2020年02月26日

◆ 新型肺炎の検査数が少ないわけ

 新型肺炎の検査数が少ないのは、どうしてか?

 ──

 これについては、医師の説明があって、はてなブックマークで人気だ。
  → 新型コロナ、なぜ希望者全員に検査をしないの?  感染管理の専門家に聞きました

 ここでは、次の趣旨の話がある。
  ・ 軽症者には、検査の必要性がない。
  ・ 重症者には、検査の必要性がある。
  ・ 重症者のための検査をするために、軽症者の検査を断っている。

 重症で本当に検査が必要な人がすぐに検査できない状況があるのは確かだと思います。
 それは検査センターも手一杯で、検体を出したいと言ってもなかなか受け入れられない実情があるからだと思います。ですが、やはり必要な患者さんには速やかに検査ができる体制を一刻も早く整えることは大事だと思います。
 ただ、それは軽症の人も含めて全部検査しろということではありません。
 韓国のCDC(疾病管理予防センター)のウェブサイトでは、誰から感染したかという接触歴が書かれていますから、感染者が多数出ていたとしても、接触歴はまだある程度追える段階なのだろうと想像しています。
 一方、日本では、誰から感染したかがわかりづらくなっている段階です。無症状の人や軽症の人まで韓国並みに検査するのは、意義が少なくなっているのです。検査が必要な人が誰なのか、状況が違うということです。

 「想像しています」って、勝手な憶測でものを言わないで欲しいものだ。
 何らかのことを言うのならば、事実に基づいて、ソースを出して、きちんと数字で示すべきだ。
 筆者はそれができないようだ。ならばかわりに、私が数字を出して説明しよう。

 ──

 政府は1日 3000件という検査能力があると主張している。
 加藤厚生労働大臣は記者会見で、ウイルス検査の体制を拡充した結果、国内で1日あたり3000件を超える検査が可能になったと明らかにしました。
 加藤大臣によりますと、1日あたりの処理能力は、国立感染症研究所が最大400件、各地の検疫所を合わせて580件、地方衛生研究所を合わせて1800件などとなっているということです。
( → 新型ウイルス検査「1日3000件超可能に」加藤厚労相 | NHKニュース

 ところが、実際の実施件数は、これにははるかに及ばない。検査件数は、累計でも 2000件に満たない。昨日(2月26日)の値で、1890件だ。
  → 新型コロナウイルス感染症について
 日数は、2月初めからあると考えても、1日 100件以下だということになる。(前日は 1846件だったので、本日に限れば、1日で 44件しか増えていない。ひどいものだ。)

 一方で、東京都だけでも、検査能力は1日 120件もある。
  → 東京都、新型コロナで検査体制強化 :日本経済新聞
 兵庫や大阪でも、それに近い検査能力がある。
 新型コロナウイルスの検査は、全国 83の地方衛生研究所などが担うことになっている。その一つ、兵庫県立健康科学研究所……1日最大90検体を判定できる。
 大阪健康安全基盤研究所……1日に約80検体を判定できる(
( → ウイルス感染の有無、検査の現場は 兵庫の研究所:朝日新聞

 概算すれば、80× 83 ≒ 6500 だから、このくらいの量の検査能力があるはずだ。さらに、民間の分も合わせれば、もっと多くの量が可能となる。(1日1万ぐらいか)

 以上をまとめれば、こうなる。
 「1日 3000〜1万ぐらいの検査能力があるのに、実施された検査数は1日 100件以下。能力の1%ぐらいしか実施していない」


 一方、韓国では、1日 5000件を実施している。
  → 玉川徹氏 韓国のPCR検査能力1日5000件に:スポニチ

 これは、持てる能力をきちんと発揮していることになるだろう。(能力はもっと上らしいが、最大の可能量の数割の数をこなしているのだから、立派だと言える。)

 ──

 ともあれ、日本では、能力を大幅に下回る率でしか検査は実施されていない。数割ぐらい下回るというのなら、まだしも納得できるが、1%ぐらいというのは、おかしい。何らかの意図があるとしか思えない。
 それは、何か? いくらか推察できることがある。

 検査をすると、感染者の数がどんどん増加してしまう。
  → 新型コロナ 北海道で初の死者 ウイルス検査で死亡後に感染判明(北海道ニュースUHB)

 これが政府にとって問題であるようだ。感染者数の増加は、政府にとっては(政府批判の理由となるので)、都合が悪い。つまり、政府には「なるべく検査をしたくない」という動機が働いている。
 あとは、まあ、忖度かな。

 ──

 なお、この「検査しない」という問題は、感染していない人にとっても、他人事ではない。なぜなら、これらの人が検出されないということは、感染者が野放しになっているということだからだ。(隔離されない、ということ。)
 当然、二次感染の恐れは拡大する。感染爆発が起こったとしても不思議ではない。
 「検査しない」という現在の政府の方針は、バイオテロの第三弾だと言えそうだ。

