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(1) 世界規模に拡大
これまでは欧州の主要国で感染の拡大があった。だが、いよいよ本日から、感染の拡大が世界規模になったようだ。深刻化の度合いもひどくなっている。
18日の朝のデータを示そう。

出典:https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries
欧州の主要国では相変わらず感染が拡大しているが、それ以外に、次の3点が顕著だ。
(i)スペインの死者が急増した。1日の死者が一挙に 191人まで増えている。前日の4倍に近い。これはいよいよスペインでも医療崩壊が起こったことを意味するだろう。
こういうことはスペインに限らない。感染者数を見ると、ドイツやフランスも、スペインの水準に近づきつつある。ということは、ドイツやフランスも、医療崩壊の危機に近づきつつある、ということだ。
(ii)欧州では、小国でも感染が急激に拡大している。スイス、オランダ、ベルギー、オーストリアなどだ。国家規模を考えると、(i)の諸国と同水準にあるので、いずれも医療崩壊の危機に近づきつつある。……ただ、これらの国はすでに「外出制限」の措置が取られているので、かろうじて感染の拡大を防げるかもしれない。あるいは、すでに手遅れかもしれない。
(iii)上記諸国に次ぐ水準にあるのが、イギリス、米国、北欧諸国だ。これらの国は、感染の開始が遅れているので、今のところはまだ危険域には達していない。しかし、先行きは楽観できない。特にイギリスは、外出規制もないので、先行きは厳しそうだ。
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この先どうなるかは、予断を許さない。(……という言葉は、まるで瀕死で危篤の患者を表現するような感じだが。)
一部の国では急増のペースがいくらか頭打ちになったようだが、多くの国は急増のペースが衰えを見せない。このあと、外出規制や気温上昇によって、いつかは急増のペースが衰えるだろうが、それが数日以内に起こるかどうかは見通しがたい。
むしろ、欧州主要国以外の領域で、どんどん感染が拡大していくのを、今後も見続けることになりそうだ。(東欧も危険だ。)
【 追記 】
19日の朝のデータ。

傾向は同様だが、ドイツで感染者が急増しており、スペイン同様になっている。ドイツはもはや医療崩壊同然だと言えるだろう。(たぶん)
ドイツでは死者数が異常に少ないが、これは、60歳以上の感染者を統計から除外しているせいだ。
→ 新型コロナウイルスの話題 12: Open ブログ の (4)
※ なお、「軽症者は別の施設に収容する」という方針を取っていれば、医療崩壊は免れるだろう。ただし、ドイツの状況はよくわからないので、実際にどうかは不明。
※ 参考情報。
→ 【新型コロナウィルス:速報】ドイツの最新現地事情
→ ドイツでは必要に応じ、ホテルなどを軽症者向けの施設に改装
→ Germany will build a new hospital for 1,000 coronavirus patients
→ Berlin to Establish Hospital for Coronavirus Patients ?
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米国も感染者が急増しており、医療崩壊が近づきつつある。いや、北部のニューヨークなどに限れば、すでに医療崩壊は部分的に起こっているかもしれない。(南部はまだ大丈夫だろうが。)
※ 参考情報。
→ CNN.co.jp : 米国内の死者100人に、残る1州でも感染者 新型コロナウイルス
→ NY Scrambles to Find Hospital Beds to Avoid COVID-19 ‘Tragedy’?
→ Coronavirus in New York Could Overwhelm Hospitals
→ There Aren't Enough Ventilators to Cope With the Coronavirus
※ 医療崩壊について、英語ニュースを探ろうとしたのだが、「医療崩壊」に相当する英語はないらしい。
→ 医療崩壊にあたる英語wikipediani存在しない?
