2020年04月06日

◆ 緊急事態宣言の評価

 緊急事態宣言がなされることが決まった。これをどう評価するか? 

 ──

 概要


 話がかなり長くなるので、初めに概要を述べておく。
 私の見解はこうだ。
 「緊急事態宣言は、それなりに効果はある。だが、今回は特に必要性が薄いし、また、やっていることが見当違いだ。どうせやるなら、こんな大げさで効果の少ないことをやるよりは、マスクの義務化や、アビガンの解禁をやる方がずっといい」

 以下では詳しく述べよう。

 政府の方針


 政府は緊急事態宣言をすることを決めた。
 安倍晋三首相は6日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を7日にも東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に出す意向を明らかにした。期間は1カ月後の5月6日までをめどとする。
 首相はまた、「都市封鎖を行うことはない、する必要もない」とも述べた。外出自粛などに罰則を設ける海外の「ロックダウン」(都市封鎖)と、緊急事態宣言を同一視し、誤解する人もいるためで、公共交通機関の運行や食料品店の営業などの経済社会活動は可能な限り維持するとした。
 感染拡大防止に必要な措置を実際に講じるのは、対象区域の都道府県知事だ。住民への不要不急の外出の自粛要請や、学校や劇場、百貨店、体育館といった施設の使用停止、イベントの開催制限の要請・指示など私権の制限を伴う措置がとれる。食品や医薬品、衛生用品、燃料など厚生労働相が定める生活必需品の売り場は営業できる。要請や指示に違反しても罰則はないが、法律に基づく自粛要請となり、心理的な影響は強くなるとみられる。
( → 7日に緊急事態宣言、1都6府県に約1カ月 首相表明:朝日新聞

 政府がこのような方針を取ったことの理由は、「感染爆発を防ぐため」であるようだ。
 安倍首相は、「爆発的感染拡大を防ぐには十分な国民の協力が必要。可能な限り外出自粛に協力をお願いする」と語った。
( → 安倍首相、7都府県に1カ月間の緊急事態宣言を表明 108兆円規模の経済対策も | ニューズウィーク日本版

 東京都の小池百合子知事は、記者会見で新型コロナウイルスについて「感染爆発の重大局面だ」として、週末は当面の間、不要不急の外出を控えるよう求めました。
( → 池上彰氏が解説「緊急事態宣言が出ても“罰則はない”理由」 | 文春オンライン

 なるほど、感染爆発が起こりつつあるのであれば、それを予防するために、強力な措置を取ることは是非とも必要だろう。岩田教授などが「ロックダウンをせよ」と(無理難題を)主張するのも、同様の理由だ。前々項で述べた通り。
 → 東京都の感染急増 2: Open ブログ の (2)

 感染爆発の有無


 では、感染爆発が起こりつつあるのか? これについては、前々項で否定的に評価した。
 → 東京都の感染急増 2: Open ブログ の (5)

 そこでは二つのグラフを示したが、さらに2日後の本日のグラフを掲載しよう。

 まずは東京都のグラフだ。灰色
   ( グラフは、累計ではなく、1日ごとの新規感染者数。
   3本の灰色水平線は、50人、100人、150人 のこと。)



tokyo-corona2.png
出典:都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト

   《 以下、取り消し 》


 前々項で述べたことがいっそう顕著になっている。つまり、ここでは「直線的な増加」だけがあって、「指数的な増加」は起こっていない。
 これは、「二次感染が拡大している」ことを意味せず、「一次感染が拡大しているだけだ」ということを意味している。その理由は、「海外からの流入」であると推定される。
 また、別のデータでは、感染倍率が1ぐらいのままであるということからしても、やはり「指数的な増加はない」「二次感染が拡大している」ということを裏付ける。
 つまり、東京では「感染爆発」などは起こっていないのだ。したがって、二次感染を阻止するための緊急事態宣言はまったくの見当違いであり、やるべきことは一次感染を防ぐこと(「海外からの流入」を規制することだ)とわかる。ただしこれはいちおう実現済みである。4月3日からだが。(前々項で述べた通り。)


