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※ 最後に 【 後日記 】 があり、そこで修正をしています。
(1) 概要
緊急事態宣言には都市封鎖は含まれていないので、都市封鎖よりも効果は少ない。では、すでに都市封鎖をした欧米各国では、都市封鎖の効果を上げているか? 統計データを見ると、「都市封鎖は効果がまったくなかった」と判明する。かわりに、効果があったのはマスクだった。
(2) 外部サイトの指摘
この件は、私の独創ではなく、外部サイトで部分的に指摘されていた。(前項のコメント欄で指摘を受けた。)
それによると、イタリアの統計データを見ると、「都市封鎖には効果がまったくない」とわかるという。
《 都市封鎖に、何の効果もない――イタリアの場合で検証 》
イタリアを例にとって、効果がなかったことを示します。
( → toshi_tomieのブログ )
都市封鎖をしても増加のペースが変わっていないことから、都市封鎖の効果はまったくなかった、というわけだ。
なるほど。これは妥当な推論である。
では、イタリア以外の各国ではどうだったろうか?
(3) 欧米各国のデータ
そこで、イタリア以外の欧米各国のデータを調べてみる。特に、累数ではなく、1日あたりの新規発生数を見てみる。
米国の新規発生数

https://www.worldometers.info/coronavirus/country/US/
フランスの新規発生数

https://www.worldometers.info/coronavirus/country/france/
ドイツの新規発生数

https://www.worldometers.info/coronavirus/country/germany/
イタリアの新規発生数

https://www.worldometers.info/coronavirus/country/italy/
上の図から、次のことがわかる。
・ 米国は、4月3日まで増加のペースが変わっていない。どこで都市封鎖があったかも不明なほどだ。
・ フランスも、3月31日まで増加のペースが変わっていない。どこで都市封鎖があったかも不明なほどだ。
・ ドイツも、3月29日まで増加のペースが(ほぼ)変わっていない。どこで都市封鎖があったかも不明なほどだ。(グラフでは日ごとのバラツキが少し見られるが、無視していい。
・ イタリアも、3月21日まで増加のペースが変わっていない。どこで都市封鎖があったかも不明なほどだ。
実際に都市封鎖があったのは、いつか?
・ 米国では、3月22日にニューヨークで都市封鎖が始まり、以後、順次拡大した。( → 毎日新聞 )
・ フランスでは、3月14日と3月16日に、都市封鎖に近い措置を取った。( → Wikipedia )
・ ドイツでは、3月20日から一部の州で都市封鎖が始まり、3月22日にはベルリンでも始まった。 ( → Yahoo!ニュース 、first German states to impose lockdowns )
・ イタリアは、都市封鎖は 2月22日に一部で始まり、3月7日は領域を拡大し、その後次々と領域を拡大した。( → Wikipedia )
以上からわかるように、いずれも3月中に都市封鎖が始まっているのだが、そのことによる変化はグラフにはまったく見て取れない。いずれも指数的な急増が続いている。つまり、都市封鎖の効果はなかった、と認定できる。それが統計データからわかることだ。
(4) マスクの効果
都市封鎖をした時期には、感染の急増(指数的な増加)を防げなかった。しかしその後、一部の国では、急増を止めている。
・ 米国では、4月5日から急増が止まっているように見える。
・ フランスでは、4月3日から急増が止まっているように見える。
・ ドイツでは、3月28日から急増が止まっているように見える。
・ イタリアでは、3月22日から急増が止まっているように見える。
米国とフランスでは、急増が止まり始めた日付が最新分だけなので、誤差かもしれず、断定できない。
ドイツとイタリアでは、急増が止まり始めた日付が古いので、急増が止まっていると断定できる。
では、なぜ、こういう違いが生じたか? 「それはマスクだ」というのが私の見解だ。
その裏付けはある。
米国とフランスではに共通しているのは、マスクをする人はいまだに少数派だということだ。たとえば、イギリスとフランスについて、次の記述がある。
