2020年05月07日

◆ 緊急事態宣言を全国で緩和

 西村経産相は、「緊急事態宣言を全国で緩和する」という意味の発言をした。(嘘みたいだが。)

 ──

 発言はこうだ。
 西村康稔経済再生担当相は6日の記者会見で、新型コロナウイルス特措法に基づく休業要請などの措置の解除基準を国が示さないと吉村洋文大阪府知事が非難したことに対し「仕組みを勘違いしており、強い違和感を感じる。(措置の)解除は知事の権限」と不快感を示した。
( → 西村再生相、吉村知事は「仕組みを勘違いしている」措置解除めぐる非難に不快感 - (サンスポ)

 実は、勘違いしているのは西村大臣の方なので、これは失言かもしれない。だが、「嘘から出たまこと」みたいになって、このあとは緊急事態宣言は有名無実化する公算が大きい。
 つまり、 安倍首相が出した「緊急事態宣言の延長」は、開始日の7日を待たずに、形骸化したことになる。「緊急事態宣言の延長」は、実質的には、なされなかったことになるとも言える。
  ※ 「まったくなされない」という意味ではなくて、「少しだけなされる」という形だ。
 ※ 宣言は「部分延長された」とも言えるし、「部分解除された」とも言える。

 ──

 では、どうしてこうなったか? 詳しいてんまつは、こうだ。
  • 政府は「緊急事態宣言の延長」を決めた。
  • そこでは、13都道府県では延長だが、他の県では緩和されることになった。(部分緩和と言える。)
  • 13都道府県では休業要請が続くが、他の県では休業要請をしなくてもいいことになった。
  • これで話は片付いたはずだった。
  • 宮城県などが、「休業要請の延長をしない」と決めた。(これは決定の範囲内だ。)
  • ところが大阪府が、「休業要請の解除」という方針を打ち出した。(大阪府は 13都道府県に含まれるので、これは政府方針に反する。
  • 大阪府は、「政府が方針を出さないので、自分たちが独自に決めた」と説明した。
  • この時点では、大阪府の方針は、政府の「緊急事態宣言の延長」に反するので、政府側の反発が予想された。「勝手なことをするな。緊急事態宣言の指針に従って、きちんと休業要請をしろ」というふうに。
  • 西村再生相が記者会見を開いて、大阪府の方針を批判した。
  • しかしその内容は、予想されたものとは真逆だった。「きちんと休業要請をしろ」というかわりに、「休業要請は都道府県が決めることだから、政府は関与しない。自分たちで決めろ」といって、丸投げした。
  • これは「13都道府県は休業要請をしろ」という政府方針を否定するものだった。
  • かくて、「13都道府県は休業要請をしろ」という緊急事態宣言は、西村再生相によって、早くも否定された。13都道府県も含めて、都道府県は休業要請を勝手に停止していいのである。
  • つまり、5月6日をもって、緊急事態宣言は早くも瓦解した。

 ──

 ちなみに、これまでの方針はこうだった。
  → 34県で映画館、百貨店、学習塾、レストラン緩和 13都道府県で博物館も 政府指針 - 毎日新聞
 
 タイトルにあるように、34県では、レストランなどを含めて大幅に休養要請が緩和できるが、13都道府県では、博物館・美術館・公園・ゴルフ場ぐらいしか緩和の対象とならなかった。つまり、13都道府県では、レストランのような商業店舗は休養要請の対象に含まれなかった。それが公式見解だった。

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( → 朝日新聞
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( → 流通ニュース


 これらは、各都道府県知事に通知される形を取った。
 政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」を5月末まで延長するのに合わせ、事業者に求めている休業の維持・緩和に関する指針をまとめ、4日付で各都道府県知事に通知した。
( → 「クラスターが発生すれば営業自粛」休業緩和指針で西村担当相がクギ - 毎日新聞

 ともあれ、こうして政府の方針が示された。

 ただ、休業要請の実行は、国が決めるのではなく、自治体が決める。実際、4月になした休業要請は、自治体がやったものであって、政府がやったものではない。そこで西村大臣は、「休業要請は自治体が決めることだ」と思ったらしい。
 なるほど、決めること自体は、自治体がやることだ。しかし、その内容は、緊急事態宣言において方針が示されているのである。「 34県では商業施設が緩和の対象となるが、13都道府県では商業施設は緩和の対象とならない」というふうに。
 ここを、西村大臣は勘違いしたらしい。「休業要請を決めるのは自治体だから、休業要請の実施対象を決めるのも、休業要請の解除時期を決めるのも、自治体が勝手にやることだ」と。
 これはどうも、緊急事態宣言の内容そのものを理解していないせいだ、と思えるが。