( ※ 第一弾は、クルーズ船からの下船者の解放。第二弾は、クルーズ船の厚労省職員を検査しないこと。第三弾は、全国民で感染者を検査しないこと。……そのいずれも、一般社会に、バイオテロをもたらす。)



 [ 付記1 ]
 日本政府が検査能力を使う気がないということは、次の記事からもわかる。
  → 中国から提供された新型コロナウイルス試薬は?加藤大臣が1分半「沈黙」=中国ネット「忘れていたのでは」

 中国から1万件の検査キットをもらったのに、使わずじまい。使う気がまるきりないということを、大臣自身が「説明できないで沈黙する」という形で、認めている(告白している)も同然だ。
 こちらの検査キットは、シウマイ弁当とは違うのだが、扱いはシウマイ弁当と同じだ。たぶんどこかで行方不明になっている。あるいは、隠されているか、捨てられているのか。……いずれにせよ、ひどいものだ。「国民の命を救おう」という意思は皆無だ。「少しでも感染者数を低く表示しよう」という、一種の隠蔽の糸ばかりが目立つ。
 
 [ 付記2 ]
 「症状がひどいのに、どうしても検査してもらえない」という実例が報告されている。(体験記)
 夫(38)はタクシー運転手で、10日前に発熱し、ずっとぐったりしているので相談センターに連絡したが、検査を受けることはできなかった。「(タクシーに)乗せた客が、中国の武漢か湖北省の人と証明できなければ検査はできません」と断られたという。再三頼んだが、「今、息できてますよね?」と言われてしまったという。
 夫はその後、3つの病院を受診。医師が「肺炎症状はなくても新型コロナに感染している可能性がある」として再びセンターに検査依頼をしたが、回答は「ノー」だった。肺炎症状が出ないと検査は受けられないという。「重篤化してから検査をしても手遅れだと思う」とAさんは訴える。
( → 10日間発熱も「息できてますよね」と検査されず 識者から指摘も - ライブドアニュース

 「 10日前に発熱し、ずっとぐったりしている」のならば、インフルエンザとは思えないので、新型肺炎である可能性は非常に高い。にもかかわらず、どうしても検査してもらえないようだ。



 【 関連項目 】
 すぐ上に示した「検査拒否」の事例は、別項でも詳しく述べたことがある。
  → 新型肺炎の検査拒否: Open ブログ

 ここでは、次のページを紹介している。
  → コロナの検査数(厚生省発表)が異常に少ないのだが。感染数を低く見せるため??

 ともあれ、本項の話題は、前にも述べた話の発展ふうだ。今になって急に判明したわけではなく、ずっと前から話題になっている。

 ただ、最近になると、「検査拒否は正しい。検査能力がないからだ」というデマが広く出回っている。冒頭の記事も、そういうデマの一種だ。(はてなブックマークが、デマの感染源となっているね。ひどいものだ。)



 【 関連サイト 】
 高速な検査機器が開発されているそうだ。
 《 現状6時間→30分で感染判断 新検査機器、来月にも 》
 新型肺炎が広がっている現状を受けて国は来月中にも短時間でウイルス検査ができる機器を国内で使えるようにする方針を固めた。現在、検査には約6時間かかっているが、新しい検査機器では検査前に検体を処理する時間を含めて30分ほどで結果がわかるという。
 新しい検査機器は、産業技術総合研究所が開発した遺伝物質の増幅を早める技術を使い、検体の処理を含めて約30分で結果が出せるという。持ち運べる大きさで、最大4人分を同時に検査できる。価格は1台数百万円という。
( →  [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞

 25日夜のNHK報道によると、同日の衆院予算委員会の分科会で、経済産業省の担当者が産業技術総合研究所が開発した技術を活用した機器で新たにコロナウイルスの検出が可能になった、と説明した。4ー6時間かかっている検査時間を15分程度まで大幅に短縮が可能で、同省は厚生労働省と連携して来月にも現場での実用化を目指すという。
 同報道の映像資料で紹介された機器は、杏林製薬のマイクロ流路型遺伝子定量装置「GeneSoC(ジーンソック)」。
( → キョーリンとキヤノン株が逆行高、迅速ウイルス検査機器の需要見込む - Bloomberg

 とはいえ、いくらキャパをあげても、それを使う気がないと、相も変わらず、使われないままだろう。現状でも、キャパはたっぷりとあるからだ。実際に検査した量の 100倍ぐらいの検査能力が眠っているのだ。
 検査能力が足りないのではない。検査能力を使う気がないだけだ。
 


 【 追記 】
 あとでいろいろ考え直したが、あらゆる結果を説明する一つの理由を見出した。こうだ。
 「保健所の検査費用の予算の総枠が決まっているので、検査数の総枠に上限がある」

 たとえば、次のような感じだ。
 「検査費用は、衛生研究所では3万円、民間研究所では 10万円。保健所の検査予算は年間 100万円。最大でも年間 33件しか検査できない」
 「民間病院の場合は、保健所に委託すれば無料、自分で委託すれば3万円または 10万円を自腹で払う」
 「患者の払う金は、いずれも無料」
 「政府は、検査費用の負担はゼロです(公費負担です)、と自慢する」