イギリスやフランスでも町なかでマスク姿の人が目立ち始め
( → マスク着用の習慣ない欧州 各国で変化 新型コロナ感染拡大で | NHKニュース )
ここでは、マスクをしている人が「目立ち始め」ということだから、マスクをしている人はまだ少数派であるようだ。
ドイツとイタリアに共通しているのは、マスクをするようになったということだ。
ドイツでは、一部地域では義務づけすらされるようになった。
ドイツでもマスクの着用をめぐる議論が盛んになっていて、東部の都市イエナでは今月6日からスーパーや公共交通機関などでマスクを着けることが義務づけられますが、マスクが不足しているため、市はタオルやスカーフで鼻と口を覆うことも認めることにしています。
( → マスク着用の習慣ない欧州 各国で変化 新型コロナ感染拡大で | NHKニュース )
日本でもやっていない義務づけがすでに始まっている。ドイツではマスクの普及がいくらか進んでいるようだ。
イタリアでは、かなり前からマスクをする人が多くなった。この件は、前に述べたとおり。
→ マスクと世界: Open ブログ
というわけで、ドイツとイタリアは、米国・イギリス・フランスとは違うわけだ。
──
結局、日独伊という三カ国(三国同盟みたいだ)では、マスクを普及させることで、急増のペースを落としているわけだ。
※ 日本では、(最近では都市部の急増が起きているとはいえ、)これまではずっと急増を免れてきた。それはマスクの効果だと言っていいだろう。
(5) 海外からの流入
日本ではマスクをしているのだから、急増はないはずだと思える。なのにどうして、日本でも最近になって急増が起こったのか?
これについては「海外からの流入があったからだ」というのが、前項で述べたことだった。
→ 緊急事態宣言の評価: Open ブログ
このことは、統計的にも裏付けられる。というのは、次の事実があるからだ。
・ 日本は、入国規制が不十分だったので、急増があった。
・ シンガポールもは、入国規制が不十分だったので、やや急増があった。
・ 韓国は、入国規制が十分だったので、最近では急増がなかった。
・ 台湾は、入国規制が完璧だったので、急増がなかった。
さらに詳しく言おう。
日本では、入国規制が不十分で、急増があった。これは前項で記したとおり。
シンガポールでは、海外からの流入があったせいで、やや急増があった。
3月下旬に入り、海外からの帰国者を中心に感染者が増加。
( → シンガポール、行動制限へ転換 1カ月オフィス閉鎖・学校休校・外出自粛に:朝日新聞 )
※ ただし、シンガポールは3月22日から入国規制をしていたので、日本ほどひどくはなかった。
韓国では、初期には急増があったが、最近では急増が起こっていない。日本のような極端な急増を免れている。このことは、マスクだけでなく、入国規制がほぼ十分であったからだろう。
具体的には、帰国者への PCR全数検査までは行っていなかったが、自己申告のオンライン調査で全数監視をしていた。
→ 《安全》韓国が全世界に入国制限 感染リスク依然、休校措置も延長 - NNA ASIA・韓国・社会・事件
台湾では、以前から強力な入国規制と、十分なマスク配付を行っている。また、3月17日から在宅検疫をしていて、違反者には罰則があった。
→ 台湾で新型コロナウイルスに対する日本の警戒レベル最高値に引き上げ、19日からは外国人の入国禁止
施策としてはほぼ満点だろう。それゆえ、急増も起こっていない。
(6) 日本の対処
日本はどう対処していたか? 入国規制については、やる規模も小さく、やった時期も遅すぎる。
具体的には、3月26日から自宅待機の要請をしただけで、罰則すらなしだった。
→ 米国からの入国制限を決定 26日以降、14日間の自宅待機を要請 - 毎日新聞
ようやく全数検査をしたのが、4月3日からだ。
→ 東京都の感染急増 2: Open ブログ
これでは完全に尻抜けだろう。でかい穴があいていたことになる。
ちなみに、数を調べると、こうなる。
日本の海外旅行者は、外国人の入国が 2000万人で、日本人の出国が 3000万人余り。仮に 4000万人と仮定して、4月2日までに 14日間(2週間)の遅れがあったとすると、
4000万人× 14 /365 = 153万人
対象地域を(中国・韓国なしで)米国・イタリア・スペインだけに限っても、20万人を越えそうだ。
こんなに大量の人間が海外から流入するのだから、感染者が大量に含まれるのは当然だ。むしろ、よくまあ(新規感染者が)1日300人以下で収まっていたとも言える。
