──
緊急事態宣言(4月7日)のあと、外出自粛や休業などは、大幅に実施された。繁華街の人通りは激減したし、駅の通行人の数も半減した。つまり、政府の言う「接触」の量は激減した。
これにともなって、感染者数の激減が予定されていた。「2週間後には、緊急事態宣言の効果がはっきりと出るだろう。つまり、このころから感染者数は激減するだろう」と。
しかしながら、その期待はまったくはずれた。感染者数は激減するどころか、ほとんど変化が見られなかった。
結論は、以上の通り。
──
以下では、具体的な数値を、グラフで見る。(データはいずれも4月22日まで。)
東京都

横浜市

福井県

愛知県

大阪府

全国

──
グラフを評価しよう。
県ごとにいくらかバラツキが見られるが、全体としては、次のことが成立する。
・ 4月11日ごろまで急増がある。
・ 4月12日ごろから急増が止まる。(頭打ち)
・ 以後は、ゆるやかな減少傾向。
・ 4月21日と 22日の平均では、急減はない。
以上のすべては、私の予想したとおりだと言える。(若干の誤差はあるが。)
→ 東京都の感染急増 4: Open ブログ
→ 感染は減少している (コロナ): Open ブログ
※ 予想の理由も書いてある。
一方で、専門家会議の予想は、完全にはずれた。
・ 4月22日ごろまで急増が続くと予想したが、そうならなかった。
(急増は 11日までだけだった。以後は、頭打ちと減少があったので、急増はなかった。)
・ 4月22日ごろには、はっきりとした急減があると予想したが、そんなものはなかった。
以上の二点において、専門家会議の予想は完全にはずれたと言える。
──
専門家会議の予想は完全にはずれたことは、何を意味するか? こうだ。
「外出自粛や休業によって、人と人との接触を半減させても、そんなことにはほとんど効果がない」
このことから、次のことが結論できる。
「外出自粛や休業を続けることには、ほとんど意味がない。遠からず解除しても差し支えない」
──
では、緊急事態宣言(外出自粛や休業)の効果は、まったくないのか? そうでもない、と思える。1割ぐらいの減少効果はありそうだ。
「放置すれば急増するのを、頭打ちにした」
というような劇的な効果はないにしても、
「緩やかに減少する効果を、1割ぐらい加速する」
というぐらいの効果はありそうだ。その意味で、まったく無意味でもない。新規感染者数がまだ高いレベルにある(そして減少している過程である)現状では、いくらかは実施する意味がある。
とすれば、5月6日までは予定通り、緊急事態宣言を続けてもいいだろう。
そもそも、ゴールデンウィーク中は、一般の会社はもともと休業するはずだから、休業を続けてもいいだろう。
しかし5月7日よりもあとでは、もはや緊急事態宣言は解除していいだろう。新規の感染者数はかなり減っているはずだし、ゴールデンウィークも過ぎているからだ。
──
ここで、「緊急事態宣言を解除したら、以後は急増するだろう」という予想を立てる人もいる。というか、「感染倍率 2.5」を前提としてモデルを立てるような人は、たいていがそう思っている。
→ ロックダウンはいつまで?: Open ブログ の (5)
こんなグラフを書く人もいる。
【新型コロナウイルス】緊急事態宣言が解除された後も行動自粛を継続しなければ、約二週間で感染者数が元の数まで増えてしまいます。
— 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻 (@UTokyo_BS) April 20, 2020
『行動自粛を継続することが大切です』
生物科学専攻・大橋順准教授 pic.twitter.com/mLSIyrFh6F
だが、「緊急事態宣言をしていないと急増する」というのは、すでに否定されているのだ。(4月12日から21日までのデータで。)
「緊急事態宣言の効果はほとんどない」とすでに判明しているのだから、これをやめたからといって、急増することなどはありえないのだ。
というか、仮に「緊急事態宣言をしていないと急増する」のだとしたら、今後2年間は、ずっと緊急事態宣言を解除できないはずだ。
しかし、そんなこと(2年間の継続)をしたら、日本経済はボロボロになって破綻する。とんでもない事態になるだろう。
──
では、どうすればいいか? 何かうまい方法はないか? ある。
それは「不織布マスクの配給制」だ。これを実施すればいい。実際、すでに実施した台湾と韓国では、新型コロナを完璧に克服した。マスクの着用率がほぼ 100%となっているからだ。
