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緊急事態宣言を緩和する動きが各地で生じている。これは自治体レベルの話だが、全国レベルでも政府が 14日に「解除するかどうかを判断する」とのことだ。前項で述べたとおり。
→ 緊急事態宣言を全国で緩和: Open ブログ
ただ、政府がいつ実施するかという問題は別として、合理的に考えるならいつ実施するべきであるかという問題を考えよう。前者は政治的な問題だが、後者は科学的な問題だ。本サイトはあくまで科学レベルで考える。
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前項では、各地のグラフを見たすえに、ひとまずこう判断した。
・ 大阪は、今すぐ解除してもいい。
・ 東京は、今すぐ解除できる状況ではない。(解除時期不明)
・ 神奈川は、1週間後の解除を目途としたい。
こうして見ると、全国レベルで解除するときのネックとなるのは、東京都だ。では、東京都はどうか?
東京都は、7日までは感染者数が急減していたが、これは「連休中で病院が休んでいるので、検査数が少なかった駄目だろう」と推定した。その上で、「8日には、反動が出て、数字は急増するだろう」と推定した。(これは、日曜日のあとの月曜日で、数字が急増するのと、同様の効果だ。)
では、どうなったか? 7日が 23人であったのに対し、8日は 39人だ。割合で言えば、2倍にはならないまでも、かなり大幅に増えているが、数字自体はかなり小さな数字である。予想したよりも低い数値だ。
8日までを含めて、なだらかな減少が続いているので、この先の数字もおおまかに予想できる。

この図で予想すると、数字がゼロ近辺になるのは、5月15日ごろになりそうだ。
東京でさえそうなのだから、神奈川などの他県はもっと早くなりそうだ。
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というわけで、
「全国レベルで緊急事態宣言を解除するとしたら、いつ解除するべきか?」
という質問には、
「5月15日ごろだ」
と答えよう。これが合理的な回答だ。
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一方、大阪は、もっと慎重だ。
「低い数値が7日間連続して続いたら」
という条件を付けている。しかし、これは不要だろう。
なるほど、慎重を期すのはいい。しかし、感染者数のデータは、実際の感染から約2週間遅れているのだ。現在のデータは、2週間前の状況を示すデータなのである。
とすれば、ここでは、「現在の数値が低いこと」だけでなく、「数値が減少している」という減少の速度も見るべきだ。
数学用語で言えば、関数の数値を見るだけでなく、関数の一次微分を見るべきだ。
自動車で言えば、自動車の位置を見るだけでなく、自動車の速度を見るべきだ。
こういうふうにして減少の速度を見ると、将来の数値が予想できる。それゆえ、「ゼロになる日の1週間前に、将来の数値を予想する」というふうにしてもいいのだ。
そこで、5月8日という時点で、1週間後の数値を予想する。すると「ほぼゼロ近辺」と予想できる。
そのことゆえ、「5月8日の時点で、解除を決める」というふうにしても、十分に合理的だ。
ただしそれでは、慎重さが足りない。そこで、慎重を期して、「(1週間後の)5月15日に解除する」と決めて、今はそのための準備をしておけばいいだろう。
これが私の結論だ。
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大阪府のように、「低い数値が7日間も続く」のを確認してから」というのでは、解除の時期が遅れてしまう。
とはいえ、「7日間も続く」というのを確認したら、即日、解除を実施する……というのであれば、悪くない。これだったら、早ければ5月15日頃にも解除を実施できそうだ。
……と思っていたら、まさしくそうなりそうだという。新たに次の記事が出た。
7日時点では、PCR検査件数のうち感染者の割合を示す8日から7日連続で達成すれば、15日に段階的解除を決める見通しだ。
( → 新型コロナ:大阪府、7日の新規感染8人 自粛要請解除の基準満たす :日本経済新聞 )
へえ。15日にも段階的解除か。けっこう素早いですね。
[ 付記 ]
前々項コメント欄で教わったが、次のページがある。
→ ロックダウンは必要なかった? 「外出禁止は感染抑制と相関がない」と研究結果
つまり、次の二点を示している。
・ ロックダウンは必要ない
・ 外出禁止は感染抑制と相関がない
これは、私の主張と同趣旨なので、「それが統計的に実証された」という意味があるようだ。
記事には、「休校は効果がある」という趣旨の話もある。これは私の主張とは逆だ。この点については、前々項コメント欄で解説した。興味があれば、そちらを読むといいだろう。
( ※ 興味がなければ、読まなくてもいい。)
→ マスクの話題 8: Open ブログ(コメント欄)
集団免疫に期待して初期対応を誤った英国。
大統領自身がマスクを拒否する米国。
初期からPCR検査をしまくって感染を抑え込んだ韓国、台湾。
未だ死者ゼロのベトナム。
死者が増えても厳格なロックダウンを実施しないスウェーデン。
そして、日本。
相関関係で見るべきは
・感染爆発しているがロックダウンしていない国
と
・感染爆発してロックダウンした国
であり、
・感染爆発し、なんとか止めなければと思ってロックダウンした国
と
・感染爆発せず、ロックダウン不要な国
を比較しても意味がないのでは?
今の新規発病状況は1週間前の感染状況を反映しています。
専門家会議の報告
http://openblog.seesaa.net/article/474871165.html
のグラフによると、新規感染者データのピークは4月12日なのに、発症日のピークは4月1〜3日だ。発症から統計まで、10日もずれている。
推定感染日のピークは 3月28日ごろだ。
http://openblog.seesaa.net/article/474886574.html
その日から4月12日まで、15日間もかかっている。