2020年03月08日

◆ マイナンバーカードの失敗

 マイナンバーカードの失敗の理由と改善策を示す。

 ──

 台湾ではマスクの配布をするときに、日本のマイナンバーカードと同様のものを使って、成功したそうだ。
  → 台湾、パニック鎮めた「すごい」マスク購入システム 実名&アプリ連動で転売封じる(J-CASTニュース)

 これを真似したい、と副内閣相が述べた。
  → 前項の (4) でも述べた通り。
 だが、これは批判された。マイナンバーカードは、(カードの普及率が 100%に近い)台湾とは違って、普及率がとても低いからだ。最新データでも 15%ほどらしい。

 ──

 そこで、マイナンバーの話をしよう。
 マイナンバーは、政府が普及させようと努めているが、どうにも普及しない。そのことは、前にも述べた。
  → マイナンバーとキャッシュレス推進: Open ブログ

 ここでは、普及しない理由を示している。
 カードの取得の手間がものすごく面倒だ、という根本問題を解決するべきだ。
 →  http://j.mp/32QLsqPhttp://j.mp/2XkmhMr

 つまり、取得がすごく面倒臭いのだ。これと同じことは、朝日新聞の記事にもある。(ほぼ同趣旨)
 ある財務省関係者は「申請から交付まで1カ月かかり、自治体の窓口が開いている平日に受け取るために休暇を取る必要がある。身分証は他にもあるし、病院では従来の健康保険証も使える。家族には勧められない」と漏らす。
( → (取材考記)マイナンバーカード普及 手間かかる取得、利用者目線は 酒井祥宏:朝日新聞

 こんなに面倒なら、誰も取得する気にならなくて、当然だ。

 ──

 では、どうすればいいか? 同じ記事には参考となる話がある。
 国税庁は18年分の確定申告から、マイナンバーカードが必要な電子申告の方式に加え、新たにカードを使わずID・パスワードで申告できる方式を導入した。その結果、自ら所得税を電子申告した納税者は、ID方式が63万9千人と、導入3年目のカード方式の56万1千人を上回った。両方を合わせて120万人で、前年分の2.3倍に達した。
 ID・パスワードは全国どこの税務署でも即日、無料で発行される。国税庁によると、19年分の確定申告(今年4月まで)でも好評だという。同庁幹部は「カードの取得に手間がかかるという声が納税者から多数寄せられ、あくまで普及までの暫定措置でID方式を導入した。急増の理由は使い勝手がよいからではないか」と話す。

 簡単に発行してくれるならば、たとえ用途が限定されていても、これほどにも普及するのだ。

 ──

 以上のことを参考に、新たに提案しよう。こうだ。
 「上記の納税カードを、他の用途にも拡張する」(マイナンバーカードの代用とする)


 ただし、次のことが条件だ。
 「このカードは、国や自治体への納付専用のカードである。税金、社会保険料、健康保険料、交通罰金など、さまざまな納付に使える」
 「一方、国や自治体から何らかの権利を受けるためには使えない。たとえば、住民票を交付してもらうためには使えない」


 これは、次の原理と同じだ。
 「銀行口座の番号は、広く公開してもいい。人々はその口座に金を振り込むことができる。しかし、その口座から金を受け取ることはできない」


 これと同じ原理で、次のことが成立する。
 「納付カードは、他人が盗んで使っても、問題ない。あるいは、他人の番号を勝手に利用しても、問題ない。その用途は、納付だけだからだ。たとえば、山田太郎さんの番号を他人が知って、山田太郎さんのかわりに所得税を 50万円納付したとしても、問題ない」

 たとえば、山田太郎さんの銀行口座番号を知っている人が、山田太郎さんの口座に 50万円を振り込んでも、山田太郎さんは何の損害も受けないから、問題ない。
 同様に、山田太郎さんの納付番号を知っている人(または納付カードを盗んだ人)が、山田太郎さんの番号で 50万円を納付しても、山田太郎さんは何の損害も受けないから、問題ない。
( ※ いずれにせよ、損害を受けるどころか、むしろ利益を得る。)

 なお、これで問題があるとしたら、贈与税がかかる可能性があることだが、この点は、銀行口座にきちんと記入することにすれば、問題はあるまい。
( ※ 納付カードの利用は、銀行口座の経由に限定すれば、大丈夫だ。)

 ──

 なお、このようにして取得した納付カードの利用歴が満2年以上あれば、その納付カードの持主は、本人であると推定できるので、住民票などを交付してもらえる権利を付随させてもいいだろう。
 また、健康保険証や免許証などとの併用で、郵便局員に本人確認してもらうことにすれば、郵便局で「納付カードからマイナンバーカードへの切り替え」を実行することもできるだろう。これだったら、いちいち役所に出向く必要もないので、取得は大幅に容易になる。(会社を丸一日休む必要もなくなる。)
 かくて、取得が容易になり、普及率は高まるだろう。