マスクの着用率がほぼ 100%となっていれば、「マスクの義務化」も実施できる。次のように。
・ 店舗に入るときには、マスクが必須。
・ 駅に入るときには、マスクが必須。
いずれも、「マスクをしていない人は、入れません」という形で、マスクの義務化を実現できる。こうなれば、感染を止める効果はとても大きくなる。
──
マスクの義務化が大きな効果を持つことは、次のように説明できる。
緊急事態宣言では、現状では、外出量が半減している。しかし、外出量が半減しても、残りの半分は残っているので、残りの半数は感染源となる。これでは、感染を止める効果は小さい。
通行の 99%を止めているロックダウンでさえ、少しずつ減少させるぐらいの効果しかないのだ。
ロックダウンの限界: Open ブログ
なのに、99%どころか 50%ぐらいの通行量の削減では、たいして効果があるはずがないのだ。
一方、マスク着用率のアップは有効だ。たとえばマスク着用率が 80%から 95%に上がると、(残りの)非使用者は 20% から5%まで下がる。
20% から5%まで下がるというのは、4分の1に激減するといことだ。感染者がこれほどにも激減する。これは外出者の率が 4分の1に激減したのと同じ効果をもつ。それまでの外出率が8割だとしたら、それが4分の1の2割にまで減ったのと同じ効果をもつ。外出率が8割から2割にまで減るということは、8割おじさんの狙いが達成されたことになる。
つまり、マスク着用率が 80%から 95%に上がることで、外出率が8割から2割にまで減るのとおなじ効果を持つのだ。
しかも、マスク着用率が 80%から 95%に上がることは、すでに4月9日ごろの段階で達成されている。
マスク着用者の割合は、どのくらいだろうか?
3カ月中には、おおむね7〜8割だった。
3月末になると、8〜9割ぐらいになった。
4月1日〜8日ごろの期間に、マスクの着用率が大幅にアップした。
4月9日以降では、おおむね通行人の 95% ぐらいがマスクをしている。
( → マスクを義務化せよ: Open ブログ )
かくて、4月1日〜8日ごろにマスクの着用率が大幅に上昇したので、その後(一定期間後)には感染者数の急増が止まった。
12日以後に減少が起こったことは、次のように認識できる。
・ 4月3日から入国規制が強化されたこと (主因)
・ 4月1日からマスクの着用率が高まったこと (副因)
( → 東京都の感染急増 4: Open ブログ )
──
このように、マスクの着用率アップには、大きな効果がある。
この上さらに、「マスク義務化」を実施すれば、ほぼ 100%のマスク着用率になるので、台湾や韓国と同様に、新型コロナを克服できるだろう。緊急事態宣言なしで。
実際、台湾や韓国は、ロックダウンをやらないで、新型コロナを克服できているのだ。ロックダウンという(ほぼ)無意味なことをやらずに、マスク配給制という有効なことをやるからだ。
ここに、お手本がある。
※ 一方で、失敗例は欧米だ。ロックダウンをして、多大な犠牲を払っているのにもかかわらず、莫大な感染者と死者を出している。あまりにもひどい。そして、それを真似しようと指定のが、今の日本政府だ。(専門家会議はその筆頭だ。)
[ 付記1 ]
ついでに感染倍率(基本再生産数)について推定しておこう。
専門家会議では、感染倍率を 2.5 (2〜3日で倍増)と想定して、「急増がある」と見なした。しかし、現実にはそうなることはなかった。
・ 急増期でさえ、1.7(1週間で倍増)ぐらいだった。
・ 4月12日以後は、減少気味なので、1を割っている。0.9 ぐらいか。
・ 緊急事態宣言の効果は、はっきりしないが、0.1 下げるぐらいの効果があったようだ。
・ その 0.1 を差し引いて、1.7 を 1.0 に下げるときには、0.7 下げる効果がある。
・ その 0.7 下げる効果が、主因と副因(前出)である。
(減少の)主因と副因について、再掲すると、こうだ。
・ 4月3日から入国規制が強化されたこと (主因)
・ 4月1日からマスクの着用率が高まったこと (副因)
結局、「入国規制の強化」と「マスクの着用率のアップ」こそが、4月12日以後のゆるやかな減少の原因だった。一方で、4月22日ごろには、予定された「急激な減少」はなかった。つまり、緊急事態宣言の効果などは、ほとんどなかった。
[ 付記2 ]
グラフを見ても意味を読み取りにくい人のために、「前後7日間の平均」を取ってグラフ化した人がいる。(全国の感染者数。19日まで。)

