2020年04月30日

◆ 緊急事態宣言の方針の誤認

 緊急事態宣言を延長したい、という方針を安倍首相は示したが、それは根本的な誤認に基づく。

 ──

 緊急事態宣言を延長したい、という方針を安倍首相は示した。
 安倍晋三首相は 30日の参院予算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の5月6日の期限を延長するかどうか問われ、「医療現場は大変過酷な状況だ。依然厳しい状況は続いていると私は考えているが、専門家の判断を仰ぎたい」と述べた。政府は延長を視野に準備を進めており、1カ月程度の延長案が浮上している。
( → 緊急事態宣言解除「厳しい」と安倍首相 「医療現場は過酷」 - 産経ニュース

 「医療現場は大変過酷な状況だ。依然厳しい状況は続いている」
 と述べているが、これは誤認である。正確には、部分誤認。

 ──

 データを示そう。
 都道府県別の入院ベッド数(データ)と利用率がある。
  → 医療崩壊の危機迫る 新型コロナ対応のベッド数と入院患者数データ|NHK
    ※ NHK調べ 4月27日時点の最新データ

 これをみるとわかるが、ベッド数はおおむね足りている。ベッド数をかなり下回る患者数しかないので、利用率もおおむね 50%以下だ。

 ただし東京都だけは例外で、ベッド数をかなり上回る数の入院者がいる。ベッド数 2000 に対して、入院が必要な患者は 2619 だ。131% の患者となって、31% の超過だ。これでは「医療崩壊」を懸念したとしても、当然に思える。(東京都については。)
 結局、安倍首相の話は、「東京都については当てはまるが、東京都以外には当てはまらない」となる。1割は正しいが、9割は正しくない。
 部分誤認だ。

 ──

 では、それで話は済むか? 済まない。その先の話がある。(前項の検証者向け施設の話と関連する。)

 注意しよう。上記の「入院中の患者数(入院必要な人含む)」には、「病院でなく専用施設に入るべき軽症者」も含まれているのだ。
 最新データで言うと、こうだ。
 入院中 2,718 人
 (注)「入院中」には、入院調整中・宿泊療養に移行した方を含む 
( → 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト

 東京都には、入院中と入院必要者が 2,718 人いるが、そのうち、大部分は軽症者であって、病院よりも専用施設に入るべき人なのだ。
 そして、軽症者向けの専用施設はどうかというと、東京都には 1558 人分しかない。前項で述べたとおり。
  → 軽症者向け施設の拡充: Openブログ

 1558 人分あるが、そのすべてが満床になっていることはありえないから、1200人分が使われているとしよう。すると、2,718 人のうち、軽症者の 1200人分を引いて、約 1500人が病院に入っていることになる。
 先に、東京都のベッド数は 2000 だと示した。これは、都内のあらゆる病院を含めた数だ。そこに 1500人が入院している。

 1558 人分あるが、そのうち使用されているのは 193 だけである。( → 前項に書いてある。)
    2718 − 193 = 2525
 なので、2525人が病院に入っていることになる。
 先に、東京都のベッド数は 2000 だと示した。そこに 2525人が入院している。
 となると、どこもかしこも満床だろう。かくて、「医療現場は大変過酷な状況だ」となる。

 ──

 だから、「医療現場は大変過酷な状況だ」という現状認識そのものは間違いではない。
 だが、そうなる理由は、「感染者が多すぎるから」ではないし、また、「病院のベッド数が足りないから」でもない。「軽症者を施設に移すことができていないから」である。そのまた理由は、「軽症者向けの施設が足りないから」である。そのまた理由は、「小池都知事が無能だから」である。

 では、小池都知事が無能ではないとしたら、どうなるか? 神奈川県知事並みの能力があるとしたら、神奈川県と同様のことをしただろう。すると、「軽症者向けの施設は足りる」から、「軽症者は病院から施設に移る」となる。すると、「病院にいる患者は激減する」ことになるので、「医療現場は余裕たっぷりな状況だ」となる。そうすれば、安倍首相が東京都の状況を見て、「過酷な状況」と勘違いすることもなくなるから、「緊急事態宣言を延長すべし」と判断することもなくなる。

 ──

 話の最初と最後をまとめると、こうなる。
 小池都知事が無能であるせいで、(軽症者向けの施設が足りなくなって)安倍首相が(医療現場は苛酷な状況だと)勘違いして、「だから緊急事態宣言を延長すべし」と判断したわけだ。
 小池の無能と、安倍首相の無脳が合わさって、「緊急事態宣言を延長すべし」という結論が出るわけだ。

 これが今回、「緊急事態宣言を延長すべし」と結論することになった真相である。決して「感染者が減少していないから」ではないのだ。すべては無能と無脳ゆえの結果なのである。



 [ 付記1 ]
 安倍首相は、どうせなら、緊急事態宣言を延長するにしても、範囲を東京都に限るべきだった。「医療現場は苛酷な状況だ」というのは、東京だけの話だからだ。
 一方、他県は、(以前はともかく最近では)感染者数の減少にともなって、ベッドはかなり空いてきたのである。( NHKの調査は、4月27日時点の最新データによる)……当然、「医療現場は苛酷な状況だ」ということはないので、延長する理由もない。
  ※ 首相の手元には古いデータしかないのかも。

 [ 付記2 ]
 また、「緊急事態宣言を(東京だけで/全国で)延長すべし」というふうにした場合にも、期限を付けるべきだろう。次のように。
 「医療現場の苛酷な状況が解消されるまで」
 「軽症者施設が用意されるまで」
 「アパホテル(など)を借りるまで」
 このいずれも、ほとんど同じであるから、その時点で、「医療現場の苛酷な状況が解消されたので、緊急事態宣言を解除します」というふうにすればいい。
 アパホテル(など)を借りるには、三日ぐらいで済みそうだから、三日ぐらいで解除できそうだ。(今のうちに働き始めれば、5月7日に間に合うので、5月7日に解除できそうだ。) 