 【 追記 】
 そもそも、納付カードさえあれば、(身分証明書としての機能をもつ)マイナンバーカードは特に必要ない、と言える。
 普通の人が公的に身分証明をする必要があるとしたら、納税などの納付の場合だけだ。その場合には、他人によるなりすましの被害もないのだから(他人が自分のかわりに納税してくれても問題がないのだから)、納付カードがあるだけで足りる。つまり、たいていの場合には、納付カードだけで足りる。役所における住民票の交付のときも、単に「住所氏名を記入しないで済む」というぐらいの意味しかないのだから、納付カードだけで足りる。(コンビニでの交付はできないものとする。)
 一方で、生活保護費の受給とか、年金の受給とか、そういう特別な権利を受けるときには、マイナンバーカードを使うよりも、もっと厳密な書類手続きが必要であるはずだ。ここでは、マイナンバーがあったとしても、特に有利になるわけではない。単に住所氏名の記入が楽になることぐらいだが、それなら、納付カードでも足りる。

 結局、個人がお金を納付るするときにのみ、マイナンバーを利用できればいいのだから、マイナンバーカードのかわりに納付カードだけをもっていれば、それで一生問題なく過ごせる人が大半だろう。(身分証明書として免許証やパスポートをもっているなら、なおさらだ。)

 というわけで、いちいちマイナンバーカードの普及をめざさなくても、納付カードの普及をめざすだけで、目的のほとんどは達成できるのだ。
( ※ 国税庁の納税ID 番号なんてものも、納付カードで代用すれば済む。いちいちID番号を取得する手間もない。)
( ※ 「マスクの配給」というような用途も、納付カードで足りるだろう。これは権利が付随するが、その権利は「マスクを買う権利」であるにすぎず、お金をもらえるわけではないから、経済的な利益をともなわない。この程度の権利ならば、納付カードで十分だ。仮に悪用があっても、被害はほとんどない。)

posted by 管理人 at 23:41| Comment(3) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。
昔から拝読しておりますがコメントは初めてです。

マイナンバーを推すわけではありませんが、
新たに「納税カード」を作るとなれば、結局マイナンバーカードと同じような手間になってしまうような予感がします。

(1) 各個人に番号を割り当てる。その番号を紙で本人に通知する。
(2) その番号が書かれた「カード」を発行する。(すごくめんどくさい)

マイナンバーでは(1)は全国民に対して完了しているが(2)が普及しない、という話ですよね。
確定申告のID・パスワード方式(カードを使わない方式)は、今は希望者に対して(1)が順調に進んでいるところですが、(2)までやるとマイナンバーカードの二の舞になりそうです。

私は先日、来年以降の確定申告のために税務署でこのID・パスワード方式の登録をしてきました。
その時にもらったのは白黒印刷のA4の紙3枚で、国税庁のウェブサイトで確定申告書を電子申告で送信するための、利用者識別番号と暗証番号が書いてありました。
(私が使うのは来年からなので)具体的な使い方はまだ知らないですが、これでできるのは「申告」だけであって「納付」は今までどおりではないでしょうか。

管理人さんのご提案が、納付カード『番号』を使えば(1)をするだけで「税金、社会保険料、健康保険料、交通罰金など、さまざまな納付」をできるようにするべき、というお話であれば、もしそのようなことができるならマイナンバーを使うとしても同じく(1)だけでいいはずなのでは?

論点がずれていましたらすみません。
Posted by 西西 at 2020年03月09日 12:12
 国税庁の納税IDカードは、新たに番号を取得する必要がありますが、本項の納付カードはそんな手間をかける必要もありません。
 納付カードの番号は、マイナンバーの番号をそのまま使えばいいので、手間は何も増えません。
 納付カードの発行は、単に現住所に書留で送付するだけなので、誰でも手間なく受け取れます。役所に1日がかりで出向くという手間が不要です。

> もしそのようなことができるならマイナンバーを使うとしても同じく(1)だけでいいはずなのでは?

 当面はそうです。
 だけど、2年後ぐらいに「納付カードからマイナンバーカードへの切り替え」が郵便局でできるようになります。この際には、納付カードをもっていることが必要です。

 あと、役所で納税や納付をするときに、納付カードがあると、納付カードを見せるだけで、納付ができます。さまざまな面倒な書類記入が不要になる。
 役所における住民票の取得も、(健康保険証のかわりに)納付カードを見せるだけでできそうです。(コンビニでの取得はちょっと無理だろうけど。)

 また、紙のカードでなくプラスチックのカードなので、カード読み取り機を通すことができます。銀行やコンビニなどで使えそうです。

 マイナンバーの通知カードは、何の権利も認められていないようです。郵便局で書留を受け取るときに、健康保険証は役立ちますが、マイナンバーの通知カードは役立ちません。
 マイナンバーの通知カードは、紙であることなど、いろいろ問題点があるようなので、そのうち廃止されそうです。
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41542770R20C19A2000000/

Posted by 管理人 at 2020年03月09日 12:50
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2020年03月09日 19:14
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