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「五輪を延期するべきだ」と考えている人が多い。世論調査では大幅な過半数となっている。
延期するべきだという考えの前提となるのは、「延期は可能だ」ということだ。だが、本当に可能か? それは考えが甘すぎるというしかない。
人々が「延期すべきだ」というとき、その前提となるのは「延期が可能だ」ということだ。その意味は、「来年の夏には新型コロナは収まっている(少なくとも小康状態である)」ということだ。つまり、問題が一応片付いている、ということだ。しかし、そんな楽観的なシナリオは実現するのか?
あえて言おう。「人々は何も考えていないのだ」と。単に今夏の状態のことを心配しているだけであって、来冬や来夏のことなどは何も考えていないのだ。そして、「時がたてば災難は過ぎ去る」と勝手に楽観しているのだ。
あまりにも考えが甘いと言わざるを得ない。
簡単に言えば、人々は朝三暮四の猿と同じなのである。猿が朝のことしか考えられないように、人々は今夏のことしか考えられない。今夏を乗りきることだけを考えていて、その先のことをまったく考えていない。だから、今夏のことはさんざん心配するくせに、来冬や来夏のことなどはまったく心配していないのだ。そして「来夏には五輪をまともに開催できる」と思い込んでいる。
あまりにも考えが甘いと言わざるを得ない。
──
では、実際には、どうなるか?
うまく行けば、今夏には新型コロナが大流行して、大半の人々が感染して、免疫を付ける。そのことで、来冬の被害を最小化できる。また、来夏の被害も最小化できる。すでに今夏のうちに感染しているのだから、来夏になって新たに感染することはないからだ。……これが最善のシナリオであって、私はこれをお薦めする。
→ 五輪の延期は最悪だ: Open ブログ
夏に感染すれば、最小限の死者を出すことになる。この場合、多数の人々が感染するが、そこで免疫を得るから、次の冬には免疫を得た状態でシーズン入りすることになる。この場合には、(免疫を得ているので)死者は最小限だ。
しかし、現実には、そうなりそうにない。人々は今夏の感染を最小化しようとする。だから、そうなるだろう。
では、その場合には、将来はどうなるか? こうだ。
・ 今夏の被害は最小化する。感染者数は最小だ。
・ 今夏に免疫を付けた人が最小なので、来冬の被害は最大化する。死者も最大だ。
・ 被害が最大なので、世界は大混乱。経済はメチャクチャ。
・ そのまま、来春・来夏に突入するが、状態は地獄だ。
・ 地獄の状態なので、五輪を開催する余裕はない。
・ 死者の喪に服するために、五輪は中止。
これが最もありそうなことだ。比喩的に言えば、東日本大震災があった 2011年に五輪(または別の祝祭)があったとしたら、それは開催されるだろうか? いや、無理だ。地獄のような事件があって、多数の人々が死んでいて、鎮魂が必要なときゆえ、お祭り騒ぎなんかをやれるはずがない。当然、自粛となる。
それと同様だ。莫大な感染死者を出す来冬の地獄状態のあとでは、鎮魂が必要なときゆえ、お祭り騒ぎなんかをやれるはずがない。当然、自粛となる。つまり、五輪は中止だ。
そして、そのことは、「来冬は地獄のようになる」という見通しを得れば、当然の予想なのだ。
にもかかわらず、人々は来冬や来夏の地獄のような惨状について、予想が付かないでいる。あまりにも考えが甘すぎるというしかない。朝三暮四の猿も同然だ。
[ 補足 ]
スペインかぜとの比較を考えよう。スペインかぜの流行状況は、こうだった。
第1波は1918年3月にアメリカのデトロイトやサウスカロライナ州付近などで最初の流行があり、アメリカ軍のヨーロッパ進軍と共に大西洋を渡り、5〜6月にヨーロッパで流行した。
第2波は1918年秋にほぼ世界中で同時に起こり、病原性がさらに強まり重篤な合併症を起こし死者が急増した。
第3波は1919年春から秋にかけて、第2波と同じく世界で流行した。さらに、最初に医師・看護師の感染者が多く医療体制が崩壊してしまったため、感染被害が拡大した。
( → スペインかぜ - Wikipedia )
スペインかぜは、1年目の春夏の被害は少なかったが、そのあとの秋冬に被害が拡大した。さらに2年目の春から秋にかけて、大被害が起こったようだ。
とすれば、今から1年後の世界は、現状よりもひどくなっている可能性が高いのだ。
( ※ 当時はグローバル社会ではなかった分、感染が遅れたせいかもしれないが。しかし、冬に大感染があったあとの2年目の夏だからといって楽観できないことは、十分にわかるだろう。)
[ 付記1 ]