 【 訂正 】
 コメント欄で指摘されたが、日ごとの増加が直線的になるということは、増加が二次曲線になるということだ。これは指数的な増加と区別しにくい。ゆえに、東京でも指数的な増加が起こりつつあると見なせる。……そう考えるのが正しいようだ。ゆえに、上の記述は取り消します。
 ( ※ ただし、二次感染の増加が明白に起こっているかどうかは、まだわからない。海外の流入分だけでも、逐次的な増加は起こりうるからだ。海外での増加が指数的な増加であったことの影響を受ければ、それだけで指数的な増加が起こりうる。……現実には、「二次感染の増加もいくらかは起こっている」と見なすべきでありそうだ。グラフほどではないにせよ。)


 ──

 さらに、全国データを見よう。


corona-week2.png
出典:都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ


 東京でなく全国データを見ると、感染者数は増加するどころか減少する傾向にあるとわかる。最後の日の分は、未確定だから除外するとしても、1日前のデータで、明らかに大幅減少となっている。
 これは週末のせいで一時的に減少しているだけかもしれないが、それでもここ1週間の数値を見る限り、「指数的な急増」からは程遠いとわかる。
 要するに、全国規模で見ても、感染爆発などはまったく起こっていない。感染倍率も1を大きく上回っているとは言えない。(ロックダウンをしている海外諸国とは、雲泥の差がある。)

 以上のことからして、次のように結論できる。
 「現状は、ロックダウンをする必要性などは、さらさらない。(それより弱い)緊急事態宣言をする必要性も、ほとんどない」


 ただし、必要性はほとんどないとしても、「やるべきではない」とまでは結論できない。グラフからわかるのは、「やるべき必要性は薄い」ということだけだ。
 それ以上の評価を考えるには、グラフとは別の視点で考える必要がある。

 効果


 緊急事態宣言をすれば、それは効果があるか? つまり、それは市民によってきちんと守られるか? 
 冒頭の記事では、次の言葉がある。
  ・ 住民への不要不急の外出の自粛要請
  ・ 学校や劇場、百貨店、体育館といった施設の使用停止、イベントの開催制限の要請・指示


 後者については、企業や団体への要請・指示なので、かなり強く守られそうだ。社会的責任を言われたら、守らざるを得ないだろう。

 前者については、個人レベルでの要請・指示だが、すでにこれは実施済みだ。(外出の自粛を小池知事が要請済みだ。)となると、今さら緊急事態宣言をしても、「屋上屋を架する」というふうになるので、効果の積み増しは限定的だろう。
 そもそもすでに、都心の繁華街では人出が激減している。(前々項のコメント欄で紹介したとおり。)
 東京都などが外出自粛を求めた週末が2度目を迎えた4日朝。天候に恵まれた休日にもかかわらず、銀座や渋谷、池袋など都心繁華街の人影はまばらだった。
 飲食店やブランド店が軒並み休業した銀座は、大通りに面した百貨店などのシャッターが目立つ。先週末は営業時間を短縮して開店した銀座三越も、今週末4、5日は臨時休業に。
( → 「45年住んで初めて」 自粛、銀座も天神も人影消える:朝日新聞

 この春、都心の歓楽街からにぎわいが消えた。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、自治体のトップが次々と夜間営業の飲食店への出入り自粛を要請。このままでは、店を閉じるしかない――。閑散とした街で、多くの店が休業に追い込まれている。
 駅周辺に約2900軒の飲食店がひしめき合う東京・新橋。いつもなら、歓迎会に繰り出した会社員らが路上にあふれる時期だが、4月最初の金曜日となった3日夜、駅前のSL広場もひっそりとしていた。
( → こんな寂しい新橋初めて…休業の波「コロナが憎いよ」:朝日新聞

