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専門家会議の報告が新たに出た。4月22日。
新聞記事でも部分的に紹介されているが、肝心の本物は政府サイトにある。ここだ。
→ 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解等(新型コロナウイルス感染症)|厚生労働省
ここに、次の報告文書がある。
以下では、これの内容について評価しよう。
感染者数
感染者数については、前項で示したが、このデータは 22日の深夜になって得られたデータであって、22日の昼間に公開された専門家会議の報告ではまだこのデータは判明していない。それでも、少なくとも 20日頃までのデータは得ていたはずだ。
そのことを踏まえて、報告書の内容を見ていこう。
感染者数については、こう記している。
接触機会の8割削減が達成されている場合、緊急事態宣言後おおよそ1か月で確定患者データの十分な減少が観察可能となる。他方、例えば、65%の接触の削減であるとすると、仮に新規感染者数が減少に転じるとしても、それが十分に新規感染者数を減少させるためには更に時間を要する。
「緊急事態宣言後おおよそ1か月で確定患者データの十分な減少が観察可能となる」
と記している。
グラフの説明では、実際の感染は 20日目から急減するが、新規感染者の発生はそれよりも 15日〜20日ほど遅れる。(接触の削減率が少ないほど、遅れが大きくなる。現実には、削減率は 50% ほどなので、遅れは 25〜30日ぐらいとなりそうだ。)
以上と同様のことは、(もうちょっと古い話で)次の記事でも紹介されている。
西浦教授の分析では、感染拡大を一定程度まで抑制できる期間は接触8割減なら15日程度、7割減なら34日程度。潜伏期間などを考慮すると感染者の減少を確認できるまでに8割減なら1カ月程度、7割減なら2カ月弱を要する。
( → 「接触7割減では収束長期化」北大教授が警鐘:日本経済新聞 2020/4/12 )
いずれにせよ、緊急事態宣言(4月7日)から15日〜30日ほど遅れて、減少の効果が出ることになっている。それも、「上昇から減少になだらかに転じる」という形で。
とすれば、4月12日以後の減少(当初は急激な頭打ち)は、緊急事態宣言の効果ではない、と認定していいいわけだ。
ではなぜ、この減少が起こったか? 報告書では、何も記していない。「開始から5日目に頭打ちが起こって、以後は減少した」という現実を見ていながら、その現実について何も分析していないのだ。
また、「減少」どころか、「開始から1〜2週間ぐらいは急増が続く」という認識でいたこととの食い違いについては、何も言及していない。自分たちの予想と現実が大幅に食い違っていることについては、知らぬ顔の半兵衛なのだ。
もはやモデルはまったくの間違いだと判明しているのに、その間違いを認めない。
記者会見でも同様だ。
厚生労働省クラスター対策班の西浦博・北海道大教授は会議後の会見で、東京の感染者の増加の割合は鈍化しつつあるとの認識を示す一方、減少に転じているかは慎重にデータをみないと確認できない、とした。
( → 公園やスーパー課題、PCR検査の拡充を 「人の流れ8割減とは言えず」 専門家会議:朝日新聞 )
「減少に転じているかは慎重にデータをみないと確認できない」
だってさ。くくく。……笑うしかない。
誰が見ても「頭打ち」ははっきりとしているし、「急増はない」とわかる。また、「おおむね減少傾向にある」ともわかる。にもかかわらず、現実を見ようとしないのだ。
そして、現実を見ないので、自説のモデルの間違いを認定できない。そして、この間違ったと判明済みのモデルに基づいて、「8割減が必要だ」といまだに主張しているのだ。(報告書に書いてある。)
付属資料には、次のような画像文書がある。
→ 専門家会議/「スーパーは1人か少人数で」接触8割減の10ポイント | 流通ニュース
