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なぜ自粛をやめるべきかといえば、理由は簡単だ。
・ 自粛をやったとしても、感染防止の効果はほとんどない。
・ 自粛をすることで、経済的損失が大きすぎる。
つまり、メリットがなく、デメリットが巨大だ。かくて、合理的な判断をすれば、「自粛をやめよ」となる。
以下では説明しよう。
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(1) メリットがない
そもそも感染する場所は、専門家会議が述べたように、「狭いところに密集する」ような場合だ。
一方、たいていのイベントは、広い空間でなされる。つまり、感染が起こる場所の条件を満たしていない。つまり、感染の危険度が低い。
たとえば、プロスポーツの観戦ならば、屋外で風通しのいい観客席だ。
美術館も、たいていの美術館はかなりすいている。
音楽会も、映画館も、広い空間があるし、換気も十分だ。
例外的に、大人気の美術展では、人混みがひどくなりそうだが、そういう美術展だけで、入場規制をすれば十分だ。
それでも「少しは感染の危険があるぞ」と言い出す人もいるだろうが、だったら、上記のようなイベントを中止する前に、日本の満員電車や会社や繁華街をすべてストップするべきだろう。つまり、イタリアやフランスやスペインのように、都市封鎖をして、人々に外出規制をするべきだろう。
しかし、1万人ぐらいの感染者がいるほどの感染爆発が起こっている欧州諸国と、ほとんど感染者がいない日本を、同列に扱うのは間違っている。日本ではほとんど感染者が発生していないのだから、過剰な規制などはまったく必要ないのだ。
それでも、過剰に恐れる人もいる。
大阪府の吉村知事は19日夜、緊急の記者会見を開き、20日からの3連休、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、大阪府と兵庫県の間の不要不急の往来を控えるよう求めました。
「国の試算では大阪と兵庫で次の7日間で感染者が586人となる。さらに次の7日間で3374人となり重症者は227人となっている。これは最悪、急速に感染が拡大すればこうなるという試算結果だ」
( → 「3連休 大阪府〜兵庫県の往来自粛を」大阪府知事 呼びかけ | NHKニュース )
馬鹿丸出しというべきか。この7日間の感染者は全国で 200人ぐらいでしかない。なのに一挙に 3374人に増えるというのは、ありえないだろう。もはや気温も暖かくなってきて、感染の危険度は低下してきているのに、この状況で感染者が 15倍以上に突発的に増えると思うのは、あまりにも過剰な杞憂というべきだ。
そもそも、そんな異常な現象が全国で大阪だけで起こるというのも馬鹿げた発想だ。仮に、大阪だけでなく全国で起こるというのであれば、全国的に移動規制をするべきだろう。さらには、休日のあとで、会社が始まってからも、全国的に移動規制をするべきだろう。(そんなことをしたら大変だが。)
結局、過剰な移動規制などは、ただの愚の骨頂なのである。大海の水をバケツで汲んで、「効果があった」と思い込むようなものだ。ただの無駄・無効。
なお、次の重要な指摘もある。
――安倍首相は2月26日にイベントの自粛、翌27日に全国一斉休校を要請しました。専門家会議には相談がなかったそうですね。
(岡部) 「どちらも専門家会議からは提言していません。
( → 「コロナ、そこまでのものか」専門家会議メンバーの真意:朝日新聞 )
つまり、専門家会議は、「イベント自粛」なんていう馬鹿げたことは、要請していないのだ。あくまで安倍首相がスタンドプレーで、無効な要請をしているだけなのだ。
(2) デメリットが大きい
デメリットはあまりにも大きい。繁華街の商店や飲食店は大打撃だ。また、旅館や遊興施設なども大打撃だ。音楽や演劇や映画などの事業者も大打撃だ。そこで雇用されている人々は、所得減だけでなく、解雇の危険もある。
→ 「クラシックは損害24億円」 公演中止の損失補填要望:朝日新聞
→ 新型コロナ拡大でついに「無観客バレエ」上演 - 菘あつこ|論座
→ 平田オリザ「芸術文化は社会インフラ」 いま途切れると:朝日新聞
→ 消毒・客席減…劇団が模索 新型コロナ:朝日新聞
→ 学校全休・イベント一律中止措置はやめるべきだ - 米村滋人|論座
→ 奈良)新型コロナ影響 ホテル旅館キャンセル額10億超:朝日新聞
あちこちで人々の生活が危機に瀕している。それほどの大きなデメリットがあるのだ。
そもそも、こういうサービス業ばかりが割を食うというのが不公平だ。どうせデメリットを甘受するべきだというのなら、満員電車やバスを停めて、日本の交通を全部ストップするべきだろう。また、会社も全部、出社禁止にするべきだろう。それなら、公平だ。
なのに、サービス業ばかりにしわ寄せを押しつけるというのは、あまりにも不公平すぎる。
だいたい、プロスポーツの観客席や、映画館・劇場などは、広い空間がある。それに比べれば、満員電車や一般の会社などの方が、よほど狭くて危険だ。
どうせやるのならば、イベント中止ではなくて、交通機関のストップと、全企業の活動停止だろう。
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結論。
イベント中止や休校は、意味がないので、さっさとやめるべきだ。やってもやらなくても、差はほとんどない。その一方で、デメリットが大きすぎる。
なすべきことは何か? マスクをすることだ。それさえ実施していれば、イベント開催をしても大丈夫だし、学校を再開しても大丈夫だ。
もしマスクをしないのであれば、イベントや学校は危険な場になるだろう。しかし、マスクをしている限りは、心配はいらないのだ。
むしろ、マスクなしで行動している政府や会社の人々の方が、よほど危険である。こちらを是正するべきだろう。
《 加筆 》
※ イベントについては、「マスクの義務」を観客に強いることで、開催を認めていいだろう。
※ 「マスクの義務」とは、「マスクをしない人は入場できません」ということ。代わりに、返金に応じる。(または、マスクを高額で販売する。1枚 1000円ぐらい。客は、いやなら買わなくてもいい。)
