2020年02月26日

◆ (感染対策の)防疫隊を創設せよ

 (クルーズ船の新型肺炎患者のような)大量感染が発生したときに、うまく対処するために、実働部隊を創設するべきだ。
 
 ──
 
 今回は、その実働部隊は公式には存在しなかったようだ。急造の部隊( DMAT )が作られたようだが、にわか仕立てなので、組織の命令系統もメチャクチャであったようだ。それどころか、まともな組織が存在しないまま、あちこちで勝手に活動していただけ……というのに近い状態だったようだ。
 裏付けはいくつかある。
  ・ シウマイ弁当が行方不明になった。
  ・ 司令部に当たる副大臣自身が乗船した。しかも副大臣がレッドゾーンに踏み入って、感染した疑いがある。( → 出典
  ・ ゾーニングがなされていない。( ← 岩田氏の指摘 )
  ・ 感染の検査もまったく足りない。検査数不足。
  ・ 検査しないまま「発症なし」だけで下船させた。
  ・ 下船後の収容も自治体任せ。( → 神奈川県に )
  ・ 乗客には何も連絡しない。

 最後の「乗客には何も連絡しない」という点については、本日の朝日新聞・投書欄に、乗客の声(体験記)が掲載されていた。こうある。
  ・ 情報源は基本的に、船長のアナウンスとテレビだけ。
  ・ 自分たちが隔離されると知ったのもそれだけで、個別連絡なし。
  ・ 政府からもらった書類は副大臣の手紙1通だけ。
  ・ 他は簡単なアナウンスが数回だけ。
  ・ DMAT の人に聞いても、情報を得られない。
  ・ 何がどうなっているのか、さっぱりわからない。

 まったくの混乱状態とも言える。
 ──
 では、どうしてこうなったか? 今回の実働部隊である DMAT は、もともと専属の隊員がいたわけではない。各地の医師の寄せ集めで、にわか仕立てで作られたものである。その規模もきわめて小さかった。( 3800人の乗客・乗員に対して、大海に対するバケツ1個のように少なかった。)
 組織の実状は、以下で示すようにひどかった。
 災害派遣医療チーム(DMAT)は懸命の医療活動を続けた。メンバーの医師の1人が取材に応じ、「船の大きさ、乗っている人の多さに比べてマンパワーがあまりに足りなかった。政府は危機対応に備え、感染症の専門チームを作るべきだ」と訴えた。
 沖縄県の林峰栄医師(51)は8日、DMATの要請でクルーズ船が停泊する横浜市に向かった。
 林医師によると、当時、乗客乗員約3600人がいた船内の「医療班」は、厚生労働省の検疫官や自衛隊の医官、DMATのメンバーらわずか約40人。特殊な環境の中で、多様な組織が重層的に活動していた。
 英語を話せない外国人の乗客や、パニックになる人もいて、対応は困難を極めたという。
 「医療班に感染症専門医は1人しかおらず、発言力も弱くリーダーシップを発揮できていなかった」と指摘。今後の教訓として、感染症の流行に対応するための専門組織を国内に設置する必要性を訴えた。
( → 「マニュアルなく試行錯誤」 船内の検体採取、困難連続―DMAT医師・新型肺炎:時事ドットコム

 湘南鎌倉総合病院(神奈川県)と羽生総合病院(埼玉県)のDMAT(県の災害派遣医療チーム)、千葉西総合病院の日本DMAT(国の災害派遣医療チーム)がそれぞれ現地に赴いた。
 湘南鎌倉病院は県の要請をふまえ2月7日に山本真嗣・救急総合診療科部長をはじめ看護師、業務調整担当として薬剤師、事務職員各1人が出動。
 山本部長は「船内と船外で指揮・命令系統が異なったり、外国船のため乗船・下船にともなう手続きに時間を要したりし、迅速な対応は難しいと感じました」と振り返った。
( → 新型コロナ対策 DMAT隊員が出動 湘南鎌倉・羽生・千葉西3病院 | 徳洲会グループ

 組織がメチャクチャだから、乗船していた看護師の中にも感染者が発生した。
 和歌山県は18日、新たに10〜60代の男性3人が新型コロナウイルスに感染していたと発表した。集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で一時、災害派遣医療チーム(DMAT)として活動した30代の男性看護師も含まれる。
 男性看護師は13〜15日、同僚2人とDMATの一員として派遣され、13日は船内で発熱患者の診療補助を行った。活動終了後は、新横浜から新大阪まで新幹線を利用して帰宅したという。
( → 和歌山、東京などで8人感染、10代は初 クルーズ船活動の看護師も―新型肺炎:時事ドットコム 2月18日 )

 新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船で、船内の業務に携わった国の職員がウイルス検査を受けていなかった問題で、厚生労働省は22日これまでに乗船した職員を検査することを決めました。一方で、乗客にもっとも近いところで活動した医師や看護師は検査の対象から外していて、専門家は「感染する可能性は否定できず、対象を見直すべきだ」と指摘しています。
( → クルーズ船対応の医師や看護師は検査対象外 厚労省 | NHKニュース 2月23日 )