 それでも、一部地域では、賑わいがあったそうだ。
  → 総自粛のなか、縁日強行の巣鴨商店街に批判殺到「若者だけ自粛すればいい」

 巣鴨では高齢者を中心に、大幅な人出があったそうだ。普段よりは大幅に少なくなっている(半減している)とはいえ、それでも多くの人出があったようだ。
 こういう人々には、「緊急事態宣言」が効果を持つだろうか? いや、そのくらいでは、今さら効果は変わるまい。
 ちなみに、イタリアでは、もっと強力な「外出禁止令」が出されていて、証明書なしだと罰金になるのだが、それでも外出する人がが多いそうだ。
 《 イタリア国民、警戒緩んだ? 買い物客、ごった返す 外出禁止、取り締まり強化 》
 新型コロナウイルスの感染者数について国の研究機関が3月末に「ピークに達した」としたイタリアで、外出禁止令を守らないといった国民の「緩み」が指摘されている。政府は「規則を守り続けないと逆戻りだ」と感染が再び拡大することへの警戒を呼びかけ、警察も取り締まりを強化し始めた。
 同国メディアによると、南部ナポリの商店街は週末を控えた3日、買い物に来た人で混雑した。多くの人がマスクをしているが、1メートル以上の間隔を空けずに道端で談笑したり、店の前に集まったり。
( → 朝日新聞

 というわけで、緊急事態宣言をしても、それは特に効果があるとは言えそうにない。外出自粛をする人は、すでにしているし、しない人は、今後もしないだろう。どっちみち、ただの要請であるにすぎない。はっきりとした効果は望めそうにない。
( ※ 「政府は何かをやっています」というポーズぐらいの意味しかなさそうだ。市民向けには。)
( ※ ただし、企業向けには、閉店の強要などの効果がありそうだ。……といっても、もともと客が激減しているところが多いので、今さらだが。)
 

 弊害


 効果があやふやである一方で、弊害ははっきりとある。それは、経済活動の停滞・縮小という弊害だ。
  ・ 企業の収益悪化、倒産
  ・ 個人の減収、失業

 これらの弊害ははっきりとある。大半の人は、正社員としてこようが安定しているので、「自分は別に損しない」と楽観しているのだろう。しかし、すでに1カ月前から「イベント自粛」で減収になっている芸人たちは悲鳴を上げているし、飲食店の個人事業者も悲鳴を上げている。(上記の朝日新聞記事では、銀座・新橋の例が示されている。)
 ここでは、緊急事態宣言の前から「外出の自粛」がすでに大きな効果を上げていたが、同時に、「関係業界の減収」という弊害も大きく生じていた。
 今後は、それと同様のことが他の業種でも起こるかもしれない。特に、「ロックダウン」に近い状況になったりすれば、多大な産業が大幅な影響を受けるだろう。
 その弊害たるや、「大不況」とされたバブル破裂期をさらに上回るほどの、大きな弊害となりかねない。
 しかも今回は、バブル破裂という不可避的な経済現象(バブル膨張後には不可避であるから)として起こるのではない。人為的な政策ミスで起こるのだ。つまり、「実施しなくてもいい緊急事態宣言を、政府が間違って(勘違いして)実施してしまったから」という理由で起こるのだ。
 比喩的に言えば、「敵が攻めてくる」と勝手に妄想したせいで、核ミサイルのボタンを押してしまって、そのせいで核戦争が起こって、人類が滅亡する……というようなものだ。ありもしないコロナの陰に怯えて、勘違いして「緊急事態宣言」のボタンを押してしまったので、あえてバブル破裂のような大損害を自ら引き起こすわけだ。
 それによる死者数は、ひょっとしたら、累計で 10万人ぐらいになるかもしれない。これは、新型コロナによる死者数よりも、はるかに大きな数字だろう。