ともあれ、「海外からの流入の抑制に成功した台湾・韓国」と「失敗した日本とシンガポール」という対比が鮮明になった。
韓国以外の国は、マスクをすることで、初期の感染爆発を防いだ。韓国も、中盤には、マスクをすることで、感染爆発を防いだ。
しかし、最近になって、明暗の違いがはっきりと出たわけだ。政府がまともに対策した国と、政府が無策だった国。
(7) 東京都の急増の鈍化
東京都の新規感染者数は、4月7日には 80人。前日に続いて、少なめとなっている。急増のペースが鈍化しているように見える。
→ 都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト
このことは、「4月3日から全数検査を始めた」という入国規制の効果が出たせいかもしれない。
ただ、潜伏期を考えると、もっと前の措置が効果を出したのだろう。日本人帰国者ではない外国人入国者を制限したことの効果が出たのかもしれない。
いずれにせよ、(部分的であっても)入国規制の効果がそろそろ出てきてもおかしくない。「二次感染よりも海外からの流入が主因だ」という私の見解が肯定されるかもしれない。
ただし、「緊急事態宣言をしたせいで感染者が減ったのだ」という主張をする人も出てきそうだ。(潜伏期を考えると、そんなに早く感染者が減るわけがないのだが。我田引水する人はいそうだ。)
《 加筆 》
よく見たら、検査実施数が、ここ数日は激減している。その影響かもしれない。( ※ はてブで指摘されていた。)
《 加筆2 》
8日にはまた増加しているので、減少はやはり一時的な現象にすぎなかったようだ。
東京都で8日、新型コロナウイルスの感染が新たに144人確認されたことが関係者への取材でわかった。 6日は83人、7日は80人と2日連続の80人台だったが、都の担当者は「6日は検体自体が少なく、7日は集団感染の疑いで持ち込まれた検体で陰性のものが多かった」などと説明していた。
( → 新型コロナ 東京で144人感染 これまでで最多 :日本経済新聞 )
ただし、思ったよりも増加は少なかった。反動で大幅増になるかとも思ったが、そうでもなかった。この三日間の総計で見ると、急増は鈍化していると言えそうだ。グラフは下記。
→ 都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト
[ 付記1 ]
「人と人との接触を8割減らすと、感染爆発を抑止できる」
という主張があった。
→ 「欧米に近い外出制限を」 北大教授、感染者試算で提言 :日本経済新聞
これを受けて、「人と人との接触を8割削減する」というのをめざす旨、首相が発言した。(4月7日)
→ 東京新聞:首相、7都府県に緊急事態を宣言 接触「7〜8割減」要請
→ 「人との接触8割削減を」 緊急事態「1か月脱出の前提」―安倍首相(THE PAGE)
→ 首相記者会見全文(2)「このペースで感染者増えれば、1カ月後に8万人超す」 - 産経ニュース
これは、緊急事態宣言の根拠となる話だ。「こうやって人と人との接触を減らすように仕向けることが緊急事態宣言の目的だ」というわけだ。
しかし、8割どころか9割以上の削減(つまり都市封鎖)を実施している欧米でさえ、感染者の急増を止めることができなかったのだ。
その一方で、日本では、緊急事態宣言をする前の4月6日から、すでに急増が止まりつつある(らしい・かもしれない)。
初めに述べた通り、都市封鎖というものは、まったく効果がないのである。「人と人との接触を8割削減する」という首相の方針も、これまた意味のない方針だと言える。
都市封鎖みたいなことを考えるよりは、マスクの義務化の方がよほど効果があるはずだ。(前項で述べたとおり。)
また、感染者とは別に、死者を減らすためならば、アビガンの使用を認めることの方が、ずっと大切なことなのだ。さっさと認めるべし。
【 訂正 】
アビガンの投与は、速報では示されていなかったが、記者会見全文を読むと、会見で言及されていた。
「先生にアビガンを使ってもらいたいと言ってですね、その病院の倫理委員会において使えるということになっているとすれば、それは使っていただけるようにしていきます」
「治験のルートではありませんが、観察研究という形で、先ほど申し上げました、(投与を希望するという)そういう皆さんに使っていただきたい」
( → 首相記者会見全文(9)「アビガン、病院の倫理委を通っていれば使える」- 産経 )
