2020年04月25日

◆ 個人に無利子貸与せよ

 一律 10万円ではとても足りないので、失業した人向けに 50万円程度を無利子・無担保で貸与するべきだ。

 ──

 一律 10万円では生活費にはとても足りない。特に、学費をアルバイトで稼ぐ予定の学生には、蓄えもなくて、壊滅的な打撃となる。そのせいで、せっかく受かった大学を退学せざるを得ない学生が多くなりそうだという。
  → 「収入減で退学検討」大学・専門学校生の13人に1人:朝日新聞
  → 食費200円の生活 コロナで学生困窮、消えたバイト代 :朝日新聞

 もちろん、学生だけではない。観光業界の派遣社員など、出来高払いの労働者は、みんな仕事がなくなって、収入ゼロの危機になっている。大変だ。
  → 派遣添乗員が所得ゼロになって悲鳴を上げる、という投書(朝日新聞・声欄 2020-04-23 )
(声)30万円に託していた望み、崩れた
 旅行添乗員 外山貴美子(熊本県 46)
 減収世帯への30万円給付を政府が取り下げ、「1人一律10万円」に変わりました。単身世帯の私は、給付金が20万円も減っ…
 2020年04月23日 東京 朝刊 オピニオン2

 多くの人が困窮している。

 ──

 そこで、とりあえずは公的な援助(無利子貸与)を得ようとしているのだが、窓口が激混みで、なかなか自分の番が来ないので、お金を借りられるのはずっと先になりそうだという。
 女性は「1週間程度で入金されるはずが、申請が多くて2、3週間かかると言われた。1日でも早くお金が入ればいいのですが……」と話した。
 窓口の混雑を懸念して受け付けを予約制にしたところもあるが、申請を望む人からは戸惑いの声も上がる。東京都足立区の風俗業の女性(30)は4月に社協に電話で相談したが、「窓口での受け付け予約は最も早くて6月下旬」と担当者に言われ、途方に暮れた。
 足立区社協によると、6月の予約はすでに埋まり、現在は7月以降の予約になるという。
( → 食費200円の生活 コロナで学生困窮、消えたバイト代:朝日新聞 (有料記事) )

 以上のように、手続きが滞っている。これでは、グズグズしている間に、生活が破綻してしまう。下手をすると、餓死するしかない。餓死を避けるには、泥棒をするしかない。
 スーパーマーケットに侵入し、カップ入り即席麺や米、それに野菜や酒など合わせて20点余り、金額にして1万円相当を盗んだとして、新宿区の自称、派遣社員の60代の男が逮捕されました。
 リュックサックいっぱいに食べ物や飲み物が詰め込まれていて、警視庁の調べに対し、「新型コロナウイルスの影響で仕事がなくなり、腹が減っていた」などと供述しているということです。
( → 「コロナで失職し腹減って…」カップ麺など盗んだ疑い 男逮捕 | NHKニュース

 カップ麺など、1万円相当の食品を盗んで、逮捕される。哀れなものだ。レジから何十万円を盗む普通の泥棒とはまったく違う。ごくわずかの食品を、生きるために盗む。
 これ、パン一切れを盗んだ「レ・ミゼラブル」みたいだね。

 これは、「可哀想」と言うことでは話は済まない。テレビ報道によると、店の扉をバールでこじ開けられて、冷蔵庫の食品を盗まれた……という料理店の話も紹介されていた。下手をすると、普通の家にも強盗が入りかねない。そのとき、強盗と鉢合わせして、バールで殴られて、殺されかねない。
 政府の無策のせいで、一般市民にも被害が広がる。

 ──

 では、どうすればいい? 私としては、次の二点を提案したい。
  ・ 業務は民間に委託する。
  ・ 生活費として 50万円を無利子・無担保で貸与する。
 以下、順に述べよう。

 (1) 民間に委託

 記事では「窓口が混雑している」とのことだ。だが、窓口が混雑しているのなら、業務は民間に委託すればいい。特に、銀行に委託すればいい。全国津々浦々の銀行ならば、事務処理能力は十分にあるので、そこで手続きをして、融資を受ければいいのだ。
 というか、業務のすべてを「銀行の融資」ということにして、国が連帯保証人になればいいのだ。万一、返済が滞ったら、国が連帯保証人として、銀行に返済する。これで銀行としては、貸し倒れの心配がなくなる。
 融資には手数料がかかるが、それは「無利子にする補給金」という形で、銀行に手数料を払えばいい。国が援助するのは、この事務手数料の分だけだ。この額が国の支援額となる。(融資の全額を支援するのではない。)