 過去の事例では、1998年から 2015年までの自殺者数が多くなっているが、これは不況ゆえによるものだと推定されている。
  → 1990年代後半:戦後最大の自殺者数の急増( Wikipedia )


jisatu.png
出典:朝日新聞

 
 このような自殺者増を懸念するのは、私だけでなく、多くのエコノミストが同様の懸念を持っているようだ。
  → 経済不況で自殺が増加する:コロナウィルス経済対策の重要性
  → 新型コロナ、もう1つの闘い 自殺者を増やさない経済対策を
  → 深まる経済危機 コロナ感染死者の10倍の自殺者が出る恐れも

 ──

 ついでだが、緊急事態宣言には、不況(倒産・失業・所得減)とは別の弊害もある。それは、「買い占め」だ。
 すでに、カップ麺や、米や、スパゲッティなどが店頭から消えかけている。
 トイレットペーパーは、一時的には状況が緩和したのだが、緊急事態宣言が噂されるようになると、状況はふたたび逼迫した。昨日、今日あたりでは、トイレットペーパーの棚がスッカラカンになっている。価格は異常とも言えるほどにも高価格になっている。(以前の2倍ぐらいの額になっている。)
 都市封鎖に近い状態になると、こういう買い占めによる品物不足は、いっそうひどいことになりそうだ。

 予想


 今後の予想はどうか? 
 まず、感染者数だが、4月3日から(強い)入国規制が実施された。
  → 東京都の感染急増 2: Open ブログ の (8)

 この効果は、潜伏期のあとで生じる。では、潜伏期はどのくらいか? 京都産業大の例を見る、卒業懇親会の出席から発症までの期間がわかる。これから推定すると、潜伏期は 10〜14日であるようだ。4月3日から、10〜14日後というと、4月13日〜4月17日となる。このころよりあとになって、入国規制の効果が出る。それまでは、現状通りで、直線的な増加が続くだろう。これまでは、おおむね「 10日で 100人」の増加であったから、
   「4月13日(200人)〜4月17日(250人)」
 ぐらいが推定値となる。このあたりをピークとして、以後は減少していきそうだ。(入国規制の効果のせいで。)
 これにプラスして、「マスク使用」と「外出自粛」による「二次感染の縮小」という効果も出そうだ。となると、
   「4月13日(200人弱)〜4月17日(250人弱)」
 ぐらいが推定値となる。(1日あたりの新規発生数が。)

 以上に基づくとしたら、緊急事態宣言はいつごろ解除するべきか? 
 (4月7日から1週間後の)14日では、ピークを少し越えかかったという程度であるから、減少の傾向はまだ判明しないだろう。
 その後に、減少の効果が少しずつ見られて、(4月7日から2週間後の)4月21日ごろには、ピークを越えて減少の傾向がはっきり理解できるだろう。となると、20日(月曜)には鈍化を確定させたあとで、21日には解除する、というのが最も妥当な判断となりそうだ。

 以上は、「減少がいつごろから起こるか」と予想に基づく判断だ。その予想が当たるかどうかは何とも言えない。(私は未来をきちんと見通せる超能力者ではないからだ。) それでも、手持ちのデータから推理して、私としては以上のように予想しておこう。

 ※ 予想というものは、はずれることもあるので、あらかじめお断りしておきます。(予想が百発百中なら、私は今ごろ万馬券を持っているよ。)

 評価


 結論としては、緊急事態宣言をどう評価するか? 
 これがまったく無効だということはない。「感染倍率を下げる」「二次感染を減らす」という効果は、いくらかはあるだろう。
 そのことは、感染倍率が2ぐらいであるときには絶対的に必要だが、感染倍率が1ぐらいであるときには必要性は薄い。とはいえ、感染倍率を1から 0.7 ぐらいまで引き下げる効果があるとしたら、それはそれで有効だとは言える。
 ただし、それなりに有効だとしても、弊害も大きい。つまり、「小さな効果はあるが、大きな副作用もある薬」を服用するかどうか、という問題だ。

