2020年05月14日

◆ イベルメクチン(コロナ治療薬)

 レムデシビルとアビガンについては、前々項と前項で述べた。引きつづき、イベルメクチンについて言及する。

 ──

 (1) 前出

 イベルメクチンについては、前に言及した。一部抜粋しよう。
 イベルメクチンという薬が新型コロナに有効だ、という報告が出た。効果が大きいので、きわめて有望だという。しかも、よく使われる既存薬なので、安価で、大量の在庫があるそうだ。
  → 新型コロナ感染症:ノーベル賞を受賞した日本発の治療薬「イベルメクチン」が救世主に?

 ただし、報告書はまだ1件だけなので、いまのところは「実験」レベルであるにすぎない。
( → 症状別の対応 (新型コロナ): Open ブログ


 (2) 「実験」レベル

 リンク先では、「実験」レベルで、次のようだと報告されている。
 細胞を使った試験(in vitro)をしてみたという。
 すると、イベルメクチンを使ってから24時間後に新型コロナウイルスのRNAが93%減少し、48時間後には99.98%減少したことを観察した。また、イベルメクチンによる毒性作用は見られなかったという。
 これは、イベルメクチンが新型コロナウイルスのタンパク質生成を阻害し、増殖を強く抑制したことを意味する。
( → 新型コロナ感染症:ノーベル賞を受賞した日本発の治療薬「イベルメクチン」が救世主に?(石田雅彦)

 「実験」レベルで有望だったので、人体を使う治験もなされるか、と想像された。世界各国で大量の死者が出ている一方で、治療薬のアビガンもレムデシビルも使えない人が続出しているので、入手しやすいイベルメクチンを使う事例もありそうだ……と思ったのだ。


 (3) 治験なし

 しかし現実には、治験がなされたという報告はなかった。これについては、次のように想像した。
 イベルメクチンは、新薬ではなく、既存薬だ。新たな薬効が判明したとしても、どこかの会社が権利を独占することはできない。治験のために多額の費用とかけても、やった会社が損するだけだ。それよりは、他者がやるのを待って、その成果だけを無料で頂戴する方が、漁夫の利を得ることができる。だから、他者が治験のをするのを待って、自社ではやらない。

 しかし、これだと、有望な薬を使えないので、世界規模で、一般市民が損をする。困る。
 ならば、いくつかの国が協力して、国家規模で治験をすればいい。それが最善だろう。


 (4) 治験あり

 そう思ったのだが、新たにニュースが飛び込んだ。イベルメクチンを開発した大村智博士の属する北里大が、自発的に治験をするそうだ。
  → 北里大、イベルメクチン治験へ 抗寄生虫薬、新型コロナに(5月6日)

 どうして北里大が? という疑問もあるだろう。実は、イベルメクチンを開発した大村智博士には、特許料が 200億円も入ったが、その金を、博士は私財のためには使わず、北里研究所につぎ込んだのだ。
  → 総理大臣がなんだ! 大村智先生の、権威に媚びない「痛快人生」
 だから、北里研究所とは、実質的には大村智研究所なのである。北里大が今回、治験をするというのも、実質的には、大村智博士の特許料で、大村智博士が主導したと言ってもいいはずだ。


 (5) 米国の治験

 それで、どうなるか? 見通しは立つ。すでに米国で治験がなされた事例があるからだ。
 米ユタ大学の研究チームは4月19日に、新型コロナウイルス感染症に対するイベルメクチンの論文を発表した。これは、20年1月1日から3月31日までに新型コロナウイルス感染症と診断された患者データを解析したもの。米国、欧州、アジアなどの計169病院からのデータを基に、イベルメクチンを投与したグループと投与していないグループで死亡率を比較した(それぞれ704人)。解析の結果、死亡率が投与していないグループの8.5%に対し、投与したグループは1.4%であり、明確に低かった。
( → 新型コロナ:コロナ薬候補 北里大「イベルメクチン」治験の詳細:日本経済新聞

 すでにこれだけの結果が出ている。今後、北里大でも治験をするようになれば、いっそうはっきりとした成果が出るだろう。


 (6) 機序

 機序については、上の記事でも説明されている。
  → 新型コロナ:コロナ薬候補 北里大「イベルメクチン」治験の詳細 :日本経済新聞
 専門用語が続くので、素人にはわかりにくいが、要するに、ウイルスの複製を抑制している。その点では、アビガンと同様の原理だ。(ウィルスそのものを殺すのではない。増やさないだけだ。)
 イベルメクチンは、もともと抗ウイルス作用があることが、いくつかの種のウイルスについて判明している。それと同様のことがなされていると考えていいだろう。

 なお、この原理からして、「重症者よりも軽症者の方によく効く」と言える。軽症のうちに服用すれば、重症化をする前に、治癒するはずだ。そういう使い方が推奨されるだろう。
 ただ、その点では、アビガンやレムデシビルも同様だ。しかるに、アビガンやレムデシビルには、副作用の懸念が大きい。軽症者にやたらと気軽に投与するわけには行かない。その意味で、副作用の懸念が特に大きいわけでもないらしいイベルメクチンには、「軽症者向けの薬剤」としての期待がかかる。


 (7) 副作用

 これまでのデータでは、(抗菌薬などとして使われた場合に)イベルメクチンの副作用も判明している。
  → 副作用モニター情報〈467〉 イベルメクチンと薬物性肝障害 ?
 副作用として、肝障害の危険があるので、高齢者に不適であるらしい。ただし、中年以下にはそれほどでもないようだ。
 高齢者に不適だというのは、アビガンとは逆だ。アビガンは、出産可能年齢の人には不適で、高齢者には不適でないからだ。
 ゆえに、次のように使い分けができそうだ。
  ・ 高齢の軽症者には …… アビガン
  ・ 若手の軽症者には …… イベルメクチン

 こういう分担ができそうだ。

 ただ、全体としてみれば、イベルメクチンの副作用はあまり大きくないそうだ。
 致命的な副反応はほとんど見られない
( → イベルメクチン - Wikipedia


 (8) 処方の方法

 イベルメクチンの処方は、どうするべきか?
 常識的には、錠剤のまま服用するべきだろう。

 ここで、次のアイデアもある。
 「アビガンのように、エアロゾルにして吸入すれば、薬剤が肺だけに留まり、全身に回らない。だから、肝臓に回ることも少ない。それなら、副作用を防げるかもしれない」

 そう思ったのだが、これは無理であるようだ。というのは、イベルメクチンは水溶性が良くないからだ。
  → イベルメクチン - Wikipedia

 脂溶性は高いそうだが、油の微粒子を噴霧するというわけにもいかないだろう。錠剤として投与するしかないようだ。
 となると、静脈注射も無理だから、重篤な患者への処方もできない。主として軽症者向けの錠剤として使うしかないだろう。それも、高齢者以外で。


 (9) 結論

 イベルメクチンは、かなり有望である。重症者向けではないが、軽症や中等症の患者には、アビガン以上に適しているとも言える。効果については、はっきりとしないが、アビガンと同程度になる可能性もある。レムデシビルよりは上だろう。
 価格の点では、アビガンよりもずっと安くなりそうだ。
 アビガンの生産量には限度があることから、(日本以外の)世界的な規模では、今後は最も有望となりそうだ。……ただし、治験が済んでからの話となる。

posted by 管理人 at 23:45| Comment(1) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ナファモスタットメシル酸にも期待したいです。
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/__icsFiles/afieldfile/2020/05/08/release_20200508.pdf
Posted by ホンロン at 2020年05月15日 09:16
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