 かくて、「ひょうたんから駒」みたいな形で、「休業要請の実施対象を決めるのも、休業要請の解除時期を決めるのも、自治体が勝手にやることだ」というふうになってしまった。つまり、緊急事態宣言の有名無実化である。

 ──

 かくて、5月6日をもって、緊急事態宣言は早くも瓦解した。もはや自治体は、休業要請や外出自粛について、いくらでも好き勝手に決めていいのである。「 13都道府県は、休業要請を続けよ」と示している緊急事態宣言を、無視していいのである。そのことを政府自身が表明したのだ。(西村大臣の口から。)

 結局、緊急事態宣言の延長は、なされなかったも同然だ。7日以後も、外出自粛や休業要請が続いているが、それは、自治体が勝手にやっているだけのことなのだ。政府の方は、「それをやめてもいい」とすでに公式に認めているのである。




 では、今後はどうなるか? 
 大阪府は、もうすぐ休業要請を解除するだろう。感染者数が激減しているのだから、当然だ。今すぐ解除してもいいぐらいだ。


大阪府の新規感染者数
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NHK


 一方、感染者数がまだいくらか残っている東京都は、休業補償金として 50万円を給付することを決めた。これはこれで一案だ。(今すぐ解除できる状況ではない。)


東京都の新規感染者数
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NHK


 他方、感染者数が激減しているのに、休業要請を 31日まで続けるのだが、休業補償金は 10万円しか出さない……という神奈川県のような例もある。これはひどいね。大阪府を見習って、さっさと休業要請を解除するべきだろう。金を出さないのなら、解除が当然だ。実際、解除していい水準まで、感染者数は減っている。(今すぐ解除は無理でも、1週間後の解除を目途に、準備しておくことはできるだろう。)


神奈川県の新規感染者数
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NHK


 ──

 なお、13都道府県以外では、すでに休業要請の解除を決めた。
 休業要請について、宮城、島根、高知など8県が延長しないことを決めた。
 7日以降に「延長しない」としたのは、青森▽岩手▽宮城▽鳥取▽島根▽香川▽高知▽宮崎――の8県。延長しない理由として、大半の県が新規感染者の減少を挙げた。
( → 休業要請 宮城など8県が解除へ 静岡など17県は継続でも規模は縮小 - 毎日新聞

 一方で、13都道府県は、いずれも感染拡大に歯止めがかかっていないなどとして、休業要請を続けるそうだ。
 大阪の真似をする都道府県も出てきてよさそうだが、今のところは出てきていないようだ。

 ──

 政府自身はどうかというと、緊急事態宣言の早期解除をすでに検討しているそうだ。
 安倍晋三首相は……緊急事態宣言の解除に関する基準について、専門家の意見を聞いたうえで14日までに示す考えを示した。

 首相は4日の記者会見で、5月末までが期限の緊急事態宣言について、14日をめどに解除の可否を検討し、「可能であると判断すれば期間満了を待つことなく緊急事態を解除する」と表明している。
( → 緊急事態解除の基準、14日までに提示 首相「専門家に作ってもらう」 - 毎日新聞

 
 一方で、民間の商店は、「もう耐えきれない」と言って、勝手に営業再開をしている店もあるそうだ。休業要請の無視。
  → しびれ切らした店が再開 「宣言解除の基準見えない」:朝日新聞

 かくて、なし崩し的に、緊急事態宣言の無効化や解除が、どんどん進みそうだ。




 オマケふうに、ついでの話。
 大阪府知事の評価が大幅に高まっているそうだ。
 《 最も評価する政治家は大阪・吉村知事 2位東京・小池氏 発信好感 毎日新聞世論調査 》
 全国世論調査では、新型コロナウイルス問題への対応で「最も評価している政治家」の名前を1人挙げてもらった。大阪府の吉村洋文知事を挙げた人が188人でトップ。59人で2位に入った東京都の小池百合子知事を大きく引き離した。国政に携わる政治家では安倍晋三首相が34人で3位に入るにとどまり、……
( → 毎日新聞