 [ 付記3 ]
 「そんなに簡単に借りられるのかよ」
 と疑う人が多そうだが、実際に埼玉県では、次々と借り上げている。
  → 220部屋ある「アパホテルさいたま新都心駅北」を借り上げ(4月13日)
  → 埼玉・熊谷「ホテルヘリテイジ」新型コロナ軽症者受け入れ(4月27日)
  → 東横INNつくばエクスプレス三郷中央駅(153室)を確保(4/28)
  → 軽症者受け入れホテル、埼玉県1000室確保目指す(4月29日)
 たったの三日間で、契約するホテル室数が急増している。埼玉県でさえ、これだけのことができるのだ。

 とすれば、東京都も同様のことをすれば、
 「医療現場の苛酷な状況が解消されるまで」
 という条件が満たされるので、緊急事態宣言はたやすく解除することが可能になるはずだ。

 [ 付記4 ]
 東京都の軽症者向け施設の状況はどうか? 調べたところ、ひどい状況であるようだ。
 まずは、4月14日に、借り上げるホテルの公募を実施した。
  → 東京都 軽症者療養のホテルなど公募へ | NHKニュース
 これによると、公募の期間は 14日〜20日まで。とすると、その後に審査があって、決定はその先だ。
 では、決定はいつか? ググってみたが、発表が一切ない。つまり、いまだに決定していないわけだ。(5月1日現在)
 その間に、都内の新規感染者はどんどん減少していった。つまり、今さら決めても、もはや「手遅れ」「意味なし」という状況だ。たとえれば,患者が病気のときには治療せず、患者が治ったあとで治療を開始する、という感じだ。愚の骨頂。
 すぐ上に述べたように、埼玉県は即日、ホテルの確保を開始した。16日間たっても何も決められない東京都は、愚図すぎる。無能の極み。

 ──

 [ 参考 ]
 「医療現場の苛酷な状況」という条件は別として、感染者数の減少からすると、いつごろ解除するのが妥当か? ……これについては、次項で説明する。





  ※ 以下は 読まなくてもいい。

 【 追記 】
 国会質問に安倍首相が答えられなかった、という件が話題になっている。
 「感染状況が(緊急事態宣言の解除や延長を判断する)ひとつの要素だって、さっき言っていましたけど、いったいどれくらいなんですか? いったいどれくらいの国民が感染しているんですか?」
( → 新型コロナ感染者数が答えられない 安倍首相答弁に不安の声
  
 この質問に安倍首相が答えられなかったそうだ。
 ただし実は、このあと国会答弁で、安倍首相は「感染者数の累計」を答弁した。
 しかし、それでは質問に答えていない。「感染者数の累計」を知りたいのではない。「現在の感染者数」を知りたいのだ。そのためには、「回復者と死亡者」の総数を引き算する必要がある。それそれの数値は、下記サイトにもある。
  → Japan Coronavirus: 13,965 Cases and 425 Deaths - Worldometer
( ※ 引用: 感染者累計 13,965。死者 425。回復者 2,368。
    13,965 − 425 − 2,368 = 11,172 )
 かくて 11,172 という数値を得た。

 ── 

 一方、入院患者については、「 6600 」という数値がある。典拠は、上の NHK の記事だ。(4月27日時点)
 現在の入院患者は、少なくとも6600人余りにのぼり、先週と比べて1600人余り、3割ほど増えています。

 ただし、このデータを見ると、「病床数はまったく足りているので、医療現場は苛酷な状況にない。(ただし東京都を除く)」とわかる。すると、「緊急事態宣言は必要ない」という結論が自動的に導き出される。……このことは、本項で述べた通り。
 
※ なお、二つの数値の差は、入院しない非入院者の数だ。
    11,172 − 6600 = 4572 ≒ 4600
   感染者数  入院者数    非入院者数

 【 訂正 】

 すぐ上では「非入院者」と記したが、これを以前、「軽症者」と記していた。間違いだったので、訂正しました。(訂正済み)

posted by 管理人 at 20:05| Comment(6) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を書き足しました。
Posted by 管理人 at 2020年04月30日 23:46
 人数の推定の際、実際の数値を得たので、推定の仕方を改めました。
 取り消し線を入れて、書き直しました。(灰色の文字の部分。)
Posted by 管理人 at 2020年05月01日 09:18
感染者数は3月25日ごろから増え始め、4月11日まで、ほぼ直線的に増加しています。仮に治療に要する期間が平均1月だとすると、そろそろこのころに感染した人の退院が始まる頃です。
患者数も今がピークで、これから減っていくでしょう。
小池都知事も管理人さんが思っているほど無能ではなく、これ以上ホテルを借り上げても無駄になると思っているのかもしれません。
Posted by 田好 at 2020年05月01日 09:27
  [ 付記4 ] を加筆しました。東京都のホテルの借り上げの話。

> 小池都知事も管理人さんが思っているほど無能ではなく、これ以上ホテルを借り上げても無駄になると思っている

 今現在の時点で借り上げるべきだというより、4月中の時点で借り上げなかったことが問題。[ 付記4 ] を読めばわかる。
Posted by 管理人 at 2020年05月01日 09:55
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000126920.html

この状況でバカみたいな自粛が続くのかと思うとげんなりする。
Posted by 佐賀 at 2020年05月01日 11:41
この記事を見る限り東京も病院から宿泊施設に移動ということなのでそれがうまく機能してないということなんですね。
https://www.news24.jp/articles/2020/04/07/07621429.html
Posted by miki at 2020年05月01日 14:15
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