 (2) 50万円を貸与

 現状では、貸与制度としてあるのは、次の二つだけだ。
  ・ 緊急小口資金は、最大20万円以内で、返済猶予期間が最長1年。返済期間は2年以内。
  ・ 総合支援資金は、単身世帯で月15万円以内、2人以上の世帯で月20万円以内。原則3カ月分の貸し付けで、返済猶予期間は最長1年以内、返済期間は10年以内。
( → 無利子貸付、相談ダイヤル 生活資金 新型コロナ:朝日新聞

 詳細は、下記で説明している。(貸与条件など)
  → 一時的な資金の緊急貸付に関するご案内~新型コロナウイルス感染症の影響による減収でお困りの皆さんへ最大20万円特例貸付があります | 社会福祉法人 滋賀県社会福祉協議会

 ただし、いろいろと条件が厳しい。
  ・ 緊急小口資金は、借りやすいのだが、額が 20万円だけで、返済期間は2年以内。
  ・ 総合支援資金は、額は多いし、返済期間も長い。ただし、主に失業した人が対象で、収入半減ぐらいの人は駄目だ。(学生だと、初めから門前払いだろう。)


 そこで、これらの制限をはずして、個人向けに「無利子・無担保・長期返済」で貸与することを提案したい。

 ──

 なぜか? 個人向けの場合には、会社と違って、「無限責任」にできるからだ。つまり、借金は死ぬまで帳消しにならない。
 一方、一般の会社は、「有限責任」である。倒産したら、返済しなくていい。……こういう甘ったれた条件になっている。
 それなのに、こういう甘ったれた会社向けには、政府は高額の融資を推進している。その規模は何と 3000万円だ。
 新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中小企業は現在、日本政策金融公庫など政府系金融機関の融資を主に利用できる。一定比率の売上高減少を示せば、3千万円を上限に3年間実質無利子。元本返済が最長5年間猶予される。
( → 「無利子融資」5月にも開始 受取時期、自治体の対応次第 民間金融機関、中小企業向け:朝日新聞

 企業向けには、こんなに甘ったれた融資制度がある。そもそも、企業というのは、命を持たないのだから、企業が倒産したところで、人が死ぬわけじゃない。倒産したって構わないのだ。なのに、企業には安易に 3000万円も貸す。
 そんなことをするくらいなら、無限責任である(倒産できない)個人向けに、無利子・無担保で融資する方が、ずっと理に適っている。何しろ、返済しなければ、本人が死ぬまでずっと、借金はつきまとっているからだ。
 国に対する借金は、容易には逃れようがない。仮に、これを逃れることができるなら、世の中は脱税犯だらけになる。現実には、そうなっていない。つまり、国に対する借金は、逃れようがない。だから、国は個人向けには、金を貸しても大丈夫なのだ。特に、それが生活費ぐらいの少額であれば。(何百万円もの事業資金を融資するのとは違う。)

 ──

 私としては、次のような制度が妥当だと思う。
  ・ 3カ月ごとに 50万円。(2人夫婦なら 60万円)
  ・ コロナ不況が続く限り、自動延長。
  ・ 返済は、コロナ不況の終了後、1年後から。
  ・ 返済期間は 10年ぐらい。
  ・ 最初の3年間は無利子。以後は1%ぐらいの低利。
   (早期返済が有利になるようにする。)
  ・ 融資の手数料として、3000円ぐらいを徴収する。
   (安易な無利子の借り入れを防ぐため。)
  ・ 手数料の 3000円は、銀行に支払う。


 とにかく、これによって国民の生活を守りたい。10万円の給付ぐらいでは全然足りないからだ。

 ※ 国が払う経費は、無利子にする分の経費だけなので、少しの金額で、多大な効果をもたらす。「少数の人に給付する」よりは、「多くの人々に無利子貸与する」(利子の分だけ給付する)方が、ずっと効果は大きいのだ。



 [ 付記1 ]
 世の中には、「多額の金を給付せよ」という声も多い。「生活費を補償せよ」「休業を補償せよ」というふうに。
 しかし、そんなことをすれば、莫大な金がかかる。容易には捻出することはできない。
 しかも、その金を払うのは全国民であるから、結局は、
   他の国民 → 一部の特定の人々

 という形で、所得の再配分が起こるだけだ。あまりにも不当である。
 また、フリーランスは「失業保険がない」という点で困窮しているが、それは「今まで失業保険に入っていないので、失業保険料を払っていなかったから」であるにすぎない。「保険料を払わないのに、保険金をもらいたい」というのは、虫が良すぎる。

 ちなみに、英国では「フリーランスに多額の補償金を給付」というふうになっているが、「払った分は将来に返済してもらう」と明言している。「フリーランス税」なものを新規に徴収するつもりらしい。
 ジョンソン首相は、同時に手厚い「補償」も用意した。休業を余儀なくされる商店などへは助成金、企業へは賃金の肩代わり策、フリーランスには所得支援などだ。月額2500ポンド(約33万円)を上限に8割の所得を3カ月支援する政策に、英財務相は「英国史上初で、他国よりも手厚い」と胸を張った。
 発表時に財務相は言った。「正直に言おう。等しく国の支援を受けるなら、将来は等しく支払ってもらう」。フリーランスらへの将来の増税を示唆したと、地元メディアは報じた。
( → (取材考記)英国、手厚いコロナ対策で増税示唆 補償は助かるけど不気味な未来 和気真也:朝日新聞

