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専門家会議の報告について、前項では「説明不足だ」と批判した。たとえば、次のように。
実効再生産数が 2ぐらいから 0.7 ぐらいへ一挙に3分の1も低下したことについて、その理由が示されていない。(考察してもいない。)
本項では「説明不足だ」と批判するだけでなく、「誤認だらけだ」と真っ正面から否定しよう。そのために、何が正解であるかを示そう。つまり、真実を示そう。
減少の原因
(1) 入国規制
まず、問題を示す。
・ 4月以降、感染者が減少した理由は何か?
・ 3月25日以降、感染倍率が低下した理由は何か?
※ 感染倍率 = 基本再生産数 ≒ 実行再生産数
この問題については、次のように答えよう。
「その理由は、入国規制である。入国規制のせいで、海外からの流入が減ったから、感染者数が減少したのだ」
※ 海外からの流入 = 外国人や日本人帰国者
これが私の説だ。ただし、ここで述べた段階では、ただの仮説であるにすぎない。あとはこの仮説を実証しよう。
(2) 遺伝子
専門家会議の説が正しいとしたら、「感染者が急増したのは、感染倍率が急上昇したからだ」ということになる。この場合、ウイルスは国内にあったウイルス(3月中の武漢由来のウイルス)であって、海外のウイルスは流入していないことになる。
一方、本項の仮説が正しいとしたら、「感染者が急増したのは、感染倍率は変わらないが、海外からの流入が急上昇したからだ」ということになる。この場合、ウイルスは国内にあったウイルス(3月中の武漢由来のウイルス)ではなく、海外に由来するウイルスが増えていることになる。
では、どちらが正しいか? それは、ウイルスの遺伝子を調べることで判明する。結果は、下記だ。
→ 国内のコロナ、武漢ではなく欧州から伝播? 感染研調べ :朝日新聞
→ 新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査
→ 新型コロナの変異パターンは三つ「広東、日米豪」「武漢」「欧州」 ゲノム解析進む
→ Nextstrain / ncov / global(画像)
→ 新型コロナ:新型コロナ「欧州型」世界で猛威 半月で遺伝子変異 New !
( ※ 2020-05-16 の記事 )
結局、武漢由来のウイルスは3月いっぱいで消え失せて、かわりに、欧州由来のウイルスが日本を席巻したことになる。
これはつまり、「専門家会議の説は間違っていて、本項の仮説が正しい」ということを意味する。
(3) 日程
日程も大事だ。
専門家会議の説では、「4月7日から緊急事態宣言があったので、3月25〜3月末に感染者数の急減があった」というメチャクチャな結論となっている。
一方、本項の仮説ではどうか? 入国規制が理由なのだから、入国規制がどのようになされたかを見るといい。
これは、次の三つから構成される。
・ 日本における入国制限
・ 外国からの出国制限
・ 航空機の減便
それぞれ調べよう。
(i)日本における入国制限
日本政府による入国制限は、かなり遅れた。列挙すると、、こうだ。
・ 3月9日、中国と韓国からの入国を制限する措置を一斉に発動した。(日本経済新聞)
・ 3月10日、政府は、イタリア北部とサンマリノ全域に滞在歴のある外国人に対する入国禁止措置を決めた。(毎日新聞)
・ 3月18日、外務省は全世界に対して感染症危険情報のレベル1(十分注意するよう促す)を発表した。(Wikipedia)
・ 3月23日、安倍晋三首相は23日午前の参院予算委員会で、米国での新型コロナウイルス感染拡大を受け、日本人を含めて米国からの入国を制限する考えを表明した。ただし入国禁止ではなく、2週間の隔離のみ。(朝日新聞) 実施は 26日から。(ドットコム)
・ 3月24日、政府は新型コロナウイルスの感染が拡大するフランス、ドイツ、オランダなどの欧州15カ国を新たに入国拒否の対象に加える方針を固めた。一部地域が対象だったイタリア、スペイン、スイス、イランは全土に広げる。(毎日新聞)( ※ 実際の決定は 26日、実施は 27日。)