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ついでに、マスクの話をしておこう。
今回の報告でも、専門家会議は「接触8割削減」を言うだけで「マスク推奨」という方針を打ち出していない。報告書では、医療分野のマスク不足の話が軽く言及されているだけであって、一般人にはマスクを推奨するともしないとも言っていない。無言及である。
付属の資料では、かろうじて、次の文言が見られる。
「会話はマスクをつけて行うこと」
ここで初めて、マスク推奨と見られる文章が現れた。
だたしこれも、「マスク推奨」とはっきり言うには至らない。なぜなら、「会話」をするときに限定しての「マスク推奨」であるにすぎないからだ。
つまり、会話以外での「マスク推奨」はなされていない。具体的には、次の二点が問題だ。
・ 店舗に入るとき
・ 電車に乗るとき
このいずれの場合でも、「マスク推奨」はなされていない。
だから、店舗や駅に入るときに、マスクをしていなくても、何ら問題がないとされるわけだ。
それだけではない。「会話はマスクをつけて行うこと」を、専門家会議は本気で推奨しているか、きわめて疑わしい。なぜなら、NHK の番組では、押谷教授と西谷教授は、マスクなしで接近して(唾の飛沫を飛ばしながら)議論していたからだ。
→ 専門家会議の失敗の理由: Open ブログ
ここではもちろん、「会話のときにはマスクをするべきだ」なんて、つゆほどにも思っていないことになる。(少なくとも、その時点では。)
専門家会議が「マスク推奨」をしないから、東京都も「マスク推奨」をしない。
小池都知事は、自分では布マスクをしているくせに、都民には「マスク推奨」をしない。
23日の記者会見でも、「スーパーは(密を避けるために)入店制限をするべきだ」とは言うが、「入店する客にマスクを義務づけるべきだ」(マスクなしの客は入店拒否するべきだ)とは言わない。
これでは、まったくの尻抜けの規制になる。
マスクを義務づければ、店内で飛沫を飛ばす客はいなくなる。
一方、マスクを義務づけないまま、客の人数だけをいくらか減らした場合には、店内で飛沫を飛ばす客が5%ほどいるので、彼らのせいで、店内は飛沫だらけになる。これでは店内はウイルスだらけだ。「頭隠して尻隠さず」というか、まったく間抜けな方針だ。
※ スーパーの入店規制をする(それでいてマスク義務化はしない)なんて、そんな馬鹿なことをするのは都知事だけかと思ったら、安倍首相が追従した。
→ 「スーパー入店規制の要請を」政府が全国の知事に依頼:朝日新聞
※ ついでだが、スーパーの無人レジのタッチパネルは、接触感染の原因になりがちだ。パネルにみんなが触るし。
入国規制の効果
4月12日以後、感染の急増は止まった。その理由は何か?
この報告書には、何も書いてない。そもそも、「頭打ち」「減少」という事実すら認めていない。
一方、私としては、次のように述べてきた。
・ 4月3日から入国規制が強化されたこと (主因)
・ 4月1日からマスクの着用率が高まったこと (副因)
ところが、である。これはどうやら、正解ではなかったようだ。かといって、まったくはずれたのでもなくて、「当たらずといえども遠からず」であったようだ。
今回の報告書を見ると、次の記述がある。
PCR検査は、検査の人材や試薬などが不足する恐れを指摘し、水際対策でのPCR検査の縮小を提言した。
( → 接触8割減へ、10の提言 緊急事態2週間、専門家会議 首相「GW、オンライン帰省を」:朝日新聞 )
さらに、次の記述がある。
海外からの感染に起因したと考えられる国内発生例を確定日別にみると、3月 22日、23 日頃には4割近くを占めていたものの、4月1日から4月 20 日では 0.65%程度に低下している。
「海外からの感染に起因したと考えられる国内発生例」は、たしかに減少した。しかしながら、減少の理由は「入国規制が強化されたから」ではないようだ。