今は都市封鎖の形で、世界の各地が生産停止状態だ。しかし、このような生産停止状態が長続きするはずがない。いつまでもやっていれば、全員が餓死するだけだ。
となれば、いつかは(感染が続いた状態のまま)生産活動を開始せざるを得ない。つまり、都市封鎖を解くしかない。
とすれば、将来的には、「新型コロナと人類とは共存する」という形になるしかないのだ。「新型コロナを制圧しよう」などと思っても、それは不可能なのだから、新型コロナと共存しながら、相手の拡大をなるべく弱めることで妥協するしかないのだ。
当然ながら、感染者や死者は今後もずっと続くことになる。それを受け入れるしかない。
今後は都市封鎖を解いて、感染の拡大をある程度は受け入れながら、人々は生産活動を続けることになる。だとすれば、そのことを理解した上で、被害がいっそう悪化する来年になる前に、今年のうちに、五輪を開催する方が利口だろう。(新型コロナと共存する形で。)
[ 付記2 ]
ただし、実を言うと、新型コロナを制圧する方法はある。それは「社会全体でマスクをすること」だ。実際、日本・タイ・ベトナム・中国・韓国では、その方法で成功した(または成功しつつある)。
しかし、マスクについては、欧米人はどうしてもイヤがる。WHO もマスクの効用を否定する。……こういう状況では、欧米では新型コロナが蔓延するのは不可避だろう。となれば、新型コロナと共存するしかないのだ。(欧米では、ね。)
※ 日本では一応、生活可能だし、制圧できている。
このまま夏に突入すれば、一応の勝利を得る。
※ 参考記事
→ マスクで飛沫感染防止: Open ブログ
→ マスクで医療崩壊の阻止: Open ブログ
[ 付記3 ]
「マスクについては、欧米人はどうしてもイヤがる」
と上に書いたあとで、ニュースを見たら、欧米でも論調が変わりつつあるようだ。
《 フランス政府「マスク不要」論に高まる異論 「アジアを見習え」の声 》
フランスでは一般に「マスクは病人がつけるもの」とされてきた。だが、新型コロナはアジアに比べて欧州での感染拡大の勢いが激しいことから、医療界でもマスクの効用に注目が集まった。
仏紙パリジャンでは医師らが連名で「東南アジアはマスク着用を一般に広げ、外出禁止令なしに感染拡大を押さえた」として、政府の方針見直しを訴える公開書簡を発表。ルモンド紙は、日中韓などアジア各国でマスク着用が奨励されている現状を紹介し、欧州とアジアの格差を報じた。
( → 産経ニュース )
ようやく世界も、マスクの重要性に気づきつつあるようだ。
ただし相も変わらず、日本の専門家会議は気づかない。気づくとしたら、欧米で公式発表が出たあとで、20日後ぐらいだろう。何事も、周回遅れ。
→ 専門家会議の見解(補足): Open ブログ
【 補説 】
日本はマスクをしているから大丈夫かというと、そんなことはない。当面は大丈夫だろうが、来冬には相当数の感染拡大が起こるだろう。例年のインフルエンザ並みの感染者数が見込まれる。
となると、その大量の感染者のうち、重症者をうまく治療できるかどうかが問題だ。見通しは甘くない。肺炎の治療をするための人工呼吸器や集中治療室の数は、とても足りないからだ。そのことは、最近のイタリアを見てもわかる。
困った。どうする? そこで、困ったときの Openブログ。正しい案を出そう。それは、前にも何度も述べたように、こうだ。
「今夏のうちに前もって感染しておく。そのことで免疫を付ける」
→ 五輪の延期は最悪だ: Open ブログ
これは、次のことと等価だ。
「冬のピークを早めて、感染者の一部を今夏に持ってくる」(平準化する)
ここでは、ピークを早めることが大切となる。人々は現在、「ピークを遅らせる」ことばかりを考えている。それは、今春の流行への対策としては正しい。しかし、来冬の流行への対策としては、「ピークを遅らせる」のではなく、「(冬の)ピークを早める」ことが必要なのである。そのことによって、冬のピークを平準化して、治療施設の不足を緩和することができるからだ。
人々は今、「ピークを遅らせる」ことばかりを考えているが、「ピークを早める」という逆転の発想が必要となるのだ。
> それまでには治療法もワクチンも世界にいきわたっている可能性が高い。
⇒ 私も、治療薬はともかく、ワクチンに期待したいと思います。ただし、ワクチンが臨床試験を経て大量生産されるまでには最低1年かかるとのこと(WHOの対応責任者の話)なので、筆者の仰るように夏までに大流行する国が多ければ、間に合いませんね(もちろん、それでも今後ワクチンは一定の役割は果たすでしょうが。他の感染症と同じ)。
> ようやく世界も、マスクの重要性に気づきつつあるようだ。