現状ではともかく、近い将来では、希望者への投与が可能となるようだ。
[ 付記2 ]
「都市封鎖をしても感染急増を止められない」
というのは、どうしてだろう? 私としては、よく考えたすえ、次のように推論する。
「人と人の接触(会話・会食)があれば感染する」というのは事実だが、「人と人の接触(会話・会食)がなければ感染する」とは言えない。なぜか? おそらく、空気感染ではなく、飛沫感染と接触感染があるからだろう。マスクをしていない人が飛沫を飛ばすと、その飛沫はあちこちにこびりつく。そうなると、たとえ近距離で会話・会食をしていなくても、飛沫を飛ばした人が通り過ぎたあとで、接触感染の形で感染しやすい。実際、インフルエンザで「手洗いが大切だ」というのは、接触感染を防ぐ意味からだ。
結局、「人と人の接触(会話・会食)がなければ感染する」ということは成立しない。かなり前に通り過ぎた人が残した飛沫を通じて、接触感染の形で感染するからだ。
ここから推定できることは、次のことだ。
「新型コロナウイルスは、物体上でかなり長時間にわたって生き続ける」
このことから、「数時間前に出た飛沫に触れたことをきっかけに、接触感染が起こりやすい」と言えるわけだ。
なお、新型コロナウイルスが物体上でかなり長時間にわたって生き続けるということについては、次の情報が参考となる。
→ 新型コロナウイルス、表面でどれくらい生きられる?
→ 新型コロナウイルス、プラスチックなどの表面で最長3日間生存
[ 付記3 ]
マスクが有効である理由も、以上からわかる。「マスクによって、飛沫を飛ばさなくすることで、接触感染を防ぐから」だ。
一方、「三つの密」にこだわる専門家会議は、空気感染・エアロゾル感染を阻止しようとしていることになるが、これは、飛沫感染・接触感染を阻止することとはまったく異なるので、無効だと言える。……それが、「都市封鎖は無効である」ことの理由だろう。
接触感染は、人と物との接触を通じてなされる。それを防ぐには、マスクで飛沫拡散をなくすか、手洗いで接触を無効化するか、どちらかだ。一方、人と人との接触を減らしても、接触感染は少しも減らないのだ。だからこそ、「人と人との接触を減らす」ことを狙っても無駄だし、「都市封鎖は無効である」という結果になるわけだ。
まとめ。
「人と物との接触が原因であるときに、人と人との接触を制限しても、見当違いである」
「接触感染が原因であるときに、空気感染(エアロゾル感染)を減らしても、無効である」
「マスクの義務化をするべきときに、都市封鎖や外出制限をしても、無意味である」
【 後日記 】
本項の内容は、翌々日の項目で修正された。
→ ロックダウンの効果: Open ブログ
趣旨はこうだ。
「本項(ここの項目)では、都市封鎖(ロックダウン)の効果はない、というふうに述べた。だが、それは、潜伏期のことを考慮していないので、妥当でなかった。潜伏期を経たあとでは、都市封鎖(ロックダウン)の効果は出る。ただし、マスクを併用することが条件だ」
つまり、ロックダウンの実施後、潜伏期(2週間)の最中には効果が見られないのだが、潜伏期(2週間)を経たあとでは、効果が見られる。その意味で、本項の主張は妥当ではない。
ただし、本項のタイトルである「緊急事態宣言は無効だ」という話に限ると、半分ぐらいは妥当だ。というのは、厳しい都市封鎖(ロックアップ)と違って、外出の量を何割か減らすという程度の弱い外出自粛では、効果は限定的だからだ。このくらいのことをやるくらいだったら、マスクの義務化の方がはるかに効果があるはずだ。なぜなら、感染の主因は接触感染であるからだ。(人と人との接近は主因ではない。)
なお、感染の減少に、ロックダウンとマスクがそれぞれどのくらい効果を及ぼしたかという話は、後日改めて書く予定。( 13日ごろを予定。)
※ 書きました。下記です。
→ ロックダウンの限界: Open ブログ (4月13日)
本項の記述が不正確である分、上記の項目で、正しい記述をお読みください。
主張する人は安倍と小池ですね。
声高に主張すると思いますよ。
今回の緊急事態宣言・・・どう考えても
選挙対策ですよね。
安倍は4選、小池は都知事選がありますからね。
外出禁止令がわずか数日違っただけでその後の増加数が
大きく違った例があるが
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3947229.html
ニュースソースの信憑性?