[ 付記1 ]
美術館には、例外的に、勝手に開催している例も見られる。
→ 展覧会、開くという選択 新型コロナ:朝日新聞
こういう自発的な例が広がるといいのだが、有名な劇場などでは、世論の批判が怖くて、無理らしい。
元はといえば、西川貴教がきっかけで、その発言に安倍首相が乗っかっただけなんだが。とんだ大被害をもたらしたものだ。
→ 新型コロナウイルスの話題 8: Open ブログ の (6)
[ 付記2 ]
専門家会議は、次のように述べている。
これまで集団感染が確認された場に共通するのは、
@換気の悪い密閉空間であった、
A多くの人が密集していた、
B近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われた
という3つの条件が同時に重なった場です。
( → 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 「新型コロナウイルス感染症対策の見解」 2020 年3月9日 )
これが条件であるなら、会話や発声がないイベント(美術館・映画・観劇)は、許容されるべきだ。また、スポーツ観戦も、声を出さないこと(声を出したら退場)を条件にして、許容されるべきだ。
なのに、3条件を満たさないイベントについて、「自粛」を肯定しているのが、専門家会議だ。これは自説と自己矛盾していると言える。
なお、休校についても同様だ。授業中の生徒は、ずっとおしゃべりしているわけじゃない。ほとんど黙っている。ならば、発声しないのを条件に、休校を解除していいはずだ。
⇒ 感染者数が公称通りの1,000人そこそこでしたら、確かに筆者の仰るとおりです。しかし、それは本当でしょうか?
国内外でまとめられているデータを見ると、日本の死亡者数の増加は韓国のそれと(途中まで)ほぼ重なっています。対して、日本の感染者数の増加は韓国のそれの大体10分の1(の傾き)です。これでは、日本の致死率は韓国の10倍ということになってしまいます。これは明らかに、日本の本当の(市中)感染者数は公称(3/21現在で1,015人)の10倍はあるということの証拠です。人口比で日本の40倍は検査している韓国だって、全数は洗い出せていないでしょうから、日本の真の感染者数は十数倍でしょうか。つまり、真の感染者数は1万数千人と予測しておきます。
それはたぶん正しい。人口における高齢者の比率が、韓国と日本ではまったく違うからだ。日本は世界最大の高齢化社会だが、韓国はその逆だ。
イタリアは世界2位の高齢者社会なので、死者が続出している。
以下、引用。
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韓国では60歳以上の人口は全体の18.5%と、世界で53番目の水準になっている。
この不均衡がもたらす影響は、新型コロナウイルスによる死者を分析すれば一目瞭然だ。イタリアでは本稿執筆時において、死者の9割を70歳以上の人々が占めている。
対照的に、韓国での感染拡大ははるかに若い年代の間で発生した。感染者のうち、60歳以上の占める割合は2割に過ぎない。最も感染者の多い年代は20代で、全体の3割近くがここに集中している。
https://www.cnn.co.jp/world/35151024.html
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この件、本日夜の記事で解説しておきます。
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あと、実際の数より、増加率が大事。日本の感染者数は、増加のペースが上がっていない。ずっと同じぐらいのペースだ。死者数も同様。
感染爆発があれば、急上昇が起こるはずだが、そうなっていない。これは、安定した状況にあることを意味する。
[ 付記1 ] の直前に 《 加筆 》 を追加しました。
> 上野公園「やっぱり桜見たい」 花見自粛も大勢でにぎわう
https://this.kiji.is/613988738297513057
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中止する必要はまったくない。マスクをしていれば大丈夫。
他のイベントも同様の方針にするべき。
> この件、本日夜の記事で解説しておきます。
> あと、実際の数より、増加率が大事。日本の感染者数は、増加のペースが上がっていない。ずっと同じぐらいのペースだ。死者数も同様。
感染爆発があれば、急上昇が起こるはずだが、そうなっていない。これは、安定した状況にあることを意味する。
⇒ ご回答ありがとうございます。追加の解説、よろしくお願いします。念のためですが、(私がコメントで参考にした)下のTweet 内の増加グラフを見ると、日本の感染者の伸びは直線的(かつ低く保たれているの)ですが、縦軸がログスケールなので、これは、伸びが経過日数に対してリニアでない(同じペースではない)ことを意味します。
https://twitter.com/jburnmurdoch
https://www.asahi.com/special/corona/
https://mainichi.jp/covid19
3月6日のところで、直線が折れて角度が付いている。これは、この日以降、保険による検査が可能になったので、検査量が増えたせいだろう。
それ以前とそれ以後で見れば、いずれも直線状態だとわかる。
それ以前とそれ以後で見れば、いずれも直線状態だとわかる。
⇒ 仰るとおりですね。私も、ご提示の朝日や毎日や東洋経済のまとめは確認していて、確かに管理人さんが言われるような「2段ロケット的」傾向もみて取れるのですが、一方で、3月13日前後までは指数関数的な増加(それ以降はリニア?)にもみえます。とにかく、ご指摘のとおりに、この1週間は沈静化しているようですので、引き続き注視していきたいと思います。
普段静かな温泉街(湯河原)は、賑やかで活気に溢れてました。
しかも、行きつけの旅館はGWかと思うほど満室でしたし…
皆、鬱屈しまくってるんでしょうかね。
早川漁港の飲食店も、行列・大盛況でした。