2020年05月03日

◆ 続・専門家会議の報告(5/1)は誤認

 前項の続き。外出自粛、マスク義務化、という副次的な話。

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 外出自粛


 「感染者を減らすには、感染倍率を減らすべきだ。そのためには、外出自粛を続けるべきだ」
 という説がある。だが、この説は成立しない、とわかる。すぐ前に述べたことが理由だ。
( ※ つまり、感染者の増減は、海外からの流入の増減が理由だったのであって、国内の対人接触は関係ない。)

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 外出自粛が無意味だということは、外出自粛よりももっと強力なロックダウンをした欧米諸国を見るとわかる。
 ロックダウンした国と、ロックダウンをしない国を比較して、どちらの感染者や死亡者が多いかを見るといい。ただし、感染者の数は、その国の PCR 検査能力に依存するので、国別の対比をするには適さない。そこで、死亡者だけを見て、国ごとを比較するといい。すると、次の対比ができる。
 「ロックダウンした英国とフランスと、ロックダウンをしないスウェーデンを、比較する。すると、前者は後者よりも、死亡率が高い。(およそ3:2の比で、前者の方が死亡率が高い。)」
 これは、「ロックダウンをすると、死亡率が高まる」ということを意味するように見える。実際には、そうではないだろうが、少なくとも、「ロックダウンをしても、死亡率を下げることはできない」とは言えるだろう。

 また、ロックダウンをした英国では、ロックダウンをして1カッカ月以上たっても、感染の減少が見られない。ずっと感染が増えたままだ。このことからも、「ロックダウンには意味がない」と言えそうだ。
  → ロックダウン推奨の嘘: Open ブログ

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 こういうふうに、外出自粛やロックダウンの効果はほとんどない、とわかってきた。それを知ってか知らずか、日本でも「外出規制を弱めよ」という動きが出てきた。
 第1に、大阪府が「外出規制を弱める」という方針を打ち出した。
 第2に、政府もまた大阪府の動きを(大阪以外の)他県にも認めるという方針を打ち出した。
 大阪府は2日に開いた新型コロナウイルス対策本部会議で、特別措置法に基づく休業と外出自粛要請の段階解除に向けて、どの指標を基準とするかの方針案を定めた。病床使用率や新規の感染者数、検査を受けた人に占める陽性者の割合(陽性率)の推移をみる。基準に達すれば今月15日にも、要請の解除の判断をする。
 病床使用率について本部会議では、重症者用の病床は5割、軽症・中等症用で6割を超えれば、医療崩壊につながる「警戒水域」になるという指標を示した。現状では重症者用は32.4%、軽症・中等症用は43.9%。病床使用率だけでみれば、おおむねこの水準を維持できれば15日にも解除を検討する判断の一つとするという。
( → 大阪府、休業要請解除に独自基準案 病床使用率など:朝日新聞

西村康稔経済再生相は……現在13都道府県が指定されている「特定警戒都道府県」について「引き続き、(人との)8割接触削減をお願いする」とする一方、それ以外の地域は「7日以降は(活動の自粛は)少し緩まっていくが、その際、事業者の皆さんが判断しながらできるような枠組みを作っていきたい」と発言。警戒レベルの低い地域では経済活動の自粛緩和に伴って、「8割削減」の目標も緩和していくことを示唆した。
( → 経済活動、自粛緩和へ コロナ感染者少ない地域で 政府:朝日新聞

 政府は「緊急事態宣言の延長」を決めたが、しかるにその舌の根も乾かないうちに、「都会以外では自粛緩和」の方針を打ち出したわけだ。

 ※ 実は専門家会議の報告でも、「都会以外では徐々に緩和していい」という趣旨の話が書いてあった。

 というわけで、「緊急事態宣言の延長」という方針は出したものの、実質的には、「都会以外では、緊急事態宣言の効力を弱める」という形で、「緊急事態宣言は部分的に解除された」と見ていいようだ。

 ※ 名目的には延長しているが、実質的には部分解除である、ということ。

 ※ 5月3日には、早くも次の方針が出た。
   → 美術館などの活動再開可能に

 マスク義務化


 専門家会議の報告では、マスクについては何も言及していないも同然だ。
 報告では、感染防止策として「マスクの着用」という6文字があるだけだ。しかも、ただの例示として、カッコ内に記述されているだけだ。
 つまり、まともな文章でマスク単独では扱われていない。「マスクが大事だ」という概念はまったくないし、「マスク義務化」という概念もない。アベノマスクよりももっとひどいありさまで、「マスクに無関心」と言える。呆れるほどだ。

