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(1) ロックダウンへの期待
ロックダウンには大きな期待をかける人が多い。
「ロックダウンをすれば、短期間に感染を収束させることができるだろう。たぶん、1〜2カ月だ。それで感染を収束させたら、ロックダウンを解除して、平常状態に戻ればいい」
というふうに。
実際、ロックダウンを実施した国は、数週間から1カ月ぐらいの期間を予定していることが多い。
日本の緊急事態宣言も同様で、(ロックダウンではない外出自粛だが)4月7日から5月6日までの1カ月間だ。そのくらいで感染を収束させることができると見込んでいる。
(2) ロックダウンの限界
しかしロックダウンの効果には限界がある、と前項で判明した。効果は、あるにはあるが、あまりにも少ないのだ。急増を止めて、増加の幅を縮めるぐらいのことはできるのだが、増加そのものを止めることはなかなかできない。前よりは緩いペースで感染が拡大することになる。
このままでは、収束に至るまで、半年以上もかかる。そして、半年たったら、冬になるので、今度は爆発的な感染が起こりそうだ。
となると、いつまでたってもロックダウンは解除できないことになる。最低でも、来年の春まではロックダウンは解除できない。となると、丸一年もロックダウンが続くことになる。こうなったら、経済は壊滅的となる。
(3) ロックダウンの弊害
「ロックダウンで経済が低迷しても、国がお金を配れば大丈夫さ」
と楽観する人もいる。しかし、これは勘違いだ。
物が生産されないまま、お金だけを配っても、インフレが起こるだけだ。(貨幣価値の低下)
たとえば、トイレットペーパーの工場が停止したら、トイレットペーパーの生産がなくなるので、トイレットペーパーを入手できなくなる。ここで、お金をいっぱい配ればトイレットペーパーを購入できるようになるのではなく、単にトイレットペーパーの価格が上がるだけだ。「ない袖は振れない」というように、「ないものは買えない」のである。もちろん、トイレットペーパーに限らず、マスクでも食料でも同様だ。生産していないものは、(金がいくらあっても)買えないのである。
ただし、当初だけは、在庫があるので、金を配れば在庫の品物を買うことはできる。しかし、在庫がなくなれば、品切れだ。あとは生産したものを買うしかないが、生産が途切れれば買えなくなる。
ここを勘違いしている人が、「ロックダウンをしても、金を配れば、品物を買える」と思い込んでいるのである。頭がおめでたすぎる。
むしろ、「ロックダウンを続ければ、餓死するしかない」と思った方がいい。あるいは、暖房の金がなくて凍死するかもしれない。財産的な破綻や倒産で、自殺する人も出てきそうだ。そっちの死者の方が、コロナの死者よりも大きくなりかねない。(特に、コロナの死者がいまだに少ない日本では、そうなりかねない。)
(4) 各国の状況
効果の限られたロックダウンに頼る限り、いつまでたっても収束できないまま、ロックダウンが長期的に続きそうな雲行きだ。
そこで、経済的な困窮に耐えかねて、そろそろ音を上げた国が出てきた。「増加のペースがそこそこ落ちているので、もうロックダウンを解除する」というわけだ。
(i)米国
テレビ報道によると、トランプ大統領は、近日中にロックダウンを解除または緩和する方向で検討しているそうだ。
(ii)スペイン
スペインはロックダウンの一部解除を実施した。
→ スペイン、都市封鎖を一部緩和、死者の増加ペース和らぐ
→ スペイン、都市封鎖を一部緩和 製造や建設以外は自宅待機
(iii)イタリア
イタリアでは、ロックダウン解除はまだ決まっていないが、解除してくれとの気運が高まっているそうだ。
→ イタリア企業もう限界、高まる「コロナ封鎖」解除の圧力
(iv)日本
日本では、ロックダウンを始める前から、大幅に緩和されている。緩和された状態で始めたわけだ。(外出自粛の要請、という形。口先だけは「8割削減」だが。政治というよりは、妄想のたぐいだね。)
(5) ロックダウンを解除したら?
