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(1) 集団防護
マスクをすることが大切である理由は、「集団防護」という概念で説明できる。
普通の対策は、「自分が何かをして、自分の身を守る」という個人レベルの対策だ。
しかし、これだと、その対策をしない人が出てくるが、そういう人が感染源となって、大量の感染者(クラスター)を発生させる。クラスターの発生源とは、「マスクをしない人」なのである。
→ 専門家会議の失敗の理由: Open ブログ
そこで、個人レベルの対策のかわりに、集団レベルで対策をする……という発想が生じる。「対策をした人だけが自分の身を守る」というのではなく、「集団で漏れなく対策をすることで、集団の身を守る」という発想だ。
これは、行動原理を「利己主義」に置く米国流の流儀とは異なる。むしろ「集団利益」を求めるので、共産主義に似ていると見せそうだ。だが、共産主義(国営化)よりは、「協調行動」という村原理に似ているので、ソ連や中国よりも、日本の伝統社会に似ている。その意味では、日本人にはふさわしい行動原理だ。
【 注 】
この集団原理が重要であるわけは、下記で示される。
→ 接触感染とマスク: Open ブログ
「感染の主因は接触感染であって、それを防ぐにはマスクが有効だ」
と言える。理由は、マスクをしない人が飛沫を飛ばして、そこから接触感染が起こるからだ。
物に付着した飛沫に指で触れると、接触感染が起こる。そこで、「手洗いを励行する」というのが従来の対策だ。
だが、手洗いでは十分な予防とならない。むしろ、手袋をする方が有効だろう。
さらに、それより前の時点で、飛沫を飛ばす人の口をマスクでふさげば、飛沫が飛ばないので、もっと有効だ。……これが、「集団防護」の概念だ。
(2) アベノマスクの有効利用
アベノマスクの全住所配達が批判されている。そこで、このマスクを「希望者だけに販売する」という形にするといい。それでこのマスクを有効利用できる。
・ マスクを持っていない人だけが購入する。
・ これによって国民全員がマスクを保有できる。
(マスクを持っていない5%の人にも行き渡る。)
・ 全員がマスクを保有できるので、「マスク義務化」を実施できる。
・ 「マスク義務化」によって、集団防護を実行できる。
このようにして、アベノマスクを有効利用することで、非常に強力な感染対策ができるようになる。(外出自粛よりもずっと簡単で有効だ。95%の人は、今まで通り、マスクをしているだけでいい。それで外出自粛を解除できる。国民の困窮状態を止められる。)
(3) 日本のマスク不足は解消するか?
日本のマスク不足は緩和するだろう……という見通しを先に述べた。
→ マスクの不足と供給: Open ブログ
たしかに、アイリスオーヤマなどが増産しているし、中国からの散発的な輸入も増えているので、1箱 3500円前後で購入できる例はかなり増えているようだ。それでも、たいていはすぐに売りきれになってしまう。
この状況は緩和するだろうか? 「いくらか緩和するだろう」と先に見通しを述べた。だが、これは少し甘かったようだ。
地域的なバラツキのせいで、あちこちで余ったマスクも見つかるのだが、世界レベルで見ると、マスクは圧倒的に不足していることがわかる。このことは、下記の (4) でわかる。
となると、世界レベルにおける圧倒的なマスク不足のせいで、日本でもマスク不足は根源的には解消されないだろう。「運が良ければ購入できる」という事例が散発的に発生するだけであって、「金さえ出せばいつでもどこでも買える」というふうにはならないだろう。
マスク不足が真に緩和するのは、1年以上あとになりそうだ。下手をすると、2年以上あと、つまり、コロナの大流行が終わったあとになりそうだ。
「必要なときには入手できず、必要でなくなったら入手できる」
というわけだ。残念ながら、こうなる可能性が高い。(下記記事を参照。)
(4) 欧州のマスク不足
欧州のマスク不足がひどいそうだ。大幅な不足。
一般市民が入手できないだけでなく、医療従事者がマスクをまったく入手できないという。そのせいで医療従事者の感染が続発して、死亡者も続出しているそうだ。詳細は下記記事にある。
→ 心臓2度止まり、救急医は逝った スペイン医療現場の今:朝日新聞(無料)
→ 欧州で医師ら感染、死亡例多数 日本でも足りない防護具:朝日新聞(無料)
→ (時時刻刻)欧州医療現場、負の連鎖 マスク尽き診察中止、家で重症化懸念 新型コロナ:朝日新聞(有料)