最も近い関連語は「 health systems 」だ。これがどうなるか、というふうになる。
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スペインの医療崩壊は確認された。ろくにマスクもないまま、医療従事者は奮闘しているという。
→ Nurse says Spain's hospitals like 'warzones' amid coronavirus pandemic
→ Google 翻訳
(2) アビガンが有効
アビガンの有効性が確認された、という報道がある。これは希望の光となりそうだ。
→ インフル薬「アビガン」有効性確認 新型コロナ治療、後発薬量産へ―中国:時事ドットコム
別記事を引用しよう。
湖北省武漢の医療機関が行った患者240人を対象にした臨床研究では、「アビガン」を投与した場合は熱が下がるまでの平均日数が2.5日で、投与しなかった場合の4.2日よりも短かったとということです。
また、せきの症状が緩和されるのも「アビガン」を投与した場合は平均で4.57日で、投与しなかった場合の5.98日よりも短く、明らかな副作用も見られなかったと指摘しています。
一方、広東省深センの医療機関が行った患者80人を対象にした臨床研究では、「アビガン」を投与した患者ではウイルス検査の結果が陽性から陰性になる日数の中央値が4日だったのに対し、投与しなかった患者では11日だったということです。
また、エックス線の画像で肺炎の症状に改善が認められた患者の割合は、「アビガン」を投与した場合91%と、投与しなかった場合の62%より高かったとしています。
( → 中国政府 「アビガン」に治療効果 診療指針に正式採用へ | NHKニュース )
なお、本サイトでは、「新型コロナにはアビガンを」という提案をしたことがある。
→ 新型肺炎には抗ウイルス薬を: Open ブログ
これは1月25日付の記事だ。新型コロナがまだ「新型肺炎」と呼ばれていた、ごく初期のころの記事だ。この時点ですでに「アビガンを」と提案していたわけだ。(治療に使えというよりは、有効性を確認せよ、というぐらいの意味で。)
最初からこの記事に従って、臨床試験でもしていれば、もっと早くアビガンが流通するようになっていたかもしれない。うまく行けば、1カ月前(2月中旬)にはアビガンが世間に広く流通していたかもしれない。そうなっていれば、今の世界中の感染爆発は生じなかっただろう。
世界を救う方法は、 Openブログにちゃんと記してあったのだ。それを聞いておけば、世界は救われたはずだったのだ。
( ※ 「王様は裸だ」という声を聞くべきであるようなものだ。)
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余談だが、アビガンを製造する富士フイルムでは、株価が急騰して、ストップ高となった。
株式投資を考えている人なら、本サイトを読んで、ボロ儲けできたかもね。
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なお、アビガンとは別に、急性膵炎などの治療薬として使用されている「ナファモスタット」という薬も有効であるそうだ。
→ 東大、新型コロナウイルス感染阻止が期待できる既存薬剤を同定 | 東大新聞オンライン
これを読んで、「だったらこれに株式投資をして、一儲け」と狙う人も出そうだが、この薬は特許切れらしくて、後発医薬品(ジェネリック)があるそうだ。あちこちのメーカーが作れるのであれば、「独占して独占利益」というわけには行かないので、株価が急上昇することはあるまい。(どの会社であっても。)
(3) 検査実施数の異常
政府の発表する検査実施数がおかしなことになっている。私は前項で、こう記した。
17日の検査実施数は、いきなり 3416人にアップした!!
→ http://j.mp/2Qp3e11
ところがこのページを再び見ると、数字が 3416人から 2083人に変更されている。
おかしなことだ。統計数値をいじっているのだろうか? この分だと、明日になると、また数字が変わっているかもしれない。
なお、18日のデータはこうだ。
→ 新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年3月18日版)
ここでは、検査実施数が 203 になっている。あれれ。前日には急増したと思ったら、またしても激減している(以前のレベルに戻っている)。……いったい、どうなっているのだろう?
(4) もらった迅速検査キットは?
前項では「検査が急増したのは、迅速検査キットを使ったからか?」と推測した。
だが、よく考えたら、1カ月前には中国からもらった迅速検査キットがあったはずだ。
在日中国大使館は、日本国内での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中国が日本に検査キットを支援したとホームページで明らかにした。大使館によると、14日に1万2500人の検査キット250箱を国立感染症研究所に無償提供した。
( → 中国、日本に新型コロナの検査キット提供 「ウイルスとの戦いに国境はない」 - 毎日新聞 2020年2月25日 )
1万2500人の検査キットを入手していたのだ。それは使わなかったのだろうか? おかしなことだ。
もしかして、迅速検査キットの認可が遅れたのが理由だろうか? いや、薬剤ならともかく、検査薬ぐらいは、特に認可の必要はないはずだ。あるとしても、特例で認可すれば済む話だ。いかにも奇妙である。
一方、世界各国はどうだったのだろう? 中国から送られたものを使っていたのだろうか? ……そう思って、ググってみたら、意外な事実が判明した。欧州諸国が中国の検査キットを導入したのは、本日(3月18日)以降だったのだ。下記記事にある。
→ 中国のウイルス検査キット、イタリア、英国、オランダなど十数ヶ国に供給開始--人民網日本語版--人民日報
( ※ それにしても、孫正義さんが検査キットを提供してくれるというのに、それを批判する人が多いのだから、呆れる。もらっておけばよかったのに。なお、批判があることについては、前項の (4) を参照。)
(5) 休校は首相の独断
一斉休校は首相の独断で決められたが、これが専門家の意見を無視したものであったということで、専門家から批判が出ているようだ。