 比喩的に言えば、こんな感じ。
 「この薬を飲んでも飲まなくても、命には関わりありません。ただし薬を飲めば、入院の期間が大幅に縮まるので、人生が長くなったのと同じ効果が見込めます。けれども、副作用も大きくて、筋力が大幅に低下するので、今後は健康な人生を送れなくなります」
 効果もあるが副作用も大きい、という薬は、なるべくなら服用したくないものだ。

 他の代案


 では、他に代案はないのか? 副作用が少なくて、大きな効果が見込めるという案はないものか? ある。それを示そう。

 (1) 入国規制の強化

 最重要のことは、入国規制の強化だ。つまり、一次感染を減らすことだ。ただしこれは、4月3日からすでに部分的に実施済みだ。
 ただし、ここでは「陰性者には自宅待機の要請」となっているので、陰性者から二次感染が生じる危険がある。穴をふさいだつもりだったが、穴はきちんとふさがれていない。そこで、穴をきちんとふさぐといい。こうだ。
 「陰性者には自宅待機の要請」から、「陰性者には自宅待機の命令」にレベル・アップする。これは政令や条例で実施する。このあとで、次の措置を取る。
 「自宅待機の命令にそむいた陰性者は、逮捕して、勾留する」
 ここでは、罰金刑や禁固刑に処するのではなく、勾留だけをする。ただし、次の措置を取る。
 「これらの違反者は、多数をまとめて、同じ部屋に入れる」(相部屋にする)
 すると、どうなるか? 新型コロナに感染している可能性の高い陰性者が、まとめていっしょに同じ部屋で過ごす。当然、感染の確率は著しく高まる。それまでは「オレは陰性だから、感染していないんだ。だから勝手に動き回るぞ」と思っていたが、そういう人が一緒にひとまとめにされて相部屋で過ごす。このとき、新型コロナに感染していなかった人も、勾留された部屋で感染してしまいそうだ。……つまり、「自宅待機命令にそむいた人」は、「新型コロナに感染する」という罰を受けることになる。これぞ、効果てきめんな罰だろう。
 しかも、法律的には、罰金や禁固ですらない、ただの「勾留」だけである。非常に軽い罰(罰とも言えない罰)を科するだけだから、法律的には何の問題もないことになる。

 ※ これだけ厳しいお灸を用意しておけば、「自宅待機命令にそむこう」と思う人はいなくなるだろう。
 ※ なお、検査能力の大幅な拡充も必要だ。

 
 (2) マスクの義務化

 新規の措置として、「マスクの義務化」をするといい。
 実は、今は多くの人がマスクをしているし、テレビでも国会議員や政府閣僚がみんなマスクをしているが、そうなったのは、3月31日からである。

 3月30日の時点では、小池都知事も西浦教授も、マスクなしで記者会見をしている。下記画像でわかる。
  → 新型コロナは 会食が危険: Open ブログ

 ところが3月31日になると、一転して、首相も、専門家会議の人も、誰もがマスクをするようになった。大転換だ。下記画像でわかる。
  → マスクの話題 1 (コロナ): Open ブログ(4月01日)

 この大転換が説明もなしに行われたという点については、上記項目で批判した。
 ちなみに、専門家会議は、昨日の会見では全員がマスクをしている。
 これには、二つの点で呆れたね。
  ・ 今回はマスクをしたが、マスクの必要性を言わないこと。
  ・ 今まではずっとマスクしないで会議・会見していたこと。

 マスクの必要性を言わないで、「マスクをしない」から「マスクをする」に転じたわけだ。説明責任をまったく果たしていない。
( → マスクの話題 1 (コロナ): Open ブログ