 最後の二つは順序が逆のよう見えるかもしれないが、逆ではない。次の順になっている。
  ・ 看護師の感染が確認された。( 2月18日 )
  ・ 医師、看護師の感染を検査しないと決めた。( 2月23日 )

 看護師の感染が確認されたが、そのあとで、「感染はありえないので検査しない」(現状維持)と決めた。頭がおかしいね。組織が機能不全であるだけでなく、政策決定である厚労省の判断そのものまで根本的に狂っている。
 
 ──

 では、どうするべきか? 記事では、
 「感染症の流行に対応するための専門組織を国内に設置する」
 「感染症の専門チームを作るべきだ」
 というふうに提案されている。

 これを受けて、私は次のように提案したい。
  ・ 感染症の指揮組織を、専門で創設数。
  ・ 感染症の実働部隊を、専門で創設する。


 前者は、頭となる部分だ。これは「日本版 CDC 」と言ってもいい。ただし、「実働部隊を指揮する」という指揮能力が非常に重要となる。実働部隊とは不即不離の関係であるべきだ。
 後者は、体(手足)となる部隊だ。これは、常設の組織として維持するのは無理だし無駄なので、普段は別の仕事をしていることになる。DMAT の場合は、各地の病院で働いている医師が臨時に掻き集められたが、こういうふうに掻き集められたものだと、指揮系統がしっかりしないので、組織としてはまともに機能しない。そのことが今回は判明した。また、組織の規模も小さいし、指揮系統もはっきりしないようだ。(寄せ集めの組織であるから。)

 そこで私が提案するのは、こうだ。
 「自衛隊に所属する DMAT チームを創設する。これはほぼ常設のものだ。機能としては、感染症の対策だけでなく、大地震や大事故などの緊急時の対応もになう。また、戦時においては、各部隊の衛生科として働く」


 自衛隊の衛生科は、戦時における医療が主要目的となる。
 それはそれでいいのだが、今後は、その目的を二次的として、一次的には(災害時の)DMAT としての仕事を主任務とするべきだ。兼任ではあるとしても、意識の順序を逆にするわけだ。

 なお、ここでは非常に重要なことがある。次のことだ。
 「 災害時の DMAT においては、組織系統が明白である必要がある。中央組織と末端組織との関係が明白であって、はっきりとした指揮系統が成立している必要がある。その組織において、医師の位置はほぼ最底辺にあたる。医師は末端の手足として(現場で)働くだけであって、直属の部下(看護師など)以外には命令する権限をもたない。(直属の部下でない)他の実働隊員に、医師が勝手に命令することは、あってはならない」
 「 医師が何かを報告したいときには、報告手続きの経路を取って、直接的に中央組織に報告するべきだ。状況改善の提案もまた同じ」


 上のことは重要である。この原則に従えば、「感染症の専門家である有能な医師が、ゾーニングをああしろこうしろというふうに、現場で勝手に指揮する権限などはない」ということになる。つまり、岩田医師が現場でやって混乱をもたらしたことの再発はありえない。
 有能な専門の医師がいたら、その医師は、現場で隊員を指揮するのではなく、(報告手続きの経路を取って、)直接的に中央組織に報告するべきなのである。……ただしそのためには、「直接的に中央組織に報告するための、報告手続きの経路」があらかじめ用意されている必要がある。(今回はその経路は用意されていなかった。)

 結局、すべては「組織をきちんと整備しておくこと」なのである。それもなしに、各地の病院からの寄せ集めで、急造の組織(にわか仕立てのチーム)なんかに頼ったから、現場は、組織の体をなさないまま、混乱と無為無策に陥ったのである。
 これに比べれば、まともな組織である神奈川県の組織の方が、よほど統率が取れていたはずだ。

 つまりは、「もともと組織がなかった」という厚労省の問題が、一気に噴出したことになる。
 今後は、きちんと組織を創設するべきだろう。(厚労省と自衛隊の双方の分野で。)

 ──

 なお、この新組織について、名称は次のように仮称していい。
  ・ 指揮組織 …… 日本版 CDC
  ・ 実働部隊 …… 防疫隊 (自衛隊の一部)


 各地の医師や看護婦を集めた DMAT は、防疫隊の傘下に組み込まれた上で、防疫隊の指示に従って行動することになる。
 指揮組織と実働部隊に明白な組織系統が成立していれば、DMAT の内部で組織がいい加減であることは、許容される。(どうせ急ごしらえのチームだし、組織としてはまともな組織ではないことが前提とされる。)

 ※ 現状では、DMAT の医師が一番偉そうにふるまっているが、そんなことでは組織が不統率になるので、医師が偉そうにふるまうことは許されない。
 ※ 副大臣が偉そうに出てくることは、もっと許されない。「目立ちたがり屋は引っ込んでろ。感染するぞ」と追い返されるべきだ。



 【 関連項目 】

 → 危機管理の方法 (有事の際): Open ブログ

 指揮組織においては、トップの1人に全権があることが重要となる。その全権を、首相は付与するべきだ。
 当然ながら、実働部隊に対する全権も、この1人のトップが有する。(自衛隊の実働部隊に対しても、だ。)
 ただし、トップが直接的に実働部隊を動かす必要はない。実働部隊の全体が、指揮組織の傘下に入るからだ。


 
posted by 管理人 at 20:05| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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