これまでに空港検疫で PCR 等検査陽性となったのは、3月1日以降の数値では、有症状者 34 例、無症状病原体保有者 93 例の合計 127 例(4月 19 日時点)となっており、水際対策として一定の成果を上げてきた。その一方、陽性者の割合は、4月以降低下傾向にあり、入国拒否の対象となる国を 73 カ国まで拡大した4月3日から4月 19日までの検査では、20,296 例中 52 名が陽性であり、割合は 0.26%にまで低下してきた。諸外国でも厳格な行動制限などによる感染リスクの低下が背景にあると考えられる。
検査によって陽性者が隔離されたのではなくて、(検査する前の段階で)陽性者そのものが減っているわけだ。
では、なぜ? 帰国者そのものが大幅減少したせいだろう。国際線の飛行機の大幅減便のせいだ。
日本航空(JAL)は25日、29日から4月30日にかけ、国際線の71%に当たる3658便を運休すると発表した。従来の減便数から343便増える
( → JAL、国際線を7割減便へ 国内も2割減便: 日本経済新聞 3月25日 )
日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は1日、4月の国際線の追加減便をそれぞれ発表した。両社とも平常時に比べて約85%減便する。
( → ANA・JAL、国際線を追加減便 渡航規制強化に対応: 日本経済新聞 )
減便するだけでなく、乗客そのものが大幅減少していると推定できる。そこで確認すると、まさしくそうだと判明した。
「数時間立っていても、乗客2人に対応する程度」――。成田空港国際線カウンターで働くスタッフは、ここ1カ月余りの空港の様子をこう語る。
( → 「ANAとJAL」コロナ禍で被る途方もない衝撃 | ロイター )
乗客そのものが減っていて、入国者が激減しているわけだ。
また、感染国からの出国がなかったことも理由となるだろう。
結論として、まとめふうに言おう。
12日以後、感染者の急増はストップした。その理由は、私は「4月3日の入国規制(強化)が理由だ」と思ったのだが、実はそうではなかった。そこで新たに全数検査をして、陽性者を食い止めようとしたのだが、陽性者の率はすでに大幅に低くなっていたからだ。つまり、入国規制(強化)をやるかどうかにかかわりなく、規制以前の段階で、陽性者は減っていたのだ。
それというのも、国際線の大幅減便で入国者が激減していたことと、(感染地である)欧米の出国禁止で欧米からの出国が激減していたからだ。
結局、「日本で感染者の増加が止まったのは、海外からの流入が激減したからだ」という認識は大枠としては正しかったのだが、その「海外からの流入が激減した」ことの理由は、「入国規制の強化」ではなくて、「入国者そのものが激減していた」ことなのだ。
そのことが、専門家会議の報告のデータからわかる。
ただし、データを見ても、専門家会議はそのことを認識できていない。「海外からの流入が止まったから、急増が止まった」と理解できていない。データを見ても、そのデータの意味を認識できない。
そこで、専門家会議のかわりに、私がデータの意味を教えて上げるわけだ。
[ 付記1 ]
本項の話と直接の関係はないが、前項の話の続きをしよう。
前項のデータは、22日までのデータだった。
23日のデータは、どうか? 前項のリンク先を調べると、23日のデータもわかる。その結果は、こうだ。
「東京都も全国も、感染者数は微増である」
微増というのは、おおむね誤差ぐらいの変動しかないということだ。つまり、前日までのデータを見た場合と、認識は変わらない。
ただし、前日の認識がいっそう補強されたと言える。
つまり、「緊急事態宣言から2週間後に感染の急増が止まる」というような激変は起こっていない、ということだ。そのことがいっそう補強されたわけだ。(つまり、専門家会議の予想がハズレたということが、いっそう補強されたわけだ。)
[ 付記2 ]
※ 特に読む必要はありません。
海外からの流入が減ったのは、日本が入国規制をした(入国者全員への PCR 検査と陽性者の隔離をした)からだ、と思ったのだが、そうではないと判明した。では、具体的には何が理由か?