 政府の方針に反して、休業解除の方針を示したことが、人々の支持を得ているようだ。それほどにも世間は休業解除の方針を求めている。
 私が四月半ばに「緊急事態宣言は解除すべし。たぶん解除されるだろう」と言ったときには、「そんなのは無理だ」と思った人が多いようだが、現実には、今この時点で「休業解除」をする人が多くなっているのだ。
( ※ 今すぐ解除とまでは言わないまでも、1週間の延長ぐらいで解除することを求めている人が大多数だろう。……東京都は別として、それ以外の県では。)



 [ 付記1 ]
 ちなみにドイツでは、「休業解除」「営業再開」が進んでいる。
 ドイツのメルケル首相は6日の記者会見で、新型コロナウイルス対策として3月中旬から実施してきた制限措置について、すべての商店の営業制限を撤廃するなど大幅に緩和すると発表した。
 サッカーの独1部、2部リーグは5月後半から無観客での再開が認められる。
( → ドイツの制限措置、大幅に緩和…メルケル氏「目的は達成」 : 読売新聞

 ドイツの感染者数は、まだまだ多いのだが、それでも増加ペースが落ちた(新規感染の減少が続く)ということで、営業再開を決めたそうだ。


cg-germany.png
Worldometer


 ドイツの数値は日本の5倍。人口は日本の6割。つまり、日本の8倍ぐらいの感染者がいる。ドイツの方が検査体制が優れていることを考えても、ドイツの方がずっと状況はひどい。それでも、あっさりと営業再開に踏み切った。それも、ロックダウンという強力な封鎖から、一挙に解禁だ。
 ただし、無謀とも言えない。なぜなら、マスク義務化をともなうからだ。
  → ドイツ、全州でマスク着用義務開始 4月27日から:時事ドットコム
 この点では、いまだにマスク義務化をしていない日本よりも、ずっと賢明だと言えそうだ。

 [ 付記2 ]
 ドイツではプロサッカーが再開される。日本でも、プロサッカーやプロ野球は再開してもいいだろう。バスケットボールや相撲は、接触によって感染の危険があるが、サッカーや野球ならば、接触も少ないはずだ。

 [ 付記3 ]
    ※ 以下は、読まなくてもいい。


 サッカーについては、独自ルールで、「接触の禁止」をルールにしてもいい。こうだ。
 「ボールを持っている選手に、相手側の選手は接触してはならない。接触した場合には、ファウルと見なされる」
 「罰則は、接触した側にはないが、接触された選手には、5メートル前進した位置からのプレー再開というアドバンテージが与えられる。他の選手は、現在位置でプレー再開」

 ドリブルした選手に、守備側の選手が接触したら、守備側の選手はそのままの位置で、ドリブルをした選手だけが5メートル先に移動して、そのままプレー再開となる。ゴールのそばだったら、すぐにもシュートできる。
 こういうルールなら、守備側の選手はドリブルをする相手選手に近づかなくなるだろう。かくて、接触で感染する危険はなくなる。

 ※ ドリブルをする選手が勝手に守備側の選手にぶつかった場合には、この反則は成立しないものとする。守備側の選手は、横から圧迫することはできないが、前方で待ち構えて壁を作る(進路妨害をする)ことはできる。


posted by 管理人 at 22:02| Comment(3) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
相手も含めて毎回検査を必須にすることでしょ
検査結果が出るまで外出禁止
選手をGPSで管理
試合の前には全身消毒
ドイツ人ならできそうだけど
選手はグローバルだからなあ
Posted by プロなら at 2020年05月08日 07:53
この経済的ダメージは凄いことになりそうですね…
とりあえず小池知事の自分ファースト目立ちたがり政治を何とかしないと、東京は「ただの風邪」で焼け野が原になりそうです。
都民もいつまで寝ボケてるんでしょうか…もっと声を上げないと。学校も早く始まったほうが良いですね。公園が封鎖されてるので、道路端で奇声を上げて遊んだり、夜に徘徊して、警察の無駄骨を折らせてるそうですし。
とはいえ、知り合いの美容院や飲食店は「自粛なんてやってられるか」と言って、既に営業してますけど。(政府の言いなりになってたら、そのうち自殺です)
Posted by 名無し at 2020年05月08日 15:09
日本の方針に対し唯一真っ向から反対しPCR検査を推し進め私はコロナ粛清に成功した和歌山県が47都道府県中のコロナ対策のトップと思います。現状において何をすべきか意見を和歌山知事に聞いたほうがいいくらいに感染レベル毎の処方箋を持っていました https://www.pref.wakayama.lg.jp/chiji/message/20200427.html
Posted by gunts at 2020年05月08日 19:47
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