相当あとにならないとできてこなかった。
 多分、いろんな要素が重なってで少しずつ下がっていく現象はあったのですが、もっと下げることはできたかもしれない。
 それでも、緊急事態宣言が意味がなかったかというとそうではないと思います。もっとひどい展開は当然あり得たわけです。

 何をボケたことを言っているんだ。《 宣言を出す前から、一人が周りに感染させる平均人数である「実効再生産数」が減っていた 》という言葉の意味を理解できないのか? それは、「緊急事態宣言のせいで実効再生産数が低下したのではなく、もともと低い値であった」ということだ。緊急事態宣言の効果の出る日(2週間後の4月21日)の前後で、「実効再生産数」が急激に低下したという現象は見られなかった、という意味だ。つまり、緊急事態宣言には効果がなかった、という意味だ。
 そして、それは、統計によってまさしく実証された。( → 前項を参照。)
 
 なのに、岩田氏は上記の趣旨をまったく理解できていない。
 「緊急事態宣言には効果がなかった。そのことは実効再生産数を見ればわかる」
 という批判を聞いて、まったく見当違いのトンチンカンなことを答えている。
 あげくには、「緊急事態宣言が意味がなかったかというとそうではない」と見当違いのことを述べている。何を言っているんだ。意味があったかどうかという話をしているのではない。「緊急事態宣言をすれば、感染者数が激減して、実効再生産数が急激に低下するはずだ」と述べていた自説が完全に間違っていたと実証された、という話をしているんだ。話を逸らすべからず。
 まったく、安倍首相みたいに論点そらしをして、まともに答えていないな。ひどいものだ。どうしても自説の誤りを認めたくないらしい。不誠実の極み。

 ────

 ――様々な要素の中でも、第一波が収束しそうな要因で何が一番大きかったと思われますか?

やっぱり一般の方が外出しなかったことじゃないでしょうか。感染が減るか減らないかに関して言うと、医療機関はほとんど何もできないのです。感染が減ったのは、一般の方が感染を減らす行動をしたことに尽きると思います。これ以外に予防法はないですから。

 何をボケたことを言っているんだ。前項のグラフを見るがいい。(再掲する。)


c-R0-1.png

横軸の日付は、検査の判明日ではなくて、
その約2週間前の「推定感染日」である。



 見ればわかるように、実効再生産数は、2月24日〜3月13日(つまり緊急事態宣言も、外出制限も、どちらもしなかった時期)において、すでに値が1以下だった。つまり、もともと感染は収束しかけていたのである。
 その後、感染の急拡大があったが、それは、海外からの流入があった(入国制限をしなかった)ことが理由だ。その後、海外からの流入がなくなれば、また元のように1以下の数値になるのは、当たり前のことだ。
 要するに、4月1日ごろから実効再生産数が急激に低下したのは、外出規制のせいでもないし、緊急事態宣言もせいでもない。単に、海外からの流入がなくなったから、元に戻っただけのことだ。
 そもそも、4月7日以後にあった緊急事態宣言や外出規制の効果が、どうして4月1日〜6日に現れるんだ? 「4月7日の緊急事態宣言の効果は、その2週間後に現れる」というのが自説であるのに、現実には、4月1日以後に現れている。未来が過去に影響していることになる。あまりにも非論理だ。日本人全体がタイムマシンにでも乗っているつもりなんだろうか? 荒唐無稽すぎる。

 ────

 肌感覚で言うと、兵庫県では宣言が出たことで人の出入りが2週間過ぎたあたりからガクッと減りました。
 そうすると感染者も検査を受けに来る人も減り、検査で陽性になる人も減り、最後の方になるとほとんど患者さんはいないという印象を持てるぐらいになっていました。

 肌感覚ではなくて、統計を見るべし。(兵庫県の新規感染者数のデータ)


c-hyogo.png
出典:NHK


 見ればわかるように、(感染者数は)2週間後の21日以後に「ガクッと減った」という事実はない。むしろ、この時点では、減少から増加に転じている。
 その数日後からは減っているが、それは、25日から黄金連休が始まったので、多くの病院が閉まってしまったからだ。受診したくても受診できない患者が多くなった。これを「緊急事態宣言のおかげで感染者がガクッと減ったのだ」と見なすのは、手前ミソ過ぎる。

 なお、ガクッと減ったのは、「肌感覚で……人の出入り」とあるので、これは、感染者数そのものではない。しかしその言葉のすぐ後にあるように、「そうすると感染者も検査を受けに来る人も減り、検査で陽性になる人も減り」と言っているのだから、「人の出入りがガクッと減ったので、感染者数もガクッと減った」と言っていることになる。また、「最後の方になるとほとんど患者さんはいない」というのも、「緊急事態宣言のおかげで、人の出入りがガクッと減ったから」と言っていることになる。
 しかし、「感染者数がガクッと減った」という事実はないのだ。「実効再生産数」は、4月7日(またはその2週間後)の時点で、急低下したという事実はないのだ。
 岩田氏は、ありもしない「ガクッと減った」という事実を、あるかのように論じている。妄想も甚だしい。「馬鹿の目には見えない服を着ているんだよ」と述べているようなものだ。ありもしないものを、あると勘違いしている。
 裸の王様も同然の愚かさだ。

 裸の王様は裸だ。裸の王様は服を着ていない。その事実をあるがままに見るべきだ。
 同様に、「感染者数がガクッと減った」という事実はない。「実効再生産数」が、4月7日(またはその2週間後)の時点で、急低下したという事実はない。その事実をあるがままに見るべきだ。(ありもしないものを、あると思うべきではない。)
 