 政府の公式声明はこうだ。
厚労省:原則、無料です。現在は、新型コロナウイルスの検査は「行政検査」にあたるため公費負担となります。
( → 【そこが知りたい】検査は誰でも受けられる?どこで?費用は? | NHKニュース

 いかにも「公費負担」を謳っている。だが、これは「保健所経由の場合」(公式ルート)に限定されているはずだ。保健所に依頼せずに、民間病院が民間研究所に委託した場合(私的ルート)では「公費負担」であるはずがない。
( ※ そんな出費をするのは、たぶん違法である。法制化されていないからだ。)

 で、保健所経由だけがあるわけだが、保健所は「かなり重症化しても検査を極端にイヤがる。ただし非常に重篤な場合には検査を認める」というふうになっている。
 これは「検査数を極端に絞る」という枠組みがあるからだろう。
 そして、そういう枠組みがあるとしたら、医学的な理由ではなく、金銭的な理由であるはずだ。だから、上記の推測(予算枠があること)が出てくる。

 ──

 では、予算枠が足りないのは、どうしてか? もちろん、例年の枠組みに縛られているからだ。
 ただし現状のような異常事態では、予算の拡大が求められる。
 ならば、政府が予算枠を臨時で拡大すればいい。ところが、政府はそうしない。なぜか? 
 おそらく、政府には「予算枠を増やそうとしない」という意図があるのだろう。
 ここまで見れば、物事の本質が見通せる。こうだ。
 「政府は、検査の予算枠を増やさないことで、間接的に、検査の実施を阻止している」

 こうして、政府の悪意に対する典拠が、それなりに得られたことになる。
 
 
posted by 管理人 at 20:10| Comment(5) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2020年02月26日 23:25
 続報。

 (1)
> 厚生労働省から1月30日にPCR検査の協力要請を受けた都内の民間検査会社が2月17日に検査受け入れ体制が完了したにも関わらず、本日現在一件も検査依頼が無いと暴露。

 → https://twitter.com/tabibit39690359/status/1232452200921620480

 (2)
> 新型コロナ検査、実際は「1日平均約900件」 説明大きく下回り野党批判

 → https://mainichi.jp/articles/20200226/k00/00m/010/385000c

 (3)
> 新型コロナ、陰性確認後に再び陽性 大阪のガイド女性

 → https://www.asahi.com/articles/ASN2V7F3PN2VPTIL02R.html

 ※ 検査の重要性がわかる。軽症のまま、一次的に症状が治まっていただけで、ずっと軽症の状態が続いていたのだろう。検査の陰性は偽陰性だったのだろう。それでも、あとの検査で陽性が判明した。 → 検査の重要性がわかる。検査しないでコロナだと確認しないと、この患者から二次感染が広がったはずだ。
Posted by 管理人 at 2020年02月27日 07:55
なぜ新型コロナの検査件数が少ないか担当職員から
https://anond.hatelabo.jp/20200223013119

ご指摘のように予算の問題とともに検体の輸送にも困難があるようです。
Posted by メカ屋 at 2020年02月27日 08:52
  「保健所の検査費用の予算の総枠が決まっているので、検査数の総枠に上限がある」

 と本文中で述べたが、どうやらこれが真の理由だったと思える。というのは、安倍首相が新方針を出したからだ。以下、引用。

 ──

 首相「10日程度で緊急対応第2弾」 新型コロナ対策
 
 2700億円の予備費を使って第2弾の緊急対応策を10日程度でまとめると表明した。
 ウイルス検査は現時点で1日4000件超を実施できる能力があると指摘し「一層の検査能力拡大に努めていく」と明言した。検査に関しては「来週中に医療保険を適用する」と強調した。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56242750Z20C20A2000000/

 ──

 つまり、十分な金を出して、検査には医療保険を適用する。つまり、保健所を経由しなくても、病院が民間の検査会社を利用できるようになる。
 これならば各地で「検査能力があるのに病院が検査を拒否する」という問題もなくなるだろう。むしろ、検査すればするほど、病院の収入増になるので、検査をするようになるだろう。
 軽症者に無駄な検査をすると保険が下りないだろうから、必要そうな「やや重症」の人に検査をするようになるだろう。

 それが私の予想だ。
 なお、これが実現すると、「検査をしない理由」をいちいち解説していた医師の説明は、すべて嘘だったと判明するね。
Posted by 管理人 at 2020年02月29日 21:05
情報提供です。

共産党田村議員が『PCR検査について、国立感染研が妨害しているかのような意見が流布しているが、デマに近いものがある。』と言及してます。
https://togetter.com/li/1475993

〜新型コロナウイルス、検査体制の拡充が後手に回った裏事情〜 (日経バイオテク)
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/02/28/06625/
Posted by 反財務省 at 2020年03月02日 10:36
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