米国などの外国が出国規制をしたことが原因か? そう思って調べたが、米国が出国規制をしたのは3月20日で、時期的には早すぎる。詳しく見ると、米国が出国規制をしたというのは、ビザ発給のていしだけだ。
→ 米、国民に全世界への渡航中止を勧告 日本も対象 :日本経済新聞
ここでは、すでにビザを持っている日本人の帰国は含まれない。では、そういう日本人が帰国できなくなったのは、いつごろからか? 少なくともイタリアにいた日本人は、3月24日の段階では帰国できたようだ。
→ 【新型コロナウイルス:速報】今、イタリアはどうなっているのか?現状について調べてみた
あれこれ調べたが、海外からの帰国者が帰国できなる事態は、法的にはないらしい。帰国を制限するのは「航空便がない」という交通面での事情によるだけらしい。
となると、本文中で述べたように、「国際線の飛行機の大幅減便」が原因であるようだ。そう見ていいだろう。
【 追記 】
一部を再掲しよう。
海外からの感染に起因したと考えられる国内発生例を確定日別にみると、3月 22日、23 日頃には4割近くを占めていたものの、4月1日から4月 20 日では 0.65%程度に低下している。
このことから、次のことがわかる。
「3月 22日、23 日頃にあった感染者の急増は、海外からの流入が原因であった。つまり、(国内での)一次感染者が増えたことが原因だった」
これは、次のことを意味する。
「二次感染者が爆発的に増えて、感染倍率が 1.7 に急上昇した……という見方は正しくない」
さらに、次のこともわかる。
「何もしないで放置すれば、感染倍率は 2.5 ぐらいに急上昇するだろう……という見方は正しくない」
結局、「感染倍率は 2.5 ぐらいに急上昇するだろう」という専門家会議の見方は、まったく見当違いであったわけだ。
国内での感染倍率は、(それ以前と同様で)ずっと 1.0 か 0.9 ぐらいだった。
ところが、海外で感染者が爆発的に急増するのにともなって、入国者における感染者の割合も急上昇した。(一時は4割ぐらいにもなった。)
しかしその後、国際線が止まって、入国者が激減するのにともなって、日本に入ってくる感染者(一次感染者)も激減した。入国者における感染者の割合も急低下した。(残るのは感染していない国からの入国者ばかりになったからだ。台湾など。)
こうして「海外からの流入」が激減して、一次感染者がいなくなったから、4月12日以降では、急増が大幅に鈍化したわけだ。
こうして、専門家会議の認識の誤りが、赤裸々に判明したことになる。
現時点で東京で数%の感染者がいる可能性を、
慶応病院がゲバったように、
今もスーパーなどで感染拡大はしているはず。
保健所の検査数調整で、グラフが作られている。
とするなら現実の感染数は相当数。
しかも、地方の感染ピークはまだ先。
たまたま日本人が死なないだけ。和食でしょう。
そもそものオリンピック忖度で
貧乏人の命を奪う罪は、
関係者全てが死をもって報いなければならない。
しょせんはお年寄りの方々ばかり。
接触感染でしか広がらない今回のウイルスなら、
マスクは不要で医療機関へのみ配るべき
郵貯への資金融通でしかない配布は癒着です。
流水数秒で洗われるのだからアルコールも不要。
医療崩壊は、無駄な防疫政策の結果であり罪。
ましてや、癒着構造が増幅する。
医療品は医療機関へ集中し、
一般人は、
咳クシャミの時に利き手の肘内側で飛散防止と、
手のひらにつかないことでの防疫で充分。
テロでもいいから誰か正直な政府に切替えを。
マスコミも忖度せず、ペンで仕事しろよって感。
https://georgebest1969.typepad.jp/blog/
肝心なのは少なくとも日本では実感染者数の桁すらわからない。最低でも実感染者数の桁くらいはわからないと、予測モデルのカーブ合わせなんかできっこない。それなのに何だか1番の情報みたいに扱われてる。何なんでしょうねぇ。
店の中で飛沫を飛ばしながら買い物をする事で
商品にウィルスを付けているかもしれないことに気づかない
多くの商品がプラスチック類で梱包されている
プラスチック類の表面に着いたウィルスは長期間生存するって
言われてるのに
私の田舎ではゴミ出しの日に一番プラスチック類が多いのだ
専門家会議の誤りが明らかになった、という話。