・ 3月25日、渡航や滞在に特別な注意が必要な場合に出す「危険情報」(4段階)について、全世界を対象に、レベル2の「不要不急の渡航自粛」を出す方針を固めた。(Wikipedia)
・ 3月27日、欧州への入国制限を21カ国に拡大。イランも。この日から実施。(朝日新聞)
・ 4月1日、入国拒否の対象を49カ国に広げることを決定した。また、4月3日から、入国者の全員に PCR検査を実施することにした。(日本国総領事館、厚労省、→ 文書画像 )
・ 4月3日、入国者への自宅待機の要請を、全世界を対象に広げた。イギリスなどが加わる。(NHKニュース)
※ 以上、いろいろとやったが、ほとんどは有効性が薄い。有効性のある対策をしたのは、4月3日になってからだが、そのときには、すでに(iii)ゆえに入国者が激減していたので、ほぼ無意味になった。結局、施策は手遅れで、ほぼ無効だった。
(ii)外国からの出国制限
外国からの出国制限は、特にとられていない国が多かったようだ。
→ 新型コロナウイルス関連の主な出入国制限 - Korean Air
ただし、航空便が止まったことで、足止めを食って、実質的に出国禁止になった日本人が多いようだ。
フィリピンで帰国便がなくなったので立ち往生した……という事例もある。(最終的にはかろうじて脱出)
→ セブ島からギリギリ脱出してきました【失敗談】
※ つまり、(ii)もほぼ無効だった。
(iii)航空機の減便
各国が入国規制をするのにともなって、旅行客が激減したので、飛行機はガラガラになってしまった。そこで航空会社は次々と減便して、運行停止が続出した。結果的に、日本に入ってくる旅国客は激減した。
これは、日本政府が入国禁止を徹底した4月3日よりも早く、3月23日頃から始まった。(つまり、日本政府が4月3日の輸入強化をしたときには、もはや日本に入国する人は激減していた。)
・ 3月23日、ANA は 3月末からの1カ月間、国際線の7割、国内線の2割を運休・減便する。
・ 3月24日、日本航空(JAL)は、29日から4月30日にかけ、国際線の64%に当たる3315便を運休すると発表した。(日本経済新聞)
・ 3月25日、日本航空(JAL)は日、29日から4月30日にかけ、国際線の71%に当たる3658便を運休すると発表した。(日本経済新聞)
・ 4月2日、日本航空は、85%に当たる60路線4366便を運休・減便する。(aviationwire)
※ この(iii)は明らかに有効だった。別項 でも示したように、航空便が減っただけでなく、乗客がほぼゼロとなり、飛行機は空気を運んでいるだけとなった。かくて海外からの流入は途絶えた。
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以上に日程を示した。結局、(i)(ii)はさして効果がなかったが、(iii)は大いに効果があった。これによって、「3月25〜3月末に感染者数の急減があった」(感染倍率も低下した)ということが説明される。
(iii)は、航空機の減便だが、これは、日本の入国規制があったからではなく、世界的な入国規制があったからだ。日本の入国規制でなく世界の入国規制が、日本の感染者減をもたらした、と言えるだろう。(タナボタふうだ。)
(4) 他国との比較
日本は入国規制が遅れたが、比較的早く入国規制を始めた国もある。
台湾 は、3月19日には、すべての外国人に入国を禁止した。(一覧ページ)
ニュージーランドは、3月19日には、すべての外国人に入国を禁止した。(一覧ページ)
ブラジル は、3月19日、欧州諸国および日本を含む一部アジア諸国からの渡航者の入国を23日から禁止すると発表した。 (AFPBB)
これらの国はかなり早期から、入国禁止の措置を取って、海外からの流入を防いできた。
(5) 日本
日本はどうだったか? 以上の (1)〜(4) を見ながらまとめると、こうだ。
日本がフランスなどの欧州の外国人に入国規制を敷いたのは3月24日だし、日本人帰国者の全員に PCR 検査をしたのは4月3日。3月24日よりも前には外国人がいっぱい流入してきたし、それ以後も日本人帰国者が( PCR 検査もされないまま)流入してきた。それらの流入が止まったのは、航空便が停止した3月29日ごろからだった。