 要するに、政府の人々がいっせいにマスクをするようになったのは、ほんの一週間ほど前のことに過ぎないのだ。
 しかも、現時点ですら、「マスクの義務化」どころか「マスクの推奨」さえも不十分だ。専門家会議は相も変わらず「三つの密」なんていうダジャレを言っているだけで、「マスクをしろ」とは強く言わない。(ダジャレふうの標語の欄外で、ついでに付言しているだけだ。)

 ただし、専門家会議は別として、文科相は方針を少し改めたようだ。
 文部科学省は3月下旬に学校再開に向けたガイドラインを公表した。「換気の悪い密閉空間」「人の密集」「近距離での会話」の3条件が重なる場の徹底的回避のほか、換気やマスク着用、感染者や濃厚接触者に特定された児童生徒の出席停止を求めた。
( → 異例ずくめ、苦悩の新学期 校庭ぐるり、顔合わせ・式のため登校「大丈夫か」:朝日新聞

 ここでは、「換気の悪い密閉空間」「人の密集」「近距離での会話」という用語を使っているので、「三つの密」という意味不明なダジャレを使うことはやめている。(会話という適切な用語を用いている。)
 また、マスク着用も同時に重視している。(マスクについてはほとんど言及しない専門家会議とは大幅に異なる。)

 ただ、文科省がまともになったからといって、それで済むわけではない。専門家会議はいまだにマスクを軽視したままだし、政府は(将来の)布マスク2枚の配給で、事を済まそうとしている。
 しかし私は提言しよう。
 「今すぐマスクの義務化を実施せよ。マスクなしで外出することを禁止せよ。違反者には強力な罰金刑とする」

 ちなみに、イタリアでは、「マスクの義務化」はすでに実現している。
 感染者の約4割を占める北部ロンバルディア州では、通勤などで外出する人が思うように減っていない。フォンターナ知事は5日から、外出する際にマスクの着用を義務づけた。ただ、マスクが入手しづらい状況が続いており、ショールなどで鼻と口を覆うことも認めた。
( → 朝日新聞

 市販のマスクがなくても、手作りの布マスクでもいいし、紙マスクでもいい。あるいはタオルやショールでもいい。こういう形で、マスクの義務化を実施するべきだ。これが二次感染の縮小に大きな効果を発揮するだろう。「外出自粛の要請」なんかよりは、ずっと大きな効果を持つはずだ。しかも、その副作用は小さい。(義務づけられた人々の苦痛はとても小さい。)
 
 (3) アビガンの解禁

 アビガンをいつまでも「限定的な使用のみ」(一般での使用は禁止)という常用にするのをやめて、感染症指定病院ではどこでも使えるようにするべきだ。感染症指定病院に限定すれば、野放図な濫用は防げるはずだ。無制限な解禁にしろとは言わないが、感染症指定病院での使用はすべて認めるべきだ。
 また、それに準じる大型病院(中等症や軽症の患者を受け入れる病院)でも、どこでも使えるようにするべきだ。これによって、軽症者の悪化を阻止できるはずだ。
 いずれにせよ、一般の小病院での使用は、規制されたままとなる。
 現在の制度では、「一般の小病院での使用」を認めるために、きわめて厳密な治験がなされている。しかし、それをやめるべきだ。「大病院での使用」だけを許可することにして、その分、事前の治験を緩和するべきだ。
 アビガンはすでに「インフルエンザ用」としては治験が済んでいる。そういう薬の「適応外使用」を認めるためにだけ、長い時間をかけるのは、馬鹿げている。さっさと利用を許可するべきだ。そうすれば、「緊急事態宣言」なんていう弊害の大きな施策よりも、もっと大きな効果を出すことができそうだ。

