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ロボット開発については、前に言及したことがある。
2013年には、「 Google が日本のロボット会社を買収した」という話を書いた。
→ Google のロボット開発: Open ブログ
2019年には、「 Google がそのロボット会社を倒産させた」という話を書いた。
→ ロボット会社が倒産: Open ブログ
さて。このたび朝日新聞に、その後日談のような話が出ている。その会社を退職した技術者が、それなりにロボット開発を続けている……というような話。
そこに、興味深い話題を見つけた。
「開発チームを存続させるのならばヒト型ロボットはやめるべきだった。でも、僕たちはこだわった」
こう振り返るのは、グーグルにいたJSK出身の畑尾直孝(38)。どんなに難しい数式を並べても、ロボットは動かなければ意味がない。そう学んだ畑尾は、車輪で移動する警備ロボットを開発するベンチャー「シークセンス」に移った。
( → (シンギュラリティーにっぽん)第3部・明日への選択:7 グーグルを去った、ベンチャーは進む:朝日新聞デジタル )
人型ロボットは商売にならないので、Google は開発を諦めて、会社を倒産させたようだ。
だったら、人型ロボットの開発をやめて、別方向に転じるべきだったのだが、技術者自身が人型ロボットにこだわったので、方向を転じることができないまま、行き詰まって、会社倒産というハメになった。(馬鹿みたい。)
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さて。実はこの件については、2019年の記事で説明済みだ。再掲しよう。
実は、こうなるだろうということは、私がずっと前に予想していた。
「ロボットの技術開発は進展がすごく遅い。それよりは、パワースーツの開発の方が実現性が高いので、こちらを狙え」
( → ロボット会社が倒産: Open ブログ )
そこにもリンクしてあるが、詳しい話は下記にある。
→ 介護用のロボット,パワースーツ: Open ブログ
一部抜粋しよう。
そもそも、「ロボットを開発する」という方針からして、根本的におかしなところがある。むしろ、「サイボーグを開発する」とするべきなのだ。その理由を示す。
ロボットには、次の二つのタイプがある。
・ ヒューマノイド(鉄腕アトムタイプ。人工頭脳を持つ。)
・ リモコンロボット(鉄人28号タイプ。遠隔操作する。)
このうち、どちらをめざすべきか? 実は、どちらも駄目である。
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ロボット開発会社は、「何年たったら二足歩行ができるかわからない」と述べている。正解を教えよう。「二足歩行ロボットは、永遠に不可能」なのである。なぜなら、たとえ技術的に可能になったとしても、そんなものが街中を歩行したら、危険だから、禁止するしかないからだ。まともな人工頭脳が開発されない限り、二足歩行ロボットは、人間にとっては危険で迷惑であるがゆえに、許容されない。たとえ技術的には可能でも、社会的には受容されないから、実用化は無理なのだ。(仮に、街中を歩いたら、「人間に危害を加える恐れあり」ということから、ロボット三原則に抵触するので、ただちに叩き壊される必要がある。)
( → 泉の波立ち (2004年5月31日))
これを書いたのは、2004年5月31日だ。その時点で、二足歩行ロボットは駄目だ、と記している。それから 15年ほどたって、世界最先端の技術者が、ようやく「二足歩行ロボットは駄目だ」と気づいたようだ。
本田のアシモを見て、真似しようと思ったのだろうがそういう真似をする発想では、とうてい頂点には立てないわけだ。
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なお、今のところ最も実用化されているのは、高輪ゲートウェイ駅に配備されたロボットであるようだ。
清掃ロボットや警備ロボットが出てくるが、上から見た断面図はほぼ楕円形であって、丸っこい形だ。これならば人間がぶつかっても、人間がケガをすることはない。
受付ロボットだけは人型ロボットだが、これはデスクの向こう側に坐っているので、人間と接触することもない。
いずれにせよ、衝突の危険性は回避されている。これならば実用化ができる。
一方で、アシモみたいな人型ロボットは、ぶつかったときの危険性が高いがゆえに、実用化するはずがないのだ。私が 2004年に書いたように。
Google のロボット会社に勤めていた技術者たちが、2004年の私の記事を読んでいたら(または 2013年の Openブログの記事を読んでいたら)、「人型ロボットは実用化されない」と気づいただろうし、それだったら、Google のロボット会社が倒産という形で解散させられることもなかったかもしれない。
Openブログを読んでおけばよかったのにね。