というわけで、3月29日ごろまでは感染者がどんどん流入してきたのだから、感染者が多くなって当然となるわけだ。その一方で、3月29日ごろよりも後では、感染者がどんどん減って当然となるわけだ。
結局、「感染者の減少は、入国規制が原因だった」という仮説は、日程の面からも肯定されたことになる。
「入国規制が原因だった」と考えれば、前項や前々項で示したグラフは、ピッタリとうまく説明されるのだ。(日程的に)。
感染倍率の変化
感染倍率の低下についても、うまく説明できる。
前項では専門家会議の報告について、次のように述べた。
(1) 実効再生産数が 2ぐらいから 0.7 ぐらいへ一挙に3分の1も低下したことについて、その理由が示されていない。
この件も、「入国規制があったから」というふうに説明できる。
ただし、注意すべきことがある。
3月下旬以後、感染者の急増があったが、それは二次感染者が増えたからではなく、(海外から流入した)一次感染者が増えたからなのだ。
とすれば、感染倍率は、見かけ上では増えているのだが、実際には上昇していないことになる。二次感染者が増えたわけではないからだ。
※ 「見かけ上」の数値とは、一次感染者を二次感染者だと誤解して計算した場合の数値のこと。
感染者が増えることには、次の二つの理由がある。
・ 二次感染者が増えた。(感染倍率の上昇)
・ 一次感染者が増えた。(海外からの流入)
専門家会議は、前者が理由だったと考えた。
しかし実際には、後者が理由だった。
とすれば、感染倍率の上昇は起こらなかったのだ。感染倍率は、ずっと1程度(または1以下)だったことになる。その一方で、海外から一次感染者が大量に流入したのだ。
感染者が増えたのは、感染倍率が上昇したからではない。
とすれば、「人と人との接触で感染が起こったから」というような説は、もともと成立していないわけだ。
3月下旬以後、感染者の急増があったが、それは、3月10日頃から急に人々が接触を増やしたからではない。また、4月12日以後、感染者の減少があったが、それは、3月末から急に人々が接触(接近)を減らしたからではない。人々の接触(接近)の程度は、ずっと同じぐらいだった。感染倍率もずっと同じぐらいだった。感染者の増減は、感染倍率とは関係のないところで起こったのだ。
※ なお、感染者の減少が起こったのは上記で説明されているが、感染者の増加が起こったのは、別の理由だ。それは「欧州における感染者の急増」だ。欧州においては、感染者の急増があった。それが、そっくりそのまま輸入される形で、日本でも感染者の急増が起こったわけだ。
> 新型または再興型インフルエンザ向けに約200万人分を備蓄用として政府に納入している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-25/Q68DY6T0G1KZ01
> アビガンは国内で約200万人分の備蓄がある
https://www.at-s.com/news/article/health/national/740524.html
> 国は現時点で200万人分の備蓄を持ち、
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/022601110/
今は治験よりも前の観察研究という位置づけなので、限定された病院でだけ使われます。結果的に、重症者と中等症だけが対象となり、軽症者には使われません。
数が足りないというよりは、制度的な(安全上の)対策が理由のようです。
普通の人はともかく、ハイリスクの人に対しては、軽症の段階から利用できるようにするといいのですが。
という箇所を書き足しました。前後にも少し手を入れました。情報不足だったので。
丁度、オリンピックが中止になるというネット情報を、小池都知事がデマという言葉で片付けていた頃の話です・・・
あの頃に、安倍総理が専門家会議が発足して、入出国を制限していれば、今の惨状は無かった!
気付くのが遅い上に、トンチンカンな報告と対策を、堂々とテレビで放映して、恥ずかしくないのかな?
豪胆な人達はパチンコに出かけるけど(笑)、暴動になっても不思議ではない状況だと思います。
今日、韓国の人達がマスクを着けて、自由に出歩いている姿をテレビで見て嫉妬した(笑)