 【 関連項目 】

 正しくはどう見るべきか……という話は、前項で示した。そちらを参照。

 ──

 岩田健太郎の「ロックダウン推奨論」については、前に特別に論じたことがある。
  → ロックダウン推奨の嘘: Open ブログ

 ロックダウンが無効であることについては、前に特別に論じたことがある。
  → ロックダウンの限界: Open ブログ

 それ以外の細かな話題については、サイト内検索で見つかる。
  → サイト内検索

 ──

 「海外からの流入で増加が起こったので、増加のピークは4月13日〜4月17日だろう」
 という趣旨の話も、前に記した。

 ──
 4月3日から、10〜14日後というと、4月13日〜4月17日となる。このころよりあとになって、入国規制の効果が出る。それまでは、現状通りで、直線的な増加が続くだろう。
( → 緊急事態宣言の評価: Open ブログ(4月6日) )

 この予想はドンピシャリで当たったことになる。
 ( 前項の最初のグラフを参照。)



 【 追記 】
 岩田健太郎は、同じ記事で、マスク否定論を展開している。「マスクには効果はないのに、みんなマスクをするから同調してマスクをするだけだ」という趣旨。いわば迷信扱いだ。
――日本でこれほど行動変容がうまくいったのはなぜでしょう。日本人は真面目だからでしょうか?

同調圧力です。
みんなが外に出なければ、私も外に出ない。みんながマスクしていれば私もマスクをする。みんなが電車に乗らなければ私も乗らない。

 ──

マスクも同じです。周りに感染者がたくさんいるかいないかで考え方が変わります。マスクをすべきかすべきでないかという議論も全く不毛です。

――先生は「予防のためのマスクは必要ないと言ったじゃないか」と責められるマスク論争にも巻き込まれていましたね。


あれも面倒臭いのでほとんど無視です。説明しても無駄ですもの。

 「予防のためのマスクは必要ないと言ったじゃないか」と責められて、まともに答えることができないので、質問を無視するだけ。自分の言ったことに責任をもたない。せめて政府や専門家会議が「マスク否定論」から「マスク推進論」に転じたことに言及すればいいのに、ガン無視だ。
 WHO や CDC は、マスク否定論から、マスク有用論に方針を転じたのだ。だったら、WHO や CDC を重視する岩田健太郎も、いっしょに方針を転じるべきなのだが、それができない。
 どうせなら、「マスク否定論は間違いでした」と自説の誤りを認めて、「マスクは有用です」と方針変更をすればいいのだが、それができない。
 やることは、単に自分への批判を無視するだけだ。科学者としてはあまりにも不誠実な態度だ、と言えるだろう。安倍首相並みだ。

 人間は老化すると、これほどにも頑固になるのかと、悲しくなるね。(まだ 49歳なのに、すでに 70歳ぐらいの固い頭になっている。若くて柔軟性のあった岩田健太郎は、今いずこ。悲しいね。)

 ※ 非難するというよりは、悲しくなる。日本にとって大切なものが失われた、という思いだ。
posted by 管理人 at 22:24| Comment(5) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「いやいや。ロックダウンも、緊急事態宣言も、まったく必要なかったはずだ。」なんて後知恵で言われても困るんですが。

https://www.youtube.com/watch?v=gdbjw27QPJQ
Posted by 細波 at 2020年05月25日 23:08
> 後知恵で

 後知恵じゃないですよ。緊急事態宣言が出た4月7日の時点で、すでに「緊急事態宣言もロックアウトも無効だ」と述べています。
 → http://openblog.seesaa.net/article/474460111.html

 これを読めばわかるように、本項および前項で述べたことは、上記項目とほぼ同趣旨だ。つまり、4月7日の時点で、すでに同じことを言っている。
 その後、「緊急事態宣言もロックアウトも無効だ」という趣旨の話は、これまでに何度も書いてきた。
  → https://j.mp/2LUILhR

 細波さんは、本サイトをよく読んでいるようだが、読んだことをみんな忘れてしまうんだね。というか、最初から、頭に入っていなかったのだろう。だから、これまで何度も述べてきたことを、まったく覚えていないわけだ。

 p.s.
 最後の 【 関連項目 】 のところにも、リンクを補充しておきました。

 ──

 p.s.
 4月7日の記事は、記事本文中に記してある通り、不正確な記述がたくさん含まれています。
 内容は修正されて、後日(4月13日)、別の項目で改めて説明されています。それが、すぐ上の 【 関連項目 】 のところで示したリンクです。真相を知りたければ、そちらを参照。
Posted by 管理人 at 2020年05月26日 00:18
 最後に 【 追記 】 を書き足しました。
 岩田健太郎のマスク否定論。
Posted by 管理人 at 2020年05月26日 10:59
その岩田健太郎教授の連載が始まりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/41505c6197d707b95edb2b6101ba8b5d7f6ecc85
https://news.yahoo.co.jp/articles/b2a620c77d6ad3cdda9cc6fa4ffbd48c8a101568
一言で言えば未知のウイルスであるから予想もくそもない。外れたことを批判するのは科学者に対する期待過剰ですって。
Posted by ciu at 2020年05月28日 17:49
 岩田教授は、予想がハズレたことは認めているようなので、予想がハズレたことを認めずに「予想が当たった」と強弁している忽那賢志・医師よりはマシとは言える。
Posted by 管理人 at 2020年05月28日 18:17
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