 こういう事実も知らないで、「外国では多額の給付があるぞ」と言い張る人が多いが、おめでたいというしかない。
 失業保険の保険料を払わなかった人に、補償金をタダでプレゼントすれば、その分、他の人々が払うだけだ。つまり、雇用された労働者などが、その額に相当する金額を(増税の形で)奪われるだけだ。これで喜ぶような被雇用者は、「金を奪われて嬉しい」というふうにマゾヒスティックに喜ぶといいだろう。

 [ 付記2 ]
 一部の企業は、「休業手当」を労働者に支払わないでいるそうだ。
  → (社説)休業手当 広く行き渡る工夫を:朝日新聞
  
 困った。そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「休業手当の分を、債権として買い取る。買い取った団体は、複数の労働者から得た債権を、まとめて企業に請求する。裁判所に訴えて、企業の資産を差し押さえる」


 この団体は、会社でもいいし、NPO でもいい。その団体が、払うべき休業手当を、8〜9割ぐらいの額で買い取る。その後、多くの債権をまとめて、企業から徴収する。(裁判で訴えてから差し押さえる。または、裁判にしてから、和解で受け取る。)
 すると、差額の1〜2割を手数料として入手できる。

 労働者としては、「裁判を起こす」というような無駄な手間や費用をかけることなく、1〜2割の手数料だけで、不払いの金を容易に受け取ることができるようになる。



 【 関連サイト 】

 国の助成金については、厚労省の解説文書がある。(PDF)
  → 生活を支えるための支援のご案内

 
posted by 管理人 at 20:21| Comment(5) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今も、コロナで失業・減収者には、20万円、次月以降20万円×3か月の無利子貸付を行っているはずです。障害者・高齢者の在宅の介護、金銭管理等の支援でパンクしかけている社協に行政からの支援なしで、家賃の給付等を含めて丸投げしているのが遅くなっている原因でしょう。災害時のボランティアセンターの運営のパンク状態とよく似ています。一切支援しない市町村が多いのではないでしょうか。
Posted by 32年前は現役 at 2020年04月26日 12:13
> 今も、コロナで失業・減収者には、20万円、次月以降20万円×3か月の無利子貸付を行っているはずです。

 そのことはすでに本文中に記述してあるんだけど、本項の「3カ月ごとに 50万円」だと、60万円から 50万円に減額となってしまうので、整合性がとれませんね。しまった。

 そこで、「2人夫婦ならば 60万円」というふうに修正しました。

 なお、本項の提案は、「減収」は条件となっていないので、大学生や出来高払い社員でも貸してもらえます。
Posted by 管理人 at 2020年04月26日 12:23
国債を発行すれば返す必要は無いのでは?
また、例えば昭和初期に借りた1万円を現在返すのは簡単です。
Posted by 名無しさん at 2020年04月26日 22:46
 よく考えたら、政府の貸与の対象は「失業した人」だから、「失業手当をもらえる人」だ。
 これだと、「恵まれた人(失業手当をもらえる人)」ばかりが救済され、「恵まれない人(失業手当をもらえない人)」が排除される。本末転倒だ。
 かくて、学生のような人々は、救済されないまま、退学を強いられる。メチャクチャだ。

 ※ だから本項の方針が好ましい。条件なしで貸与する。担保は本人の人生だけでいい。
Posted by 管理人 at 2020年04月27日 13:09
 本文中で懸念していた 失業者による強盗が、現実に発生した。バールで殴られるかわりに、刃物で刺された。
 以下、引用

  ̄ ̄
 横浜市旭区のアパートで25日、不動産会社に勤める女性(23)が物件案内中に刺されて重傷を負い、現金数千円が奪われた事件で、強盗殺人未遂容疑で逮捕された住所不定で無職の西山優希容疑者(24)が、「新型コロナウイルスの影響で働けなくなった。生活が苦しかった」と供述していることが神奈川県警への取材でわかった。
  https://www.asahi.com/articles/DA3S14458064.html

  ̄ ̄
 
 強盗は重罪で、初犯でも懲役5年以上。相手がケガをしたら、強盗致死傷罪で、懲役6年以上だ。いずれも執行猶予は付かない。たったの数千円の金額を得る代償が、この重罰だ。
 相手にしてみれば、重症というひどい被害を受けた。とんだ災難だ。
 そのすべては、政府の無為無策のせいだ。
 
Posted by 管理人 at 2020年04月27日 20:36
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