では、ロックダウンを解除したら、どうなるか? もちろん、ふたたび指数的な急増が起こるだろう。短期間で、感染者が急増する。
そこで、ふたたびロックダウンを開始したら、どうなるか? ふたたび、ゆるやかな増加が続くだろう。(新規感染者は徐々に低下)
そのあとでまたロックダウンを解除して、急増が起こる。そして三たびロックダウンをして、なだらかな増加が起こり……
というようなことを何度も何度も繰り返しそうだ。下図のように。

(横軸は時間、縦軸は感染者数)
これと似た図は、下記のモデルの図にも見られる。(減少のペースはずっと早いと仮定している。)
→ グラフ ( 出典 )
減少のペースは異なるが、いずれにしても、増加と減少を繰り返しながら、いつまでも感染とロックダウンを続けることになる。
(6) 波状の継続
上のグラフのような状況を、「波状の継続」と仮称しよう。
「波状の継続」には、どんな意味があるか? 上のページでも紹介されているが、次のメリットがある。
「医療資源の収容可能数の上限に達しないように、感染者数を抑える。そうすれば、医療崩壊が起こらないまま、少しずつ多数の患者を感染させながら、多数を治療できるので、死者数は最小限に抑えられる」
なるほど。これは良い方法だと思える。
しかしながら、医療の面ではよさそうだが、経済的な面ではひどいことになる。ロックダウンによる減少が急激ならばいいのだが、実際にはロックダウンによる減少は緩やかだ。( → 前項 ) こうなると、1年のうちの大部分はロックダウンで生産中止となり、少なめの期間しか生産活動ができない。さらに、春夏ならともかく、冬になると全面的なロックダウンが長期化しそうだ。こうなると、もはや経済的な破綻は不可避となる。下手をすると、「病気は治りました、患者は死にました(経済的に困窮して)」となりかねない。
たとえば、下記の記事がある。
→ 「残りは290円」 イタリアの都市封鎖、収入ゼロも (動画あり)
日雇い労働者の多い地域では、仕事がなくなると、貯金もなくなり、食料を買えるお金もなくなる。食料を恵んでくれる人(団体)があるらしくて、かろうじて食料を得ているが、この先の見通しは真っ暗だそうだ。「ここで死ぬしかない」と思い詰めている人もいるそうだ。
※ 先に (3) で述べた通り。
(7) マスクの効果
では、お先は真っ暗か? そうでもない。「波状の継続」は、(モデルと違って)ずっと同じように続くわけではないのだ。徐々に改善されていくのだ。なぜか? マスクがあるからだ。
実際、ニューヨークでは、感染者数の増加が大幅に縮小した。
→ ロックダウンの効果: Open ブログ
そこからグラフを再掲しよう。

これほど大きな効果ではないが、スペインでも、感染者の増加が縮小している。

かなりはっきりとした減少が見られる。(1日の新規感染者数)
では、ニューヨークとスペインでは、どうしてこういう成功をなし遂げたのか? そのことは、NHK のニュースを見るとわかった。
ニューヨークでは、通行人のほとんど(画面中の全員)がマスクをしている。
スペインでも、通行人のほとんどがマスクをしている。駅では、公的機関がマスクの頒布をしていている。(マスクをしていない人向けらしい。)……こうやって、全員にマスクを推奨しているわけだ。
ニューヨークでもスペインでも、マスクをほぼ全員がしているようになった。(この点では、ある意味、日本以上かも。日本よりも危機感が高いことはたしかだし。)
かくて、マスクをすることで、「ロックダウンをしている期間中の減少」を加速できるのだ。「なだらかな減少」から、「急激な減少」へと、転じることができるのだ。
こうなれば、ロックダウンをしている期間は短くて済むので、「波状の継続」を何度も実施しても大丈夫かもしれない。
それどころか、十分なマスクがあれば、ロックダウンをしなくても済むようになるかもしれない。台湾や韓国がそうであるように。
※ 韓国の場合は、十分な検査も併用されている。
※ 欧米では、店で入口で客のマスクを確認している例もある。マスクなしの客は入店拒否しているらしい。これは、うまい案だ。日本でも実施するとよさそうだ。
(8) 結論
ロックダウンの効果は小さいので、解除をしても、元の木阿弥になって、感染者が急増して、ふたたびロックダウンの必要に迫られそうだ。
しかしながら、マスクの普及率が 100% に近くなれば、状況は大幅に改善する。うまく行けば、ロックダウンなしで、感染を(なだらかに)収束させることができるかもしれない。
ニューヨークやスペインは、その方向に進みつつある。グラフでも、明白な改善を示しつつある。
しかしながら、日本ではそうではない。当初は、世界でも抜きん出たマスクの普及率(7〜8割)があったおかげで、感染爆発を防いでいた。しかし、3月下旬以降では、感染の急増を防げていない。マスクの普及率も、95% ぐらいで頭打ちになっており、100% にはならない。それというのも、台湾や韓国のように「マスクの配給」を実施していないからだ。(不織布マスクのかわりに布マスクの配給という、とんでもない見当違いなことをやっている。)
冒頭の「ロックダウンはいつまで続けるのか?」への回答は、「マスクしだい」となる。次のように。
・ マスクをしなければ、どうにもならない。破綻するしかない。(感染爆発か、経済的自滅か。)
・ マスクを十分にやれば、新型コロナを克服することは可能だ。(十分な検査を併用すれば、なお良い。)
単純に言えば、「ロックダウンはいつまで続けるのか?」については、「ロックダウンをしないで収束させた、台湾と韓国を見習え」ということだ。ロックダウンをしないまま、マスク配給(およびその他)によって収束させることができるのだから、「ロックダウンはいつまで続けるのか?」という問題そのものが無意味だと言える。