ロックダウンと現在の状況はフィナンシャル・タイムズのデータがわかりやすいと思います。
Coronavirus tracked: the latest figures as the pandemic spreads
https://www.ft.com/coronavirus-latest
イタリアはロックダウンから25日程度経ってようやく減少傾向。
カリフォルニアとニューヨークの違いは老人さんの投稿通りです。
「シュワルツバーグ教授は人口密度の差があるとした上で」
とあるように、両州には人口密度に大きな差があるし、移民構成も産業構成も州民性も違うとなれば、外出禁止令の発出時期数日の差がどれほど寄与しているのか判断するのは難しいです。
あ、日本が欧米に比して感染の拡大が弱い理由の一つに、日本人はコミュ障でほとんど会話しないから、というのがあると思います。
少なくともアメリカでは顔見知りに会えば立ち止まって会話するし、スーパーの店員とも言葉を交わしますから。
まあこの理屈だと、外出禁止令は欧米では特に効果があるということになりますが。
──
誰もがマスクをしていて、マスクをしないと警察に通報される。
https://twitter.com/Dr_Yield_Curve/status/1247655715025510400
マスクをしていない人がいたので、喧嘩沙汰になった。
https://twitter.com/JrSketcher_/status/1247661894275457024
「マスクの義務化」がこれほど完璧になされている地域はないでしょう。
その結果が「カリフォルニアでは感染者が非常に少ない」とい結果となります。
https://mainichi.jp/articles/20200407/k00/00m/040/269000c?fbclid=IwAR1YMNAXFJ6HAnt_Mpk6OWW0I-mg89fAo3FsOm4F7v04Or403BF2r-9Hahc
人から人への感染をモデル化した訳でなく,感染者と回復者の推移を元にシミュレートしたに過ぎないとは思いますが.
感染者数自体を減らすには,3/16前後に比して98%の行動制限って殆ど戒厳令レベルなのでは?
アビガンの投与がまもなく可能になる、という話。
いつも鋭く秀逸な考察楽しみにしております。
管理人さんの「マスク感染防止論」は説得的です。
一方、では何故マスクなのかということをもう少し強調されてはと思います。
厚労省も医学界も「エビデンス脳」で、「エアロゾル感染の証拠は無い」と未だに脳天気です。
3密回避が感染予防とすれば、単に「飛沫感染」ではないことが強調されるべきでしょう。
麻疹や天然痘や結核などの「空気感染」を連想させるので「エアロゾル感染」という概念の拡張ができないのでしょう。
飛沫だけではなく普通の呼気中からもウイルスが検出される、という報告も「外国」発です。
下記の記事よく出来ています。
https://hagukumuinochi.seesaa.net/article/474301833.html?reload=2020-04-08T11:54:51
ウイルス粒子を含んだ湿ったエアロゾルが感染源となる、ということ、「湿気の多い密室」がリスク大、でこの環境では高性能マスクを正しく装着しない限り感染のリスクは大きい、ということでしょう。
最後に、以前から管理人さんが推測されていたウイルス感染症の重症化本態がサイトカインストームではないか、ということは重症例重篤例では証拠もあがっていて認められつつあるようです。
この観点はもっと拡張して考えられないでしょうか。
ウイルス感染=ウイルス増殖とウイルス性炎症は別のプロセスではないか。
必ずしもウイルスの感染細胞内増殖は細胞破壊的ではないのではないか。
ウイルス性炎症は、ウイルス感染細胞に対する自然免疫系=好中球系=生理活性物質=サイトカインの司令塔の応答の表出なのではないか。
ウイルス増殖を直接阻害する抗ウイルス治療だけではなく、この時の自然免疫系の応答過剰を緩和する方策がもっと考えられるべきでは無いのか、と考えるのですがどうでしょう。
本サイトでは、他人の気づかなかったことを新たな視点で指摘することが主目的です。世界の第一線の人々が「サイトカインストームの謎を解明しよう」と努力しているところですから、外にいる私が口を挟むまでもないようです。
> 自然免疫系の応答過剰を緩和する方策