新型コロナウイルスの感染症を巡って、全国一斉休校などを首相が「独断」で決めたことに対し、無視された形の感染症の専門家から批判の声が出ている。科学的な根拠に基づき政策決定しようとする英国とは対照的な姿勢に、専門家は「科学が政治に負けた」と憤る。
「極めて残念だ」。日本記者クラブで10日に岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は政治家が科学を顧みなかったことについて、あきれた様子でこう述べた。
( → 新型コロナ 「科学軽視」首相を批判 感染症専門家、指摘相次ぐ - 毎日新聞 )
朝日新聞にも、長文のインタビュー記事がある。
――安倍首相は2月26日にイベントの自粛、翌27日に全国一斉休校を要請しました。専門家会議には相談がなかったそうですね。
(岡部) 「どちらも専門家会議からは提言していません。休校に関してはもし学校で流行したらどうするかという意見交換は当然していましたが、全国一斉休校についてどう考えるかといった諮問はありませんでした。
( → 「コロナ、そこまでのものか」専門家会議メンバーの真意 [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞 )
(6) 台湾の休校
台湾では、日本とは逆に、正しい方針を取った。要旨は次の通り。
・ 春節明けの開校(2/11)を遅らせ、初期に2週間の休校。
・ その2週間のうちに、マスク・体温計などの配布を完了。
・ 2週間後に開校したが、マスク・体温計で感染対策は十分。
詳細は下記。
→ なぜ台湾の新型コロナ対策は、こんなに早くてスムーズなのか 国民の82%が「政府の対応に満足」
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一方、日本は同じ休校をやるにしても時期がずっと遅かった。
しかも、休んでいる間には、何の対策もしない。マスクも配布しないし、体温計も配布しないし、消毒液も配布しない。そうして 20日がたっても、再開のメドも立たない。
※ 日本の休校は2月28日(金)から。本日の 18日 で20日がたった。
(7) 子供は街で遊ぶ
休校になって、現状はどうかというと、子供は行き場をなくして、街中(盛り場)で遊ぶ例も多いそうだ。
埼玉県内で有数の通行量がある川越市の商店街「クレアモール」の雑踏を平日の昼間に歩いてみると、中学生たちの姿があちこちに。話を聞いてみると、突然の休校に居場所がなくて困っている様子が浮かび上がってきた。
「午前中で半分終わってしまい、やることがなくなった。不要不急の外出はだめとか言われたけど、一日中家にいろなんて無理っす」。同級生も「スマホゲームしかやることなくて、お母さんに怒られるし」と話した。
図書館など多くの公共施設は閉館中で、部活動が自粛となっていることも単なる春休みとは違う。
( → 街にあふれる中学生 休校1週間「家にいるの無理っす」 [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞 )
学校に行くかわりに、繁華街で遊んでいる。これじゃかえって感染の危険度が高まりそうだ。
休校というのはほとんど逆効果の政策だとわかる。
(8) 休校後、一部で再開
一部では休校をやめて、学校が再開しているそうだ。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府が一斉休校を求めてから2週間。ほとんどの学校が休校を続けるなか、一部で再開に踏み切る動きも出てきた。地域での感染者の状況を踏まえるなどして、自治体が独自に判断した形だ。
( → 感染予防し学校再開 成田・静岡など一部 新型コロナ:朝日新聞 )
→ 学校再開、国の指針公表へ 文科相、判断は自治体に 新型コロナ:朝日新聞
→ 沖縄)「会えてうれしい」 2週間ぶりに授業再開:朝日新聞
→ 富山)富山、黒部の市立小中学校が再開:朝日新聞
→ 山梨)富士吉田市の小中11校で授業再開:朝日新聞
再開はあるが、あくまで一部だ。それも、田舎がほとんどで、都会は含まれていないようだ。
(9) 介護崩壊
休校の影響は、思わぬところにも及ぶ。休校ゆえに母親が在宅するせいで、人手不足になるので、介護の現場が崩壊しそうだという。
→ 新型コロナがとどめ「人生最後の砦」介護現場は崩壊へ :日経ビジネス
ベンチがアホやと、野球がでけへん。
首相がアホやと、国民が大迷惑。
ドイツと米国の現状。
> なお、本サイトでは、「新型コロナにはアビガンを」という提案をしたことがある。
→ 新型肺炎には抗ウイルス薬を: Open ブログ
これは1月25日付の記事だ。(後略)
⇒ このことについては、素直に脱帽です。まさに世界レベルの慧眼であったと思います。下のリンクのwiki(ファビピラビルの項)を読むと、「2020年2月4日にネイチャーの姉妹誌であるCell Researchに、中国科学院武漢ウイルス研究所などの研究グループが発表したレター(速報論文)」が最も早そうなので、筆者はこれと同じくらい早く気づいていたことになります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%93%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%93%E3%83%AB
> 余談だが、アビガンを製造する富士フイルムでは、株価が急騰して、ストップ高となった。
⇒ 中国で臨床試験成功の報道を受けて急上昇したようですが、今日(3/19)はまた下がってますね。マスクの重松製作所、PCR試薬のタカラバイオ、迅速診断キットのクラボウ(倉敷紡績)、そして今回の富士フィルムと色々ありましたが、次の注目銘柄を見つけたいものです。
以下、引用。
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ファビピラビルの物質特許は中国では既に切れており、臨床試験では中国の製薬企業が製造したジェネリックが使われた。富士フイルム側は16年6月に中国の大手製薬企業である浙江海正薬業とファビピラビルの特許ライセンス契約を締結して、開発・製造・販売する権利を供与していたが、その契約は既に終了している。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/031900010/
⇒ 追加情報、ありがとうございます。それで、富士フィルムの株価上昇がいったん沈静化したのかもしれませんね。