⇒ 「未来を変えるマスクデザイン」の国際コンペが開催されます(下のリンク)。私も、これに応募する予定??ですが、こういうかたちで開き直るのもいいかもしれません。採用されて世界に広まれば、お金も得られるし名前も売れます。
https://loftwork.com/jp/news/2020/03/17_maskdesignchallenge2020?fbclid=IwAR3HwjcVdKsa3I5OXcQC6_6d5BLTATwq16gzycqQL5GzbLGjlKxPgalr2Rg
そのことはインフルエンザにも成立する。米国では今冬のインフルエンザ・超過死者数が 1.4万人になるのだから、新型コロナではそれ以上の死者が見込まれる。
2年後に収まるというのはとんでもない楽観で、1年後や2年後には今夏よりももっとひどい状況でしょう。病気そのものは弱まったとしても、体力をそがれた病み上がりのようなもので、まともに動けない状態だ。部分的に感染してもまともに動ける今夏の方が、はるかに健康だ。その状態で開催できないなら、あと4年は開催は無理。
4年後に、次の五輪といっしょにやるしかない。しかしそれは無理。となると、中止しかない。
中止ならば可能だが、延期というのはありえないね。
なお、中止の場合は、金銭的損失が莫大なので、国民一人あたり20万円ぐらいの増税が必要だな。(今春の減税の相殺を含む。)
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なお、ワクチンを開発したとしても、それを全国民に接種するだけの量を確保することは無理だ。そこまでの体制を整えるには、4年ぐらいかかるだろう。
──
> 愚か者だと森会長でさえ言っている。
森会長が言っているのなら、その発言はまず間違いなく、虚偽ですよ。
「冬のピークを早めて、感染者の一部を今夏に持ってくる」(平準化する)
ここでは、ピークを早めることが大切となる。(後略)
⇒ マジでそれをやるのなら、政府が都道府県の順番を決めて、1年くらいかけて、秘かにウイルスをバラ撒いていけばいいでしょう。次にどこで感染爆発するのかあらかじめ分かっているのですから、医療資源(医師、看護師、人工呼吸器、薬、防護服、マスク等々)も集中的に振り向けることができます。うまくいけば、日本だけが重症者・死者を低く抑え込んだとして賞賛され、政権の延命にもつながるかもしれません。既に、ウイルスの分離(培養はまだ?)には成功しているようですし(下のリンク)。
https://www.asahi.com/articles/ASN105X1HN10UBQU002.html
ばらまかなくたって、どうせ市中にあふれているに決まっているんだから、いちいち ばらまく必要はない。
豚インフルエンザのときだって、夏には大量の感染者が発生していた。新型コロナでもそうなるのは当然だ。
ただ、豚インフルエンザのときには、ほとんどは軽症だった。新型コロナは、そうとは言えないので、治療室の限度を考えて、配慮する必要がある。
ま、方法としては、イベント自粛をやめたり、マスクの利用を減らしたりするだけで、十分だ。
※ 今も政府や専門家会議は、マスクの重要性を強調しないことで、感染者の拡大に貢献している。首相もマスクなしでテレビに出演して、「マスクは不要ですよ」と暗示している。こうやって日本は感染拡大に努力しているのだ。諸外国とは逆に。
──
> 医療資源(医師、看護師、人工呼吸器、薬、防護服、マスク等々)も集中的に振り向けることができます。
集中させちゃ、駄目ですよ。限度オーバーになってしまう。一地域に集中すると、あぶれてしまう。
逆に、日本全国にまんべんなく平準化するべきだ。各地域ごとに医療資源の最大量に応じて、その範囲内で患者が来るようにすればいい。
⇒ ご回答ありがとうございます。先回のコメントは、そもそもジョークレベルのものですので、内容の質は勘弁してください。ただ、笑って受け流していただければOKです。
延期は当面1年、来年の今頃に再度延期検討。
EURO2000、サッカーWC、
玉突きで延期、インパクトある人類問題です。
今回のコロナ、エイズと同じ不治の病。
判明していることはそれのみ。抗体が作れない。
つまり、ワクチンができない。
ウイルス株が変遷しRNA検査もできてない可能性も浮上。
要は既に人類は後手後手。ワクチン前提無意味。
なぜなら、ウイルス内にHIVが存在。
早々と解析された事実。つまり、
不治であって抑制剤でせいぜい延命しかない。
HIVなら抑制剤も60才過ぎれば効かず。
客観的、悲観的関係なく、南半球で夏に蔓延、
今年の冬には再び北半球を襲う。
70才以上にくまなく感染が広がり、
老人が死に絶えた頃に、ようやく沈静化する。
そして初めて色々な、スポーツ観戦が再開。