一部抜粋。
救急車に積まれていた防護服は各自1着だけ。感染防止のためのマスクも1枚しかない。医師や救急隊員は、感染が疑われる呼吸不全の患者でも、ほぼ無防備で病院へ運んでいたという。
地元の病院ではいまも防護服が足りず、雨ガッパやゴミ袋で代用している。政府がこの間、医療現場に送ってきたのは、使用期限の切れたマスクや精度の低い検査キットだったという。
今も医療用マスクが1週間に1枚しか届かず、消毒して繰り返し使っている同僚もいる。
( → 心臓2度止まり、救急医は逝った スペイン医療現場の今:朝日新聞 )
この物資不足の状況で、救急医は感染死したそうだ。
政府は状況を正当視しているそうだ。
政府は今月中旬、「1日510万枚のマスクを医療現場に供給しており、必要量を上回っている」と説明。だが、地域の開業医には今も十分に行き届いていない状況だ。
( → 欧州で医師ら感染、死亡例多数 日本でも足りない防護具:朝日新聞 )
1日510万枚だと、月間 1.5億枚。かなりの数になるが、使い捨てにすると、これでも足りないようだ。この事情は、次項が参考になる。(特に N95マスク)。
→ マスク再利用の指針は誤り: Open ブログ
※ マスクを正しく再利用すると何回も使えるのだが、厚労省が間違った指針を出している。そのせいで、再利用が2回に限られている。だから、マスク不足になる。つまり、N95マスクが不足しているのは、厚労省が間違った指針を出しているせいだ。
[ 付記 ]
本項では、マスクの必要性を述べたが、逆に、マスクが必要でない例もある。それは、「ジョッギング中のマスク」だ。
この件は、山中教授が「ジョッギング中にマスクをするべし」と主張している。
「周りの方へのエチケットとして、走るときもマスクをつけよう」。
山中さんは、動画投稿サイトのユーチューブに、個人で撮影した動画を投稿した。動画の中で山中さんは「走って大きな息をすると、周りに、もしかしたらウイルスをまき散らしているかもしれない」と説明。ランナーのマスク着用の必要性を訴えた。
( → 身を守る連休、始動 :朝日新聞 )
だが、皇居のそばや駒沢公園のような混雑しているロードは別として、人通りの多くないロードなら、特にマスクをしなくてもいいだろう。はいた空気はすぐに拡散してしまうからだ.落下した飛沫も地面に落ちて、すぐに乾燥するので、ウイルスは死ぬ。
そもそも別記事では、山中氏自身が「マスクは苦手」と言っている。
ただ山中さん自身は「走るときにマスクをすると、顔にくっついてしまって苦手」という。代わりに、薄手で伸縮性のある「ネックゲイター」の使用を勧め、鼻と口まで覆う使い方を実演。「マスクの出来上がり。普通のマスクよりも十分快適に走ることができると思う」と語った。
( → 山中教授「走る時も口覆って」 マスク以外の方法も紹介:朝日新聞 )
自分でもできないことを人に勧めるべからず。自分でもろくにできないことを、さもやっているように書く、朝日の記事もひどい。
より根源的に言えば、戸外でマスクをしても、あまり意味はない。それよりは、屋内でマスクすることを推奨するべきだ。感染のほとんどは屋内で起こっているからだ。
特に、店や駅構内での「マスク義務化」が重要だ。山中氏は、これを推奨するべきだった。
なのに、彼がそれをできていないのは「接触感染」という概念がないからだろう。だから、空気感染を防ぐことばかりを考えている。空気感染の比率なんか、ほとんどゼロなんだが。
→ 接触感染とマスク: Open ブログ
https://togetter.com/li/1497846
私自身が見たわけではないので、最初はフェイクかとも思いましたが、MLで写真を出したところ、知人から日暮里と根岸界隈でも写真と全く同じ光景があったと連絡をいただきました。フェイクではないです。ちなみに値段は、順に3000円、3500円、3300円だそうです。知人は実際に日暮里で3箱買ったそうです。京浜東北でもう少し行けば3000円で買えたんだと悔しがっていました。マスクが出回るのも遠くないようです。
ところで、少し前にスーパースプレッダーという言葉がありましたが、これはウィルスを広く撒き散らす人という意味であれば、マスクをしない人と同意だと思いますがいかがでしょうか。マスクをしていない人をスーパースプレッダーと呼んだらどうでしょうか。
記述済み。
http://openblog.seesaa.net/article/474543776.html
前の走者の飛沫に突っ込むような状態になるので