 ──

 一方、世界を見ると、「マスク義務化」へと、流れが大きく転換した。それも、ここ数日間で。(ロックダウンの緩和と同時に、マスク義務化が推進されている。)
 朝日新聞の記事から引用しよう。
 欧州各国で新型コロナウイルス対策の行動規制の緩和に際し、マスク着用の義務化が進んでいる。
 ■ドイツ
 ドイツでは29日までに全国の小売店や公共交通機関の中でのマスク着用が義務化された。
 南部バイエルン州では、違反すると150ユーロ(約1万7600円)の罰金。小売店の従業員にマスクなしで働かせた責任者は5千ユーロ(約59万円)の罰金が科される。
 義務化は、閉鎖されていた店舗などが再開されたことに伴う。世論調査では9割が「マスクを着用する」と回答し、反対する人は限定的だ。
 ■オーストリア
 3月末に店舗や公共交通機関の中での着用義務づけを発表した。
 5月15日には飲食店などが営業を再開するが、従業員のマスク着用などが条件になっている。
 ■イタリア
 同国北部を中心に、マスクを着ける人が増え始め、3月10日に全土で「外出禁止」が発令されるとその傾向が強まった。同国では5月4日から規制が緩和されるのにあわせ、マスク着用の義務化が始まる。商店や公共交通機関の中などが対象だ。
 ■フランス
 マスクの供給に失敗して政治不信が高まっているのがフランスだ。仏メディアは4月、マスク不足は政府が備蓄を怠ってきたことが原因だったと報道。仏政府は、一般の人々のマスク着用は「意味がない」(保健省)と強弁し続けていた。
 結局、4月28日に政府は方針を大きく転換。5月11日から公共交通機関などでのマスク着用を義務づけることにした。
 ■イギリス
 英国はマスクの感染抑止効果は科学的根拠が弱いとしてかたくなに勧めてこなかった。だが……4月30日の記者会見でジョンソン首相は、行動制限などを緩和する際には……推奨に転じることを示唆した。

( → 慣れぬマスク、欧州の新常識に 行動規制緩和で義務化:朝日新聞

 マスクに積極的なのが、ドイツ、オーストリア、イタリアで、いずれもマスク義務化に進んでいる。これらの国では、感染者数が急速に減少しつつある。
 マスクに消極的なのが、フランス、イギリスで、いずれもマスクに否定的だった。しかしフランスは4月28日にマスク義務化に転換して、5月11日から実施。イギリスは行動制限の緩和にともなってマスク推奨へ。この両国では、長らくマスク非推奨だったので、感染者数がなかなか減らない。フランスでは減少のペースが遅く、イギリスではほとんど減少していない。

 ともあれ、程度の差はあれ、欧州はマスク義務化に進んでいる。なのに日本だけが、マスク義務化のかわりに、「外出制限」にこだわる。専門家会議も政府も、「外出8割減」「外出自粛」にこだわるばかりで、マスク義務化については考慮すらしない。
 政府は、外出制限の緩和をする意向を示しているが、その場合も、「マスクを付けることを条件に緩和」となっていない。
 そのすべては、マスクに消極的な専門家会議のせいだ。

 ※ マスク義務化というのは、「常時義務化」ではない。店舗や、駅や、イベント会場などが対象だ。戸外の路上は対象となっていないのが普通だ。
 ※ 先に述べたように、政府は美術館の活動再開という方針を示した。しかしそこでは、「マスクをしていること」という条件はない。この「マスク付き」という条件が抜けているのが、欧米とは違う。
 ※ 逆に言えば、「マスク付き」という条件を抜いているから、日本では無駄に外出制限が強くなっているのだ。マスクさえすれば、外出制限を緩和してもいいのだが。(知恵がないと愚行をする、という見本。)

 ──

 世界は「マスク義務化」という方向に進んでいる。
 日本では、政府はその方針を示さなかったが、賢明な国民が自発的にマスクを着用してきた。台湾と韓国は「マスク配給制」によってマスク着用率を 100%近くにまで上げて、見事にコロナを(ほぼ)克服した。
 日本では、政府はアベノマスクという愚行をしたぐらいで、マスクについてはほとんど何もしなかったのだが、国民が自発的にマスクを着用したことで、マスクの着用率が高まった。もともと7〜8割ぐらいだったが、3月末以降では 90%ないし 95%ぐらいの人が自発的にマスクをするようになった。
 そして、その効果は現実にあったと推定できる。つまり、こうだ。
  ・ 日本の感染者数が諸外国よりも低めなのは、ずっとマスクをしてきたからだ。
  ・ 3月末以後は、さらにマスク着用率が高まったので、感染倍率をさらに下げる効果があった。

 こういうふうに理解していいだろう。
 
posted by 管理人 at 23:03| Comment(4) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大和市ではマスク条例制定してます
http://www.city.yamato.lg.jp/web/iryou/mask.html

すぐに後追いの自治体が出てくるかと思ってましたがさっぱりですね
まさかアベノマスクが行き渡るのを待っている訳でもないでしょうけど
Posted by 筋トレウィーク at 2020年05月04日 04:10
田舎でも買い物にいくとほとんどの人がマスクしてますよ
(マスクは日常的に買えないけど)
共有物にいかに触らないかと言うことが基本だと思うけど
会社でのお茶出しからラーメン店の塩コショウまで
習慣が変わるかもね
Posted by 老人 at 2020年05月04日 07:33
 専門家会議が5月4日に初めて、マスク推奨を打ち出した。
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200504/k10012417071000.html

 5月1日には何も語らなかったのに、一気に豹変した。どうして気が変わったんだ? 
Posted by 管理人 at 2020年05月04日 20:05
接触感染への注意喚起もしてますね。
どうしたんだ専門家会議?!
Posted by 反財務省 at 2020年05月04日 21:29
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