それは最も正統的な考え方のひとつなので、その方針での薬剤開発もすでに多大になされているはずです。「誰もが考える方針」ですから、外から口を挟むまでもなさそうです。
スパコン利用の薬剤開発のうちの一部も、たぶんこの方針でなされているはずです。
──
マスクによって自分自身を感染から免れるようにする効果もある……という点については、私も言及の必要を感じていました。そのうち書く予定です。
──
参考記事は、ありがとうございました。その翌日分の記事が興味深い。
https://hagukumuinochi.seesaa.net/article/474329814.html
この手の画像はテレビで見たことがあって、こういう画像がほしいな、と思っていたところでした。うまく画像を見つけたので、そのうち紹介する予定です。
記事中で紹介されていた下記ブログ、大変参考になります。
http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/
日本中で毎日250人が肺炎(インフルや誤嚥性を除く)で無くなっているという事実が忘れられるのは、新型コロナの伝染性の高さ故なのかどうか疑問ではあります。
この記事の推定感染者対発症率が5%が近似的であるとすると、逆算して推定感染者は8万人、現時点での感染有症状者4000人、重症者を発表の3倍の300人としても重症化率は0.38%、死亡者約100人で致死率は0.13%となり、インフルの0.1%に近いということになります。
https://nbviewer.jupyter.org/github/personal-hm2/coronavirus_model/blob/master/Corona.ipynb
この試算はどうなのでしょうかね。
それと、「誰もが考える方針」のハズの自然免疫系の応答過剰を緩和する方策は、小生の見聞する限り限りなく少ない・・・・
シクレソニドやクロロキンやBGCの効果の可能性も、「抗ウイルス」作用一点張りのような。
インフルエンザでもそうですが、コロナでも感染初期から中期までの間に「自然免疫系の応答過剰を緩和する」要因をもった感染者が、無症状あるいは軽症で治癒しているのだと推測できます。
「自然免疫系の応答過剰を緩和する」方策として、トンデモ系とされそうですが、「瀉血療法」や非特異的免疫療法としての物理療法(例えばお灸や発熱物質療法など)試されても良いかも。
(インフルエンザには効果があるように思っていますが、無理でしょうかね)。
やった方がいいとはわかっていても、やり方がわからないのかも。
外部の人が「やれ」と言っても、「やりたいと思っているんだけど、やり方がわからないんだよ」と釈明されそうだ。
──
念のために漢方の情報を探したら、
> 肺炎には「小柴胡湯」
という情報を得た。それなりに効果があるらしい。コロナについてもちょっと有望だ。
https://www.recruit-dc.co.jp/contents_feature/nokampo/
抗菌剤が無かった時代、各種の発熱物質(例えばマラリア原虫の抽出物)を使った発熱療法というのが各種の感染症に試されていたようです(限定的なな効果はあったらしい)。
発熱療法は今でも試みられるべきアプローチと思われますが、肺炎の重症者への試行は無理っぽいですね。
>> 肺炎には「小柴胡湯」
>という情報を得た。それなりに効果があるらしい。コロナについてもちょっと有望だ。
⇒ 興味深いことですが、逆に、小柴胡湯が「間質性肺炎」を引き起こすという事例が1989年に初めて?報告され、1990年代前半に死亡例が多発して問題になったようです(下のリンクの報告は一例)。
インターフェロン(サイトカインの一種)との併用が禁忌であるようで、これも自己免疫応答が関係していると推測されますが、管理人さんの言われるとおり、このへんは専門家にまかせたいと思います。しかし、間質性肺炎自体が今回のウイルス性肺炎の特徴的な形態のようですし、このへんのところの分析が進めば、新薬開発のヒントになるかもしれません。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed1982/47/1/47_1_1/_pdf
新型コロナウイルスの細胞侵入路は、肺ではU型肺胞上皮細胞の表面に存在するACE2という受容体です。
つまり、新型コロナ肺炎は、組織幹細胞として肺胞上皮の維持や傷害後の肺胞再生に働いている「II 型肺胞上皮細胞」内に侵入するため、その感染細胞が自然免疫系=サイトカインの攻撃のターゲットになっている=間質の炎症像を呈する、ですね。
