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軽症者は、たまに急激に悪化することがあるので、なるべく常時監視することが好ましい。そのための方策を、二つ示す。
パルスオキシメーター
軽症者であっても、急激に重症化することがある。肺機能の急激な低下が起こるわけだ。
それをチェックするために、パルスオキシメーター(指先に付ける装置)を使うといいだろう。これで、血中酸素濃度を光学的に測定することができる。しかも、その測定値を、無線で送信することができるので、集中管理して、常時チェックすることができる。
パルスオキシメーターを使う必要性については、下記の説明がある。
パルスオキシメーターは、私が知る2人の救急医の命を救うのに役立った。早い段階で治療の必要性を警告したのだ。2人とも自分の酸素レベルが下がっていることに気づき、病院に行って症状回復へと至った(1人ははより長く、高度な治療が必要だったが)。低酸素症の発見、早期治療、詳細なモニタリングは、イギリスのボリス・ジョンソン首相の治療にも役立ったようだ。
( → コロナ「突然重症化した人」の驚くべき共通点 | The New York Times )
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パルスオキシメーターの意義は、下記。
→ パルスオキシメーター - Wikipedia
→ パルスオキシメータの進歩(PDF)
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パルスオキシメーターは、ピンキリだ。
中等症以上では、病院向けの6万円ぐらいの高級品を使う必要があるだろう。
軽症者では、後期では上の高級品を使う必要があるが、前期では、安価な 6000円ぐらいの無線パルスオキシメーターでもいいだろう。これを、室内の無線 LAN につなぐ。(または、そばのパソコンにつないでから、パソコン経由で院内ネットにつなげる。……非推奨。)
※ より細かな話は、後述の [ 付記 ] で。
管理アプリ
血中酸素濃度を知るにはパルスオキシメーターでいいが、他の状態を監視するには、どうすればいいか? 看護師が常時監視するのは、大変な手間がかかる。また、(寝たきり患者でなければ)プライバシーの侵害にもなる。
そこで、この問題を解決する方法が「オンラインの通信」だ。次のメリットがある。
・ 患者は1時間おきに、自分の状態を報告するだけでいい。
(スマホなどで)
・ 管理者は、多数の患者からの報告を、パソコンで一括管理できる。
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これは、次のものと対比される。
・ 大部屋に患者を入れる …… これだと、患者のプライバシーを保てない。また、患者同士の感染が起こりがちだ。
・ 看護師がときどき訪問する …… これだと、多大な手間がかかる。
・ 問診票に記入させる …… これだと、接触感染の危険が生じる。また、大量の患者を一括管理ができず、能率面で劣る。
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具体的なソフトとしては、データベース型のソフトが好ましい。つまり、次の特徴を持つ。
・ 患者は、自分専用の記入画面に記入する。
・ 管理者は、すべての患者のデータを一括して扱える。
(表形式でも何でも、好きな形式で読み取れる。)
この方式だと、200人ぐらいの患者のデータを1つのパソコンで一括して扱える。患者が1時間ごとに報告を出すとして、その報告をすべて読んでいける。
患者が危険な兆候を出したり、あるいは、患者からの報告がなかったりしたら、ただちに検出して、異常を発見する。
200人の患者の状態を監視するとなると、普通なら 10〜20人ぐらいの看護師が必要となるが、それを1人の(IT系の)事務員だけで代行できるようになる。看護師という貴重な人的資源を使わずに済む。
病院経営的にも、人件費の節約ができて、経営メリットが生じる。
※ このようなアプリは、まだないのかもしれないが、開発は簡単だ。既製品の転用で済むかもしれない。
[ 付記1 ]
「パルスオキシメーターは、iPhoneに装備してくれるとありがたい」
という意見が散見される。実は、スマートウォッチタイプのパルスオキシメーターは、すでに発売されている。安価だ。
→ [Qoo10] スマートウォッチ : スマートフォン
しかし、これはお勧めできない。なぜなら、正確性に欠けるからだ。
血液の色の状態を知るには、指先が最適だ。見ればわかるように、赤らんでいる。血液の色の状態がよくわかる。
一方、スマートウォッチを装着する腕首の部分だと、血液の色はほとんどわからない。検出することはできるだろうが、正確性で大幅に劣る。命に関わるデータを得るときには、あまりにもまずい。(お遊び程度のものだと思った方がいい。)
さらに言うと、有線も無線も付いていないので、集中管理するには向いていないだろう。そもそも、常時通信していたら、あっという間に電池がなくなってしまうので、電池切れで動かなくなる。
市販品だと、6000円ぐらいで、無線通信可能で、持続時間は6時間ぐらい。
医療用の高級品だと、ずっと高価( 45,000円ぐらい)になるが、持続時間は 50時間ぐらいになる。
→ 測定性能と耐久性を高めたパルスオキシメーター | コニカミノルタ
ただしこれは、現状では売り切れで、入手困難。
のみならず、(個人用の)安価な普及品も、最近では品薄になってきて、あちこちで売り切れになっている。
[ 付記2 ]
パルスオキシメーターの発明は、日本人による。その発明者は、4月18日に逝去された。23日に報道があった。
→ パルスオキシメーターを発明、青柳卓雄さん死去:朝日新聞
[ 付記3 ]
パルスオキシメーターの配備については、下記の情報がある。
→ 症状急変、発見素早く 「パルスオキシメーター」配備 東京都が決定
[ 付記4 ]
パルスオキシメーターを「感染の有無を知るため」という目的で購入する市民がいるが、こういうのは意味がない、と会社が警告している。
→ 「パルスオキシメーターの数値で新型コロナの感染判断はできない」 コニカミノルタが「本当に必要な人への供給を優先」呼びかけ