出典:(団藤保晴)
これを見れば、次のことがわかるだろう。
・ 11日までは急増がある。
・ 12日以後は一転して頭打ち(または減少)である。
本項で述べてきたことが、わかりやすいグラフで示されている。
しかし、専門家会議の連中は延長するべきと言う声がうずくまっているらしい。はっきり言ってそんなことをしたら、日本経済が破滅するのは目に見えているし、倒産、それに伴う失業者が町に溢れ、生活保護の受給者が増えるのも目に見えている。
しかし、かれらは、経済の専門家でないとか言って逃げ、経済が破滅しても自分には降りかからないのでどうでもいいと考えているのだろう。
感染者が300人放置されていれば
この2週間でほとんどの日本人は感染している
(机上の空論)
もっと複雑な式なんでしょうけど
「2.5日で倍増」で計算すると、15日間では2の6乗となり、64 倍です。元が 300人だと、19,200人となります。約2万人。
西浦モデルだと、今ごろは2万人の感染者が出ているはずだ、となる。……「オオカミが来た」と騒ぐような人。
見ると例えば東京では、人々の行動は半減どころか 1/3 くらいになっているように見える。人と人の出会いは 1/3*1/3 で 1/9 になっているはずである(ちなみに人の行動を減らしても出会った回数ごとの感染の確率は変わらないから、人の行動を減らした分に比例して感染倍率が下がるという考えは物理的に変)。飛沫感染、接触感染に関わらず、相当効果がでると思ってたんだけど、、、
* 相当効果が出てるが、検査が少なすぎて、傾向が把握できない?
* 一部の人と人の出会いが全然減ってないところで感染が続いてる?病院とかケアセンターとか?
* 鉄道データでは減ってることになってるけど、実際に人と人の交差は減ってない?
管理人がどう考えますか?
地方では、電車でなく、車を使う。
地元・近距離では、徒歩・自転車・自動車の人もいる。
だいたい、街中で感染するよりは、職場で感染する人の方が、圧倒的に多い。駅周辺だけを見ても意味がない。
そもそも、人と人との出会いではなく、人と物との接触感染で起こるのだから、人と人との出会いを減らすという発想そのものがナンセンス。
もし明らかな相関があれば効果ありですが、駅周辺が減ったので地元のスーパーが混んだりという逆相関もあるので(ちょっと考えれば分かることですが)結局なんとも言えない、ということになるのでは。
というか何を主張したいか(ロックダウンしたいとか解除するとか)によってどうにでも使えてしまいます。
学校の再開が困難になってしまいますね。
特に小学校は厳しそう。
http://openblog.seesaa.net/article/474477672.html
石鹸でなくとも、ハンカチ等でふき取るだけでば効果あります。
でも、小さい子どもたちにはその習慣づけはちょっと難しいかな・・・・
集団での食事(会食に相当)ができないので、学校給食が出せないですね。もちろん、みんなでお弁当を食べるのもダメ。
ということは、仮に学校が再開されたとしても、毎日が午前授業(いわゆる半ドン)になってしまいますね。。。
対面せず、会話せず、ならば大丈夫。食事も、熱い食事に限るといい。冷たいパンやサラダは不可。
どちらかというと、こまめな消毒の方が大事。塩素系洗剤とぞうきんで、こまめに消毒するといい。
これ以上、神経質になると、あと2年間は登校できなくなる。
一応自分のコメントに補足すると、人出が減れば、芋づる式に飛沫感染も接触感染も人出の二乗にきいてくるという考えです。感染者が吐き出す飛沫が減り吸い込む人も減る、感染者がどっかに引っ付けるウイルスがへり、触る人も減る。
東京は感染者だらけですから。
慶応大学病院によりますと、今月13日から19日の間に新型コロナウイルス以外の患者、67人に対して、手術前や入院前に感染しているかどうか調べるPCR検査を行ったということです。
患者は全員、新型コロナウイルスに感染した際に見られる症状はありませんでしたが、およそ6%にあたる4人が陽性と確認されたとしています。
早ければ4月中に疫学検査として1000人規模の検査を始めるみたいです。
日本はロックダウンのような強硬策は取らなかったので、ウイルスに感染する機会に恵まれていました。(3月までマスクと手洗いくらいで普通に生活してたので)
日本人が、何らかの理由で感染しないなどという事が無ければ、それなりの感染率になっているはず。
日本人の死者は200人程度ですから、致死率を計算すると、「ショボいウイルスやな!」と、国民全員が言いたくなるような低い数字が出ると思います。これは、韓国や中国など東アジアのほとんどの地域で同じ様な数字になるでしょうね。
・ 簡単な迅速検査キット。有無を判定。安価。
・ 高精度な検査装置。定量的に測定。高価。
駄目なのは、前者。今話題になっているのは、後者。
コメントありがとうございます。
日本赤十字社がやろうとしている研究は、高精度装置の評価なのでしょうか?わたしにはよくわかりませんでした。
http://www.jrc.or.jp/activity/blood/news/200422_006170.html
https://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/news/202004ryo_covid_1.html
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58339750S0A420C2000000/
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/ceo-30.php
https://www.asahi.com/articles/ASN4R61R8N4PULFA04K.html?ref=mor_mail_topix2
人と人の接触を7割減らせ、店を閉めよ、自宅で自粛しろと言う、この壮大な社会実験、まださらに2週間続きます。効果が不明瞭なら、さらに厳しく人の接触を9割減らせ、ずっと自宅にいろ、公園にも出るなとなりかねません。人間は社会生活を営む生き物です。それをもっと厳しくストップするなんて、直感的に誤りのような気がします。
感染症学会は抗体式の検査キットについて、「感染症の診断に活用することには推奨できない」と否定した。
→ https://j.mp/351xiWL
朝日の論座が、この粗悪な抗体検査キットを肯定的に紹介している。
→ https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020042300001.html
この記事を肯定的に紹介している記事が、はてなブックマークで人気だ。
→ https://b.hatena.ne.jp/entry/natrom.hatenablog.com/entry/2020/04/25/092000
かくて、デマが世に広まる。
p.s.
参考情報で、専門家の話もある。
→ https://news.yahoo.co.jp/byline/onomasahiro/20200405-00171520/