 ※ アビガンを使えるようにせよ、という話は、前にも書いた。
    → アビガンの話題: Open ブログ

 《 加筆 》
 アビガンの治験では、「希望者全員への投与」を実施するべきだ。ただし当面は、中等症と重症者に限定する。
 限定する理由は「副作用を心配しなくていい」ということだ。ここで副作用を心配すると、「副作用を心配したせいで、命を落とす」というふうになりかねない。「副作用はありませんでした、患者は死にました」というわけだ。これでは本末転倒だろう。(ほとんどジョークレベルの愚策だ。)
 ここで、「希望者のみ」というふうに限定することで、「薬の使用者/非使用者」という対比試験が自動的にできることになる。それも、大規模に。だから、「希望者全員への投与」を実施すればいいのだ。

 なお、これは「二重盲検法」ではないが、別に構わない。アビガンが効くかどうかについては、プラセボ効果はないと考えていいからだ。(ウイルスにプラセボ効果なんて、あるはずがない。)
 それでもあくまで「二重盲検法」にこだわる人もいるかもしれない。こういう人々は、アビガンの治験拡大に反対する人々(厚労省や専門家会議の人々)と、同罪だ。これらの人々は、(感染したあとでも)アビガンをもらえないまま、重症化して、感染死すればいい。アビガンをもらえないのは、自業自得というものだ。「希望者全員への投与」に賛成してこなかったのだから、自説に殉じて死ねばいい。死んでも本望というものだろう。

 ※ 「中等症と重症者に限定する」と述べたが、高齢者や基礎疾患患者については、軽症者も対象とするべきだろう。(急激に悪化して)死ぬ危険が高いので。

 ※ 報道によると、治験は6月末まで続くそうだ。それまで、一般の人々には投与されないことになる。みすみす死なされるわけだ。かわいそうに。
  → 富士フイルム、新型コロナに対する「アビガン」の治験の詳細が明らかに



 【 追記 】
 東京の増加が指数的であると訂正したのにともなって、本文中の記述もいくらか訂正する必要がありそうですが、当面は、そのまま残しておきます。

posted by 管理人 at 23:58| Comment(9) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>直線的な増加

ふつう直線的な増加と言ったら、累計数の増加で見ませんか?
日ごとの増加数の増加が完全に直線的に増えている場合、それは二次関数的増加であって、指数グラフとは定義的に異なりますが、実際には近似的な曲線を描くので見分けがつきません。
仮にこれを直線的増加というなら、イタリアだってアメリカだって直線的な増加でしょう。
世界のどこでだって感染爆発は生じていないことになる。
管理人さんが引用されているサイトの対数グラフでも日本はイタリアやアメリカと同様、殆ど指数的な傾向を示しています。(各国の対数グラフ(logarithmic)参照)
https://www.worldometers.info/coronavirus/country/japan/
https://www.worldometers.info/coronavirus/country/italy/
https://www.worldometers.info/coronavirus/country/us/

まあ、私も現状日本に緊急事態宣言が必要とは思いませんが。
Posted by PF at 2020年04月07日 07:32
 ご指摘ありがとうございます。たしかに、おっしゃる通り。

 本文中の該当箇所に 【 訂正 】 を加筆しておきました。
 本項の最後に 【 追記 】 を加筆しておきました。
Posted by 管理人 at 2020年04月07日 07:57
数学者でもある管理人さんに間違い指摘するのが恐れ多いですから PFさん 偉いな 管理人さんも素直なんですね 
  
 ウイルス自体の怖さより この現象、事象の意識への刻印のなされ方 社会的変異もですが より注視したいですね 警鐘 乱打
Posted by k at 2020年04月07日 09:50
御対応深謝します。
kさんもありがとうございます。

いつも管理人さんのご高説はその主旨に賛同すること、参考にさせていただくこと共に多です。
たまに思いついて書き込みもしますが、反論も指摘もサイトの一助たらんとの意図ですのでご容赦ください。