まあU型肺胞細胞は、肺胞表面の95%を占めるガス交換を担うT型肺胞細胞を支える傘の骨みたいな存在ですね。
自己免疫応答は、獲得免疫系の応答ですからここで生じている自然免疫系の応答であるウイルス性炎症像とは直接は関係ないかと。
小柴胡湯と「間質性肺炎」の関係は興味深い現象ですね。
東京都の感染者数の本日データの話。
https://datastudio.google.com/reporting/c4e0fe88-f72e-464e-a3b8-5e4e591c238d/page/ultJB?s=oA3tV-uQzaE¶ms=%7B%22df4%22:%22include%25EE%2580%25800%25EE%2580%2580IN%25EE%2580%2580%25E6%259D%25B1%25E4%25BA%25AC%25E9%2583%25BD%22%7D
こんな作為的なデータをよく信じられますね。
ちなみに、ロックダウンの効果ですが、UKでも武漢でもロックダウンによりR0が減少しているというデータはあります。
UKロックダウン後R0 = 0.37 〜 0.89
武漢ロックダウン前R0 = max 3.86
武漢ロックダウン後R0 = 0.32 〜 1.58
Preliminary study finds UK lockdown is slowing spread of COVID-19
https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-britain-spread/preliminary-study-finds-uk-lockdown-is-slowing-spread-of-covid-19-idUSKBN21J56W
【図解】R0(基本再生産数)とは? 感染症疫学用語の基礎知識
https://www.afpbb.com/articles/-/3276018
ロックダウンの経済的影響を心配していますが、その前に感染拡大による経済的影響の方が大きくなりますよ。
Google 翻訳によると、
> 科学者たちはオンライン調査を使用して、英国の1,300人に前日の連絡先をリストするように依頼しました。そして、連絡先の平均数は現在、ロックダウン前よりも70%以上少なくなっています。
何で連絡先の減少が感染者数の減少を意味するんだ? 意味不明。人々が引きこもりになっただけだと思えるんだが。
> 下記の記事よく出来ています。
Posted by 管理人 at 2020年04月08日 12:38
> 参考記事は、ありがとうございました。その翌日分の記事が興味深い。
⇒ お二人が言われるとおり、この「命を育む医療 U」のブログは大変わかりやすくて参考になりますね。記載内容からすると、昔から言われている「適度に高い湿度がよい」「必要に応じて加湿器も使用すべき」というのは、前に管理人さんも言われていたとおり、鼻・のど・気道を乾き過ぎないようにして免疫を高めるためだけのものですね。守るべき優先順位を間違えないようにしたいです。
自分なりに解釈すると、一般家庭でウイルスが持ち込まれている可能性の低い場所は、適度な高湿度かつ高温に保つ、公共の場所(屋内)は、できる限り低湿度かつ高温に保つ、になるでしょうか。端的にまとめると、安全圈は免疫重視、警戒圈は防疫重視ですね。
感染者の咳による飛沫は約2m。誰が感染者か分からない。だから他人とは常に2mの距離を保て! 人との接触を80%以上減らせ! 私は、コロナウィルス1粒たりとも吸わない、触れない。皆これを目標にしているかのごとく、血走ってきています。それに沿っていない人は指弾されます。それは、これからもっとひどくなるでしょう。
コメントにあったように、咳だけではなく呼吸からもウィルスは出ます。都内の人混みでは、空気中にウィルスが常に浮遊する状態で、どのような対処をしてもウィルスを1粒たりとも吸わない、触れないと言うのは現実を無視した空論のように思います。
様々なウィルスは自然界にいくらでもいます。人間は日頃それを吸います。でもなんともないのは、それらと共生しているか、あるいは無害化しているからです。いくらかは吸いこんでも病気にならない身体にすることが大事です。つまり体内で人為的に撃退することと、自己免疫を強化して無害化することです。