そういう生物兵器が漏れてしまったのが現実解。
バイオ研究とはそういう諸刃の研究。
中国、高齢化問題が出ている国から始まった。
それは、適者生存の、もしかしたら潜在的必然がもたらした生命体保護の業か。
今、50代以下の人は選ばれたと考えるべきか。
その先の地獄を見ることになるのか。
ワクチンができる楽観を期待すべきではなく。
人が人を喰らう天命飢饉の再現が今現実に。
太陽活動周期の繰返しなのであれば、
咳エチケットを愚直に行う、それのみ。
肘で覆うだけですが、やれている人は1割以下。
悲観する前に、愚直にやりましょう。
マスクなんてウイルスは8割がたスルーします。
大切な人、感染させれば、親でも死んでいく。
葬式もまともにできない親不幸。
大切な人のためにする咳エチケット。
であることを皆様が認識し実践して初めて沈静化する感。
仮に五輪で感染したら確実に批判される。
どっちにしろ後から感染するんですよって
言ったところで世界は納得しないだろう。
とくにパラリンピックに出る人は重症化しやすい
人がいるだろうから。
→ https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20200324-00169435/
これは合理的かも。たしかにパリは今から 24年に向けて建設できそうにないしね。工事も設計もできそうにないし。
この案のミソは、20年の大会は中止になるが、東京五輪そのものは中止にならない、ということだ。
ただし重大な難点がある。五輪選手村が(マンション販売のせいで)なくなってしまう、ということだ。選手村がなくなるので、五輪返上になるかも。
うまい案に見えるが、重大な欠陥があった、というわけだ。
やはり、「収束したなら今夏に開催」というのが最善だろう。どうせ収束するはずなんだから。
※ 感染者は出ても死者はほとんど出ない、という形。
> 4年延期という案がある。以後、順延だそうだ。
(中略)
> ただし重大な難点がある。五輪選手村が(マンション販売のせいで)なくなってしまう、ということだ。選手村がなくなるので、五輪返上になるかも。
⇒ 4年延期で以後順延、いいと思います。選手村のリノベ物件「晴海フラッグ」が引き渡される(入居)の時期は2023年3月で、まだ3年先です(下のリンク)。3年あるのなら、色々な代替案が考えられると思います。
https://maonline.jp/articles/after_tokyo_olympic_postponement_what_happens_to_the_harumi_flag_apartment200316
例えば、築地市場の跡地を中心に再開発が計画されています(下のリンク)が、そこに一棟タワーマンションを建ててしまうとかですね。晴海フラッグは全4145戸ですが、いま売り出しぶんは940戸なので、十分受け入れ可能なはずです(超高層タワマンなら二棟あれば4000戸でも可能)。晴海フラッグを予約 or 購入済みの人には、こちらの代替物件への等価交換(一部差額精算)のオファーを示し、どうしても嫌だという人には、手付金相当を支払ってキャンセルにしてもらいます(その程度の損金は仕方がないかと)。この跡地の一部は今回五輪では2400台ぶんの駐車場などとして利用される予定でしたが、この再開発は2040年までの息の長いものらしいので、2024年開催時もそのくらいのスペースは一時的に確保できるでしょう。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50661290V01C19A0EA5000/
ほぼ出来がっている選手村のほうは、4年後の五輪本番までは、都営ホテルとして運用します。まずは、今回の延期でチケットが無駄になり払い戻しが受けられなくなった人たちに、料金ぶんだけ無料で宿泊させ、いろいろ意見をもらって改善していけば一石二鳥です。それで、もちろん五輪終了後には、あらためて売却します(むしろ価格が上がるかも)。
うまい案を出しましたね。感心しました。まあ、ホテルは無理でも、賃貸マンションという手もありますね。
だけど、四年延期は、選手にとっては実質、中止と同じだ。IOC は選手のためにあるようなものだから、「1回休み」を受け入れるかどうか、疑問だ。巨額の収入は丸々なくなるわけだし。IOC 貴族にとっては、受け入れられないだろう。
スペインかぜ との対比。
コロナの大元は、武漢の研究所で、エイズの配列が組み込まれているというのは事実だったのかな?
中止にしろ延期にしろ、経済損失を出さないことが何より重要だと思います。
しかし、小池知事は豊洲の延期、五輪の延期で「延期知事」として後世に名を残せ…