上コメでリンクした管理人さんご紹介のworldometerのサイト、4月入ってからコロナトップページの各国比較表に検査数(実数及び人口当たり数)の列が追加されました。
ここ最近になって日本の検査数も漸く増えてきたの感がありますが、それでも普通の先進国の10分の1以下で、日本と同程度かそれより少ないのはブラジル、インド、パキスタン、フィリピン、インドネシア…以下略と、見事に途上国(の一部)しかない悲しい状況です。
疑わしい症例自体が少ないため検査数が少ないという希望も捨てきれませんが、どうなんでしょうね。
こういうとき、日ごろの行いがモノを言うというか、これまでの秘匿体質国家ニッポンの輝かしい歴史を見ていると、陰謀論的見方に寄っていってしまいそうになります。
東京都のデータも、検査基準が変わったら実際の感染増加と関わりなく数字増えるし、どうも地面を疑わなければならないというのは、その上を歩く身としてはつらいものがあります。
Posted by PF at 2020年04月07日 13:14
 最後の直前に 《 加筆 》 と追加しました。

 ※ アビガンの治験では、「希望者全員への投与」を実施するべきだ……という話。
Posted by 管理人 at 2020年04月07日 13:53
 ドイツがアビガン調達で大量購入。
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57606530T00C20A4EAF000/


 日本が治験で効果を確認したころには、生産されたアビガンはすべて売約済みになって、もはや購入できなくなっているかも。

 日本政府はアビガン購入を目指しているらしいが、なかなか決まらないので、その間に売却されてしまうかも。
Posted by 管理人 at 2020年04月07日 14:32
海外のグラフはたいてい縦軸が log じゃなかったかな。log で直線。東京は普通に直線
Posted by 佐賀 at 2020年04月07日 16:57
都市封鎖に、何の効果もない―――イタリアの場合で検証
http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52331629.html
イタリアでのコロナウィルス感染の推移は、単一ガウシアンで極めて見事に再現できます。
対数表示すると、その見事さにうっとりします。
累積感染者数が200人以下のごく初期を除き、
3桁にもわたっての変化が、たった一つのガウシアンで、ぴったりと、再現できています。
都市封鎖に絶大な効果があるというなら、一桁くらいに減るべきです。
住民に大きな負担を強いるのですから。
せめて半分になれば。
でも、全く、変化がなかった。
都市封鎖で、感染者が「増えなかった」のは、幸いでした。
感染症の専門家さんたち。WHOさん。
こじつけ理論はいりません。
流行病の抑制に、都市封鎖が効果があるという証拠を見せてください。
Posted by 名無し at 2020年04月07日 18:14
管理人さんは日本が爆発感染していないとする判断をしてますが、都や国の発表するデータにそんな信頼性あるんですかね?
在日アメリカ大使館、日本の新型コロナ検査不足を指摘「有病率を正確に把握するのは困難」
https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashikosuke/20200403-00171373/
全国の相談件数とPCR検査数
https://twitter.com/fxi9ttSrGrL5Hnx/status/1246290290672939009
とても4月中に収まるとは思えませんね。
緊急事態宣言も欧米のような強制力はないですし。
海外メディア、日本の緊急事態宣言は「見せかけ」
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200407/mcb2004071910026-n1.htm
新型コロナウィルスのR0が2であれば、破局は免れないと思います。
「新型コロナウイルス感染症はインフルエンザよりも恐ろしい」理由をムービーで解説
https://gigazine.net/news/20200407-coronavirus-worse-than-the-flu/
緊急事態宣言は「1週間遅い」。WHO上級顧問、日本の対応を批判【新型コロナウイルス】
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e8bdc68c5b6e1d10a689f8d

あと、薬の最新の状況はアビガンではなく、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンなどだそうです。アビガンは中国が出していた論文も撤回されているようですし、エビデンスは少ないです。
日本の緊急事態宣言が遅すぎる理由、コロナ最前線の米医師が戦慄の提言
https://diamond.jp/articles/-/233957
新型コロナウィルス感染のtwitter
https://twitter.com/WGYm8kxfA6DdAo6/status/1247039055457484802
Posted by T at 2020年04月08日 02:04
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