発症までの3、4日の潜伏期にウィルスは何をしているのでしょうか。まさか遊んでいるわけではないでしょう。ごく僅かのウィルスが重篤な病気を発症させるまでに増殖するのでしょう。ある場所で満杯まで増殖して、肺にこぼれ落ちる。治療薬のない現時点では、免疫力の落ちた老人はウィルスが肺に入ってそこで増殖が始まれば大体それで終わりでしょう。
ではそのある場所、つまり最初に増殖する場所とはどこでしょうか。どこから肺に落ちるのでしょうか。論理的に考えればすぐわかります。喉(咽頭)でしょう。昼間、咽頭で増殖を始めても3度の食事で大量の固形物や飲み物と一緒に胃に落ちるから増殖は失敗する。つまり夜間に増殖して、その一部が気管支に入り肺に入るだろうことが論理的に帰結されます。
だから夜にうがいでウィルスを殺し、あとは水を飲んで胃に流す。これで防衛はかなりできるように思います。
http://plaza.umin.ac.jp/~infepi/hnishiura.htm
そこにないんだから、公開する気はないんでしょう。もともとゴミ研究だから、読む価値もないけれど。
http://openblog.seesaa.net/article/474405928.html
──
参考。別の研究。
https://mainichi.jp/articles/20200407/k00/00m/040/269000c
これは悪評だらけ。
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/mainichi.jp/articles/20200407/k00/00m/040/269000c
無効どころか有害になりかねないですね。
日本の財務省は他国と違って、カネを出そうとしませんし。
生活苦、金銭苦による自殺者数が、covid19による死者数を大きく上回ったら、安倍と財務省が日本国民を死に追いやったということになりますね。
これならまだ何もしないほうがマシですね。
単に、都市封鎖の効果が現れるのにタイムラグがあるというだけでは?
タイムラグがあるのなら、イタリア・ドイツと、米国・フランスに差が付くことが説明できません。
また、タイムラグはせいぜい潜伏期間である 10〜14日ですが、実際には1カ月かそれ以上の遅れがあります。(都市封鎖の開始から、急増の鈍化が起こるまでの期間。)つまり、その差はタイムラグではない。
これは都市封鎖が理由でなく、時間が解決したという事でしょうか?
都市封鎖どこの国もマスクを除けば日本以上の対策をしているので、
都市封鎖をしても変わらないのか、都市封鎖をしたからそのレベルで
落ち着いたのかはわかりません。なぜガウス関数通りになるのか?
集団免疫をつけたという事でしょうか?
やはりむしろBCG接種すると発生率も死亡率も1/10になる、という研究の方が
理論的に思います。
https://ikai-ontology.com/アメリカの研究者『bcg摂取義務有無で新型コロナ/
明確に違いがあります。
https://www.mnhrl.com/mortality(covid19)-bcgvaccinationpolicies-2020-4-1/
もともと肺炎にBCGが効果あるという研究もあるので不思議ではありません。
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/237265.html
どこまで効果が持続するのか諸説あり不明ですが。
> ガウス関数通りになる
初期のあと、中期までは「都市封鎖あり」「マスクなし」だから、何の抑止効果もないまま、単純に増加します。私の言っている通りの結果。
途中(後期)で「マスクあり」に転じると、以後では増加が抑制されますが、対数グラフだと、その変動が小さすぎて、見えません。実数グラフだと、マスクの効果の変動が見えます。
封鎖対象にミラノやヴェネツィアといった大都市を追加したのが3月7日で、その2週間後から減少傾向です。
接触感染の機会を減らすと言う意味で、都市封鎖にもある程度の効果はあったのではないでしょうか。
米国人はこの1週間ぐらいで急にマスクをするようになりました。たとえばこれ。(最新記事。ただし時差あり。)
https://www.nytimes.com/2020/04/08/well/live/coronavirus-face-mask-mistakes.html
潜伏期を考えると、都市封鎖とマスクのどちらが大きな影響をもたらしたのか、難しくなりますね。
都市封鎖もいくらかは効果があったと見なすべきか。……この件、次項で再考する予定。
翌々日の項目で内容を修正しました、というような話。