(9) 提案
日本では政府が愚鈍であるせいで、マスクが配給されない。せっかく孫正義が月3億枚も用意してくれるのに、日本政府がそれを買い上げようとしない。このままではうまく行かないだろう。
マスクそのものは、現在でもかなり多くが出回っているようだ。ただし、一部の転売屋に買い占められてしまっている。
→ マスク争奪戦「ゲリラ販売」でも限界…ドラッグストア、「店内待機」する客に苦慮
困った。どうする? そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「自治体がマスクを公的に買い上げる。政府がやらないのなら、自治体が買い上げればいい。そして、学校や医療機関に優先的に配付すればいい。(学校の分は無償給付でもいい。)」
こうすれば、転売屋経由で一部の人に集中していたマスクが、子供たち全体に行き渡るようになるだろう。(小児は除く。)
あとは、年金の受給者にも、郵送で全員に給付するといい。(高齢者向け。)
こうして、高齢者と子供には、全員にマスクが給付されることになる。(1人3枚ぐらい。)
だから、自治体が、そういうふうにすればいいのだ。やれる自治体が率先してやればいい。
例:
・ 東京都は率先して、マスクを買い上げる。
・ 埼玉県は、グズグズして、何もやらないでいる。
・ 他県がぐずついている間に、東京都がマスクを買い占める。
・ 東京都だけで、マスクの着用率がアップして、コロナを克服。
・ 間抜けな埼玉県では、マスクなしで、感染率が上昇。
・ 神奈川県知事は「ホメオパシー」と唱える。
・ 千葉県知事は「オレは男だ!」と、海に向かって叫ぶ。
・ 東京都知事は「東京ファースト」とニンマリする。
「ウイルスでなく、食べられずに死ぬ」凍てつく世界経済
https://www.asahi.com/articles/ASN4G6VN7N4CUHBI02H.html
気が触れてる!
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200415-00000033-mai-soci
→ ドイツ:マスクの供給量がロックダウン解除のカギ
https://note.com/mikako_deutsch/n/n94fdcb4f36e2
最近の北海道のデータを見ればマスク云々だけの対策では不十分と言えるだろう。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/412771
国全体では新規感染者が減少しているのに、北海道ではなぜか急激に増えている。なぜか? 特殊な地域要因があると推察されます。
気温かな? と思って調べたが、気温はむしろ改善されている。(潜伏期を考えて1〜2週間前)
となると、残りは「旅行者からの感染」だ。 twitter を検索してみたが、本州からの旅行者が多いので、道民は感染を危惧しているそうだ。
https://twitter.com/akashiro112211/status/1250911940957749248
まだ寒い時期に北海道に行くのは、あえて感染するために行くようなものだ。
で、自分も感染して、他人にも感染させて、そのあとで自分は本州に戻るから、道内には二次感染だけを残す、というわけ。
当初の緊急事態宣言には、北海道を含めておくべきだったね。寒い地域は旅行自粛の対象となる。……ただ、これは、私も考えが及ばなかったから、政府だけを責めるわけには行かない。
ただ、どうせ緊急事態宣言をするなら、地域別の「休業」をやるだけでなく、行動別で「旅行」を全国一律に課するとよかった。
政府の「緊急事態宣言を全国に拡大」では、「ゴールデンウイーク中の旅行」を懸念しているが、だったら「旅行」を禁止すればいいのであって、一般のサービス業まですべて一律に禁止するのは、とんだ巻き添えとなっている。
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p.s.
あとで調べたら、「旅行が原因」には、裏付けとなるデータも得られた。北海道に限らず、沖縄などの地方でも、感染者の急増が見られる。
→ https://www.asahi.com/articles/DA3S14444654.html
引用:
> 山形、静岡、広島、香川、沖縄の5県では最近、4日未満で感染者が倍増するペースだ。一部の地域で急増がうかがえる。 地方で感染が広がった一因は、都市部からのウイルスの持ち込みとみられている。
これは「感染爆発が起こった」(二次感染が起こった)というより、都会からの旅行者による感染が原因だとみられる。
そもそも、ことの発端は春節期における中国からの旅行者によるウイルス感染でした。
北海道や沖縄からしたら、最近の東京都民の行いは、当時の中国人観光客の行いと同じになっている、と受け止められています。
和歌山県知事は「東京、大阪とは混み具合が違う」と安心する
と本文中に記したが、さっそく、福井県が率先して、マスクの配給制を実施することにしたそうだ。
> 購入券を持参すれば、50枚入り1箱(税込み2350円)を最大2箱購入できる。 都道府県単位で県民にマスク購入をあっせんするのは全国初。
→ https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1070996
はてなブックマークでは、非常に好評である。アベノマスクの悪評とは正反対。